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司法書士 岡住貞宏の雑記帳

群馬の逆襲 日本一“無名“な群馬県の「幸せ力」

2010-07-09 15:46:31 | 本の紹介
群馬の逆襲 日本一“無名“な群馬県の「幸せ力」
木部 克彦
彩流社

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 日経リサーチによる「2008年地域ブランド力」ランキングで、全国47都道府県中、堂々47位のわが群馬県。

 この30年間に首相を4人も輩出しながら、例えばおとなり新潟県の「角さん」とは大違い、地元にちっとも恩恵がもたらされないわが群馬県。

 「群馬には名物がないんじゃない。名物があっても自慢するのが嫌いなだけ。お国自慢なんて、そんなみっともないことができるか!」という群馬県民の魂の叫びを、見事に言い表してくれた好著です。私が今年の上半期に読んだ本の中で、トップの評価を付けたのが本書です(まぁ、あまりありがたくもないかも知れませんが・・・)。

 首相が出ても地元群馬には恩恵がない?そんなの当たり前。

 「地元のことなんか心配しなくていい。首相は日本のことを、世界のことを」と、自らのことは二の次に、日本全体・世界全体を良くすることを願って首相を送り出すのが、わが群馬県の県民性なのですから。

 本書の最終章、関西に生まれ育ち、後に群馬を愛し住みつき、そして群馬の大地となった俵萠子さんのエピソードを読んで、群馬に住んでいることの幸せをしみじみと覚えました。

 群馬県民は必読だんべ!

イエスの生涯

2009-12-26 21:52:23 | 本の紹介
イエスの生涯 (新潮文庫)
遠藤 周作
新潮社

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 クリスマスに続き、イエス・キリストからもう一題。

 キリスト教は、当時のユダヤ世界で普遍的宗教だったユダヤ教の一宗派として生まれました。父性的で戒律の厳しいユダヤ教を、母性的でヒューマニスティックな教えに生まれ変わらせた宗教改革者が、イエス・キリストであると言っていいでしょう。

 「おのれの如く汝の隣人を愛すべし」「人もし右の頬をうたば、左をも向けよ」という、慈愛に満ちた平和的な印象の強いイエス様ですが、なかなかどうして。既存の権威・権力者であったラビや律法学者、パリサイ派の人々に対しては、激しい罵倒の言葉を浴びせています。

――学者とパリサイ人とはモーセの座を占む。されば凡てその言うところは守りて行え、されどその所作にはならうな、彼らは言うのみにて行わぬなり。……凡てその所作は人に見られん為にするなり。すなわち、その経札を幅ひろくし、衣のふさを大きくし、饗宴の上席、会堂の上座、市場にての敬礼、また人にラビと呼ばるることを好む。されど汝らはラビの称えを受くな、汝らの師は一人にして、汝等はみな兄弟なり。


 律法学者・パリサイ人の世俗性と言行不一致とを責め、彼らへの面従腹背を信者に指示しています。

――禍害(わざわい)なるかな偽善なる学者、パリサイ人よ、……汝らは蚋(ぶよ)を漉し出して駱駝(らくだ)を呑むなり。


 飲み物に浮いた「蚋」は漉して取り除くけど、「駱駝」はそのまま飲み込んじゃうんだお前らは、と批判しています。なんともスゴい表現ですが、イスラエルではポピュラーな言い方なのでしょうか?

