二条河原の楽書

京都サンガF.C.を中心にJリーグを楽な感じで綴るサッカー忘備録(予定)

2013 J2第26節 京都vs福岡

2013-07-28 | 蹴球

京都サンガF.C.○2-1●アビスパ福岡
56'原一樹
64'原一樹
           69'坂田大輔


■広いサッカーと狭いサッカー
 山瀬功治と駒井善成をサイドに出す布陣に変えてから、ピッチを広く使うようになったと評判の大木サンガ。ワイドに開くボールと縦に長いロングボールを織り交ぜることで、ハマれば縦横無尽にボールが動き、相手をもれなく守勢に回らせる。一方で、今までやっていた“狭い”サッカーにも、狭いなりの利点はあったはずだ。このゲームの前半はむしろ「ああ、あのクローズの距離感だったらなぁ」と思うことが多かった。
 プシュニク福岡は、相変わらずのタイトなプレスで今日もまた球際では激しく寄せてきた。ところが京都は奪われたとしても工藤浩平や秋本倫孝あたりが即座にボールを引っかけて奪い返せた。そこまではいい。奪えたはずのボールを自分たちのものにできないまま、再び相手の足元に行ってしまうのは、選手間の距離感が広いことと無関係ではないだろう。去年までなら、奪った瞬間に近くに味方がいるので2、3度ショートパスを繋いで一気に攻撃へのスイッチを切り替えられたが、今はそうはいかない。また選手間の距離が遠いことは、よりパスの強さと精度が求められる訳で、パスを上手く繋ぎきれない部分も散見した。
 両チームともボールを落ち着かせられずガチャガチャとした展開になりかけたが、それでも京都には「攻撃のスイッチ」を持っていた選手がいた。横谷繁だ。


■大人のサッカー
 横谷はボールを受けてから前を向ける。マークが付いていてもそれができるのだが、この試合の横谷は相手がいない場所にスルスルっと入って受ける嗅覚に優れていた。横谷に入ればゴーサイン。このことはプシュニクも気づいていただろう。それでも横谷に自由を与えたことが、この試合の肝だった。横谷がタメて、原一樹が飛び出す。原は三平和司とは違って基点になるタイプではなく、最後に決めるプレイヤー。横谷はその本質を見抜いていた。
 ただし、福岡側の問題の方が大きかったかもしれない。後半になってからどうもチーム全体が冷静さを欠き、焦りからのミスパスが目立っていたのだ。これはピッチ脇でやたらと審判団の判定にエキサイトしていたプシュニク監督の仕草そのものだ。指揮官の振る舞い同様に子供っぽい感情的なプレーに走った福岡と対照的に、京都は選手交代によってどんどんと大人のチームに変身していく。特に76分以降の布陣(下記)は実に大人度が高かった。
     山瀬
 中山  工藤  駒井
    田森 秋本
 福岡も1点を返してからは冷静さを取り戻していたにもかかわらず、慌てず騒がず黙々と押し続けた試合運びには久々に唸った。特に87分あたり、中山博貴が前線からプレスをかけるや、猛然と背後から工藤が二の矢を放つように奪いにかかった場面。最もキツい時間帯にこの姿勢を見せることが味方を鼓舞し、相手の士気を幾ばくか挫いたのではなかろうか。
 比較的経験の浅い中村祐哉が入って流れが変わらないかと少し心配したものの、それも杞憂だった。彼もまたその時間帯でどのプレーが相手にとって一番嫌な選択なのかを理解していた。派手さはないが、〆に美味い茶漬けでもいただいたような、そんなゲームだった。


