興趣つきぬ日々

僅椒亭余白 (きんしょうてい よはく) の美酒・美味探訪 & 世相観察

菜の花畑

2009-04-01 | チラッと世相観察

“菜の花畑” には、昔むかしに受けたトラウマ(精神的外傷)がある。

小学校の一年生か二年生のときだった。 わたしは、 「なのはなばたけ」 を正しいアクセントで発音できなかったのだ。

菜の花のはな) は、最初の「な」にアクセントがある。
花畑(はなばたけ) は、「なば」にアクセントがある。
ところが、菜の花畑(なのはなばたけ) は普通、「のはなば」にアクセントがある。
それをわたしは、「のはなばたけ」 と、「な」と「たけ」にアクセントをおいて言ってしまったのだと思う。 (この辺はよく憶えていない)

トラウマというのは、それを担任の先生に何回か言い直しさせられたことである。 クラス全員の前で・・・。

K先生という、まだ若い女性の先生だった(と思う)。 わたしの発音がおかしいと感じた先生は、正しい発音をみずから声に出して例示し、
「さあ、余白クン、もういちど言ってみなさい」
といった。
わたしはそのアクセントの違いを理解できた。 しかし、実際に声に出してみると、理解した通りにはならなかった。

先生は単に教育熱心なだけだったのだと思う。 あきらめず、 「もういちど」 とわたしに繰り返させた。 わたしは、またできなかった。

それを三回ほど繰り返したあと、 (どうしてできないんだろう) とでも言うように先生は首をかしげ、わたしへの指導をあきらめた。

そのときの自分に対するもどかしさと焦り、皆の前で言わされる恥ずかしさ、さらには屈辱感のようなものを、わたしは半世紀の余を経た今も忘れることができないでいる。

 ♪ 菜の花畑に 入り日うすれ
     見わたす山の端 霞ふかし

童謡「おぼろ月夜」 の一節である。
ここでは 「 なのは~な たけえに」 の「なの」と「たけ」にアクセントがある。 わたしは当時、この曲の音感にひきづられていたのかもしれない。 いや、そうだったことにしておこう。

2009.4.1