倉野立人のブログです。

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長野市南部働く女性の家〝見直し(廃止?)〟説明会 ~案の定 紛糾の場に~

2021-05-25 | 日記

5/24 Mon.

 

この日、長野市篠ノ井にある市有施設『南部働く女性の家』が「その役割を終えた」との理由から 用途を見直すこととされ、そのために そこ(女性の家)で行なわれる生涯学習講座等も見直しの対象となるとのことから、その(見直しの)内容などについて 受講者さんらを対象にした説明会が行なわれました。

平日の日中にも拘わらず 会場には多くの出席者があり、関心の高さが窺(うかが)われました(なお会場は コロナ対策に万全が期されていました)

 

 

 

結論から言って、会議は紛糾。

所管課(人権男女共同参画課)が説明に臨むも、その内容が非常にややこしく 参加者さんたちにとって判然としないものとなり、みなさん一様に釈然としない表情で時間経過を余儀なくされることとなりました。

 

『働く女性の家』は、昭和47年に施行された「勤労婦人福祉法」に基づき「女性労働関係の福祉増進等を目的」とし 全国(各自治体)に設置(努力義務)され、女性の社会参加の拠点として活用されることとなりました。

長野市においては、昭和53年 柳町に『長野市働く婦人の家』が開館、その後 平成元年に『南部働く女性の家』が開館、現在に至っています。

 

 

 

『南部働く女性の家』においては 140近い講座が開設され、さまざまなジャンルで女性を中心に多くの方々が生涯学習に勤(いそ)しんでおられます。

過般開催された発表展示会では、それは多くの素晴らしい作品が展示されており その素晴らしい出来映えには感心させられるばかりでした。

 

 

 

これら有形の作品以外にも、外国語教室などの教養講座・ヨガなどの軽運動・コーラスやダンスなどの文化活動などの無形の講座などがあり、参加者の方々は 参加する講座を通じて教養を高めたり健康増進を図るなどして、それぞれに充実した時間を過ごしておられるのです。

 

 

ところが、そんな有意義な活動拠点が さまざまな〝行政都合〟によって「見直し」にかけられることに。

市によると、前掲の根拠法(勤労婦人福祉法)によって 施設(女性の家)が設置されるも、その後 平成7年の「改正男女雇用機会均等法」により、女性の家の設置努力義務が解除され、さらに 平成11年に施行された「男女共同参画社会基本法」では、女性の福祉増進が女性活躍推進等に施策が方向転換され、もって『働く女性の家』の役割は終了した とされたのでした。

さらに、市有の公共施設の将来像を占う「公共施設マネジメント」に基づき 令和2年に策定された「長野市公共施設個別施設計画」の中で『働く女性の家(2施設)』については、機能の方向性→廃止/建物の対策→転用 とされたことから、かかる『南部女性の家』についても それらの方針により「見直し」の対象となり得ることが伝えられたのでした。

 

 

 

ひと亘りの市の説明の後、質疑・要望の時間が設けられました。

すると案の定 多くの参加者が挙手され、今回の市の方針に対し 疑問の声や、自分が参加する講座が廃止されてしまうのではないかとの不安の声、さらには 説明の内容そのものが分かりにくく理解に苦しむといった声も寄せられました。

 

 

 

市の説明の〝分かりにくさ〟の一つに、市と指定管理者との関係性があると思われます。

『南部女性の家』は、市が設置し 民間の指定管理者が管理運営を担っていますが、実施する講座について、一部のものは市の方針に基づいて行ない、一部のものは指定管理者の裁量(自主事業)として行なわれており、その継続について その場で訊かれても「やる・やらない」を即答できない〝もどかしさ〟がつきまとっているのです。

さらに、この施設の指定管理者の契約期限が 今年度で終了することもあり、今後の運営母体にとっては 講座などの〝中身〟も大きく変わる可能性もあることから〝即質・即答〟とならず…そのため 市の返答も「この場では何とも…」と 奥歯にモノの挟まったような発言に終始、出席者さんは〝モヤモヤ感〟を募らせるばかりでありました。

 

(今後の男女共同参画事業の展開図)

 

 

また 中には「長野市は「健康寿命延伸」を標榜しておきながら、その(健康寿命延伸の)拠点を奪うことは 明らかな行政矛盾ではないか。」とか「例えば 市の都合で土地を収用するときには〝代替地〟を用意するもの。今回も いわば市の都合で施設機能を廃止するのならば、代わりの活動拠点を用意するべきではないか。」などの 非常に当(とう)を得た意見も出され、発言によっては 思わず賛同の拍手が起きる場面もあったのでした。

 

 

 

 

この日は 夜の時間帯にも同様の説明会が行なわれ、参加者さんからは やはり同様の反応が示されていました。

 

 

 

 

今回の説明(会)は、根拠法の変遷⇔市の公共施設マネジメント(個別施設計画)の策定⇔今年度での指定管理者の契約満了 との〝複合要素〟が いわばごちゃ混ぜになってしまい、参加者さんにとっては「寝耳に水」のうえに ややこしい話しを聞かされ、非常にストレスの残る内容となったことと拝察されます。

 

そのうえで これまでも私は、市の将来を見据えた中で 維持費のかかる市有施設の見直しは 万(ばん)やむを得ないものの、そのことだけで 今を生きる方々の活動拠点を奪うことは片手落ちと言わざるを得ないことを主張してきており、そういう点において この日の〝働く女性の家問題〟は その典型的な事例と捉えられます。

で、このまま 市の〝行政都合〟を許せば、施設が減るに合わせて 市民の活動拠点が奪われるばかり…このことについては、私(議会人)とすれば、総論については賛意を示したものの 各論について市民に対する補償が示されない以上「ハイ分かりました。」と言うワケにはまいりません。

繰り返せば、市有施設を見直す(削減する)というのなら、そこで活動する市民の〝代替拠点〟を用意したうえで話しを持ってこいというところであり、その補償も無いままにいきなり「出てゆけ」と言わんばかりの措置は、あまりに荒っぽいと言わざるを得ないでしょう。

 

今回の説明会を受け、私の下(もと)には さらに多くの懸念の声が寄せられることとなりました。

これらの〝切実な声〟を踏まえ、関係者と協議を始め 然るべくアクションを興す下支えをしてまいりたいと思います。

あくまで市民が主体。私は黒子(くろこ)に徹しつつ、市民の声が具体を帯びるものになるよう 陰ながら力を尽くしてまいりたいと存じます。