〈京右衛門的採点〉
 オ 6.5 …前半終了前に相手との1対1の大ピンチを足でストップ。1~2点は防いだ。
安藤 6.0 …タックルに次ぐタックルでDFらしい働き。パス精度はやや悪かった。
酒井 6.5 …相手のスルーをカットし、裏抜けも止めてしまうカバー力の高さを見せた。
バヤリッツァ 5.5 …前への強さは◎だが、ウオッチャーになる場面、気が抜ける場面も。
福村 6.5 …相手へタイトに寄せ、奪ってからの攻撃参加も厭わず。よい出来。
秋本 7.0 …ボールを拾いまくって主導権を引き込んだ立役者。効果的な攻撃参加も多かった。
工藤 7.0 …絶妙のバランス感覚で守備網を張り、忍者のように背後から飛び出した。
横谷 6.5 …ボールを受けて守→攻に変化させる働き。単純なミスも多いのは残念。
駒井 6.5 …サイドに張ってドリブル勝負。中に絞って守備と躍動。あとは結果だけ。
山瀬 6.5 …時間の経過とともに相手の隙を衝くプレーをみせる。原の使い方も慣れたか?
 原 6.5 …徹底して裏狙い、相手のギャップ狙い。ブレずにキッチリ2点を仕上げた。
---------
中山 6.5 …猟犬のように球際に激しく追い回し、傾きかけた相手への流れを寸断。
田森 6.5 …とにかくカバーが速く、冷静沈着な守備。福村とのポジションチェンジもスムーズ。
中村 6.0 …短い時間でも、仕掛け&キープで持ち味を発揮。攻撃的な逃げ切りを完遂。
---------
大木監督 6.5 …狙い通りの原1トップに、大人なゲーム運びでの逃げきり。今までにない采配。




2013 J2第25節 北九州vs京都

2013-07-20 | 蹴球

ギラヴァンツ北九州△1-1△京都サンガF.C.
49'森村昂太
             89'山瀬功治


■紫の城
 秀吉しかり、黒田官兵衛しかり、攻城戦を得意とする武将は、基本的に知将である。城攻めは正面から当たっていても土塁や陣地を構えて守る方が圧倒的有利なのだから、馬鹿正直の猪突猛進型ではラチが開かない。まずは敵の手薄な箇所をサーチして、そこを衝いていくのがセオリー。その際、敵の虚を衝いて付け込めばなお良し。もしくは持久戦に持ち込んで相手の士気を落としてしまう手も常套。いずれにしろ、集中して守りにきている相手を崩すのは難しいというお話。
 市政50周年の紫ユニをまとった柱谷ギラヴァンツは、まさに紫の城だった。蟻の一穴の隙もなく、白い大木たけし軍団は城壁に阻まれ、スローダウン。狙ったのは、裏に出して三平和司や駒井善成を走らせる程度。射程圏外から鉄砲を撃ちかけるように可能性が低く、とにかくアイデア不足だった。正面に回れば壁を崩せないのはわかっているので、漫然と回すだけ。遅攻になるので、紫が守るのはたやすかっただろう。籠城する方は、単に守っているだけではいずれ耐えきれなくなる。そこは知将・柱谷幸一、夜討ち朝駆けの奇襲をしかける。北九州は京都の選手がボールに食い付いてくるタイミングを見計らってボールを左右に散らして揺さぶった。先制点もまさにその形。敵を知り、己を知った上で戦略を練った柱谷監督は、少数兵で戦う術を知っている楠木正成型かもしれない。


■ハシラに走らされ消耗
 紫の堅城を崩すために京都は前半からボールをよく動かし、人も前へ横へと動いていた。だがそれも柱谷監督は織り込み済だったはず。動いても走っても有効な崩しにならず、逆に先制点を奪われ、さらに気持ちは焦っていった。落ち着いて狙いを定めればいいものを、簡単なパスミスや誰にも合わないクロスを連発し、相手に拾われて逆襲を浴びるという負のスパイラルに陥る。暑さ、そして思うようにいかない精神的な疲労。後半、大木の兵たちは明らかに消耗した。横谷繁は中盤中央でよく相手を御し、ボールを前に運ぶ役目を果たしたがその先で精度を欠く場面も目立ち、最後は膝に手を突っ立てて困憊した。駒井も敵陣を突破にかかるところまでは行けるものの、トラップやラストパス、シュート精度、あと一歩が足りなかった。
 消耗が激しいからこそ、新規兵を投入すれば局面を変えることも可能だったはず。ところが大木総大将、原一樹と中村祐哉を投入したものの、結局交代のカードは1枚残したまま。引いてくる相手に対し、原めがけて横谷のロングフィードから1点を奪えたことはいいのだが、それが「限界の1点」だという現実を見せつけられた気がした。消耗激しい選手がいても交代できないほどベンチに座る選手は使えないのか。それとも先制して守りきることだけ考えてエントリーしたのか。この日の大木采配の冴えのなさは、敵将・柱谷兄の采配が水際立っていたから、という話だけでは収まりそうにもない。


