二条河原の楽書

京都サンガF.C.を中心にJリーグを楽な感じで綴るサッカー忘備録(予定)

2013 J2第16節 山形vs京都

2013-05-26 | 蹴球

モンテディオ山形●1-2○京都サンガF.C.
44'中島祐希
           87'久保裕也
           90+4'工藤浩平

■スピード
 この日早朝に行われたチャンピオンズリーグ決勝を見て、ドルトムントとバイエルンのスピード感に圧倒された。とにかくボールを持ってからの判断が速い。いや、彼らは判断を下す前からある程度オートマチックに動いていて、奪う瞬間直前に次のルートを判断してボールを動かし、それが次から次に連動するから、「考える時間」が短縮されて速さが出る。
 決してスピード面でJが欧州に劣ってるとは思わないけれど、7時間後に見た山形と京都の試合は、比較対象とするには余りにもスピード感や疾走感に欠けていた。それでも山形の方は奪ってからはそれなりに速く、奪って即FWを走らせるショートカウンターは直線的で冴えがあった。先制点に至るまで、山形は何度も似たような形でショートカウンターを重ねていたのだ。京都はバヤリッツァを中心によく耐えていたが、前半終了間際の中島祐希は見事だった。姜成浩のフィードが横谷繁に収まらないところを奪い、そのままダイアゴナルに突っ切り、染谷悠太を鎧袖一触で置き去り、福村貴幸を躱して、フェイントをかけてドン。奪ってからの切り替えの速さ…ってのは京都の十八番だったはずなのだが、相手にしてやられてしまった。原因はハッキリしている。京都が遅いからだ。遅いから読まれて奪われるのだ。


■時間
 時間は誰にでも平等に与えられている。けれど、24時間を上手く使える人と、24時間を無駄に過ごす人がいる。サッカーの90分も同じで、時間を無駄に費やすことほどもったいないことはない。例えば56分。左サイドの敵陣深くで三平和司がボールを受けたが、そこで時間がかかってチャンスは広がらなかった。この日横谷繁は下がり目でよくボールを受けていたが、横谷が受けてもそこから先に流れていかない場面も目立った。もし、横谷を追い越す人がいれば横谷がタメた時間は有効になったのだが、前に回っていかなければ浪費に終わる。もっと根源的な所では、秋本倫孝や姜など中盤の底から前に出す所で迷いがあり、考える時間が長かったり、バックパスを選択したり。京都はこんなにボールを持ってから無駄な時間が多いチームだっただろうか。開幕のガンバ戦で見せていた疾走感今いずこ?という感じだ。
 だけども今朝のCL決勝でもそうだったが、「内容がいいので勝つ」「内容が良くないから負ける」がイコールでないのもサッカーの面白さ。結局勝ちを引き寄せるのは「勝ちたい」と思う気持ちだったりする。山形が70分前後にしての逃げ切りを図る交代をしたのに対し、京都の途中投入の久保裕也と駒井善成はなかなか上手く行かずに不格好だったけれども、アグレッシブだった。特に決勝点につながった駒井のチェイシングはどれほどの賞賛を送っても惜しくない。「じぇじぇじぇ!駒井かっけー!」みたいな?



〈京右衛門的採点〉
 オ 6.5 …安定感のあるセーブで危なげなし。失点場面はノーチャンス。
安藤 6.0 …前半はキレを欠いたが、疲れる時間に前に出て反撃の一翼を担った。
染谷 5.5 …大過はなかったが、クロスへの対応などピリッとしない場面も。
バヤリッツァ 6.5 …奪って、跳ね返して大活躍。出羽三山のように立ちはだかった。
福村 4.5 …あっさりかわされる場面散見。終盤になって前に出たが、積極性も希薄だった。
秋本 5.0 …前に後ろに広い守備範囲をカバーするも、それがゆえに穴を作ったのが失点場面。
 姜 4.5 …判断力が遅く、単純なミスや雑なクリアが目立つ。悪い意味で存在感があった。
山瀬 5.5 …周囲と呼吸が合わず。ボールを持てば違いを見せたが。シュートも枠に飛ばず。
工藤 6.0 …守備はともかく、攻撃に有効に絡めなかったが、最後の最後で決勝点。
横谷 5.5 …下がりながらよくボールを収めファウルをもらいまくったが。決定機は決めたかった。
三平 5.5 …ボールの引きだしやポストプレーに見所あるも、周囲とイマイチ合わず。
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駒井 6.5 …よく走るも空回り気味だったが、諦めない姿勢からボール奪って決勝点アシスト。
久保 6.0 …全ての流れを断ち切る同点弾の一撃は、飢えた目をした飛び道具。
原川 6.0 …それまで欠けていたボールを速く前に運ぶ意識があった。山瀬との関係も良。
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大木監督 5.5 …交代で入れた選手は活躍したが、中盤の構成やスピード感のなさは要再考。





