二条河原の楽書

京都サンガF.C.を中心にJリーグを楽な感じで綴るサッカー忘備録(予定)

2011 J2第5節(順延分) 千葉vs京都

2011-09-28 | 蹴球

ジェフユナイテッド千葉●0-1○京都サンガF.C.

■勇猛果敢な守備
 攻撃的な姿勢は、できるならば“守り”でこそ発揮されるべきだ。なぜなら、攻撃的な気持ちは士気を高く保つのに最も有効で、そして守備兵こそ一番精神が参ってしまいやすいポジションだからだ。
 今日の3バックは森下俊、安藤淳、内野貴志というちょっと技巧派の3人。彼らは常に前への意識を持ちながら「防ぐ」のではなくアグレッシブな「奪う」守備を見せてくれた。時間の経過とともに千葉は力業で押し込みにかかってきたが、ベタ引きせず勇気を持って相手に挑み、士気を崩すことはなかった。特にセンターの安藤は圧巻。読みの良さと戦術眼はさすがに本職・ゲームメイカーで、敵より一歩早くボールの落下点に入って誰よりも早く敵のパスコースを察知。秋本と組むとやたらと穴が目立っていた内野とのコンビネーションもよく、かつてない「安心感」を感じることができた。
 守備で勇猛果敢であることは、一歩間違えば命取り。ただし、命取りを恐れていては、士気が下がりやがて破綻してきた場面はもう数え切れないほど見てきた。できるならば、今の守備を続けてみてほしい。(ただしキーマンの安藤が、次節出場停止になってしまったが)
 ともかくも、見ていて気持ちのいいゲームでした。天晴れ。


〈京右衛門的採点〉
水谷 7.0 …後半のピンチに神セーブ連発。
内野 7.0 …厄介な米倉を封じる。守備的ボランチに入っても破綻しなかった。
安藤 7.5 …危険地帯を読みまくり。身体を張る闘志も素晴らしかった。
森下 6.5 …前で前で潰し、奪う守備は安定。ハイボールはちょっと負けてたが。
チョンウヨン 6.0 …跳ね返しはよく効いてた。大木監督はダメ出ししてたみたいだけど。
駒井 6.0 …躱してからのカットインは何度も相手を混乱に陥れた。
内藤 5.5 …オフサイドギリギリの飛び出しは絶品だが、守勢に回り消えていった。
中山 6.0 …とにかく運動量。最後は佐藤勇人を自由にしすぎ大ピンチも。
伊藤 5.0 …仕掛けは止められ、守備もあまり効果的でなく…。
宮吉 6.0 …アシストとなった落としなど、献身的だった。あとはシュートだけ。
久保 6.0 …常にチャレンジする姿勢が相手のミスを何度も誘発。ゴールも落ち着いていた。
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福村 6.0 …入ってからは攻守とも右サイドに安定をもたらした。
酒井 6.0 …持ち前のファイターぶりで身を挺した守備力を発揮。
ハウバートダン 5.0 …何もできなかった。じゃあいつやるの?今でしょ?
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大木監督 6.0 …ようやく意図した守備を構築できた?手堅い采配だった。








2011 J2第29節 富山vs京都

2011-09-25 | 蹴球

カターレ富山△1-1△京都サンガF.C.

■忍者な男
「乱破(らっぱ)」という人たちがいる。敵中に潜み、情報を操作したり、いきなり敵前に現れてズブッと刺したり…。いわゆる「忍びの者」「忍者」だ。サッカーにもこういう働きをする隠密たちがいる。今ならガンバ大阪の二川や川崎フロンターレの小林悠なんかが典型的だろうか?彼らはとにかく敵の視界から消える動きこそが真骨頂。京都の内藤もそんな忍者一族に入れてもいい選手だ。
 この試合の1点目はまさに忍者ムーブからのボレーだった。中央には存在感抜群の久保が待ち受けてて、富山は3人が引きつけられていた。視線が久保に集中した途端に、ファーに入って伊藤のクロスをズバッと叩き込む。お見事! そして隠密として一仕事したあとは、またしばらく消えてしまったのであった。
 こういう「忍者一族」は、その隠密活動をしっかり感じて、上手く使える選手が味方にいないと意味がない。もっと上手く使ってあげて!