――禍害なるかな偽善なる学者、パリサイ人よ、汝らは酒杯と皿との外を潔くす、されど内は貪慾と放縦とにて満つるなり。
――禍害なるかな偽善なる学者、パリサイ人よ、汝らは白く塗りたる墓に似たり、外は美しく見ゆれども、内は死人の骨とさまざまの穢(けがれ)とにて満つ。かくのごとく汝らも外は人に正しく見ゆれども、内は偽善と不法にて満つるなり。


 だんだん非難の言葉もヒートアップして来ました。

――かく汝らは預言者を殺しし者の子たるを自ら證(あかし)す。なんぢら己が先祖の桝目を充たせ。蛇よ、蝮(まむし)の裔(すえ)よ、なんぢらいかでゲヘナの刑罰を避け得んや。……地上にて流したる正しき血は、皆なんぢらに報い来らん。


 預言者を殺した蛇の子孫たち、地獄に堕ちろ、きっと報いが来るぞ!と、悪罵もここに極まれりという感じです。(引用はすべてマタイ伝23章)

 福音書は、いわばイエス・キリストの伝記。仔細に読んでみると、喜怒哀楽をもった「人間」としてのイエス・キリストの姿が浮かび上がって来て、とても興味深い物語です。

 冒頭に紹介した遠藤周作さんの書籍も、「無力なひとりの男」としてのイエス・キリストの生涯をいきいきと描いた作品。日本人的には聖書を読む前にこの作品を読んだ方が、キリスト教の理解をしやすいと思います。

不動産登記を見る・読むならこの1冊

2009-07-04 14:57:21 | 本の紹介
不動産登記を見る・読むならこの1冊 (はじめの一歩)
近藤 誠
自由国民社

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 私の友人である司法書士 近藤誠さんが、待望の著書を出版なさいました。

 不動産登記の見方を、分かりやすく丁寧に解説した好著です。

 これから不動産を買い求めようとしている方、不動産の関連業種でご活躍の方、金融機関にお勤めの方には、まさしく「うってつけ」の本。新入社員の研修用テキストとしても最適です。皆さんどうぞお買い求め下さい!


人間失格

2009-07-03 16:43:17 | 本の紹介
人間失格 (集英社文庫)
太宰 治
集英社

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 今年は太宰の生誕100周年だそうで、マスコミ等でも様々に取り上げられています。

 青春の1ページ(こういう言い方をするようになったら、いい加減オッサンになったということですね・・・)を太宰作品に没頭して過ごし、入手可能な作品はほとんどすべて貪り読んだ、自他ともに認める「太宰ファン」の私としても、わが事のようにうれしいです。

 もう何度目でしょう。しかし十何年かぶりに、代表作『人間失格』を読み返しました。心が赤裸にされるような、底なし沼に飲み込まれて行くような、どうしようもなく心細くて泣き出したくなる作品世界を再び味わい、太宰の天才を改めて実感しました。後にも先にも、こんな作品を書ける作家は現れ出ないだろうと思っています。

 『人間失格』は、このたび初めて映画化されるとのこと。私も大いに期待しているのですが、主演男優さんの記者会見のコメントが・・・「小説に任せて狂っていきたい」だそうです。

 主人公 大庭葉蔵は、「狂っていった」のだと言いたいのでしょうか?う~ん・・・太宰ファンとしては何とも頂けません。


―いまはもう自分は、罪人どころではなく、狂人でした。いいえ、断じて自分は狂ってなどいなかったのです。一瞬間といえども、狂った事は無いんです。けれども、ああ、狂人は、たいてい自分の事をそう言うものだそうです。つまり、この病院にいれられた者は気違い、いれられなかった者は、ノーマルという事になるようです。
 神に問う。無抵抗は罪なりや?―
                   太宰治『人間失格』より引用



 太宰は必死の思いで神にプロテスト(protest=抗議)したのです。無抵抗は狂気の証なのですか、と。

 俳優さんもお忙しいことでしょうが、日本を代表する作家の、その代表作を主演するのですから、原作はちゃんと読んで欲しいものです。

地図 初期作品集

2009-07-03 15:36:28 | 本の紹介
地図 初期作品集 (新潮文庫)
太宰 治
新潮社

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 新潮文庫、太宰治の「新刊」です。

 もちろん黄泉の国の太宰が書き下ろした訳ではなく、これまで文庫に収録されることのなかった作品を集めたもの。特に太宰治のペンネームを使用する以前の初期作品を中心に収録されています。