2013 J2第15節 長崎vs京都

2013-05-19 | 蹴球

Vファーレン長崎●0-1○京都サンガF.C.
            17'owngoal

■大砲サッカー
 ちょうど20年前の5月に誕生したJリーグ。その当時サンフレッチェ広島と日本代表で“アジアの大砲”と異名を取った高木琢也が監督を務めるVファーレン長崎。Jリーグ20年で最も新しく加入した新顔チームながら、高木監督はここまで3位と躍進させている。そしてこの日見た長崎の印象は、やはり「大砲サッカー」と表現するのが一番妥当かと思った次第。それに南蛮貿易で栄えた長崎だもの。(歴史の実際は、大砲といえば大分の大友宗麟だったり…)
 京都は、言われるほどショートパスばかり繋いでいる訳でないけれども、やはり槍を抱えて軽兵突撃していくような陸上戦が得意な戦い方なのは間違いない。対する長崎、徹底して空中戦を挑み、京都を押し込んでいく。ボールが京都の中盤を飛び越えて、ガンガン空中から攻めてくる戦いぶりを「大砲サッカー」と言わず、何と言うだろう。特に前半戦の長崎は徹頭徹尾ロングボールでボールを前に運んだ。バヤリッツァや染谷悠太、田森大己が丁寧かつしっかり対応し、最後の最後は守護神オスンフンのビッグセーブで被弾を防ぐ防戦一方にも見えたが、中盤飛び越えてくるのだから致し方ない。むしろ田森を上手く最終ラインに吸収させながら、対空防備したと見たい。
 問題は京都の方のボールの運び方。このゲームでは得意の中盤でのカット→反転攻撃が封じられており、前に運べたのは駒井善成や横谷繁の長いドリブルくらい。得点シーンとなったFKを得たプレーがそうだった。奪ったボールを横谷がピッチ中央を斜めに横切るようにドリブルし、相手の進路妨害で得たもの。形としてはラッキーなゴールだが、福村貴幸のボールに三平和司、安藤淳がしっかり飛び込んだ点も大きかった。


■臨機応変
 それにしてもチャンスが少ないゲームだった。長崎・高木監督が巧みだったのは後半になってロングボール一辺倒だけでなく、古部健太を投入後はサイドからのクロスを多用する空中戦に切り替えてきたこと。京都守備陣はそれでも慌てずしっかり跳ね返してゆく。特にバヤリッツァのスライディングは迫力満点で、どこにでも彼が出てきて食い止める。その背後では染谷がフリーの選手を出さないようにしっかり見張っている。田森、秋本倫孝あたりのチェックも素早く、主導権を握られたなら握られたなりに選手個々の判断で柔軟に対応する粘り強い戦い方。守備の粘りに呼応するように、攻撃面でも糸口を掴む。後半に入ってから「まず三平に預ける」というボールの運び方が徹底された。三平は右に左によく動き、そこでボールを受けることでボールを前に運ぶための足がかりとした。例えば66分、横谷から三平に預け、それを安藤が追い越してクロスを上げたシーン。これは相手に跳ね返されたが、こぼれ球を拾った秋本がミドルを狙う。長崎が京都をしっかり研究して、短いパス交換を寸断されても、こういう「預けて」~「追い越して」という攻撃ならば、網にはかからない。攻撃のチャンス数、シュート数などでは物足りないかもしれないが、相手の出方を個々がよく消化した上で、正しいアンサーを出せた臨機応変さに、チームの着実な進歩を見た。あとは、このゲームの長崎の選手達や秋本のように、隙あらばゴールを貪欲に狙う姿勢をプラスしていきたい。


