二条河原の楽書

京都サンガF.C.を中心にJリーグを楽な感じで綴るサッカー忘備録(予定)

2016明治安田生命J2リーグ第8節(延期分) 京都vs熊本

2016-06-30 | 蹴球

京都サンガF.C.1-1△ロアッソ熊本
63'内田恭兵
 (↑こぼれ←CK)
           68'清武功暉
            (↑巻誠一郎)

[警告・退場]
・京都
45+1'石櫃洋祐(C1反スポーツ的行為)
74'アンドレイ(C5遅延行為)
・熊本
78'上原拓郎(C1反スポーツ的行為)


【全体の印象】
 京都は全体的に動きが重く、左サイドで堀米が気を吐いていたくらい。熊本は前節から5人を入れ替え、走力で凌駕。巻とアンデルソンの高さも効いた。前半通じては熊本ペースだったが、40分前後に堀米と山瀬がサイドを入れ替えると、京都も徐々にスピードアップ。修正を施した後半は京都ペースに。CKの流れから内田の豪快なミドル弾で先制するも、熊本は投入直後の清武が京都守備陣を切り裂く痛烈弾。終盤、運動量が急落した熊本を京都が猛然と攻め立てたが、フィニッシュが雑でゴールは奪えず。消化試合数が他チームと並び、5位に浮上した。


【雑感】
■2ヶ月半
 本来第8節が開催されるはずだった4月17日は、熊本地震(本震)の翌日。それから約2ヶ月半、ロアッソ熊本は非常に厳しい状況に置かれ、活動休止→活動再開→リーグ復帰→連敗→復調という道を歩み、「あの翌日にいるべきだった西京極」に帰って来た。
 そんな熊本の方が断然走れていて、恵まれた環境(連戦とはいえホーム連戦)にある京都がまったく走れなかった前半は、さすがに失望を禁じ得なかった。戦術面でのエクスキューズは石丸監督のコメントが詳しい。どこでつまずいたのか的確に分析している。興味深いのは、40分ごろから堀米と山瀬がポジションを入れ替えたのが、ベンチの指示ではなく選手たちの判断だったということ。前半、京都は選手間の距離が遠くなりがちで、そのポジションのギャップを熊本にいいように使われていた。堀米が右に移ってからは、そこで逆に先手を奪えるようになって激変。掴み取れない流れをどうにか掴もうとした部分は、評価したい。

■兆し
 相手の出方を整理した後半からは、好守に能動的になり、守→攻の切り替え時の推進力も出て主導権を握った。ただ、意識が前のめりになり過ぎたのか、攻め急いだり、大事なところで落ち着きを欠いた部分は反省点。もちろん京都の攻勢を阻んだ熊本の「サッカーに対するひたむきさ」は相当なもので、運動力は落ちても集中力は切れなかった。困難と向き合い続けても強く戦う彼らのメンタルには、心からの拍手を送りたい。
 話を京都に戻すと、後半の攻撃面は(雑さもあったとはいえ)見どころも多かった。長・短・左・右・陸・空、攻めのパターンも豊富だったが、このゲームで注目したいのがスルーパス。アンドレイや本多、内田、エスクデロらから縦一本のパスに抜け出すシーンが何度もあった。内田のゴールにつながるCKを取ったのも本多→エスクデロのスルーだったし、72分のエスクデロの抜け出しから堀米へのラストパス、87分の矢島の抜け出しなどは絶好の形。“詰め”が甘いものの、出し手と受け手の意思疎通はリーグ序盤に比べると格段に向上している。リーグは次節で折り返し点。後半戦に向けたよい兆しは、十分に感じ取れる。


〈熊本への追伸〉
まだまだ延期試合のハンデを抱え、困難な状況が続くロアッソ熊本。この試合で見せた“ひたむき戦う姿”で、きっと乗り越えていってほしい。サッカーで前に進んでいく力を見せよう!そして傷ついた街に、勇気を!