 太宰は才気走った「早熟の天才」というイメージもありますが、中学時代の作品などを読むと、稚拙な文章が何とも微笑ましいです。「すっかり」という語が「しっかり」と表記されていたり、「すきとおる」が「しきとおる」になっていたり・・・津軽弁で「はずめますて、つすますんじです」と自己紹介する津島修治少年の姿が思い浮かびます。

 さて、本書収録の『断崖の錯覚』という作品ですが、当初は「黒木舜平」という筆名で発表され、1980年代になって太宰の作であることが確認された作品です。太宰が大学生のときに起こした心中事件(太宰は助かり、相方の女性は死亡した)をモチーフに、作品では心中ではなく、「男が女を断崖から突き落として殺す」という内容になっています。

 この『断崖の錯覚』が太宰の作であると判明した当時のこと、「この作品によれば太宰は殺人を犯したことになり、その文学に対する評価は大きく変わらざるを得ない」という記事を読んだことがあります。

 ひどくアホらしい論評ですね。

 アホらしさその1。言うまでもありませんが、作品と作家の実体験は、同一ではありません。作家が実体験しか書けない(書かない)とするなら、フィクションという言葉は不要となりますね。「なんで日本を沈没させたんだ!」と、小松左京さんを非難するバカがどこにいるのでしょう?数々の殺人事件を起こした内田康夫さんなんか、死刑になっちゃいそうです。

 アホらしさその2。万が一、本当に太宰は女を殺したんだとして、それに対する倫理的あるいは法律的な批難が、太宰作品に対する文学的あるいは芸術的な評価に、どのような影響を与えるというのでしょうか?優れた芸術家は、人格高潔でなければならない?その逆はよく聞くように思いますがねぇ・・・それこそ「倫理的には不謹慎」な言い方かも知れませんが、清廉・高潔な人物が創る芸術なんて、ツマラナイに違いないとは思いませんか?

 太宰は生前から、このような「作品と実生活の混同」に基づく難癖を付けられやすい作家だったようで、それを嘆く小説も数多くあります。ストーリーや表現が、それだけ真に迫っていたということなのかも知れませんね。


冤罪弁護士

2009-02-19 15:42:54 | 本の紹介
冤罪弁護士
今村 核
旬報社

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これまで数々の冤罪事件で無罪判決をかちとって来た弁護士による、わが国の刑事司法の実情をリアルに書き記した良書。

著者の弁護士 今村核先生には、実は群馬司法書士会事件の(民事)弁護で大変にお世話になりました。「群馬司法書士会事件とは何だ?」と思われる方も多いとは思いますが、それはまたいずれ機会がありましたら・・・

以前お話ししたときにも、今村先生は、「私は仲間から『冤罪マニア』と呼ばれるほど、そういう事件の弁護が好きで、没頭してしまうんです。」とおっしゃってましたが、この本を読むとそれも納得です。

それにしても、この本に描かれた刑事司法の現状を読むと、何ともお寒い・・・いや「お寒い」なんて生やさしいもんじゃない、凍りつくような「極寒」の状況にあります。

わが国では刑事被告人にされたが最後、有罪判決に向かって一直線。「わたしはやっていない!」の声は、裁判官席まで届きません。

「疑わしきは被告人の利益に」という法諺があります。「『完全にクロ』と立証されない限り、単に『疑わしい』というだけでは、有罪にならない」という意味です。法諺とは「法に関することわざ」のこと。つまり「法の世界で、ことわざになるほどの常識」を意味します。ところがわが国の刑事司法では、この「常識」が通用しないようです。

痴漢冤罪を題材にした映画「それでもボクはやってない」の周防正行監督が、この本のオビに推薦文を書いています。

それでもボクはやってない スタンダード・エディション [DVD]

東宝

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さあ、才能(じぶん)に目覚めよう

2008-12-26 18:16:40 | 本の紹介
さあ、才能(じぶん)に目覚めよう―あなたの5つの強みを見出し、活かす
マーカス バッキンガム,ドナルド・O. クリフトン
日本経済新聞出版社