〈京右衛門的採点〉
 オ 7.5 …長身を生かしたセーブに足技セーブなど、ビッグセーブてんこ盛り。
安藤 6.5 …身体を投げ出してよく防ぎ、少ないながらも攻撃参加は効果的だった。
染谷 7.0 …水際でのピンチのケアが冴えまくり、献身的に長崎の攻撃をストップ。
バヤリッツァ 7.5 …全部跳ね返すような勢いで大砲攻撃を食い止める。その姿、鬼神。
福村 6.0 …隙を見て奪い、攻撃に入る動きは○。ただ、ハイボールの弱さは気になった。
田森 7.0 …最終ラインに入って対空陣形を整え、スルッと前でボールを拾う。地味だが効果的。
工藤 5.5 …反撃を食らうようなミスパスが多かったが、自分で奪い返すなど守備は効いていた。
山瀬 5.5 …よく走り、奪って素早く展開。しかし出したパスはあまり合わなかった。
駒井 5.0 …ドリブルでの単騎突入、ラストパスもあったが、大味。キレてるのにズレてる。
横谷 5.5 …高木采配に消され気味だったが、後半三平と縦関係になってからボールによく絡んだ。
三平 6.0 …前半のビッグチャンスは決めたかった。後半は前線の基点に守備にと存在感あり。
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秋本 6.5 …屈強さを遺憾なく発揮。防波堤となったことで、攻撃陣も前に出れるようになった。
 原 5.5 …山瀬とのコンビネーションなど、アクセントになりかけたが、再度負傷。
酒井 6.5 …緊急発進だったが、左SBとして求められたミッションは全てクリア。
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大木監督 6.0 …粘り強く、アクシデントにも慌ることなかった。特に秋本投入は好判断。






2013 J2第14節 京都vs群馬

2013-05-12 | 蹴球

京都サンガF.C.○2-1●ザスパクサツ群馬
19'山瀬功治
70'染谷悠太
          77'永田亮太

■メニューの多い食堂
 去年までならば『京都のサッカー=密集、ショートバス、ハイプレス』…こんなワードを使えば語ることができたかもしれない。ところが今現在は、何かのキーワードで一括りにできるようなものが正直見当たらない。良さげな言葉を使ってみれば「壁を乗り越えようとしている」、悪い言葉ならば「迷走」。ザスパクサツ群馬とのこの試合は、そんな現状を象徴するようなゲームになってしまった。時にはショートパスもつなぐ、しかし積極的にポゼッションはする訳でもなく、長いボールを蹴って前線を走らせてみたり、パス&ゴーを狙ってみたり(けれど意図が合わない)、アーリークロスを狙ったり…。守備の方も人数をかけて密集を作る訳でもなく、連動してプレスに行くというよりは田森大己を中心としてセーフティでオーソドックスな守備を見せたと思えば、思い出したように連動プレスをかけてみたり…。正直「どんなサッカーをしたいのか?」というのがよくわからない有り様。パスひとつとっても長短いろいろ混ぜようと多彩な攻撃をやろうとしているんだけれども、それが統率されていなくてバラバラ。まるで壁にズラッとお品書きをぶら下げて、魚料理やら肉料理、焼き物、揚げ物、煮物に刺身、一品モノからおつまみまでいろいろ取り揃えている食堂のよう。去年まである意味「牛丼一筋」的な頑なさがあったのだが、今はいろいろ手広くやろうとしてどれも名物になりきれいない…そんな「しっくり来なさ」を感じ、戸惑っているのである。
 ゲーム自体は山瀬功治のアッと驚くようなタイミングでのミドル、そしてセットプレーから染谷悠太のヘッドと、ある意味飛び道具的な2発でリードを奪って勝利できたからいいようなものの、内容的には「多彩さ」ゆえに薄めだった味付けにに後味の悪さをというか、喉ごしの悪さを感じた。満腹になればそれでいい人には、それでいいんだろうけど。


