Addicted To Who Or What?

引っ越しました~
by lotusruby

DVD鑑賞 ~『愛をつづる詩』~

2006-05-28 22:09:32 | Cinema な時間


なんだか昨日見た『やさしくキスをして』と、どこか通じるような内容の映画を選んでしまった。どうも私の気分が、こういう選択を
してしまう気分らしい。

『愛をつづる詩』(2004年)が『やさしくキスをして』と通じるところというのは、人物設定が似ている点である。女性はカトリック教徒の白人アイリッシュ、男性はモスリムの有色人種で祖国を捨てて先進国に移り住んでいる、という設定。この作品でも、男女間に横たわる、宗教的、文化的な対立と受容がテーマのひとつのようだ。

[あらすじ]
分子生物学者として世界を飛び回る“彼女”(ジョアン・アレン)は、夫との結婚生活がすでに修復不可能な状態に陥っている。ある日、パーティで出会ったレバノン人の“彼”(サイモン・アブカリアン)と激しい恋に落ちる。“彼”は外科医だったが祖国に幻滅して国を捨て、今はコックとして働いているが、異国でうける扱いに自分自身が満たされない日々を送る。

『愛をつづる詩』のセリフは、そのタイトルどおり驚くほどポエム・・・ 「秘すれば花」に象徴されるアジア的感性からはちょっとくすぐったいというか、恥ずかしくなるようなセリフが、次から次への滝のように男の口からも、女の口からも流れ出てくる。流麗で、語彙が豊かな詩的表現がだんだん心地よくなったりもする

監督サリー・ポッターが脚本も手がけているが、セリフを韻文に仕立てあげているそうだ。セリフで韻を踏んでいるため心地よく聞こえるのだ。ただし、言語は英語なので、字幕で韻文を味わうには限界があるのが残念

この作品では、男性が異国で異邦人として生きる苦痛に耐えられなくなるのだが、女性は科学者らしくあくまでも「個」を主張し、「個」としての "彼" を受け入れ、愛するところがステキ。
「You are the only one.」 「あなたしかいない」と字幕にはあったが、もちろん "彼女" にとって "彼" しかいないのだろうけど、「あなた(という存在)は1人しかいない」というニュアンスの方が彼女らしい気がした。

原題は『YES』。邦題の『愛をつづる詩』とはかけ離れている。エンディングで、「YES」の文字が現れるのだが、何が「YES」なのだろうかと、初めからまた振り返りたくなるようなそんな作品である