2016明治安田生命J2リーグ第20節 京都vs松本

2016-06-27 | 蹴球

京都サンガF.C.1-2○松本山雅FC
           66'飯田真輝
            (↑CK宮阪政樹)
           76'飯田真輝
            (↑後藤圭太)
90+2'山瀬功治
 (↑こぼれ)


[警告・退場]
・京都
42'堀米勇輝(C2ラフプレー)
72'有田光希(C2ラフプレー)
・松本
17'喜山康平(C1反スポーツ的行為)


【全体の印象】
 立ち上がりからお互い球際の当たりが激しく、バチバチと火花を散らす激戦に。流れとしては京都が崩そうと仕掛け、松本がセーフティに守りを固めるゲーム運びだったが、途中から両者の繰り出すカウンターの速度も一気に上がって見応えあり。後半、京都はイヨンジェのチャンス(だったが負傷交代)など、流れを掴んでいたが、CK献上から飯田に決められ失点。さらにFKからも再び飯田に追加失点を許してしまった。2点を追う京都は秘密兵器矢島を投入しパワープレーモードに。矢島を前線の基点に松本を攻め立てるものの、ようやく堅守を割れたのはアディショナルタイム。ライバルに勝ち点3を与える手痛い敗戦となったが、強敵に互角以上の闘争心を見せ、戦いを全うした。


【雑感】
■紙一重
 菅野のコメントの通り、勝負を分けたのはセットプレー。ここで取られて負けることもあれば、取って勝つこともある。もちろん、セットプレーも重要な実力のひとつで、失点に至った下畠のCKの与え方や、今回に限ってやたらと競り負けたアンドレイの動き等、見直すべき原因もある。逆に言えば、松本の「セットプレーをモノにできる勝負強さ」は相当なもの。流れ関係なくもぎ取れる武器を持っているチーム ―飯田(+宮阪のキック精度)とか岩政(+片山のロングスロー)とか― は、単純に羨ましい。
 松本反町軍団は、かなりの確率で自動昇格もしくはプレーオフに絡むだろう。相手の長所を消しにかかる戦術と、それを遂行する選手個々の(球際の)ストロングさ、守備モードへのスイッチングの速さはとにかく堅牢。試合運びとしてはリスクを避けつつも、逃げるのではなく相手を殴る闘争心を持ちつつ、少ないチャンスを奪い取るしたたかさは、J2ならば合理的に勝ち抜けるスタイルだ。そんな“昇格有力候補”相手にしても、京都石丸軍団は球際も闘争心も技術も、何ひとつ劣る部分はなかった。むしろ最後の砦(GK)を脅かす攻め手の豊富さは京都の方が上。まぁ、ことごとく止めたシュミット・ダニエルが素晴らしかったのだが。実力は互角、勝負は紙一重だった。ただし、その紙一枚の差が全ての命運を分けてしまうことになる。今後、自動昇格を賭けた一戦とか、プレーオフとか、「紙一重」の結果が求められる時が必ず来る(…気がする)。その時、一重の紙を突き破るために何を磨くか。それがリーグ後半戦の大きなテーマになる。

■エスクデロ対策対策本部
 最近、にわかにエスクデロ競飛王の実力が曝かれつつある。「あ、こいつヤバいヤツだ!」と。当然ながらマークがキツくなるのは本人も織り込み済みのようで(曰く「試合ごとに僕へのマークは厳しくなっているけど、僕が抑えられたら京都の攻撃が終わるというものではない」)。このゲームでは、エスクデロはマークを受けにくい位置にまで下がってゲームを組み立てようとしていた。目に付いたのは堀米にボールが入る(と予測される)場面で、エスクデロは堀米の右後方まで引いてきて、本来その位置にいるアンドレイが前に出てトライアングルを作った。そこからエスクデロの配球→アンドレイor中央のイヨンジェを走らせる…という形を見せたが、イヨンジェがなかなかボールを収めきれずに決定的なチャンスには至らず。あるいはイヨンジェ役を、後半から入って存在感を見せた矢島卓郎に置き換えればもう少し収まって、チャンスは広がるかもしれない。
 指揮官はエスクデロが下がり気味だったことによる迫力不足を指摘しているが、たぶん前に出ても潰されるだけだっただろうし、実際潰されていたし。今後どのチームも講じてくることが予想される「エスクデロ対策」。マークされても突破口を見いだしたいところだが、「引いて組み立て役に変わるエスクデロ」+堀米、アンドレイのコンビネーションには、対策の対策になりうる可能性も感じたのである。



