二条河原の楽書

京都サンガF.C.を中心にJリーグを楽な感じで綴るサッカー忘備録(予定)

2014 J2第29節 京都vs北九州

2014-08-31 | 蹴球

京都サンガF.C.△1-1△ギラヴァンツ北九州
           38'原一樹
63'ドウグラス
(assist石櫃洋祐)

■先んじれず制せず
「先んずれば制す」という言葉がある通り、敵より先に(得点を)奪えばそりゃ圧倒的優位に立てるのである。京都は川勝親分になってからどういう訳か前半に点が奪えない病。この試合、前半から京都がかなりの時間ボールポゼッションしていた。それもそのはず、北九州柱谷幸一監督は前からのプレスを捨てて、8枚引いてガッチリブロックを築く戦い方に出た。例えば田中英雄あたりの位置ではかなり自由にボールを持たせてもらえたが、そこから先に進めようとするとことごとく潰され、攻め手としては山瀬功治-駒井善成の連携からの崩しが有効だった程度。
 逆に北九州がボールを動かした時、京都は甘さが出た。田中も、中山博貴もそれぞれボールホルダーに対して球際厳しく当たりに行くのだが、散発的にプレスしているだけで守備網としては体をなさず、「あれあれ?プレスかからないぞ…」と思ってる瞬間に内藤洋平が見事な縦パス。原“フェルナンド”一樹に決められてあっさりと先んじられてしまった。
 これで川勝親分就任以来の9試合、前半の得点数/失点数は1得点/8失点という極端な数字に。思うに前半の出来が悪いのは、相手の出方に合わせて受けるサッカーになっているからかなー、と。実際、この試合の後半に「前半はまったく主体的でなかった!能動的でなかった!」と思い知るのであった。

■工(く)ラッキ
 柱谷式8枚ブロックに対して単調な攻撃に終始していた京都だったが、後半、工藤浩平が投入されてから一変。工藤の相手を揺さぶるパス出しに石櫃洋祐がよく駆け上がって呼応し始めると、とたんにダイナミックで大胆な攻めが出始めた。工藤はいわゆる「クラッキ」ってやつだ。意味はポルトガル語で「最高の選手(by野々村芳和)」、言葉の響き的には、硬直した局面を壊せる選手…みたいなイメージ。工(く)ラッキの登場+ドウグラスが中央に入って競る場面をつくることで、停滞していた攻撃は見事に回った。得点シーンも工藤から石櫃に出して、クロスをドウグラスがドン! 相手が引こうがどうしようが、ピッチに立つ選手たちは活き活きと躍動するようになった。
 だからこそ、なのである。だからこそ、なぜそれが最初から出せないのか、と。工藤浩平のような稀有なプレーヤーを最初から使わなかったり、ドウグラスをサイドに置いてパワフルさの持ち味を消したり、ちょっとずつシェフの素材の料理法が間違ってる気がしてならない(多くの場合は後半から適正な料理方法ができているが)。これで後半の得点数/失点数は11得点/4失点。前半悪くとも後半から牙を剥き、どんな形であろうと相手を上回れるのであれば、昇格するにふさわしいチームだと思う。すなわち、今日みたいなゲームを勝ちきることができれば…。「惜しいなー」「もうちょっとだなー」と言っているうちにプレーオフ圏内ラインは遠のいていくのです。


