報道写真家から

我々が信じてきた世界の姿は、本当の世界の実像なのか

本当の交通事故死亡者数

2006年04月28日 23時21分27秒 | ■時事・評論
今日は、ある数字をネットで探していた。
日本の年間交通事故死亡者数だ。
そんなもの簡単に見つかると思われるだろうが、そうはいかなかった。

平成8年から、交通事故死亡者数というのは1万人を割ったということになっている。しかし警察発表の数字というのは、事故発生から24時間以内の死亡者の数字だ。

いろいろ検索してみて、厚生労働省が事故発生から1年以内の死亡者数の統計を出していることがわかった。実際は、警察発表よりも3000人以上も多いことが分った。

平成15年の警察発表(24時間以内の死亡者数)は、7702人。
しかし、厚生労働省の統計(1年以内の死亡者数)は、10913人。(+3211人)

平成16年は、警察発表が7358人に対して、厚生労働省の統計は、10480人。(+3122人)

実際は、年間の交通事故死亡者数が1万人を割ったことなどないのだ。
人間の心理として、目安となる数字を下回る(あるいは上回ると)と成果と感じる。警察は、1万人という数字を目標としたが、1年以内の死亡では、1万人を割れないと考えたのかもしれない。そこで、最低単位の1日、つまり24時間以内で統計を取ることにしたのではないだろうか。警察のメンツにかけて1万人を割りたかったのだろう。

数字というのは、統計の仕方によっていかようにも操ることができる。身近なところにも、こんな統計のマジックが存在するのだから、いたるところに存在すると考えた方がいいだろう。

交通事故死亡者数は着実に減少しているのだから、本当の数字を発表してもいいと思うのだが。
本当の数字は、厚生労働省の統計の中にひっそりと存在している。


平成16年
厚生労働省 人口動態統計月報年計(概数)の概況
第5表  死亡数・死亡率(人口10万対),死因簡単分類別
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai04/toukei5.html