Addicted To Who Or What?

引っ越しました~
by lotusruby

Out-of-PIFF III : 『神機箭』

2008-10-12 23:50:04 | J.J.Y. Filmography


『神機箭』

原題: 신기전
監督: キム・ユジン
出演: チョン・ジェヨン、ホ・ジュノ、ハン・ウンジョン、アン・ソンギ


かろうじて中ヒットしてくれたおかげで、公開 1 ヶ月目にしてようやく見ることができました。制作発表から 1 年半。そんなに長く待ったわけではなかったですね(笑)。

最初にお断りしておきますが、ワタシの視点には思い切り フィルタ がかかっていますので、ご了承ください。また、以下、ネタばれを含んでいます



冒頭から、このビジュアル系バンドのボーカルさんみたいな方は一体どなた?という感じで始まり、ちょっとカッコすぎやしませんかチョン・ジェヨン。しかも細いっ!!!

こんなカッチョいいまま 130 分あまり続くのかと思うと、クラクラ しました。エンディングまで身が持つのだろうかと・・・。

なぜかめっちゃ強いし(笑)。1 対 100 ぐらいの立ち回りでも、難なくすり抜け、Ninja のごとく軽い、キレのある身のこなし、一体何者なのでしょう(笑)。

なのに、頭なでなでして~って、女心わしづかみ?

アクションも、ロマンスも、コミカルさも、気の毒なぐらい、あれもこれも要求された役だったのではないでしょうかね。そりゃ、撮影中に原因不明の発熱で倒れるはずだわ・・・と思いました。



公開前、この作品については、製作者自らが 「ウリナラの誇りを表現した」 というような発言をしていることもあり、仮想敵国を仕立て上げて民族主義を煽るような部分があるということで、レビューもそのようなところに批判的だったりしたので、ちょっとイヤだなと思っていました。

でも、なんだか、肩透かしを食らいました。

インタビューで、「セリフが幼稚で」 とか、「演技がオーバーで」 とジェヨンは気にしていましたが、それって、ストーリーが単純明快、つまり誰が見てもわかる起承転結で構成されているからで、作品自体は何かを鼓舞したり、メッセージ性の濃いものではなく、ただの痛快 「時代劇」 のカテゴリに入ると思います。

それに、結局のところ、この話って、王子さまとお姫さまの恋物語に尽きるのではないでしょうかね(王子かどうかは各自の判断にお任せしますが・笑)。そういう意味では、ストーリーは幼稚です。

ソルジュ(チョン・ジェヨン)が戦ったのは、愛する女性ホンリ(ハン・ウンジョン)を救わんがために戦っただけで、ホンリはホンリで、神機箭の開発は父親の遺志を継ぐ科学者としての使命みたいなもので、「お国のために」 という部分はさして強く(いえ、ほとんど)感じられませんでした。

クライマックスシーンとなる、明+女真族(?)の大部隊と、チャンガン(ホ・ジュノ)とソルジュとその仲間たちの少数部隊の戦闘場面。戦闘が始まろうとする時点で、すでに民族主義なぞ霞んでしまうほどのお子チャマ劇的、夢物語な設定にやや呆れもしましたが。見せ場なのにね・・・。

民族主義を煽っているのならば、もっと観客を動員して、大ヒットしたのではないでしょうかね~(笑)。観客の反応も単に、神機箭が天から降り注ぐ CG シーンに(ちと『HERO』 っぽい)、おおーと拍手する程度で、これが民族意識を高める引き金になるとはとても思えません。

その上、歴史認識云々でことさら取り上げるほどの格調の高さもありません。単なるフィクション史劇にすぎず、それ以上それ以下でもないと思います。


褒めているんだか、貶しているんだかですが、どちらにも振れないというのが正直なところです。ともあれ、ジェヨンのカッコよさが際立っているのは確かで、どうせならもっとワタシがメラメラと嫉妬するようなロマンスに仕立てあげてほしかったわ~(←そっちか)。





13th PIFF Selection IV

2008-10-12 02:09:57 | K-Movie Notes





 From WORLD CINEMA

Shadows in the Sun (UK)
監督:David Rocksavage
出演:Jean Simmons, James Wilby, Jamie Dornan, Ophelia Lovibond




唯一見た韓国映画以外の海外作品。

1960 年代後半のノーフォーク(英国)。1 人暮らしの老女ハンナ(ジーン・シモンズ)は、孤独な青年ジョー(ジェイミー・ドーナン)に世話をしてもらっている。ある日ハンナを引き取りにやってきた息子とその家族。ジョーと関わることにより、家族の絆が変化してゆく・・・というような話。

① 字幕からの開放、② ノーフォークの美しい景色、③ イケメンの出現、この 3 つの要素により、この作品に対する個人的な評価が上がってしまたことは否定しません。

この作品、まだ各地の映画祭をまわっていて、リリースされていないようです。

しかし、ノーフォークの息を呑むような美しい自然の風景には心から癒されます。ゴテゴテしたものがどこにもない単調な風景は、淡々としたストーリーとマッチしています。

ジョーという天涯孤独な青年と 3 世代家族を対比させながら、互いに関わり合い理解し合う過程もオーバーな表現がなく、何よりも気負いがなくて、肩の力がスッとぬける作品でした。淡々と描いているのに、情感あふれるところが汲み取れてしまうところが気に入りました。
 

さて、ここで見つけたイケメン、ジェイミー・ドーナン

カルバン・クラインやアルマーニのモデル。どこから見てもカッコイイわけです。俳優経験はほとんどなく、前作は 『マリー・アントワネット』(監督ソフィア・コッポラ)のフェルゼン伯爵役。キーラ・ナイトレイと付き合って破局し、ゴシップの多いプレイボーイらしいです。

この作品では風景にすっぽりはまっていて、モデル独特の嫌みなところはどこにもありませんでしたね (甘いっ?)

 

 

 From KOREAN CINEMA TODAY : VISION

똥파리 (糞バエ)/ Breathless
監督: 양익준 / Ik-june YANG




見た後に原題が 「糞ハエ」 と知りました。英題の 「Breathless」 とはなんだかイメージが違いますが、糞だけに、臭くて息ができないとか?そんな意味じゃないですよね(爆)。

借金の取立てチンピラ、サンフンはケンカっぱやい。ある日、女子高校生ユニと出会うが、ユニはサンフンを怖がるどころか、喰らいついてくる。崩壊した家族という同じ痛みを抱える 2 人は、互いを心の拠り所とするようになる・・・というお話。

口から出るセリフは 「クソ」 がつく F ワードだらけ。韓国語では 「シ」 から始まる単語ですが。でも、あまりに量が多いせいか英語字幕では F ワードが訳されていませんでしたが、当然かな。

カンペに借金の取立て。韓国映画ってホントにこの素材が好きなのねと、最初はやや冷ややかに観ていたのですが、これがですね、もうだんだんと引き込まれて、ストーリーはよく出来ているし展開も良かったし、俳優さんも良かったのです。

最後が少しくどくて、これで終わりかな・・・ と 3 回ぐらい思いました。もう最後の最後まで見せないと気がすまない監督さんなのでしょうか(笑)。余韻を観客にもたせるなんてことはしないみたいです。

おかげで 130 分とやや長めの上映時間でしたが、消化不良なんてことは起こらず、完全消化。これも監督さんの自伝的作品だそうですが、とても力強い作品であることはまちがいありません。

最後には、ちょっとサンフンを抱きしめてあげたくなるぐらい、感傷的に入り込んでしまいました。