〈京右衛門的採点〉
 オ 5.5 …安定したセーブが多かったが、失点シーンはやや連携不足気味。
安藤 5.5 …クロス精度が悪くほとんどチャンスメイクできず。守備面では踏ん張った。
染谷 5.5 …良くも悪くも安全運転。動きが少なくややアグレッシブさに欠けた印象。
酒井 5.5 …右に左に走り回ったが、裏抜けの相手に対しての不安定さを露呈。
福村 5.5 …守備に追われる時間多く左の攻撃力を落とす。守備では競り合いの強さも。
 姜 5.0 …相手を止める所では目立つも、寄せは甘い。攻撃につながるパス激少。
工藤 5.0 …全般的には運動量が少なく、敵の虚を衝くフリーランも見せられず。
横谷 5.5 …ボールを中盤でよく収め、攻撃の基点として活躍。一方でミスも疲労も目立つ。
駒井 5.5 …唯一突破で相手を崩す動きはできていたが、仕上げのところであと一歩。
山瀬 5.5 …敵ブロックの打開を狙うが自由にさせてもらえず。同点弾への詰め方はさすが。
三平 4.5 …敵陣に孤立し、収まらず、ボールも引き出せず。敵を欺くような動きも欲しい。
---------
 原 5.5 …裏狙いの的として噛み合わなかったが、最後に裏で受けて見事なアシスト。
中村 5.5 …トップ下で何度かボールを受けるも、持ち味の斬り込みはかけられず。
---------
大木監督 4.0 …引いた相手と対峙するプランがよく見えず。有効な手を打てない采配も疑問。











2013 J2第24節 松本vs京都

2013-07-14 | 蹴球

松本山雅FC△1-1△京都サンガF.C.
         48'山瀬功治
52'飯田真輝

■夏の大三角形
 織姫と牽牛が逢瀬を楽しむというロマンチックなこの季節、ベガとアルタイルは1対1でラブラブに浸りたいところだろうが、もうひとつの星デネブが加わると夜空に大三角形が現れる。二人きりで交際するよりも、三人で交際すると複雑になるのは世の常。そう、サッカーも1対1のパス交換よりももう一人加わる三角関係の方が圧倒的に複雑になり、パスコースは倍増する。トライアングルを作ることは、サッカーのチームプレーにおいて基礎中の基礎。相手もそれはわかっているから分断にかかる。
 前半の京都がほとんど主導権を握り続けた理由は、安藤淳―横谷繁―駒井善成という右サイドのトライアングルによる所が大きい。この3人は状況に応じて位置が変わっても常に三角形ができていて、時に小さな三角形、はたまた大三角形をつくって巧みにボールを回した。3人の関係性は実に小気味よくリズム感があり、見ていて楽しいサッカーだったのだが、惜しむらくは右の局面で圧倒的に優位に立っていただけに、逆の左サイドや中央で一気呵成に崩しきれなかった点だろうか。松本の反町康治監督はトップの三平和司を徹底して潰したため、あと一手のところで人が足りずなかなか難しかった。それでも後半開始早々48分に得点を奪えた。何の因果か、三平にマークが集中していたゆえに松本の選手が交錯し、山瀬の前にボールがこぼれた。1-0、ここまでは最高の展開だった。