〈京右衛門的採点〉
オ  5.5 …失点シーンは何もできず。池元のシュートストップなどその後は安定。
石櫃 5.5 …前半は拙速なクロスを連発したが、工藤投入後躍動し同点弾をアシスト。
酒井 5.5 …相手の縦パスには苦慮も、後半早々のピンチを潰すなど、カバーリング○。
バヤリッツァ 6.0 …広範囲に動きながらの潰しに存在感。失点後果敢に前に出て鼓舞。
駒井 6.0 …相手の縦パスに機動力で対応。山瀬との連携が良く、何度も敵陣に侵入。
中山 5.5 …守備専任気味に、最終ラインをよくカバー。プレスが連携せずパスの出所潰せず。
田中 5.5 …前向きの動きは自在で広いが、プレスのかけ方が雑。当たりに行くだけ。
ドウグラス 5.5 …前半は窮屈そうだったが、中央に入ると競り合いでパワーを発揮。
山瀬 6.0 …駒井とのコンビで前半から積極的な崩し。大黒へのラストパスなど存在感みせる。
横谷 5.0 …相手のブロックを前に存在感薄。つなぎ役としても無難なパス回しのみで怖さなし。
大黒 5.5 …後半の絶妙な駆け引きからのシュートミスは痛恨。巧さは見せ続けたが。
---------
工藤 6.5 …単調なパス回しに変化を付け、流れを大きく変える。相手のパスへの読みも鋭。
田村 ――
石田 ――
---------
川勝監督 5.0 …相変わらず先発が不完全燃焼。修正は適切だったが勝ちきれぬ「何か」。




2014 J2第28節 讃岐vs京都

2014-08-24 | 蹴球

カマタマーレ讃岐△2-2△京都サンガF.C.
42'木島良輔
48'木島良輔
            51'山瀬功治
            (assist駒井善成)
            57'大黒将志
            (assist横谷繁)


■劣る守備操作線
 讃岐を率いる北野誠監督は、見事なまでの弱者の兵法を披露した。自陣に人数を掛け堅陣を築いて、「ここぞ」という瞬間があれば、木島良輔ただ一人を走らせて逆襲。これがものの見事にハマって2得点。京都のCBは、内野貴志と酒井隆介二人掛かりでも木島のキレのある突破を止められず。あまりに不甲斐ない内野に代わって入った田森大己もまた木島に翻弄され…。要するに単純に個の能力が劣ってたということで、これじゃあとてもじゃないけどJ1のFW相手には勝負できそうにもないなぁ、と。実は川勝監督になって「守備は整備されている」と何となく言われてきたが、基本的に個で当たりに行く守備で、さほど組織的に整ってる訳でもない。1失点目は内野がラインをブレイクした状態で木島に当たりに行って躱された。つまりは組織として最終ラインを操作できていなかった。あとは、2人以上いれば互いに連携して外に追い出すとか、遅らせるとか、まぁそんなこともあまりなく、要するに個が個を止めに入っるだけ。もっと言えばボランチのカバーリングの動きの乏しさも絶望的。
 いずれにしても讃岐の戦いぶりは見事で、「自分たちは弱者。だったらこうやって勝ち点を取りに行く!」という自らの立ち位置を割り切った上での戦い方だった。そう、正しく自己評価できてないといつまでも勘違いした戦い方から脱しない。まず「自分たちは強くない」と理解することから始めましょうかね、京都は。

■丸亀城の石垣、崩せず
 相手にドン引きされてしまうと、強豪でもなかなか崩せないもの。それをどうやって崩すか?は現代サッカーにおける最大の難問の一つだろう。京都はボールを持てても、高い高い丸亀城の石垣の周りをぐるぐるとパス回ししているだけ。(ちなみに丸亀城の高石垣は本当に素晴らしいのですよ!)。京都の攻撃はアイデアも迫力もダイナミックさも欠いていた。結果的に山瀬功治のラッキーゴールと、それに動揺した讃岐の隙を突く横谷繁の斬り込みから同点にまでは追いつけた。以降圧倒的にボールを持って攻め立てたものの、最後まで丸亀城は崩せず。
 解せない采配もあった。ひとつは工藤浩平を下げたこと。工藤は横谷が入ってからはどんどんゴールエリア内に侵入し、壁を突き崩す蟻の一穴になる動きを見せていた。それを放棄してまで入れたのはドウグラス。うむ。わかる。前線に高さを加えてハイボールからも崩そうというのだろう…と思いきや、ドウグラスのポジションは工藤と同じ右サイド…。
 指揮官には指揮官の思い描く「フォーメーション」があって、そこに選手を当てはめてるんですね、たぶん。あまりにも采配が高尚すぎて拙者のような素人には理解できなかったです、はい。勉強不足ですね、はい。