■背骨を作れ
「勝っただけ」という勝利で、流れの中でゴールに迫っる場面も非常に少ない試合だったが、今後に生かしてほしいと思える部分もあった。それは後半に見せた田森=工藤浩平=横谷繁(=三平和司)というセンターライン。田森は終始アンカー的にボールをよく拾えており、コンビを組む工藤は低めの位置から小気味よくボールを捌くことができていた。そこに絡んでくるのが横谷。横谷は最前線に張っていた前半は今ひとつボールの収まりも悪かったが、後半になると前線から降りてきてボールを受け、ゲームを組み立てていくようになってキープ力も展開力も生きるようになった。横谷が下がることでその分相手のマークも薄くなれば三平も楽になった。この縦のセンターラインを背骨として、福村貴幸or安藤淳が追い越していく攻めには可能性を感じた。ただし、コンビネーションはまだまだ構築中レベルで、改善の余地はまだまだ多い。特に駒井善成はまだまだ迷っているように感じた。
 ただし非常に気になるのは、ボールを奪ってからの反転攻撃のスピード感の無さ。攻撃の手段も選手の使い方もいろいろなパターンはあるだろうけど、結局大木監督が2年間積み上げてきた中でも最も大事なものは“攻守の切り替え”なのではないのか、と。継ぎ足し継ぎ足しで醸してきた秘伝のタレだけは捨てないように、しっかり「昇格」というのれんを守り続けてもらいたい。



〈京右衛門的採点〉
 オ 7.0 …再三のナイスセーブでゴールを割らせず耐えたことが辛勝を呼び込んだ。
安藤 5.5 …安全運転で、守備偏重気味。カバーは良かったが、攻め上がりは少なかった。
染谷 6.5 …危ない場面でストップする場面が目立つ。田森とのコンビネーションも良好だった。
バヤリッツァ 5.5 …個の能力でよく跳ね返し、強さを見せたが、失点シーンのクリアは安易だった。
福村 6.0 …高い位置で奪う守備が目立ち、攻撃にも積極的に絡んだ。2点目アシストはお見事。
田森 6.5 …とにかくボールを拾いまくり。奪ってからの繋ぎも冷静沈着。相方の工藤も活きた。
工藤 6.0 …展開役として楽しそうにのびのびプレー。プレスも速く、チャンスにもよく顔を出した。
山瀬 6.0 …技術を見せつけた先制点は見事の一言。ただ、周囲とパスが合わない場面も目立つ。
駒井 5.5 …攻撃では空回り気味+コンビが合わず、で持ち味出せず。守備での奮闘は評価。
三平 5.5 …前線の基点かフィニッシャーなのか役割が曖昧。シュートは枠に飛ばしたい。
横谷 5.5 …前半は上手く収められず。後半はタメを作って展開力を見せたが、やや消化不良気味。
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倉貫 5.5 …田森とのコンビでプレスが効いた訳でもなく、入ってすぐに群馬にペースを握られる。
中村 ――
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大木監督 5.0 …何を目指しているのかよくわからないサッカー。交代策もハマらず、遅い。






2013 J2第13節 京都vs松本

2013-05-06 | 蹴球

京都サンガF.C.●0-1○松本山雅FC
          90'OwnGoal

■圧力不足
 前半、京都はまるで危なげない戦いぶりだった。ある意味「安心して見ていられた試合」。ところが、そのままハーフタイムを告げる笛を聞くと、「これは前節と逆のことが起こってしまった」と思った。すなわち前節札幌にしてやられた陣地制圧・完封状態。そうして主導権を握りながらも、無得点。ボールは保持する時間は長くても、相手を脅かすようなシュートは少なく、相手を圧して潰してしまうくらいの優位ではなかったのだ。
 そのまま後半も主導権を握り続けた。しかしやはり圧力不足。具体的には横谷繁が厳しいマークに遭ってなかなか前を向けず、相関関係にある三平和司はあまりボールに絡めず、そしてせっかく前に置いた安藤淳を活かせなかったあたりに「漏れ」があったため、圧力蒸気が逃れたか。それでも三平は60分あたりから制空権を握り出し、いい基点になりかけていたのだ。だがそこで大木監督はシビレを切らして布陣を変えた。それは残念ながらゲームを大きく動かす訳でもなく、見る者が「おおっ!」と唸るような積極的な変革でもなかった。