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 先日、日経新聞に広告が出ていたのを見て購入しました。

 奥附を見ると「2001年11月30日1版1刷、2008年5月29日20刷」とありますので、この手の自己啓発本としてはかなりのロングセラーですね。

 思いっきり内容を要約すると、「人にはそれぞれ天賦の資質がある。その資質を生かした『強み』を持つべきだ。成功の秘訣は『強み』をさらに伸ばすこと。人はとかく『弱点』を克服しようとしがちであるが、それはまちがい」ということです。

 著者の調査・研究によると、人の「強み」は34の資質にカテゴライズできるとのこと。そして、この書籍に書いてあるURLにアクセスすると、「ストレングス・ファインダー」という試験を受けることができ、自分の「強み」となる資質が何なのか分かるようになっています。

 私も早速受けてみました。な、なんと、この「ストレングス・ファインダー」は全部で80問も質問項目があり、回答するのに30分もかかりました。

 で、私の強みとなる資質とは・・・

1着想/Ideation
 複雑な物事をうまく説明できる考え方を見つけるのが好き。目新しく逆説的な考え方なら、なお好き。

2活発性/Activator
 考えはすぐに行動にうつす。行動しながら学ぶ。

3目標志向/Focus
 目標を目指して効率的に行動する。目標に役に立たない行動を嫌う。

4指令性/Command
 自分の考えを人に押し付ける。他人を同調させる。対決に怯えない。

5コミュニケーション/Communication
 説明すること、人前で話すこと、書くことが好き。「単なる事実」を「物語」に転換させて語る。

 う~ん……占いじゃないですから、「当たってる、当たってない」というのも何ですが、かなり「当たって」いるような気がします。34の資質を最初に見たとき、「この中で自分が魅力を感じるのは、やっぱり『着想』かな?」と思っていたら、それが見事ナンバー1に来て驚きました。

 それぞれの資質を示す言葉は、日常的な語感とはちょっと違ったニュアンスで使われているようです。例えば、「コミュニケーション」は「他人との交流を好む」のかと思ったら、そうではなく「語ること、表現することを好む」のだそうです。上記の各資質の説明も思いっきり要約してありますので、詳細な内容を知りたい方は、ぜひとも本書で。

 それにしても、「指令性」は「自分の考えを人に押し付ける」って……誰だ!「そのとおりじゃねぇか」と失笑したヤツは!?言っておきますが、これは「強み」であって、改善すべき「欠点」ではありません。よーし、これからも指令性を生かしてグイグイ押し付けるぞー!

 なお、「ストレングス・ファインダー」を受けるには本書に記載のIDが必要で、しかも1度だけしか受けられません。ですので、ここにURLを記載しても無意味なので、受けたい方は本書を買ってください。


宿屋めぐり

2008-12-14 16:18:20 | 本の紹介
宿屋めぐり
町田 康
講談社

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 町田康さんの長編小説は「告白」以来でしょうか?

 最近、新聞の書評や、この時期に多い「2008年の文学回顧」というような記事に相次いで取り上げられていたので、期待して買いました。

 第一印象は、あ、厚い…!なんと602ページの大作です。全部書き上げるのに7年かかったそうです。もちろん7年間この作品にかかりきりだったというわけではないでしょうが、しかし、7年という歳月が厚さになって現れ出でた気合いを感じさせます。

 そして、肝心の中身ですが…いや、もうスゴいの一言。間違いなく、町田さんの最高傑作だと思います。

 文体は相変わらずウダウダグダグダの町田節で、そこに描かれる世界は不可解・不条理・不合理・不誠実・不謹慎・不健康・不細工・不品行・不法行為・不当利得……いっぱいの「不」の物語。つーか、こんな世界観を私がここでひと言で表現できるワケねーだろ!ってキレてしまいそうです。

