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歴史的愚挙、郵政民営化法案

2005年07月10日 14時24分29秒 | □郵政民営化
 7月5日、郵政民営化法案が、たった5票差で衆議院本会議を通過した。
 自民党から51人の造反者を出したことは明るいニュースと言える(反対37、欠席・棄権14)。利権が絡んでいる者もいるかもしれないが、小泉首相の恫喝に屈せず反対票を投じたことは、たいへん評価できる。
 5票差ということは、もはや小泉勢力はグラグラの氷の上に立っていると言うこともできる。しかし、グラグラでも、次の参議院を通過すれば、郵政民営化法案は成立してしまう。

 もし法案が成立し、「郵貯」「簡保」が民営化されれば、間違いなくアメリカ資本に乗っ取られる。そして国民の富350兆円は、アメリカ企業を潤し、アメリカの金持ちへの減税の補填をし、アメリカ人の浪費を助け、そしてアメリカの戦争を支える。郵政民営化は、破綻した国家アメリカを益するだけで、日本国民には百害あって一利もない。そもそもこの「郵政民営化」は、1995年にアメリカの要求ではじまったものだ。アメリカ政府が、日本国民のことを考えて「郵政民営化」を要求するだろうか。考えなくてもわかることだ。

 そんな郵政民営化法案を、小泉首相、竹中郵政民営化担当相はなりふりかまわず成立させようとしている。なぜなら、これさえ成立させてしまえば、彼らはアメリカから絶対的な信任を得、権力と富を約束されるからだ。アメリカにとってこれまでのところ小泉首相は、たいへんな優等生と言える。あるいは忠実な僕とも。これほどアメリカの意向に忠実な首相はいままでいなかった。しかし、どんなに忠実であっても「成果」を持ってこなければ、ただの忠犬にすぎない。小泉首相は、必死になって「成果」を積み上げているところだ。その中でも、「郵政民営化」は肝心要の「本丸」だ。

 だから小泉首相は反対派議員を潰すため、平気で恫喝を行った。除名する、党籍を剥奪する、衆院を解散する、など。
 恫喝は、ある意味では成功したし、別の意味では失敗した。
 確かに、5票差でも衆議院は通過した。しかし、欠席・棄権は14。つまり、実質的には小泉勢力は負けているのだ。自民党を「ぶっ潰す」どころか、すでに自分の尻に火がついている。そんな小泉政権を、御用マスメディアはいまだに支えようとしている。国民へ目を向けない政権とマスメディア。「ぶっ潰す」べきは、小泉政権であり、御用マスメディアだ。

 小泉首相は、造反者は除名、党籍剥奪と脅していたが、おそらく実際にはできない。51名を除名すれば、除名者は民主党と手を結ぶことになる。そうなれば自公連合は衆院で少数派になる。自分の首を絞めるようなものだ。ブラッフだったとバレれば、次の参議院では誰も恫喝など恐れなくなる。すでに、小泉政権は氷の上でグラグラになっている。

 しかし、御用マスメディアのでたらめな報道のせいで、日本国民は「郵政民営化」の重大性に気づいていない。郵政民営化法案は、参議院で否決されなければならない。
 でなければ、日本は、政治的にも、経済的にも、アメリカの属国になってしまう。すでにほぼ属国状態ではあるが。なんとしても、郵貯・簡保の350兆円を守らなくてはならない。郵貯・簡保が公的機関であるかぎり、絶対に乗っ取られることはないのだから。

 参議院で否決される可能性は高い。
 しかし、予断は許されない。
 なんといっても小泉首相のバックには、ブッシュ大統領が付いているのだ。たいした基盤もなく、人間的魅力もない小泉首相がここまで好き勝手をしてこれたのも、ひとえにブッシュ大統領あってのことだ。郵政民営化は、ブッシュ、小泉両氏にとっての「本丸」だ。この正念場を迎えて、とんでもない隠しだまを出さないとも限らない。

 郵政民営化は「安保条約」や「バブル」を超える歴史的愚挙だ。
「安保条約」で日本は独立国であることを放棄した。
意図的な「バブル」で90年代を丸々棒に振った。
そして「郵政民営化」が実現すれば、日本は未来を失う。

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