報道写真家から

我々が信じてきた世界の姿は、本当の世界の実像なのか

互いに理解し合うこと

2005年09月15日 17時16分37秒 | □郵政民営化
この数日間、日本人は混乱していた。もちろん、僕もそうだ。みな、何が起こったのかを理解するのに必死だったのだと思う。その証拠に、この数日間は当ブログへのアクセスが急増した。他のブログも同じなのではないだろうか。多くの人がブログを駆け巡っていたことが察せられる。僕も駆け巡った。たった数日間だが、この間に得たものはとても大きいと思う。

表面的には、自民党の圧勝という形で選挙は幕を閉じたが、実際の有権者の投票行動自体は、極端なものではなかった。投票数には、それほど極端な差はなかった。いわば、二分する形だ。議席数の多さに幻惑されたが、有権者の投票行動はごく健康的なものだったといえる。議論が分かれるのは、ごく自然なことだ。それが議席数に反映されなかったのは、小選挙区と比例代表の併設という選挙区制の問題だった。

考え方や方向性が違っても、少しでも日本と日本人の生活を良くしたいという気持ちは皆同じだ。真剣に物事を考えれば、意見が分かれるのは人間の普通の営みだと思っている。特に今回は非常に重要な案件だっただけになおさらだ。選挙が近づくにつれ、ブログ界でも議論は沸騰した。だからこそ結果は、ほぼ二つに分かれたということなのだと思う。

ブログを見渡してみると、今回、マスメディアに対して、両陣営ともが批判していることは特筆に価する。メディアは、信頼にたる機関ではないことを双方が感じている。メディアが信用できなければ、自分自身を信じて行動するしかない。誰もが、メディアに依らず自分自身で真実のよりどころを求めたということになる。インターネットというものが、それぞれの考えの熟成に大きな効用があったのではないだろうか。とりわけブログの存在は大きかったと思っている。

いま、我々に必要なのは、我々が求めているものは、同じだということを理解することではないだろうか。日本を良くしたいという気持ちはみな同じなのだから。相手を支配したいと思っている人はいないはずだ。相手の富を奪いたいと思っている人もいないはずだ。誰もが、少しでも安心して住める日本にしたいと思っているはずだ。

意見は分かれても、我々の志は同じだということを、互いに理解し合うことが、いまもっとも必要な時期ではないだろうか。

ブログのよりよき発展をこころから願いつつ。

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10 コメント

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同感です。 (Mee)
2005-09-15 21:36:46
真剣な人ほど思い入れが強いですから、熱い議論になり、ついつい反対意見の弱い部分にばかり目がいって、重箱の隅をつつくようなやりとりになることもあると思います。



私も反対意見の人との議論に熱くなりそうになりましたが、ふと、お互い「日本を、よりよい国にしたい」と思っている部分では同じなのだと思いました。



また、反対意見を聞くことは相手の意見に丸め込まれるということとは違います。

なぜ反対なのかが解らないと、議論している話題の本質は見えませんし、そういう理解なしに持った自分の意見というのは危ういと思います。



仰るとおり、今回の選挙で政治に興味をもつ人が増えた気がします。

少なくともネット上のやりとりをみると。



権力も地位もない人間でも誰でも自分の意見を発信し、交換できるブログの未来は大きいと私も思います。
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選挙制度 (まゆこ)
2005-09-16 00:16:07
今回の結果については、小選挙区での自民党の圧勝がそのまま反映され、比例代表でまだ救われた、という感じですね。

小選挙区の圧勝は、公明党が自らの議席数を減らしてまで自民党に貢献したことが原因なので、私は選挙制度というより、むしろこの制度を悪用した与党側の問題だと思います。悪用できてしまうというところが、欠陥なのでしょうけれど。。



選挙制度を見直すというのも1つの方法ですが、連立という無節操なやり方を規制するというのも検討の余地があるかと思います。

連立こそ、民意を反映しない元凶とは言えないですか?



ところで私の選挙得票数のデータ、15日付の日刊ゲンダイで取り上げてもらえたようです。この読者が少しでもなにかを考えるきっかけになればと願っています。
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Meeさんへ (中司)
2005-09-16 01:55:43
僕は文系出身なのですが、むかし工学系の友人に「光とは何ぞや?」と訊いたことがあります。友人いわく「光とは、粒子でもあり波でもある」と。たいへん混乱しました。それは、粒子が波状になっているということか?違う! 友人は詳しく説明してくれました。観察の仕方によって、光は粒子という様態をみせるし、別の観察の仕方によっては、波という様態をみせる、と。(かなり、むかしの話なので、いまはもっと違った概念であるかもしれませんが)



あらゆる事象に対して同じことが言えるのだと思います。詳しい観察よって完璧に見えても、その答えがすべてではないかもしれない。別の観察の仕方によっては、まったく別のものに見えるかもしれない。自分の答えをいまいちど疑ってみるということも心がけたいと思っています。なかなか難しいことですが。



そういう意味で、今回は学ぶことがとても多かったです。
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まゆこさんへ (中司)
2005-09-16 03:18:10
ネット版のゲンダイのダイジェストを読みました(ダイジェストには数字は載っていませんでしたが)。

地道な努力こそが、もっとも説得力を持つという証明だと思います。13日に送っていただいた数字を見たとき、正直頭が下がりました。僕には自分で集計を出そうなどという発想そのものがありませんでした。百万の議論を凌駕する仕事だと思います。