〈京右衛門的採点〉
オ  5.0 …2失点ともにかすりもせず。ちょっとあっさりやられすぎ。
石櫃 5.0 …クロス精度悪し。敵の前でジャンプするだけのアリバイ守備も勘弁。
酒井 4.5 …木島の切り返しに対応できず。内野との連携も悪く、良さが出ず。
内野 4.0 …手癖悪いファウルにフィードミス、木島にズタズタと、散々な出来。
駒井 5.5 …ミスも多かったが、攻守にギリギリの所に入ってプレーできていた。
田中 5.5 …よくボールに触ったが、サイドチェンジはミス多。攻→守の切り替えは遅い。
中山 4.0 …長パスの精度が悪く2失点目の起点になるパスミス。最終ラインのカバー意識も低。
工藤 5.5 …前半はイマイチだったが、横谷と呼応して敵陣に忍者のように侵入するように。
山瀬 5.0 …打開しようと単騎突破目立つのがチームが苦しい証拠。シュート精度も相変わらず。
石田 4.5 …ボールを受けても前向けず。引いた相手に対して何もできなかった。
大黒 5.5 …同点弾ボレーは見事。シュート意識は高く、周囲を使う意識もあったが。
---------
田森 5.0 …木島の切り返しにあっさり躱されて失点。その後は落ち着いて守ったが。
横谷 5.5 …ピッチの支配者になり流れを変えてナイスアシスト。登場から30分で動きが落ちた。
ドウグラス 4.5 …起用法に問題あるも、あまりボールに絡めず、簡単なパスミスも目立つ。
---------
川勝監督 4.0 …危うく21位讃岐に寝首を掻かれるところ。3枚目の交代は凡人には理解できませぬ。




2014 J2第27節 京都vs大分

2014-08-17 | 蹴球

京都サンガF.C.△2-2△大分トリニータ
           38'風間宏矢
47'石田雅俊
(assist田中英雄)
56'石田雅俊
(assist―――)
           86'後藤優介

■第3の…
 第3の~~といえば「第3のビール」とか、最近では「第3の洗剤」なんてのも登場するように、第3勢力を表すことばになりつつある。関ヶ原の合戦の時、「家康か?それとも三成か?」という局面で、九州において独自の動きを見せた黒田如水なんかも「第3の」男だった。要するに、主要な勢力とはちょいと違う価値観で勝負する、そんな存在である。サッカーにおける第3の…といえば、第3の動きをおいてほかにない。ボールの出し手(第1)→受け手(第2)という関係性が最もシンプルな関係であり、そこに第3の動きを取る選手が加わることで、攻撃に厚みが出る。
 新監督になって改築工事中の京都の攻撃が単調なのは、パスワークが第1→第2で終わってしまうところだろうか。今日は工藤浩平が入ったことで、彼自身が第1の動きも第2の動きもこなし、さらに第3の動きを狙うシーンもあったため、工藤が絡めは攻撃に幅はできた。ルーキー石田雅俊の先制シーンでは、田中英雄→石田の関係性から石田が相手を躱してシュートを打つのだが、工藤は石田の前を長躯斜めに横切って相手を攪乱していた第3の動きを見せている。
 A→B(Bは大黒将志である場合が多い)で終わってしまうのではなく、Cが絡める攻撃を、第3の監督(=3番目の監督)は、どれだけ増やしていけるだろうか?