 読んでいる途中で「ああこれは現代の『人間失格』だ」と思ったり、「いや違う『走れメロス』だ」と思ったり。でも読後感は、またそれらとは全く別物です。物語の世界を支配する、ヤクザの親分とキリストとを足して2.22で割ったような割らなかったような「主」の存在が実に秀逸でした。

 何にしても、7年間602ページの物語は7年間602ページくらいかけないと解説できそうにないや。とにかく読んでみてください。


法の風景 列島の光と影

2008-08-28 17:30:05 | 本の紹介
法の風景列島の光と影
斎藤 幸光
民事法研究会

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 私の先輩司法書士が、待望の著書を出版なされました。

 市井の法律家として、さまざまな法的問題に向き合って描いたドキュメンタリーです。原野商法、自死問題、沖縄、ブラジル移民、足尾銅山……と、実に多様な問題に目を向けながら筋の通ったひとつの視点を貫く姿勢は、論理的な潔癖さと同時に、威厳をすら感じさせます。そして最終章では、著者の原点ともいうべきひとつのエピソードが紹介され、胸を衝きます。

 重く、しかし決して暗くはない、前向きなモラール(士気)を抱かせるような読後感。読みごたえがあります。仲間うちだから誉めるのではありません。本当にお勧めです。

 是非ともご一読を!

高任和夫さん「シンパシーの復権」

2008-05-25 13:41:43 | 本の紹介
小説現代 2008年 06月号 [雑誌]

講談社

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 以前からご交誼を頂いている作家・高任和夫さんが、今月号の『小説現代』で、司法書士を主人公とした短編小説「シンパシーの復権」を発表なさっています。

 作中、主人公の司法書士が取り扱う訴訟事件は、不肖私の受任事件がモデルです。もっとも、名手・高任さんによって、「真実以上にリアリティのある話」に仕上がっています。

 早速、高任さんにお電話申し上げたところ、「これからこの人物設定で何作か行こうかな?」とのこと。実に楽しみです。

 みなさま、ぜひお読みください!

夢をかなえるゾウ

2008-05-11 16:58:54 | 本の紹介
夢をかなえるゾウ
水野敬也
飛鳥新社

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 このところ、すっかりブログ更新をサボっていたのですが……その間、「これは面白い!ぜひブログで紹介したい!」と思ったのがこの本です。

 しかし私が紹介するまでもなく、すっかりベストセラーになっちまいましたね。あらためて内容を説明する必要もないでしょう。

 今となっては「売れてないときからこの本読んでたよ」と、ちょっと自慢デス

パンク侍、殴られて候

2007-08-09 11:19:45 | 本の紹介
パンク侍、斬られて候
町田 康
マガジンハウス

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 芥川賞作家でパンク・ロッカーの町田康さんが、ミュージシャンの布袋寅泰さんから暴行を受け、布袋さんは傷害容疑で書類送検されたとのこと。

 「ボク殴られましたぁ~」なんて、警察にチクるのはパンクじゃねーぜ!

 …とか一瞬思ったのですが、町田さんの小説に出てくるパンクは、駅でヤンキーにカツアゲされて「ゆるしてください、かにしてください」などと懇願するヤツですので、まぁ仕方ないかなと。

 現在、活躍中の小説家の中で、私は町田さんが一番好きです。くだらない事柄を、一心不乱に、しかしグダグダと書き綴るそのスタイルが、たまらなく大好きです。

 町田さんの小説は、ひとことで言うと脳味噌バーン!な小説です。

 え?分らない?

 まぁ読んでみて下さい。目玉ボーン!ですよ。


匂いをかがれるかぐや姫 ~ 日本昔話Remix ~

2007-05-14 06:18:03 | 本の紹介
匂いをかがれる かぐや姫 ~日本昔話 Remix~

マガジンハウス

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 日本語の文章を翻訳ソフトで英訳し、もういちど翻訳ソフトで日本語に戻すと、まったく別の文章になります。

 例えば…

 メロスは激怒した。必ず、かの邪智暴虐の王を除かなければならぬと決意した。メロスには政治がわからぬ。メロスは、村の牧人である。笛を吹き、羊と遊んで暮して来た。けれども邪悪に対しては、人一倍に敏感であった。

  ↓(翻訳ソフトで英訳すると…)

Melos flew into a rage. I made up my mind to have to remove King of that perverted talent tyranny by all means. Melos does not understand politics. Melos is a pasture employee of a village. I played a pipe and lived by playing with a sheep. However, for evilness, I was sensitive to person 1 time.