2016明治安田生命J2リーグ第19節 東京Vvs京都

2016-06-20 | 蹴球

   東京ヴェルディ○2-1京都サンガF.C.
              32'エスクデロ競飛王
               (↑堀米勇輝)
64'澤井直人
 (↑こぼれドウグラスヴィエイラ←中後雅喜)
75'井林章
 (↑FK高木善朗)


[警告・退場]
・東京V
82'澤井直人(C5遅延行為)
88'井上潮音(C5遅延行為)
・京都
17'菅野孝憲(C1反スポーツ的行為)
72'下畠翔吾(C5遅延行為)
74'菅沼駿哉(C1反スポーツ的行為)※次節出場停止
78'ダニエルロビーニョ(C2ラフプレー)
90+4'石櫃洋祐(C5遅延行為)


【全体の印象】
 序盤は京都が前に出たが、本多がミスを連発。17分東京Vが速攻から抜け出した澤井を菅野が倒す疑惑のプレーを経て、京都はチーム全体が浮き足立った。そんな中でも堀米→エスクデロで先制。あまり守備を考えずポジションを崩しながら攻めてくる東京Vに対してその後何度も決定機はあったが、決めきれず。後半、アンドレイが左膝を痛めると直後に失点。バイタルを東京Vにいいように使われ、守勢に回った末にセットプレーから失点。交代策もハマらずアバウトな攻撃はことごとくウェズレイに潰され、浮き足立ったまま敗戦を喫した。


【雑感】
■たくさんの誤算
 前節、山口のテンポに合わせないゲーム運びを「大人のチーム」と褒めた。京都が上位まで進出できた一番の理由はこの「安定感」だったはず。だがそんなものは脆くも崩れ去った。
 理由はいくつかある。とにかく誤算が多かったので、思い付くものから挙げてみよう。
 ・本多の不出来(マイナスの誤算)
 ・澤井を倒した菅野への判定(プラスの誤算)
 ・悪い流れでも先制(プラスの誤算)
 ・チャンスは作るも再三の決定機逸(マイナスの誤算)
 ・アンドレイの負傷(マイナスの誤算)
 ・代わって入ったダニロビの不出来(マイナスの誤算)
 もちろん、サッカーも人生も予期せぬ出来事の連続だ。多かれ少なかれどんなゲームでも誤算はあるし、それを乗り越えてこその安定感。上手く行かない時にどう振る舞うかも、大切な「力」のひとつ。
 とにかく誤算の卸問屋のようだった本多勇喜については、個人的には「9戦無敗」の陰の立役者だったとも思っている。無敗が始まったセレッソ戦からスタメンに復帰し、安定感あふれる守備力をいかんなく発揮。さすが!と思ったことは1度や2度ではない。だが出場停止を挟んで復帰したこのゲームでは、序盤からゲームにフィットできず、ミスを連発。出来からいえばシーズン序盤の「集中力を欠く本多さん」に逆戻り。物議を醸す「菅野のイエロー」のシーンも、元を正せば澤井を掴まえきれず一瞬で抜け出された本多さんが原因。ゲームの流れを考えると、フィットしない本多を早々に下げる決断もあったはず。指揮官が語る「今日は本当に完敗」は、自らの采配も含んでのことだろうか。


■最大の誤算
 いろいろ誤算を挙げたけれども、最大の誤算はメンタルをコントロールできなかったこと。「すわ決定機阻止で菅野一発レッドか?」という17分の判定をめぐり、目に見えてハートに火がついたのは東京V、尻込みしたのは京都だった。とはいえヴェルディの方はやたらとポジションを崩しながら攻めかかってきたように「乱戦上等」の構え。守備面にはかなり穴もあり、山瀬、イヨンジェ、石櫃と何度も決定機を作ることはできた。それを決めきれなかったのは、乱戦気味の展開にメンタルの部分で冷静さを失っていた…というふうにも見てとれる。荒れ気味の展開で京都で冷静を保っていたのは佐藤健太郎くらい。アンドレイも(ポジショニングはともかく)球際では比較的冷静だったが…。
 不運だったのはアンドレイの負傷で、アンドレイが膝を痛めた状態でプレーが続いたゆえに中後ミドルに一歩詰められず、失点につながった。そしてアンドレイがピッチを去った途端、このチームはゲームを主体的に組み立てることができず、単純に有田やダニロビを走らせるというアバウトな攻撃しか繰り出せず。今の京都でアンドレイの果たしている役割はとてつもなく大きいだけに、状態次第で次節以降が危ぶまれる。