■石田と内野
 札幌戦からスタメンを掴んだ若武者・石田。特筆すべきは、シュートへの意欲の高さもそうだけれど、リズムを変調させる独特の間合いではなかろうか。まだまだ身体の脆弱さはあるものの、高い位置で預けても独特の間合いでキープしつつ、テンポの変えるようにボールを捌いていくプレーは見る者を唸らせる。経験を積んで周囲との共通理解を深めれば、「石田の変調」は大きな武器になりうると感じさせるほど、光っていた。
 もうひとり札幌戦からスタメンの内野貴志は、高松大樹のポストプレーにまんまとしてやられて痛恨の同点ゴールの糸口を作ってしまった。前半から林容平へのマークを貫徹し、球際での強さはあった。がしかし、いわゆる「FWとの駆け引き」で相手に釣られてしまい持ち場を空けるシーンも散見。林に代わった老獪な高松は、内野を誘い込んでPKを狙ってみたり、初手から駆け引きの部分で優位に立っていた。単純にボールを跳ね返す・ボールに当たるだけならば、内野は強い。ただ、騙し騙されの最終ラインの攻防は、まだまだ…。大黒vs大分守備陣も含め、このゲームはFWとCBの駆け引きに見応えが多ございました。まだまだ勉強でござるよ。


〈京右衛門的採点〉
オ  5.5 …ミドルやシュート、クロスへの対応は安定も、バタつく最終ラインは防げず。
石櫃 5.5 …1失点目中で慌てて相手にアシスト。クロス精度は終盤にかけて上がっていったが。
酒井 5.5 …中を空けて左に流れて失点。後半はカバーリング冴え、縦パスをよく跳ね返す。
内野 4.5 …林へのマークはよく食い付いたが、不安定。高松に決定的な仕事を許す。
駒井 5.0 …ポジショニングが悪く1失点目は裏を使われボールウオッチャーに。終盤は攻撃で目立つ。
田中 5.5 …パンチのあるミドル、ボールへの執着心などよく目立つ。なぜか最終ラインを前から統率。
中山 5.5 …「田中の相棒」としていい距離感でバランスを取る。ピンチにはよくバイタルを消した。
工藤 6.0 …前からのプレス、パス出し、受ける動き、フリーランと、工藤が絡むと攻撃が多彩に。
山瀬 5.5 …気迫あふれる仕掛けやシュートをみせたが、やや力みが強くスムーズさを欠く。
石田 6.5 …2得点は積極的に狙うシュート意識の賜物。独特のリズムのキープ&球捌きにWKTK
大黒 6.0 …2点目のGKへの追い込みは1点モノ。常に狙う怖さ見せるも、89分の決定機逸は残念。
---------
ドウグラス 5.0 …中盤で収めてシュートに持ち込んだくらい。周りが生かせてないのか、そういう戦術か…。
伊藤 ――
---------
川勝監督 5.5 …内容はここまでで一番良かったが、交代が功を奏さず、勝ち点2を失った感。





2014 J2第26節 札幌vs京都

2014-08-10 | 蹴球

コンサドーレ札幌●0-1○京都サンガF.C.
            70'大黒将志
            (assist石田雅俊)


■攻撃重視の目線から
 札幌に圧倒的に攻め込まれながらも、数少ないチャンスをモノにして1-0で勝ったというこの試合。見る人の志向が攻撃的なのか守備的なのかで、見え方は違うかと思う。
 攻撃の目線から見れば、一番気になったはビルドアップの出来てなさ。攻撃の糸口はほぼ山瀬功治の打開力頼みで、組織的な意図としてボールを動かすこと、攻撃を組み立てることはほとんどできなかった。例えば63分くらいの場面。山瀬が中央に絞り、山瀬が空けた左サイドには駒井善成がスルスルっと進出、ボールが出てくるのを待っていたが田中英雄はそこを使うことなく、ボールを後ろに戻した。両ボランチからの攻撃的な配球がないため攻め手は限定された上、パスの繋ぎは足元中心。スピード感や躍動感のある攻撃はなかなか出てこなかった。
 例外はワンチャンスをモノにした得点シーン。引いてきた大黒将志が受けて前を走る石田雅俊へ。石田は相手を引き付けるだけ引き付けて、テクニカルにボールを捌いてからの大黒へのラストパス。それをスパッと決めた大黒も見事だったが、このシーンでは、囮となって札幌守備陣に大穴を開けされた山瀬のフリーランも忘れてはならない。3人だけでも相手を見事に崩した得点だった。