  ↓(もういちど翻訳ソフトで日本語に戻すと…)

 メロスは突然かっとなりました。私は、必ず、その変態な才能圧制の王を免職しなければならないと決心しました。メロスは政治を理解していません。メロスは村の牧草従業員です。私は、パイプを使って、羊と共にプレーすることによって、生きました。しかしながら、悪に関して、私は人の1時間に敏感でした。

 牧草従業員のメロスは、パイプを使って羊とプレーしてしまいます(笑)。

 この本は翻訳ソフトを使って、昔話を日本語→英語→日本語と変換した作品。取り上げられたお話は、「少量法律助言者」、「匂いをかがれるとすぐに、プリンセス」、「桃タロイモ」の三つです(それぞれ、「一寸法師」、「かぐや姫」、「桃太郎」のこと)。少量法律助言者は「ハーイ放射し、放射してください!」と叫びながら鬼と戦い、プリンセスはブリリアントカット・タケから生まれ、老女は桃タロイモにミレー餃子を与えます。

 脳内のシナプスのボタンを掛け違えたようなちぐはぐなお話に大爆笑!お話をそのまま視覚化したシュールなイラストも秀逸です

 IT時代の言葉遊びですね。

エンデの島

2007-05-08 21:27:41 | 本の紹介
エンデの島

光文社

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― 非良心的な行動が褒美を受け、良心的な仕事をすると経済的に破滅するのが今の経済システムだ。

 『モモ』や『ネバーエンディングストーリー』で有名なミヒャエル・エンデの言葉です。

 またエンデは、こうも語っています。

― パンを買うためのお金と、株で投機するためのお金とは別物だ。

 57歳の作家・門倉が取材に訪れた「奥ノ霧島」は、エンデ流の経済ユートピアだったというお話。作中の人物は言います。

― 経済はじつは愛の領域なんだよ。


 この本の著者 高任和夫さんとは10年来のお付き合いをさせて頂いています…なーんて言っても、10年ほど前に一度お会いして、つい先日、再会の機会を得たということなのですが。

 経済小説・企業小説を得意とする高任さんのハードボイルド調にキリッと引き締まった文体が、私は好きです。文体とはうらはらに(失礼!)お人柄は飄々として気さくな方ですよ。

「心のブレーキ」の外し方

2007-05-07 00:16:43 | 本の紹介
「心のブレーキ」の外し方~仕事とプライベートに効く7つの心理セラピー~

フォレスト出版

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 私は自己啓発本が好きなのですが、ホントーのことを言うと「恐いもの見たさ」の面が半分あります。ですので、怪しいモノ(笑えるモノ?)を見つけるほど嬉しくなります。「高速音声を聴くだけで脳が活性化し、金持ちになり、彼女もでき、人生が大成功する!」なんてのはサイコーです(実在のモノとは無関係です。絶対に無関係です。もちろんです)。

 で、この本も「恐いもの見たさ」から手に取ったのですが(笑えそうなCDも付いてることだしウププ)…いやしかし、「笑う」べきものではありませんでした。マジメに感心しました。

 この本のテーマは、「どうしてヤル気は長続きしないのか?どうして感動はすぐに冷めてしまうのか?」。そのメカニズムを潜在意識の観点から分かりやすく解説すると同時に、「モチベーションを維持するには、どう行動したらよいのか」を提案しています。

 勉強が、仕事が、ダイエットが、「長続きしない」とお悩みの方には、ぜひご一読をお勧めします。