二条河原の楽書

京都サンガF.C.を中心にJリーグを楽な感じで綴るサッカー忘備録(予定)

2011J2第23節 京都vs鳥取

2011-07-31 | 蹴球

京都サンガF.C.○1-0●ガイナーレ鳥取
■ゲリラ豪雨って嫌ですよね
 この季節は、局地的に発達した雨雲がザッと大雨を降らす“ゲリラ豪雨”があまり歓迎されない風物詩だ。この試合の直前も京都市内をゲリラ豪雨が襲ったのだが、あの雨の厄介なのは、こっちが準備できないタイミングでドッと降り始めて、「これでもか!」ってくらいに降り付けることなのである。
 つまり、相手の準備が整う前にドッと攻めることが、相手にとってどんだけ嫌なことなのか、って事なんである。
 相変わらず大木サンガはポゼッション重視で、ひと頃に比べるとコンビネーションも随分上がってるので、ボールは回せる。だけど、回してる間に相手は準備できてしてしまう。重要なのは、“相手の準備が整う前に”って事。

■駒井が見せた模範解答
 となると、ボールを奪う位置と、攻めへの反転のスピードが大事なのである。象徴的なシーンがあった。
 ハーフウェーラインより高めの場所で相手(ハメド?)がもたついてる所を中山と駒井が囲み、駒井はつまづきながらも強引に奪い取ってそのままドリブル。一気にシュートまで持っていった。It's Simple。シンプルだけど、速い。結局、ゲリラ豪雨のような“相手にとって嫌”なのはこの攻めなんじゃないか。最終ラインからビルドアップする時は、パス回して繋いで行ってもいいけど、ショートカウンターになりえる場面は、シンプルでいい。
 ハッキリ言って、内容的にはあまり京都の出来の良くなかったゲーム。鳥取はあまりにもビッグチャンスを外してしまった。京都は命拾い。
 命拾いでヒヤヒヤした感覚は忘れずに、一撃で仕留めるくらいゲリラなショートカウンターに磨きをかけてほしい。


〈京右衛門的採点〉
水谷 5.5 …止めてた(逸らさせてた)けど、結構不安定でもあったような…。
酒井 5.0 …攻めてる時にボールロストしたり、ペナ内で振り切られたり…。
秋本 7.0 …今日のゲームに関しては、秋本の守備で守り切れたようなもん。
森下 5.5 …守備よりも攻撃で見どころ多し。あとはアンカーとのコンビネーション。
チョンウヨン 5.5 …もっとキッチリと穴埋め作業を。バイタル使われまくってた。
駒井 5.5 …不得手の守備もがんばって、反転攻勢かけてたけど、もう一つ。
安藤 6.0 …攻守によく効いてた。ようやく本領発揮か?
内藤 4.5 …存在感なし。
中山 6.5 …ナイスな飛び出しとガッツあふれるプレーでチームを鼓舞。
ドゥトラ 6.0 …キレもあったしチャンスも作れてた。もっと見たかった。
伊藤 6.5 …勇敢なチャレンジで右サイドを切り裂いた。
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久保 5.5 …復調気味。シュートまで持っていけてるが、あとは決めるだけ。
宮吉 4.5 …今週のガッカリさん。守備は後手後手、当てるだけの大チャンスは外す…。
ハウバートダン 6.0 …今週のビックリさん。多少雑だが終了間際のプレーとしては全然アリ。
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大木監督 5.0 …運に助けられたが、内容は締まりのないゲームに。

2011J2第22節 鳥栖vs京都

2011-07-24 | 蹴球

サガン鳥栖○2-1●京都サンガF.C.