■守備重視の目線から
 守備の目線から見れば、よく粘り込んだゲーム。最少得点差で勝つことに価値を見いだすカテナチオの国ならば、賞賛されるのかもしれない。幸運もあった。1つは札幌がシュートミスで散々決定機を逸してくれたこと。もう1つは前田拓哉主審はコンタクトプレーを流すタイプで、エリア内で酒井隆介らの際どいチャージに笛が吹かれなかったこと。球際での厳しさでどうにか凌ぐうちに得点が入った。逆に圧倒的に攻めていた札幌はこの1点で精神的にもガクッときたのか、急激に運動量が落ちた。運動量でいえば駒井や田中を中心に京都の走力は衰えず、交代で入った選手もそれぞれ守備をサポらずに走り切って、粘り勝ち。
 ただし、不安な点も。田中が単独で相手に当たりに行くため前半はプレスに連動性を欠いたこと。左右両サイドバックの裏への対応力が弱く、両翼を散々衝かれたこと。そして内野貴志のラインコントロールの拙さ。それぞれ欠点は抱えている一方で、田中のコーチング力は素晴らしいし、駒井には活動域の広さと危機察知能力があり、内野のハイボールへの強さは特筆モノだった。欠点より長所が目立つようになればいいが…。
 このチームには、点を奪えないといつか破綻しそうな危うさがある。これを解消するためには、やはり攻撃が点を奪うこと。攻と守の両輪のバランス、まだまだ改善の余地はありそうナリ。
 

〈京右衛門的採点〉
オ  6.5 …終始安定したセーブ。後半の都倉のシュートのビッグセーブは1点モノの働き。
石櫃 5.5 …出足がよく攻撃面での鋭さはあったが、背後は甘かった。球際ではよく身体張る。
酒井 6.5 …速力全開で突破を許さず。空中戦での当たりも強く、頼もしい限り。
内野 6.0 …陸上戦は怪しい動きもあったが、空中戦(浮いた球)はほとんど競り負けず。
駒井 6.0 …ポジショニングが出鱈目なのだが、走力+危機察知力で凌ぐ。終盤も運動量落ちず。
田森 5.5 …よくボールは回収していたが、それだけ。プレスがかからず、組み立ても出来ず。
田中 6.0 …活動域は広いが、その分穴にも。コーチングを飛ばして周囲をよく走らせた。
中山 6.0 …前半はタメをつくったり粘り込むプレー。後半はボランチとして泥臭いプレー。
山瀬 6.5 …動きにキレがあり単独で打開。時間とともにプレーのキレは落ちるも、闘志は衰えず。
石田 6.0 …アシストはデビュー戦とは思えない落ち着きぶり。前半のオフサイドも、その意気や良し。
大黒 6.0 …プレスの方が目立つくらい中盤に降りてきていたが、ワンチャンスを射貫くスナイパーぶり。
---------
伊藤 6.5 …攻撃面も守備面も積極果敢で、左サイドを活性化。最後まで粘り強かった。
ドウグラス 5.5 …トップ下ながら担った潰れ役。アバウトなクリアを収め守備を助けるプレー。
福村 ――
---------
川勝監督 5.5 …試合内容では札幌に圧倒されるも、前節の喝が最後までチームを走らせた。課題は多い。




