『神機箭』
原題: 신기전
監督: キム・ユジン
出演: チョン・ジェヨン、ホ・ジュノ、ハン・ウンジョン、アン・ソンギ
かろうじて中ヒットしてくれたおかげで、公開 1 ヶ月目にしてようやく見ることができました。制作発表から 1 年半。そんなに長く待ったわけではなかったですね(笑)。
最初にお断りしておきますが、ワタシの視点には思い切り フィルタ がかかっていますので、ご了承ください。また、以下、ネタばれを含んでいます。
冒頭から、このビジュアル系バンドのボーカルさんみたいな方は一体どなた?という感じで始まり、ちょっとカッコすぎやしませんかチョン・ジェヨン。しかも細いっ!!!
こんなカッチョいいまま 130 分あまり続くのかと思うと、クラクラ しました。エンディングまで身が持つのだろうかと・・・。
なぜかめっちゃ強いし(笑)。1 対 100 ぐらいの立ち回りでも、難なくすり抜け、Ninja のごとく軽い、キレのある身のこなし、一体何者なのでしょう(笑)。
なのに、頭なでなでして~って、女心わしづかみ?
アクションも、ロマンスも、コミカルさも、気の毒なぐらい、あれもこれも要求された役だったのではないでしょうかね。そりゃ、撮影中に原因不明の発熱で倒れるはずだわ・・・と思いました。
でも、なんだか、肩透かしを食らいました。
インタビューで、「セリフが幼稚で」 とか、「演技がオーバーで」 とジェヨンは気にしていましたが、それって、ストーリーが単純明快、つまり誰が見てもわかる起承転結で構成されているからで、作品自体は何かを鼓舞したり、メッセージ性の濃いものではなく、ただの痛快 「時代劇」 のカテゴリに入ると思います。
それに、結局のところ、この話って、王子さまとお姫さまの恋物語に尽きるのではないでしょうかね(王子かどうかは各自の判断にお任せしますが・笑)。そういう意味では、ストーリーは幼稚です。
ソルジュ(チョン・ジェヨン)が戦ったのは、愛する女性ホンリ(ハン・ウンジョン)を救わんがために戦っただけで、ホンリはホンリで、神機箭の開発は父親の遺志を継ぐ科学者としての使命みたいなもので、「お国のために」 という部分はさして強く(いえ、ほとんど)感じられませんでした。
クライマックスシーンとなる、明+女真族(?)の大部隊と、チャンガン(ホ・ジュノ)とソルジュとその仲間たちの少数部隊の戦闘場面。戦闘が始まろうとする時点で、すでに民族主義なぞ霞んでしまうほどのお子チャマ劇的、夢物語な設定にやや呆れもしましたが。見せ場なのにね・・・。
民族主義を煽っているのならば、もっと観客を動員して、大ヒットしたのではないでしょうかね~(笑)。観客の反応も単に、神機箭が天から降り注ぐ CG シーンに(ちと『HERO』 っぽい)、おおーと拍手する程度で、これが民族意識を高める引き金になるとはとても思えません。
その上、歴史認識云々でことさら取り上げるほどの格調の高さもありません。単なるフィクション史劇にすぎず、それ以上それ以下でもないと思います。
褒めているんだか、貶しているんだかですが、どちらにも振れないというのが正直なところです。ともあれ、ジェヨンのカッコよさが際立っているのは確かで、どうせならもっとワタシがメラメラと嫉妬するようなロマンスに仕立てあげてほしかったわ~(←そっちか)。