■基本、守勢の方が有利
 守備に回った方が、だいたい対策は立てやすい。ちょっと小高い丘に立って、相手の布陣を見てから、わざと攻めさせてどんな具合かを瀬踏みした上て、こっちの出方を決めればいいからだ。ただし、相手がおそろしく強い場合は通用しないが…。
 この日の鳥栖は、そんな感じだった。京都の雨あられのようなパス攻撃を受け流しつつ、少ないチャンス一発に賭けた。それが奏功し、2得点。もちろん、2得点とも京都がちゃんとディフェンスできれば、失うことのなかった失点だが、一撃で仕留める精度はたくましい。守勢からわずかな手数の攻撃でリスクを最小限にして敵の大将首を奪っていくような、そんなサッカーだった。シュート数は鳥栖6-13京都。メンタルさえ上手くコントロールできれば、攻めてる方が有利とは限らない。


■問題はギアチェンジ
 京都の内容は悪くはなかった。攻守の切り替えも早く、相手を凌駕していた。ただし、ボールを回しすぎ。3つ繋げば充分相手の陣形も崩せるだろうに、5つ6つ繋ぎ続けて、自らバランス崩してしまう。せっかく早いプレスから奪って、素早く前に展開しても、そこからパス回しで時間を使ってしまったら、相手の人数も整ってしまう。4速に入ってるのに、2速に落としてしまっているような印象。ケースバイケースで、シンプルにフィニッシュまで行くことがあってもいいんじゃないだろうか。
 あとはドゥトラと久保の使い方。二人ともそれぞれボールに絡めば確実にチャンスに繋げるスーパーな選手。彼らが一番能力を発揮できるような状況をいかに作るか?そのために走ってほしいのが中山であり安藤であり、内藤なんだけど…。
 一枚物足りない気がする。


〈京右衛門的採点〉
水谷 5.5 …2失点は止めるの不可能。よくがんばっていた。
酒井 5.5 …身体張ってたけど、1失点目の場面は豊田の前で触らなくちゃいけない。
秋本 5.0 …いるんだかいないんだかの存在感。いい事のような悪い事のような…。
森下 5.0 …オウンゴール献上に2失点目の対応ミス。なんだかな~
チョンウヨン 5.0 …2失点目は、完全なミス。CKも明後日。FKでようやく面目保ったが…。
駒井 5.5 …動きはすごくいい。ただ、個の強さがなくて、1失点目の原因の突破を許す。
安藤 5.5 …いい所で顔出してた。終了間際のチャンスは決め手ほしかったなぁ。
内藤 5.0 …大体消えてた。ミドルはいいんだけどね…。
中山 5.0 …何やら中途半端なポジションで役割も不明確。出す方?受ける方?
ドゥトラ 6.0 …相変わらずキレキレなサムライ。チャンスは必ず彼経由。
宮吉 5.5 …前半は噛み合わず。後半ようやく動きがハマってきた。
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久保 5.5 …復調気味。シュートまで持っていけてるが、あとは決めるだけ。
中村充 ――
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大木監督 5.5 …内容は悪くなかったのに、結果はついてこない。

2011J2第21節 愛媛vs京都

2011-07-18 | 蹴球

愛媛FC●0-2○京都サンガF.C.

■苦境を楽しむチカラ
 なでしこジャパンは、常に劣勢だった。もう背後から槍やら刀やら突きつけられてるような状況に耐え、逆境と紙一重の場所にチャレンジを繰り返し、わずかな光明をたぐり寄せるようにして2度追いついた。何というたくましさか。一番驚かされたのは、PKに入る直前に監督が笑い、選手たちも「このギリギリの状況を楽しんでやる」って覚悟。技術もゲーム運びも女王・アメリカが格段に上だったが、精神的優位に立ったのはなでしこだった。苦境に立たされた時、いかに振る舞えるかということを思い知らされた。おめでとう!なでしこ!


■苦境をチカラにしたプロクラブ
 その熱狂も醒めやらぬ夜、台風も迫るニンジニアスタジアム。京都は得意のショートパスの応酬から早々の時間帯にドゥトラが決めた。攻守に選手はよく走り、気合いの糸も途切れなかったが、すぐにカードをポッケから出してしまう主審の笛と、酒井・ドゥトラの怪我というアクシデントに見舞われた。たが、この夜の京都はピンチになればなるほどチカラが湧いてくるようだった。スクランブル的にCBをやった安藤の出来だとか、2点目を生んだ森下の果敢なオーバーラップとか、10人になっちゃってからのチーム全体に満ち溢れた気合いとか…。
 やればできる!と思った。若いチームは何かのキッカケで“乗る”ことができるけど、もしかするとそういう試合になったかもしれない。ついに宮吉も復帰した。…でもこのタイミングで、一番調子のいいドゥトラが負傷退場したのは痛すぎる。