2014 J2第25節 京都vs水戸

2014-08-03 | 蹴球

京都サンガF.C.△1-1△水戸ホーリーホック
55'田森大己
(assist――)
           63'吉田眞紀人

■微妙
「特に良くもない」ことを「悪い」と言わず「微妙」と表現する日本語の奥ゆかしさにむずがゆさを覚える真夏の3連戦ラストの3戦目。選手を入れ替えながら戦ってきた水戸の方がどうもお疲れだったようで、前半はボールホルダーに寄せる動きがとにかく少なく、深海魚のように動かなかった。京都の出足の良さが目立ったのも、新加入・田中英雄の機動力が無尽蔵に見えたのも、水戸が悪すぎたゆえのことだろう。連戦をほぼ同じメンバーで戦ってきた京都にしても、動きは多くはなかった。お互い低調な出来だったが、京都はあれだけ悪かった水戸を叩けのめせずハーフタイムまで生かしてしまったのがこのゲームの分かれ目だった。悪い相手を叩きのめせるしたたかさがあれば…と心から思う。
 水戸は柱谷哲二監督の檄によって後半から息を吹き返し、先制されてもゴールに向かう執念が実を結んで同点に追いついてアウェイで引き分け。京都としては、攻めあぐねて勝ちきれないというまたしても「微妙」な結果となった。

■オオグラス
 得点を奪うべく京都が打った手は以下の通り。ドウグラスの投入(…中央において基点を増やす狙い?)、福村貴幸の投入(…駒井善成を右ワイドに回す)、横谷繁の投入(…中盤の収め所増加とビルドアップ?)。ドウグラスについては福岡戦で下がり目の基点役が効いたのだが、その後大して威力を発揮できず。この試合でも布陣の頂点にいる大黒将志との関係性がどうもハッキリしなかった。ドウグラスは大黒を立てようとして気を遣って右に左に動き、さらに時々最前線まで田中が入り込んでくるもんだから、ボールの収まり所が複雑化。最後は横谷まで入れてしっちゃかめっちゃか。
 それにしても大黒+ドウグラスのユニット“オオグラス”の関係はこれがベストなのだろうか?シンプルにドウグラスが一番前で構えて、大黒が飛び出す形の方がいいのじゃないか?いや、今日程度の出来なら大黒じゃなくてあの選手とかあの選手でもいいんじゃないか?
 そんなこんなで、特に書くことないです、川勝サッカー。普通すぎて。


〈京右衛門的採点〉
オ  5.5 …後半守備機会は増えたがあまり安定せず。失点場面はコーチングできず?
石櫃 5.5 …攻め上がりから何度かいいクロス送ったが。守備は当たりに行くか裏をケアするかハッキリと。
酒井 5.5 …危険なクロスをクリアなど、集中。スリッピーなピッチに苦慮しながらも中央は締めた。
バヤリッツァ 5.5 …後半から活性化した水戸の攻撃をよく跳ね返す。良いフィードあり。
駒井 5.5 …挑む姿勢は攻撃面で光ったが、守備で鈴木隆行と当たるのは分が悪かった。
田森 5.5 …田中が自由に動くためカバー役に徹する。こぼれ球を蹴り込んで先制弾。
田中 5.5 …中盤の底から最前線まで広範囲を活動して帝王のように君臨した。そういう役目?
伊藤 4.5 …持ち前のドリブルも発揮できず、パスもシュートも精度が低く低調。
山瀬 5.5 …一番の攻め所にはなっていたものの、時間が経つごとにプレーの正確さが落ちる。
中山 5.0 …田中のためにスペースを譲る謙虚さ。サイドに張ってから存在感あったが、精度低し。
大黒 5.0 …ボールが足に付かないシーン多く、ゴール前やフィニッシュで精度を欠く。
---------
ドウグラス 5.0 …トップ下に入るも存在感薄。ロングボールに競る場面では迫力を見せかけたが。
福村 5.0 …いつになく果敢な上がりからクロス、シュートを放つも不正確。
横谷 5.5 …散らし役+最前線に入り込む役目だったが、大黒やドグとかぶった。
---------
川勝監督 5.0 …前半低調すぎた水戸を崩せず。先制しても勝ちきれず。交代策もハマらず。ラズベリーは酸っぱい。