■大味な流れ
 せっかく先制したものの、すぐにコーナーキックから失点したのは不運というか不用意というか。だがその後もしっかり引いてカウンターを狙う松本に対して、京都はボールを長短織り交ぜながらよく動かして「壁」を破ろうとする。実際、チャンスは何度も作れていた。対する反町監督は後半頭からムービング型FWのホドリゴ・カベッサに代えて高さに強い塩沢勝吾を入れていた。いわゆる「縦ポン」戦術。奪ったら塩沢目掛けて放り込み、船山貴之が鋭くこぼれ球を狙う。反町監督は昨夜のマッチデーJリーグで「対策は2、3ある」と豪語していたが、おそらくひとつは三平潰しで、後半からのキックアンドラッシュへの転換もそのひとつだろう。染谷悠太あたりが対応を遅れる場面もあったが、それでも京都は落ち着いて凌ぎ主導権を握っていたように思えた。
 ところが、あれよあれよと試合の雰囲気が変わる。松本が緻密さを捨てて大味なボールを蹴るようになったことで試合全体の流れまで大味にしてしまったのだろうか。バタバタと速くて広範囲に展開するサッカーに付き合ったことで、前半に成立していたトライアングルも目立たなくなり、横谷や駒井、山瀬功治の個人技ばかりが突破口になった格好だ。それでもチャンスを作るまでには至ったが、結局ゴール前で深緑のブロックを作って固めてきた松本を崩しきれなかった。逆にカウンターで一撃で沈む危機もあった(船山貴之が外してくれた)。押し続けても崩れない時にどうするか?落ち着いてじっくり構える大人なゲーム運びを選択できる“芯の強さ”があってもよかったのかもしれない。


〈京右衛門的採点〉
 オ 5.5 …頭上を越えるCKに対して転んで失点。素晴らしいセーブもあったがそこだけ痛恨。
安藤 6.0 …再三の攻撃参加では目立っていたが、守備面では裏をよく使われた。
染谷 5.5 …前半は集中力高かったが、後半相手に遅れを取る場面が目立つ。
バヤリッツァ 6.5 …北アルプスのように立ちはだかり跳ね返しまくった。
福村 6.5 …右とのバランスを見ていつになく辛抱強い守備を見せた。攻撃への参加も積極的。
秋本 6.0 …奪う・拾う→フィードのタスクを見事にこなしていたが失点場面で潰され負傷交代。
工藤 6.0 …守備面で安藤の背後などをよくカバー。攻撃の土台も組み立てていた。
横谷 6.5 …相手から離れたポジショニングから自在にタクトを振り続ける。終盤は疲れたか。
駒井 6.5 …ゴールに迫る動きにキレがあったが、スピードに乗ったところでのタッチミスが課題。
山瀬 6.0 …個での勝負や判断力は抜群だが、連携ミスも目立つ。こぼれ球を拾って先制点。
三平 5.0 …松本の徹底マークに遭い自由を奪われた。序盤のヘッドはせめて枠に飛べば…。
---------
 姜 6.0 …迫力あるタックルでカウンターを潰し、攻めへの切り替えも良い出来。
宮吉 5.5 …ワントップ的な役割の中でまだ真価発揮できず。駒井と息ぴったりのワンツーは惜しい。
 原 5.5 …ワンチャンスに点で合わせる役目だったが、松本の守備かいくぐれず。
---------
大木監督 5.5 …崩せそうだったが崩せない。この試合から得たヒントを次に生かしたい。






2013 J2第23節 京都vs岐阜

2013-07-08 | 蹴球

京都サンガF.C.○2-0●FC岐阜
22'山瀬功治
78'三平和司


■壊す作業
 岐阜は登録上3バックだったが、実質5バックだった。最終ラインにズラッと5人並べて、さらにその前に4人が横一線。5枚+4枚の2ラインでガッチリとブロックを組む。京都としては新しい布陣にしてから初めて当たった明確な「引いてくる相手」。最後の砦に5枚もいるもんだからセンターフォワードの三平和司は右に動こうが左に動こうが掴まえられてしまい、裏を狙えばオフサイドに引っかかる。ある意味、岐阜の戦い方は「狙い通り」だった。
 5枚のラインと4枚のラインの間に入り込むことにいち早く気づいたのは山瀬功治だった。山瀬は上手く隙間でボールを受けると、巧みなフェイントで相手を躱してズドンと一撃先制点。こうしてスコアは動いたものの、岐阜は戦術を変えなかった。5枚+4枚の二重城壁をめぐらせる籠城戦を続行。よほど前節の8失点が苦かったのだろう。岐阜の狙いは明確だった。1失点ならばこのままでいい。何かの拍子で1点取れれば、勝ちに等しい勝ち点1を取れるのだから。
 京都は1点取った後も再び外堀を埋めていく作業、城壁を壊す作業を続行せざるをえなかった。ボールはキープできるのでゆっくり回しながら隙を狙って裏へ入れて緩急を付けてみたり、左右に大きく揺さぶってみたり、山瀬と駒井善成のポジションを入れ替えてみたり。いろいろ手は尽くすのだが、待ち構える相手を前にするとなかなか難しい。結構いい所までは入り込むのだが、そこでトラップミスやパスミスなど細かいミスになってしまい、なかなか牙城を崩すには至らなかった。


