報道写真家から

我々が信じてきた世界の姿は、本当の世界の実像なのか

東ティモール: マーシャルアーツ・グループ

2006年07月17日 18時20分56秒 | ■東ティモール暴動
2001年頃には、数多くのマーシャルアーツ・グループが東ティモール全土に存在した。人口80万の島にしては、異様に格闘グループが多いのが少し不思議だった。でも、格闘好きなんだろうぐらいにしか思っていなかった。

その構成員は、どこの世界にもいるチンピラ然とした若者だ。力を誇示するグループ間の抗争は頻繁に行われていた。グループの暴力に対抗して、住民がグループのメンバーを襲撃することもあった。

国連文民警察やPKFは、抗争があれば出動するが、それだけだ。見えるところに居ても、深追いすることはなかった。

どんな田舎の村にも、マーシャルアーツ・グループは存在し、暴力と抗争を担っていた。ほんの些細なもめごとでも、自動小銃と手榴弾まで持ち出された。抗争相手の家は焼き払われ、死者が出る事もあった。

インドネシアの支配と暴力が終わったばかりだというのに、それはあまりにも理解しがたい現象だった。





































[写真は、すべて2001年撮影]


今回の、東ティモールで、暴動や放火の主力を担ったのは、これらマーシャルアーツ・グループだと推測できる。15万人の避難民が即座に生まれたのも、常日頃から地域や地区で暴力を働いていた惨忍なグループに急き立てられたからだ。

グループは、暴動中も抗争をする有様だったが、外国部隊や外国メディアにはいっさい手出しをしていない。外国部隊も、グループの武器を取上げるだけで、それ以上のことはしていない。キャッチ・アンド・リリースなのだ。これでは、どうぞ暴動を続けてくださいと言うようなものだ。まるで暗黙の合意でもあるかのようだ。しかし、特にそうした合意があるわけではないだろう。

グループを養成しコントロールしている勢力と、治安維持部隊を派遣した勢力とは、同一というだけだ。


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