■対局的に見てみれば
 ところでこの試合、大木・安間両指揮官による師弟対決だった。お互い手の内を知り尽くし、似たような布陣。どんな知恵比べかと注目していたが、最初は大木が仕掛けて安間が受ける展開だった。ただし、安間は奇策を打っていた。京都の伊藤優汰の突破力に手を焼いてると思いきや、伊藤が上がったスペースを狙っていた。伊藤は将棋で言えば「香車」。そこに斜めに入り込む「角」を徹底的に打ったのだ。富山の攻撃はほとんど京都の右を狙ったものだった。
「角」が盤上を攪乱し、ペースは富山に流れた。もう一点、内藤が「忍者」であることは攻撃時には強みなのだが、常に消えようとしてるため、セカンドボールの場面で顔を出せずに数的優位を放棄し、富山がこれを拾う場面が多かった。伊藤にしろ内藤にしろ、良い部分を出そうとすると、裏面があって、安間はそれを全て知ってた感じ。さすがはスカウティングの鬼。
 安間はその後も先手、先手に手を打ってきた。対する大木は「香車」・伊藤を狙われたから福村、宮吉が基点をつくれないから中村充と、後手後手。相変わらずドゥトラという「飛車」を使うことなく、どうも煮え切らない局面を終えたのであった。


〈京右衛門的採点〉
水谷 6.0 …後半、シュート打ちまくられるもなんとか耐えきった。
酒井 4.5 …簡単にクロスを上げさせて、競り負けて、良いところなし。
安藤 6.0 …抜群の読みの良さで何度もインターセプト。
森下 6.0 …粘り強くブロックし、駒井とのコンビネーションも○。
チョンウヨン 6.0 …中央防波堤としてよく相手を止めていた。
伊藤 5.5 …攻撃◎、守備△。これは致し方ないよね…。
内藤 5.5 …忍者プレーからの美ボレー。顔を出せばチャンスになるのだが。
中山 6.5 …とにかく奮闘に次ぐ奮闘。ヤバめの時間帯にチームを支えた。
駒井 5.5 …相変わらず積極的だけど、決定的な仕事にならず。守備にも奮闘。
久保 5.5 …相手の脅威だったかと思うが、色気出し過ぎな気も…。
宮吉 5.0 …いい流れを止めてしまうプレーを連発。早めに諦めてもよかった。
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福村 5.5 …守備対応で入ったけど、攻撃も効いていた。新しい選択肢?
中村充 5.5 …惜しいドリブルや久保のシュートを引き出すタメなどで活躍。
加藤 ――
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大木監督 5.0 …積極的という言葉を使う割に、采配に積極性が乏しかった。






あと

豊田麻衣 8.0…最高




2011 J2第28節 京都vs草津

2011-09-18 | 蹴球

京都サンガF.C.○3-1●ザスパ草津

■支配力
 前半は完璧に試合を掌握し、後半は完全に相手に掌握されてしまったというこの試合。この落差は何なのか?端的に言えば、相手があまりの不出来に対策をほどこしてきて、それが功を奏したとも言えるし、こっちがそれに対して後手後手の受け身に回ったとも言える。ただ、京都は前節は前半のうちに流れを失ってしまった。それに比べれば進歩してるといえるのだろうか…。
 何かを支配するというのは、どんなジャンルであれ、とても難しい。支配するということは、被支配者がいて、被支配者は必ず支配者に反抗するからだ。相手から武器を取り上げて圧政により支配しようとしても、その反発力がものすごいのは歴史が証明する通り。ところが、稀にスムーズに支配できる者がいる。これは相手の反抗心を削いでしまうことだ。