■命脈は2点目
 岐阜の守備陣は、どれだけボールを支配されても集中力を切らすことはなかった。攻撃にリスクを掛けることなくリトリートして守り続けていれば、耐え忍んだ末どこかでセットプレーから一発奪ってしまえば追いつくことができるのだ。だからこそ、2点目こそがこの試合の命脈を握っていると思いつつゲームの行方を見守った。ぶっちゃけてしまえば、2点目を京都が奪ってしまった時点で決まってしまうゲームだったのだ。
 後半になると横谷繁が5枚ラインと4枚ラインの間に入り込む回数が増え、駒井もサイドへボールを引き出す回数が増えたが、どちらも最後の最後でミスを出してしまう。相変わらず三平和司は封じられたまま。73~4分くらいだっただろうか、ベンチには原一樹が呼ばれ、ユニフォーム姿でスタンバイしていた。大木監督としての引いた相手を崩すためのアンサーだったのだろう。ところがその直後に横谷のワンタッチパスを三平が胸トラップからボレーシュートを放つシーンが出て、さらに三平のポストプレーからのチャンスなどが続く。これを見て判断したのか、原投入が一時的に見送られた直後に、コーナーキックから三平ヘッドによる2点目。この試合については、それで引導を渡した。ハナから守りにきている相手との難しいゲームをそつなく勝ちきった、と言えるだろうが、引いた相手に対してどうこじ開けるか?という方策についての評価は保留状態。
 ただし、惜しかった山瀬の直接FKやFKからの秋本ヘッドなど、セットプレーの質が上がってきていることは明るい材料。どうしても点が欲しい時に選択肢が原しかいないのは、ちょっと不安な面。とにかく2点目を早く奪えれば大勝も可能だが2点目が奪えないままだと「あわや」の自体を招くのが今の京都。「J2屈指の曲者(監督)」と当たる次節が、そこんとこの答えを見せてくれそうだ。


〈京右衛門的採点〉
 オ 6.5 …ほぼ危げなく、美尾の変化したミドルもよく止めた。キック精度はイマイチ。
安藤 6.5 …パワフルな寄せと奪いから運動量豊富に長駆攻撃参加。
酒井 6.5 …速い相手をフリーにさせずいいカバーを見せる。次節出停のハンドは残念。
バヤリッツァ 6.0 …刈り取るような守備で壁を築いたが、ヒヤヒヤするシーンも。
福村 6.5 …守備時の絞り方がスムーズになった。攻撃参加は山瀬を助けた。
秋本 6.5 …横谷工藤と連携しながら中央とSBが上がった穴をしっかりカバー。
工藤 6.5 …攻めも守りもここぞという時に顔を出し、バランスを保つ職人肌の動き。
横谷 6.0 …相手の穴を衝こうとする動きは良かったが、単純なミスも多かった。
駒井 6.5 …自分で仕掛けてこじ開けようとする気概は良し。だが、精度がもう一つ。
山瀬 7.0 …相手を抜き去る匠の技で違いを見せつけた。セットプレーの精度も◎。
三平 6.0 …岐阜の堅守に潰され続けた。存在感を見せればチャンスにはなる。そういう役目を果たす。
---------
 原 5.5 …よく動き回るのだがノーチャンス、この布陣の中で活きているのかどうか。
田森 ――
---------
大木監督 6.5 …覚悟を決めて守る相手に、軽挙妄動せず。三平を引っ張った判断は正しかった。

2013 J2第22節 東京Vvs京都

2013-07-03 | 蹴球

東京ヴェルディ●0-5○京都サンガF.C.
            07'駒井善成
            46'山瀬功治
            53'酒井隆介
            89'原一樹
            90'+3原一樹


