東京ヴェルディ○2-1●京都サンガF.C.
32'エスクデロ競飛王
(↑堀米勇輝)
64'澤井直人
(↑こぼれドウグラスヴィエイラ←中後雅喜)
75'井林章
(↑FK高木善朗)
[警告・退場]
・東京V
82'澤井直人(C5遅延行為)
88'井上潮音(C5遅延行為)
・京都
17'菅野孝憲(C1反スポーツ的行為)
72'下畠翔吾(C5遅延行為)
74'菅沼駿哉(C1反スポーツ的行為)※次節出場停止
78'ダニエルロビーニョ(C2ラフプレー)
90+4'石櫃洋祐(C5遅延行為)
【全体の印象】
序盤は京都が前に出たが、本多がミスを連発。17分東京Vが速攻から抜け出した澤井を菅野が倒す疑惑のプレーを経て、京都はチーム全体が浮き足立った。そんな中でも堀米→エスクデロで先制。あまり守備を考えずポジションを崩しながら攻めてくる東京Vに対してその後何度も決定機はあったが、決めきれず。後半、アンドレイが左膝を痛めると直後に失点。バイタルを東京Vにいいように使われ、守勢に回った末にセットプレーから失点。交代策もハマらずアバウトな攻撃はことごとくウェズレイに潰され、浮き足立ったまま敗戦を喫した。
【雑感】
■たくさんの誤算
前節、山口のテンポに合わせないゲーム運びを「大人のチーム」と褒めた。京都が上位まで進出できた一番の理由はこの「安定感」だったはず。だがそんなものは脆くも崩れ去った。
理由はいくつかある。とにかく誤算が多かったので、思い付くものから挙げてみよう。
・本多の不出来(マイナスの誤算)
・澤井を倒した菅野への判定(プラスの誤算)
・悪い流れでも先制(プラスの誤算)
・チャンスは作るも再三の決定機逸(マイナスの誤算)
・アンドレイの負傷(マイナスの誤算)
・代わって入ったダニロビの不出来(マイナスの誤算)
もちろん、サッカーも人生も予期せぬ出来事の連続だ。多かれ少なかれどんなゲームでも誤算はあるし、それを乗り越えてこその安定感。上手く行かない時にどう振る舞うかも、大切な「力」のひとつ。
とにかく誤算の卸問屋のようだった本多勇喜については、個人的には「9戦無敗」の陰の立役者だったとも思っている。無敗が始まったセレッソ戦からスタメンに復帰し、安定感あふれる守備力をいかんなく発揮。さすが!と思ったことは1度や2度ではない。だが出場停止を挟んで復帰したこのゲームでは、序盤からゲームにフィットできず、ミスを連発。出来からいえばシーズン序盤の「集中力を欠く本多さん」に逆戻り。物議を醸す「菅野のイエロー」のシーンも、元を正せば澤井を掴まえきれず一瞬で抜け出された本多さんが原因。ゲームの流れを考えると、フィットしない本多を早々に下げる決断もあったはず。指揮官が語る「今日は本当に完敗」は、自らの采配も含んでのことだろうか。
■最大の誤算
いろいろ誤算を挙げたけれども、最大の誤算はメンタルをコントロールできなかったこと。「すわ決定機阻止で菅野一発レッドか?」という17分の判定をめぐり、目に見えてハートに火がついたのは東京V、尻込みしたのは京都だった。とはいえヴェルディの方はやたらとポジションを崩しながら攻めかかってきたように「乱戦上等」の構え。守備面にはかなり穴もあり、山瀬、イヨンジェ、石櫃と何度も決定機を作ることはできた。それを決めきれなかったのは、乱戦気味の展開にメンタルの部分で冷静さを失っていた…というふうにも見てとれる。荒れ気味の展開で京都で冷静を保っていたのは佐藤健太郎くらい。アンドレイも(ポジショニングはともかく)球際では比較的冷静だったが…。
不運だったのはアンドレイの負傷で、アンドレイが膝を痛めた状態でプレーが続いたゆえに中後ミドルに一歩詰められず、失点につながった。そしてアンドレイがピッチを去った途端、このチームはゲームを主体的に組み立てることができず、単純に有田やダニロビを走らせるというアバウトな攻撃しか繰り出せず。今の京都でアンドレイの果たしている役割はとてつもなく大きいだけに、状態次第で次節以降が危ぶまれる。