■支配された理由
 今日の京都が3点とりながらも後半相手に支配されまくって、草津が3つくらい外してくれたおかげで勝てたのはなぜか。まずはセカンドボールが拾えていない。そこは、工藤を早めに投入していれば流れを変えられたかもしれない。もうひとつは、相手の選手交代“アレックス投入”が効きまくってたこと。これは選手交代で封じるのは難しい。特に本職MFの安藤を中央CBに回す急造ディフェンスラインだった経験値のなさがモロに出た。
 こういう時は、逆転の発想で前線でキープできる時間を増やすのも手だと思う。となると、ボール預ければ何かやってくれるドゥトラだが、今日の出来で宮吉・久保の2トップを崩したくなかったのは痛いほどよくわかる。ただ、ドゥトラ使わないよね~。


〈京右衛門的採点〉
水谷 6.5 …神セーブ連発。止めてからの鼓舞も頼もしい。
内野 5.0 …プロフェッショナルレッド。フィードは相当良い。
安藤 6.0 …適切なカバーと読み。このポジションでもイケる?
森下 5.5 …前半はよく前に出てたが、後半はなんかイマイチ。
加藤 5.0 …動きはいいんだけど、肝心の守備力が物足りない感じ。
伊藤 5.5 …1点目のアシストは見事。守備ではもう少し粘りを。
内藤 5.0 …目に付かなかった方の黄スパイク。特に守備で消えまくり。
中山 6.0 …いい時は点を取り、わるい時間帯は闘志あふれるプレー。
駒井 6.0 …目に付いた黄スパイク。とにかく積極的で気持ちいい。
久保 6.5 …1点目も2点目もスーパー。最後歩いてたし、怪我?は大丈夫かな
宮吉 6.0 …ボールを引き出す術は見事。ただ、決める所は決めないと。
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工藤 5.5 …パス精度悪かったが、やるべき事はちゃんと理解してた。
ハウバートダン 5.5 …不思議なキープ力で時間を作れた。危なっかしいけど。
酒井 ――
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大木監督 5.5 …スターティングは◎、後半はダメダメ。求ム修正力。




2011 J2第27節 FC東京vs京都

2011-09-10 | 蹴球

FC東京○6-1●京都サンガF.C.

■余裕という能力
 なでしこが北朝鮮戦で、86分から守りに入って失点したことが念頭にあったので、この試合、「攻める・守るの精神模様」に注目して観てみた。
 前半20分までは、攻め懸かる京都が常に精神的優位に立ち、FC東京は常に後手後手だった。余裕のなさはパス精度に如実に現れて、だいたいが不正確。一方の京都は速いプレスでボールを絡め取って、そのまま前にボールを運ぶという素晴らしいサッカーを展開。森下俊が森重真人からボールを奪って、そのまま美しいスルーパスを出して、追いついた宮吉拓実が落ち着いて沈めたゴールは今シーズンナンバーワンじゃないかと思えるようなプレーだった。

 ところが、この試合はFC東京のルーカスがもの凄かった。同点にしたゴールも、一度体勢を崩しながら落ち着いて足に当てて決めたゴールで、その他にもゴール前ですぐに打たずに一呼吸おいてからボールをちょっとズラして打つなど、憎らしいばかりの「余裕」を見せて、京都のディフェンス陣を翻弄した。
 この余裕は、百戦錬磨の経験の末に獲得した能力。若さの勢いと脆さを露呈した京都と、あまりにも好対照だった。



〈京右衛門的採点〉
水谷 5.0 …雨嵐のように降り注ぐシュートに為す術なし。
酒井 4.5 …椋原のテクニックに翻弄されまくる。スピードにも対応できず。
秋本 4.0 …ルーカスに子供のように弄ばれ、スピードの無さが致命的に。
森下 5.5 …得点になったタックルからのスルーパスは見事。左は比較的良かった。
チョンウヨン 5.0 …セカンドボールを拾えなかった責任は重い。
駒井 5.0 …積極的に行って良い場面もあったが、前がかりが仇に。
安藤 5.5 …一人闘志あふれるプレーで左サイドを防備するも。
中山 4.5 …崩れゆくチームの中で、何もできず。
伊藤 4.0 …ミスが多く終始バタバタ。出足のいい椋原のターゲットに。
宮吉 5.5 …ゴールは上手かった。その後、プレスに奮闘するも浮いてしまった。
中村太 5.0 …守備重視のサイドでまあまあの出来だが、ボールロストが残念。
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ドゥトラ 5.0 …トップ下で起用されたが、まったく良さが生きず。
内藤 5.0 …途中から入って消えていた。何のために入れられたのか…?
アライール 3.0 …裏を取られて後ろから倒して赤紙招集。酷すぎる。
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大木監督 3.5 …せっかく先制できたのにゲームプランニングが稚拙すぎた。