〈京右衛門的採点〉
水谷 6.5 …パーフェクト。枠外シュートにもきっちり対応。
酒井 6.0 …身体を張って、フィードも良かった。怪我は軽そう。
秋本 6.0 …最終ラインでどっしり構えて潰し屋。斎藤には手を焼いたか。
森下 6.5 …ナイスなプレー多。4バック気味になった時は積極果敢。
チョンウヨン 6.0 …アンカーの複雑な動きはスムーズ。やや不安定さもあるが良かった。
駒井 6.5 …攻守ともに動きはピカイチ。2点目は見事。守備はちょっと怖かった。
安藤 6.0 …酒井負傷で後半からは右CB。これが無難どころか素晴らしい出来。
内藤 5.5 …ボランチの前で浮遊してたが、消え気味。
伊藤 6.0 …常に献身的で積極的。2枚目のカード(距離不足)はもったいない!
ドゥトラ 7.0 …自分で突破でき、視野も広く、FKも狙える。負傷が残念。
中山 6.0 …愛媛の最終ラインが「嫌な」ことを繰り返した。守備も良い。
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宮吉 5.5 …“斜め”な動きで裏を狙う。ちょっと意図が合わなかった部分もあり。
久保 5.0 …あまりゲームの流れに入って行けなかった。
ハウバーダン 6.0 …しっかり前線でキープして時間を使う。終了間際の模範解答。
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大木監督 6.0 …1点目は大木イズムの体現。アクシデントにも采配で対応できた。




2011J2第20節 京都vs栃木

2011-07-10 | 蹴球

京都サンガF.C.△1-1△栃木SC

■士気
 今日はもうこれにつきるだろう。なでしこジャパン1-0ドイツ女子代表。見る者を感動させてくれたなでしこたちの勇敢な戦いっぷりの背景にはこういうことがあった模様。
http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2011071000039
> 試合前のミーティング。佐々木監督は選手に東日本大震災のビデオ映像を見せた。
>「本当に苦しいときには、被災地の人を思って踏ん張れ」。
>そのイメージは鮮烈だった。序盤からスピード、高さで上回るドイツに
>再三ゴールに迫られながら体を張り、耐えていく中で攻撃の糸口をつかんだ。

 チームが人間の集団である以上、そこに人間の“気持ち”がある。そして人間は誰一人同じでないから、20人いれば20通りの気持ちがある。それをいかに一つにまとめるか?いかに高いモチベーションに保つか?指揮官の大きな役目はそのことだ。なでしこの佐々木則夫監督は見事だった。指揮官とは「士気官」。士気をコントロールできれば、もはや細かい戦術の指示などは不要なのである。

■士気2
 そんな試合を見たあとの京都vs栃木。もう随分士気が低く見えて仕方なかった。両チームとも「戦う」んじゃなくて、「試合をやる」ことに終始してた。そりゃ暑かったさ。ぼーっとしてヤル気なんて湧いてこないような酷暑。それでもお客を入れてゲームをやっている以上、ある程度戦って欲しかったか…。
 ずいぶんと士気が低くて、京都の失点も、そしてロスタイム終了間際の栃木の失点もその「ゆるさ」から生まれたような失点だった。得点目線じゃなくて、失点目線から騙るのが適切かと思えるほどの、一つの不甲斐なさを感じずにはいられないのだ。
 そろそろリーグ戦も中盤にさしかかり、間延び気味の時期。士気を保つことは難しいんですかね。