■ジョーカー不足
 それは70分あたりだっただろうか。ようやく中央で受けられ始めていた三平を右サイドに出し、そこにいた安藤を右SBに下げ、田森大己を中盤アンカーに入れるという玉突き布陣変更によるテコ入れだった。確かに田森のところでルーズボールは拾えるようになったが、結果的には三平の攻撃力を失い、この変更により攻撃に専念できるはずの山瀬功治、工藤浩平の動きは(連戦で運動量が落ちたためか、)さほど活発ではなかった。
 このゲームの争点は、誰がどうみても「何とか1点を奪いきること」だったと思うが、施した手当てとしては下策だったと言わざるをえない。終了間際にセットプレーからオウンゴールで失点したこと自体はどうしようもない。問題はやはりそれより前にゲームを決める1点を取れなかった事。そのためには途中から入って流れを一気に変えてしまうようなジョーカーが必要だと思うのだ。その最高のカードこそ「山瀬功治」。以前にも書いたが、ゲームの流れを読める素晴らしい選手であるがゆえに、途中から出すという選択肢があってもいい。逆に久保裕也はジョーカーには向かない。彼は使うならば長い時間与えてリズムを作る必要がある。エントリーの段階から「ラスト15分で1点を奪う状況」を想定して戦わないとこの厳しいリーグは勝ち抜けない。そのことは素人に指摘されるまでもなく、わかっているはずだが…。


〈京右衛門的採点〉
 オ 6.5 …89分までナイスセーブでゴールを割らせなかったが、失点は致し方なし。
田森 5.5 …SB、アンカーともに落ち着いた守りで危なげなく、攻撃にも絡む姿勢を見せたが。
染谷 6.0 …素早いチェックと読みで相手FWに仕事をさせず。田森との連携も良好。
バヤリッツァ 6.0 …長沢相手に制空権を渡さず、“バキの長城”を築いた。
福村 5.5 …大過なく守り、奪う守備も冴えたが、攻撃に出る場面は少なかった。オウンは不運。
山瀬 5.5 …中盤の王者として君臨したが、止めを刺すまでには至らず。最後は疲れた。
工藤 5.5 …機を見ての攻め上がりは効果的だったが、後半は鳴りを潜めた。
安藤 5.5 …前目に入って縦横に動いたが、効果的な追い越しはなく、存在感も薄かった。
駒井 5.0 …単騎突破狙うも止められる場面多し。もっとFWと上手く絡むプレーが必要。
三平 5.5 …よく身体を張ったが、孤立気味。タメを作れだしたところで配置転換。持ち味出せず。
横谷 5.0 …下がって受ける場面が多く、前への推進力と三平との連携を欠く。ミスも多かった。
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中村 5.0 …呼び込んで受けてボールロストするなど、いいところなし。シュートは枠に。
久保 ――
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大木監督 4.5 …局面を動かす采配ができず。連戦のメンバー選びの段階でミスったか。