2016明治安田生命J2リーグ第18節 京都vs山口

2016-06-13 | 蹴球

京都サンガF.C.3-0●レノファ山口FC
3'アンドレイ
 (↑FK堀米勇輝)
24'岩沼俊介
 (↑アンドレイ←CK)
89'ダニエルロビーニョ
 (↑エスクデロ競飛王)

[警告・退場]
・京都
87'下畠翔吾(C5遅延行為)
・山口
20'宮城雅史(C1反スポーツ的行為)


【全体の印象】
 序盤サイドで堀米と鳥養がバトル。そこから得たFKから先制すると、前半24分にもCKから加点。山口はボールを支配するも京都の守備網は崩れず。後半、山口はさらに攻めを加速させ、ショートパスを繋いで京都陣内に攻め入るも、単純ミスも多かった。高い集中力で山口の攻めをがっちり受け止めた京都はカウンターからエスクデロが躍動し、3点目を御膳立て。落ち着いた試合運びと球際での闘志、機動力の面で山口を凌駕した。


【雑感】
■長州サッカー
 吉田松陰から高杉晋作へと続く長州の志士たちは、とにかく行動に移すまでが速い。薩摩藩のように一度立ち止まって熟考することなく、彼らは突っ走る。そんな長州カラーをそっくりそのままサッカーに置き換えれば、レノファ山口ができあがる(のではないか)。能動的にボールを奪う→突っ走ってゴールに向かうという戦いぶりは、功山寺に挙兵して馬関新地会所を襲撃した高杉と同じ(ような気がする)。
 序盤のJ2で旋風を巻き起こした山口の強みは、その「判断の速さ」「迷いのなさ」かと思うが、それは同時に「正確性を欠く」という一面も孕む。相手ゴールに迫れるなら、敵陣を崩せるなら、たとえ確率が低い道筋であっても平気でそちらを判断する。この日もワンタッチでポンポンと繋いで京都エリア内に侵入する場面もあったが、最後までプレーが繋がる確率は低かった。そのあたりは京都側もしっかりスカウティングしていたようで、「やらせるところはやらせて、一番危ない所を締める意識は常に持っていた」(佐藤健太郎)。おそらく山口のアクロバチックなハイテンポな繋ぎに慌ててしまえば、そこに隙が生まれる。だけども、京都の守備は終始落ち着いていた。
 相手のせわしないペースに応じない「大人のチーム」ぶりを見せた京都に対し、山口は「青いチーム」だった。それはやはり何度となく暴発して自滅していった長州志士のようではないか。上野監督は、素晴らしく魅力的なチームを作っている。

■一体感
 それにしても京都の前半の守備は安定感があった。最終ライン4-中盤4の2ラインが均等に網を張り、アンドレイも前に出るよりバランス重視。能動的にボールを動かしてくる山口に対して怯むことなく球際では厳しく勝負し、チャレンジ&フォローで網をかけ、相手を自由にさせなかった。後半は山口が優勢だったものの、決して京都も受けに回った訳ではなく、ボールを奪えば強烈なカウンターパンチを繰り出した。山口は球際と機動力において素晴らしいチームだが、この2点に関しては京都はそれ以上だった。3連戦の3戦目でも運動量は落ちなかったのは、チーム全体で戦えていることの証明ではなかろうか。
 当たり前のことだけども、個々にボールを追いかける守備よりも、2~3人で囲んだりマークを受け渡す方が効率的だし、攻撃面でも何人かが呼応して繋ぐ方が消耗は少ない。(もちろんエスクデロの超人的なキープ力による部分は大きいのだが)。そして欠場した主力に代わって出場した選手たちも、戦術を理解した上でぴったりピースがハマるように活躍できる。サブまで含めてひとつのチームとして一体感が出てきたことをハッキリと示せた一戦だった。