〈京右衛門的採点〉
水谷 5.5 …苦しい時間にナイスセーブ。地味ながらいい仕事ぶり。
酒井 5.5 …よく前に出て積極的だったが、失点場面は×
秋本 5.5 …よく我慢したが守備範囲の狭さ、遅さが気になった。
森下 5.0 …左サイド使われまくり。カードももったいない。
チョンウヨン 5.5 …局面での潰しの場面は効くが、展開力は生きず。
駒井 5.0 …SB気味のポジションをこなしてたが、攻撃は中途半端。
安藤 5.5 …効果的なパスカットとカバーで出来はまあまあ。
内藤 4.5 …終始消え気味。前半フリーのシュートは決めたかった。
伊藤 5.0 …チャンスは作るが、それだけ。プロの壁に当たってる印象。
ドゥトラ 5.5 …出来は悪かったが、得点への執念は一番。それが実った。
中山 5.0 …使われないままチャンスに絡めず。それでも守備では○
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中村太 5.0 …ボールは引き出せたが、ラストパスやシュートははちゃめめちゃ。
中村充 5.0 …ボールを散らしたがビッグチャンスものにできず。
ハウバーダン ―
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大木監督 4.5 …どうしてこんなに選手の士気が低いのか?

2011J2第19節 岐阜vs京都

2011-07-03 | 蹴球

FC岐阜○3-2●京都サンガF.C.

■釣野伏
 つりのぶせり。薩摩の島津が得意とした戦術で、いわゆるところのカウンター。普通のカウンターじゃなくて、相手に「おや?手応えないな…」と思わせて深入りさせた所に伏兵置いて、しこたま叩く。世の中そんなに上手くいくはずは…と思ったが、今夜の岐阜はまるで釣野伏仕掛けてるんじゃないかと思うほどに見事な豹変ぶりだった。
 京都にとっては、序盤から優位にゲームを運べてしまったのが、終わってみれば「罠」だった。早い時間に2得点したが、チョンウヨンのミドル、CKから押し込んだ秋本のゴールともに、決して相手を崩してうばった1点ではなかったのだ。ところが、簡単に点を奪えてしまった。ここに慢心が生まれるのが人間の弱さ。優位なままに結構無理矢理な突破を試みたり、中盤で相手をルーズにしたり、かなり大雑把になってしまう。たぶんこれは岐阜側は意図した試合運びではない。しかし、京都は自ら精神的な破滅に近づくかのように、フラフラと相手の前に出た。簡単な言葉で言えば、「相手を舐めた」状態。岐阜が何度か槍を突き返すうちに簡単に失点を繰り返し、優位だったチームは破滅した。


■悪い意味で、青侍
 結局は「チャレンジャースピリット」を持ち続けられるかどうかなんだと思う。攻撃サッカーが機能しはじめて、見てて面白いサッカーになってきたと思ったらこの有り様。相手に挑みかかる気持ちを見せたプレーがいくつあっただろう?北九州や鳥取とやった時と同じで、明らかに相手がチャレンジしかかってきて、こちらは精神的に遅れを取っていた。
 それでも、2点取った時に「おいおい、おまえらちょっと待て。あまり深入りするでないぞ」と締められる武将…じゃなくてベテランがいたら違っただろう。
 若さは無限の魅力を秘めているが、無限の脆さを秘めていることも証明した一戦だった。



〈京右衛門的採点〉
水谷 5.5 …いいセーブもあったが、最終ラインの崩壊を止められなかった。
酒井 4.5 …走り負けて相手左サイドにいいようにやられた。
秋本 5.5 …ゴールは良かったけど、守備は一歩遅れまくり。
森下 5.0 …完全にマーク外されてるシーン目立つ。2失点目とか。
チョンウヨン 5.0 …ゴール以外は悪い出来。バイタルをスカスカにしてしまった。
加藤 4.5 …何ともお粗末。ウヨンとの連携も悪すぎて、相手を自由に。
中山 5.0 …攻守に消えてしまった。まったく目立たず。
内藤 5.0 …守備の方で顔出してたが、攻撃で有効なパンチ出せず。
伊藤 5.5 …数少ないチャレンジが効いてた一人。枠に飛ばせば。
久保 5.0 …身体のキレが悪く、さすがに疲れていると感じてしまった。
駒井 4.5 …突破はほぼ中途半端で、後ろに戻す。それじゃ相手は怖くない。
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ドゥトラ 4.5 …何もできず。本当に何もできなかった。
安藤 5.0 …バタバタしていたゲームを落ち着けることができなかった。
中村充 5.0 …これまた何もできず。味方も彼の役割を理解してなかった。
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大木監督 4.5 …完全に采配ミス。2-0から勝てないのは言い訳できない。