2013 J2第12節 札幌vs京都

2013-05-04 | 蹴球

コンサドーレ札幌●0-1○京都サンガF.C.
ー           66'安藤淳

■陣取りゲーム
 ある意味サッカーは陣取りゲームに似ている。ピッチを盤面に見立てると、マスを多く取った方が有利になる。…かといえば、そうでもない。陣地を飛び越えて敵陣深くまで攻め入ることができるからだ(いわゆるカウンター戦法)。さてこのゲームの前半、多くの陣地を奪ったのは札幌だった。赤黒軍の若武者たちの出足はとにかく速く、ピッチのあちこちに散らばっている小さな陣地を次々に確保していった。こうして札幌ドームのほぼ全域を制圧されてしまった京都。同じく陣地取りで後手を踏んだ富山戦、徳島戦の連戦連敗の事が頭を横切る。
 陣地を奪われた上にさらに拙いことに、京都の守備陣が札幌の7番榊翔太をまるで掴まえきれなかった。榊はDFの隙間に入り込んでは面白いように基点を作っていく。拙いことには拙いことが重なるもので、京都の選手たちは小さなミスを連発。例えば福村貴幸はボールをカットしようと前に出たところを奪われピンチの種蒔きをし、田森大己のフィードはみすみす相手に渡して逆襲の芽になり、駒井善成のドリブルはすぐに止められ、久保裕也はボールすらまともに受けられなかった。数少ないビッグチャンスを生んだ工藤浩平は絶好のシュートを外してしまう…。
 完全に札幌のゲームだった。ドームの熱気が最高潮に達して前半が終了した訳だが、その時既に大木監督は布石を打っていた。札幌サポーターが大歓声で迎えた“道産子”山瀬功治の投入である。

■勝負の分水嶺
 札幌は陣地を総取りにしていた前半のうちに勝負を決めてしまわねばならなかった。後半に入ると、時間を追うごとに京都ペースに。その最大の要因は運動量の差。札幌は前半から速い出足、全力プレスを使ってしまったゆえに明らかに動きが鈍っていった。あれだけ左右に動いて京都守備陣を悩ませていた榊もガクッと落ちた。そしてもう一つの要因は経験。実質後半頭から入った山瀬が何をやったのかといえば、すごく単純に言えば「気配り」。味方の危機と敵の危機を感じ取り、そこをケアしたり衝いたりするという、ごくシンプルな作業だ。しかし誰にでもできるってものではない。同じく途中投入の三平和司も久保とは違って前線で駆け引きしながら動いてしっかり受けて基点を作っていく。運動量と経験、もっともこの2つは表裏一体であり、経験が上手いペース配分を引き出し、それを糸口に流れを引き寄せたといえるだろう。
 安藤淳のゴールが決まって以降、京都は完全に主導権を握ったものの、もう1点を奪い切れなかったのは課題。だが、時間を追うほどに札幌の消耗は激しく、終盤はもうかなり安心して見ていることができた。勝負事にはどこかに必ず分水嶺があるもの。どの時点でどんな理由があって流れが変わったのか、これほどわかりやすいゲームもない。それは決して勝負の綾などではなく、きちんと説明できる因果がある。それもサッカーの面白さだろう。


〈京右衛門的採点〉
 オ 7.0 …劣勢に立たされ大忙し。ビッグセーブ連発がなければ大敗の可能性もあった。
安藤 6.0 …プロフェッショナルファウルにテクニカルなゴール。攻守に最も目立った選手。
染谷 6.5 …いいカバーリングを見せ、最後の最後は破らせず。相手を遅らせるプレーも○。
バヤリッツァ 6.0 …劣勢の前半は身体を張って止め、後半はいい読みでカットしまくり。頼もしい限り。
福村 5.0 …奪えず背後を衝かれたシーンは1度や2度じゃない。攻撃面は非常に良いが…。
田森 5.5 …カバーが遅く、パスも不正確。後半からはようやくボールの拾い屋として機能。
中山 5.5 …引き気味モード。ピンチをよくカバーしたが、攻撃で見せ場もなく…。
工藤 6.0 …再三の相手の裏へのフリーランでチャンスを創る。2本打ったうち1つは決めたかった。
駒井 6.0 …前後半で別人。後半は古都のメッシ降臨に札幌ドームに悲鳴が上がる。前半はメッシュ。
久保 5.0 …受けられず、収まらず、引き出せず。スタメン奪われても言い訳できない出来。
横谷 5.5 …前半はボールロスト多かったが、山瀬とのコンビで復活。アシストの判断はしたたか。
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山瀬 7.0 …老練な読みでゲームをコントロール。周囲の使い方が絶妙で、周りが一気に活性化。
三平 6.5 …受けやすい位置に動きながらしっかり前線で収め、シュートにもよく絡む。
内野 ――
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大木監督 6.5 …前半の不出来を挽回する積極采配で流れを引き寄せた。