2016明治安田生命J2リーグ第17節 讃岐vs京都

2016-06-09 | 蹴球

カマタマーレ讃岐●1-3京都サンガF.C.
           72'堀米勇輝
            (↑アンドレイ)
81'仲間隼斗
 (↑こぼれ←仲間隼斗)
           87'石櫃洋祐
            (↑エスクデロ競飛王)
           72'堀米勇輝
            (↑ダニエルロビーニョ)


[警告・退場]
・讃岐
55'ミゲル(C5遅延行為)
・京都
3'本多勇喜(C1反スポーツ的行為)※次節出場停止
90+3'アンドレイ(C1反スポーツ的行為)


【全体の印象】
 前半京都がボールを支配するも、讃岐が浴びせるプレスが行く手を阻む。ならばとロングボールで前線にボールを運ぶが、ラストパスの精度を欠いた。前半の終盤、讃岐はミゲルが決定機を外す。手応えを得た讃岐は後半も攻めの姿勢を取り、京都はカウンターの受けるようになった。一方で敵陣への侵入も容易になり、72分アンドレイの絶妙なパスから堀米が先制。がしかし、アーリークロスから失点。終盤は勝ち越し点を奪いに行く京都、カウンターを繰り出す讃岐の撃ち合いとなったが、菅野の好守やエスクデロのキープなど持ち味を発揮した京都に軍配。讃岐は後半堅守の姿勢を崩したことが仇となった。


【雑感】
■vs製麺プレス
 去年までの「とにかく堅守」から脱皮している名将北野率いるうどん軍団・讃岐。前半の讃岐のプレスの激しさたるや、それはもう強く圧力をかけてこねてゆく製麺作業のよう。京都は敵陣に侵入するや、この「製麺プレス」を浴びせられ、パスミスを誘発せしめられた。そう、京都はハイプレスのチームへの対策がシーズン当初からの課題なのだ。それでも長いボールを使って前線に基点を築いてはチャンスも作っていた。ただ、そこから先、プレッシャーの強い地帯でミスやズレをいかに減らしていけるかは、J2レベルとJ1レベルを分ける差となるだろう。
 一方で守備は安定。讃岐にまともな攻撃もさせなかった。44分にミゲルに決定的なシュートを打たれるまでは…。当初あまり前に出て来なかった讃岐は、前半の終盤から木島徹也を前線に上げ、意図的に前にスピードアップをはかるようになっていた。緩→急のペースチェンジを仕掛けてきて、京都が対応しきれない隙を衝くという「策」にハマりかけたが、ポストにも助けられ命拾い。うどん軍団はこの時、守のチームから攻のチームへと変身した。

■vsいりこ出汁カウンター
 讃岐のカウンターは、シンプルながらも力強い。ボールを速く動かしては、中央にアタッカーを走り込ませてピンポイントで合わせてくる。うどんで言えば、シンプルでありながらパンチの効いた「いりこ出汁」のようだ。だが後半の讃岐は、この「いりこ出汁カウンター」を発動させるために、「製麺プレス」の強度が時間とともに落ちていた。カウンターさえ凌げば、前半はまるで侵入できなかった敵陣内でもボールが持てる隙があった。その空間に活路を見いだしたのがアンドレイ。ピッチをじろっと見渡して繰り出すパスは冴え渡り、堀米の先制ゴールのアシストの前から、存在感を示していた。
 両監督とも「オープンな展開」と語った通り、攻め合いになると今の京都は底力を発揮する。紙一重で危ないシーンもあったが、エスクデロの強靱なキープ力や石櫃の無尽蔵のスタミナなど、攻撃面ではやたらと馬力が出るのだ。3節岡山戦では手負いの状態で捨て身になって馬力を発揮して同点に持ち込んだが、今回は捨て身でも偶然でもなかった。次節の相手は「攻め合い」を自ら願うレノファ山口。いいイメージを持って3連戦の3戦目に挑みたい。