■局面での数的優位
 もしフィールドを戦場とすれば、兵数の少ない場所を衝いていくのが勝利へのセオリー。数的優位の場所が生まれれば、そこを主戦場に持ち込んでバトルを制していけば戦局を優位に進めることができる。サッカーにおいてよく主戦場に目されるのが両サイド。「サイドが手薄」―このフレーズは大木サッカーの弱点として語られ続けたことだが、この試合は真逆で「サイドが分厚」かった。右でも左でも京都がサイドで人が多い状況を作れていた立役者はアンカーの秋本倫孝の黒子な動きに他ならない。
 秋本が適宜最終ラインに入ることでボールサイド=主戦場となっている方のサイドバックは積極的に前へ出てボールにアプローチすることができた。相手が真ん中から来たならば、秋本はすみやかに中央へと戻る。11人同士なのに常に数的優位を作っていた守備の鉄人・秋本がいることで、工藤浩平のボールへの読みは冴え渡った。怪盗クドウは奪ってそのまま攻撃に直結するラストパスを連発。前半と後半開始の段階でヴェルディにビハインドを負わせたことが三浦泰年監督を周章狼狽に追い込み、早々に交代3枚投入→負傷者に対応できず…という自滅を招いた。


■中・短と長・中・短
 京都にとれば結果的に非の打ち所のなかった完勝だったが、ヴェルディとの噛み合わせが良かったというのもまた事実。ヴェルディは徹底して「繋ぐパス」にこだわったことが裏目に出た。京都の方は、局面である程度数的優位を作れているため短距離パス~中距離パスが多いヴェルディのパス回しを網にひっかけることは容易だった。もしヴェルディが長いボールを織り交ぜてくればまた違ったかもしれないが、寿司ボンバー・高原直泰投入は時すでにおそし。逆に京都は長・中・短のパスを織り交ぜた。狭い所を短く繋ぐこともあれば、横谷繁あたりは独特のセンスでワンタッチで前線に長いのを蹴り込むこともしばしば。栃木戦以来新布陣への迷いがなくなったこともあるのか、パスの長短配合のバランスはかなり良くなった。ショートパスに対する大きな展開という、かつて京都がよく陥っていた負けパターンに嵌ったのがヴェルディだった…と言えるかもしれない。

 相手が10人になり、3点差がついた段階で倉貫一毅を入れ、無理に攻めず省エネサッカーに徹したことは、夏場の連戦であることを考えれば上々の試合運びだった。いや、ペースをスローダウンしながらもキッチリ原一樹が2点奪えたことを考えれば、完璧と言ってもいいかもしれない。原の1点目はやはり怪盗クドウから。怪盗クドウ快刀乱麻の躍動が、今度は引いた相手にも出せるのかどうか。次節に期待を抱かせる素晴らしい勝利だった。


〈京右衛門的採点〉
 オ 6.5 …序盤の右足セーブが相手の流れを断ち切った。守備機会は少なかったが安定感抜群。
安藤 6.5 …シュアな守りとオーバーラップで右サイドを制圧。頼もしいキャプテンだった。
酒井 7.0 …とにかく相手への寄せが速かった。角度のないとこからの得点も見事。
バヤリッツァ 6.0 …相変わらずの屈強さで迫力満点。やや雑な部分もあったが充分な働き。
福村 6.5 …課題だった守備も粘り強く、よい出来。5点目アシストの鋭いクロスは完璧。
秋本 7.0 …引く動き、埋める動き、奪う動き、止める動き全てがハイレベル。
工藤 7.5 …相手の動きを読み切り、盗み取ってはラストパス。石川五右衛門もびっくり。
横谷 6.5 …低い位置から高い位置まで広い範囲をよく動き、自由自在かつ的確なプレーを連発。
駒井 6.5 …運動量豊富に走りまくり、先制点以外にも相手の嫌がるプレーを出せた。
山瀬 7.0 …周囲に上手く使われ、突破にもキレあり。シュートに入る動きも迷いなし。
三平 6.0 …左右に流れながら基点を作り、2列目以下が動くスペースを生んだ。得点も欲しいね。
---------
 原 6.0 …細かいミスもあったが、ボールを呼び込んでゴールに向かう動きに力強さ。2得点さすが。
倉貫 6.0 …入ってすぐゲームを落ち着かせた。大きなコーチングで逃げ切りを確定させた。
原川 ――
---------
大木監督 7.0 …序盤で優位に立ち、相手に後手を踏ませる最高のゲーム運び。交代策もバッチリ。