選挙制度については、おそらく完璧な選挙制度というものは存在しないとは思うのですが、今回のように、あまりにも実数とかけ離れた結果というのは再考の余地があるように思います。また、おっしゃるように、他党に票を回すなどということは、あってはならないことです。政治はきれい事ではない、といえばそれまでですが、国民の信頼を完璧に失うことになるように思います。調子のいいときは、怖いものなしですが、盛者必衰の理と祇園精舎の鐘も鳴っております。



あまりにも強引な今の政治のあり方は、日本人のこころにどのように映っているのかと思います。奢れる者久しからず、ただ春の夜の夢の如し。僕には、そのように感じられます。
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一言! (クオレ)
2005-09-16 13:01:08
 私はノンフィクション小説、ドキュメンタリー映画、絵画・彫刻、書、写真に大変な興味があります。

 それらの作品を目にした時、「事実の探求と内面」から得られるインパクトに酔い痺れるからです。

 それは文章やナレーション、色や形、勢いや技術もさ

ることながら、作者の事実に対する探求力と心です。 

 よく写真家は「写心家」と云われますが、被写体の心

を知らされた時の喜怒哀楽の感情は、筆舌に尽くせぬも

のです。そんな思いでこのスレッドを拝見しています。

 他意はありません。



 〉互いに理解すること

  (敵と味方を見極めて、味方の中に敵を作らず、敵

   の中に味方を作る)

 〉少しでも日本と日本人の生活を良くしたいという気

  持ちは皆同じ

  (そうは思わない輩がいるから、日本の現実だある

   のです)

 〉相手の富を奪いたいと思っている人もいないはずだ

  (そういう人がいるから、安心して澄めない日本な

   のです)

 決して揶揄ではありません。私の素朴な意見です。
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クオレさんへ (中司)
2005-09-16 16:02:05
コメントありがとうございます。

政治家や官僚、資本家は、国民を支配し、国民の富を自由にしようと考えています。それは、紛れもない事実です。

しかし、一般の庶民が相手を支配し、富を奪おうとしているでしょうか(詐欺師や泥棒強盗などは別です)。相手の富を奪うために、自民党や民主党に入れたのでしょうか。

この国を自由にしている階層と、一般の国民とは区別して考えなければならないと思います。



もちろん、政治家も官僚も資本家も、日本国民ではありますが、一般の国民とひとくくりにして論じるわけにはいかないと思います。厳密に言い出すと、では、どこまでが支配階級で、どこからが一般国民なのか、国家公務員はどちらに属するのか、などと際限の議論になっていくでしょう。



国民同士が、はてしない消耗戦を繰り広げているところでは、政治家や官僚、資本家が莫大な富を手にしているのを手にしています。ついこの間まで隣人として普通に暮らしていた人たちが、突然殺し合いを始めることもあります。人と人とを対立させることは、実にたやすいことです。



国民が対立することで、得をする人たちがいるのは、日本も同じだと思います。我々は、決してそんな手に乗ってはいけないと思っています。
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了解しました! (クオレ)
2005-09-16 20:25:29
 中司さんへ

 さすが中司さん。貴方の真摯なコメントに敬意を表します。微意を汲んで諒と願います。今後とも宜しくご教授

下さい。

 「鶏鳴狗盗」の厭な世の中、つい本能的に猜疑心が働き

申し訳ありません。多謝。



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クオレさんへ (中司)
2005-09-16 23:45:48
イラクでも、シーア派とスンニ派の間で血で血を洗う状態になってきています。以前は決して市民の間で、宗教間の殺戮はなかったはずです。様々な事件の報道に不可解なものを感じています。



これから、小泉首相が行うことに注視したいと思っています。事実を集め、積み重ねていくことが、本当の力になるのだと思います。

もちろん、警鐘を鳴らしてもいきたいと思っていますが、やはり事実の重みにまさるものはないでしょう。



多くの眼で、小泉改革のゆくえを監視していきましょう。



今後ともよろしくお願いいたします。
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はじめまして。 (トム)
2005-09-17 09:21:46
そうですね。賛成の人も反対の人もこの国を良くしたいし、そのためには世界の国々との関係を良くして、他国の人も良くなるようなことを自分自身でブログで勉強していくこと必要ですね。僕自身賛成派の人を否定するような気持ちがありましたけど、この文章を読ませていただいて、相互理解こそ一番大切なのだと思いました。相手の立場にたって。





これからも読ませていただきます。ありがとうございます。



PS:メディアは信用はしていません。
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トムさんへ (中司)
2005-09-17 20:04:31
コメントありがとうございます。

当たり前すぎるほどの内容ですが、今回の選挙でへたをすると、国民が二つに割れて対立しかねない勢いを感じましたので、一言書いておきたいと思いました。



かくいう、僕自身、選挙直後は日本人の知的衰弱が原因なのか、というようなことも考えてしまいました。とにかく、何が起こったのか理解しようとするあまり、観念的な迷宮に落ち込んでしまったようです。



でも、冷静な人はちゃんといるもので、投票の集計を独自に算出して、コメント欄に送ってこられた方がおられました。その数字は、今回の選挙において日本人は決して、異常な行動はしていないということを物語っていました。あわてた自分を恥ずかしく思います。



そういう反省を込めて、当たり前すぎることを今一度確認したいと思いました。



今後ともよろしくお願いいたします。
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