2011 J2第4節(順延分) 京都vs愛媛

2011-09-01 | 蹴球

京都サンガF.C.△0-0△愛媛FC

■刺すか刺されるか
「やあやあ、我こそは源朝臣○○村の住人、兵衛督・●●が嫡子、△△なるぞ~!尋常に立ち会えッ!」…と、鎌倉時代くらいまでのサムライは、姓、住所、官職名、父の名などなど、いろいろプロフィールを名乗ってから戦っていたらしい。今日の京都vs愛媛、なんだかそんなことを感じてしまうくらいゴール前でもたついてしまった。
 結局、戦が様式美であり、名誉をかけて決闘をしていた時代はそれでよかったのだが、「何をしても勝てばOK」な時代になってしまえば、まるで無意味なのであり、言わずもがなサッカーも名誉を賭けた一騎討ち…ではないのである。なのに、まるでゴールキーパーと名乗り合って勝負してるかのように1対1。別に1対2にしてもいいんだよ…。と水谷修(C)夜回り先生のように語りかけてあげたいくらい、愚直に正面から行って外していた。おそらく昇格争いしてるチームなんて、ゴールは刺すか刺されるか、生命のやり取りそのもので、もっともっとシビアなもの。昇格争いに加わるチームは、そういう剣山の上を歩くような戦いをしているのだ。

■守備はいい
 褒めるべき点は守備。相手が出てこなかったのもあるが、愛媛にはほとんどチャンスはなく、試合終了間際にセットプレーに賭けるだけだった。ようやく大木監督の「スライドさせる」守備をチーム全体が理解したのか、守りに入る時はアンカーや、時にFWの伊藤までもが最終ラインに入って4~5バックを形成。秋本の読みは抜群に良く、スピード勝負にさえならなければJ2トップクラスの守備をみせてくれる。相手のキーマン・愛媛のメッシこと“愛媛ッシ”齋藤学も完封。チョンウヨンが怪我で早々に退くも、大きな破綻はなかった。
 それだけに惜しいのだ。なぜ攻撃が一騎討ちになってしまって、決めきれないかのか?一発沈められれば勝ち点3になるのに…と。今はまだ若いFWたちがキッチリ決めることができるようになるまで、守備陣は今日のように耐え続けなければならない。別に引き籠もって籠城戦やってるわけじゃないのにそこはつらい役回りだなぁ、と思う。


〈京右衛門的採点〉
水谷 6.5 …ノーミス。大きな声で守備陣を鼓舞。
酒井 6.5 …身体を投げ出しながら守りきるファイターぶり。
秋本 6.5 …抜群の読みが炸裂。愛媛FWに仕事させず。
森下 6.0 …的確なカバーで無難な出来。
チョンウヨン ―― …良い出来だったが、怪我でわずか20分で交代。
駒井 6.0 …アンカーがスライド後そこを埋める動きが様になってきた。
安藤 6.5 …緊急的にアンカーに。中盤の底からパス出しは良かった。
中山 5.5 …機を見て前線に飛び出すが、得点機に至らず。
伊藤 6.0 …仕掛けまくって攻撃を牽引。早めのクロスも効果的だった。
久保 5.0 …フリーでポストのボレーは残念。キープ&ポストもままならず。
宮吉 5.5 …良いプレーなのに、相手の脅威になりきれず。勿体ない。
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内藤 6.0 …いい動きでいいパスを連発。自分でもっと挑戦してもよかったのに。
ドゥトラ 5.5 …チャンスは作れた。でも一発決めたい。
工藤 ――
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大木監督 5.5 …点を取るための方式を提示しきれなかった。