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町田康さんの長編小説は「告白」以来でしょうか?
最近、新聞の書評や、この時期に多い「2008年の文学回顧」というような記事に相次いで取り上げられていたので、期待して買いました。
第一印象は、あ、厚い…!なんと602ページの大作です。全部書き上げるのに7年かかったそうです。もちろん7年間この作品にかかりきりだったというわけではないでしょうが、しかし、7年という歳月が厚さになって現れ出でた気合いを感じさせます。
そして、肝心の中身ですが…いや、もうスゴいの一言。間違いなく、町田さんの最高傑作だと思います。
文体は相変わらずウダウダグダグダの町田節で、そこに描かれる世界は不可解・不条理・不合理・不誠実・不謹慎・不健康・不細工・不品行・不法行為・不当利得……いっぱいの「不」の物語。つーか、こんな世界観を私がここでひと言で表現できるワケねーだろ!ってキレてしまいそうです。
読んでいる途中で「ああこれは現代の『人間失格』だ」と思ったり、「いや違う『走れメロス』だ」と思ったり。でも読後感は、またそれらとは全く別物です。物語の世界を支配する、ヤクザの親分とキリストとを足して2.22で割ったような割らなかったような「主」の存在が実に秀逸でした。
何にしても、7年間602ページの物語は7年間602ページくらいかけないと解説できそうにないや。とにかく読んでみてください。
こんな「隠れ家」的ブログをお読み頂いてありがとうございます。
アルコールは、まぁ後天的に嫌いになっただけですので……ただジャズの嫌いはちょっと先天的かも?単純な人間なので、ジャズの複雑さについて行けないだけかも知れません。
リンクありがとうございます。私も早速相互リンクとさせていただきました!