二条河原の楽書

京都サンガF.C.を中心にJリーグを楽な感じで綴るサッカー忘備録(予定)

2014サポーターズミーティング〈祖母井語録編〉

2014-01-26 | 蹴球
祖母井GM、今までなら脱線しまくりながらも含蓄のあることを語ってくれていたんですが、今年は(時間的に)きっちり枠に収まった感じ。話の中心はバドゥ監督でした。


「大木監督の3年間は感謝してる。サンガにいろんなものを残してくれた。でも、課題はある」
→何が課題だったのかを具体的に聞きたかったところ。今後、日本のサッカーに影響を与える存在になって欲しい、と言いつつ、こんなことを。
    ↓
「日本サッカー協会の監督養成、よく似た監督ばっかり」
→批判ではないですよ、と断った上で。協会の原博実氏も「大木さんような監督って、なかなか出てこないよねー」と言ったそうであります。


「真実は言えないことがある」
「(久保)裕也のことは、100%のことは言えない。彼には将来がある」
→ひと言、悪いことばっかりじゃないです、とフォロー入れたものの、何があった??? 中西永輔とジェフの話は、触れないでおきましょう。


「絶対に、という言葉はないんですけど、(今年は)優勝します。したいです」
→補強しなきゃいけないタイプの選手(点を取れる選手etc.)が用意できたので、スタート時点では優勝できるチームだ、と。


「私、申し訳ないんですけど親戚がブラジルにいるんですよ」
→祖母井氏=東欧というイメージが持たれている中、新監督がブラジル人であったことへのリアクションに対して。


「ゴールデンゴール!岡野やったー!悲願のW杯出場や!嬉しかった…相手チームのイランのベンチが映ると…えっ?何しとんや?バドゥさんやん」
→W杯アジア最終予選の日本vsイラン戦のテレビ中継を見た時の話。

〈以下GMが語ったバドゥ監督とのなれそめについて〉
 ・ドイツの体育大学(ケルン体育大学)に35年前通ってた
 ・木曜になると南米の人が集まってサッカーしていた
 ・私のあだ名は「蜜蜂」(ちょこちょこ動いてて、スパイクが黒・オレンジだったから)
 ・そこでバドゥ監督と知り合った
 ・昔からああいう感じ
 ・2002年のW杯最終予選日本vsイランで、バドゥさんがイランの監督してたと初めて知った
 ・バドゥさんはプレーオフのオーストラリア戦で引き分けてW杯出場決めたが、解任された
 ・解任の理由は、中心選手の3人がヒゲを剃っているのを認めていたので(イランはイスラム文化)
 ・千葉時代、バドゥさんが長野の監督をしてた時に再会した
 ・フランス時代、グルノーブルの監督候補にしていた。いろいろ話をした
 ・今回社長に「この人をお願いします」と提案した


「チームを強くすること以上に、バドゥさんは地域やスポンサーなどトータルでわれわれが描いている以上の、違ったものを示してくれる監督」
→わかりにくい表現ですが、動くバドゥ監督を見ると、言わんとすることは何となくわかるような…。


「ドイツの国旗の色は何ですか?黒・赤・黄と全員言う。本当の色は黒と赤とゴールドなんです」
→固定概念について。サッカーも今までの固定概念を崩していかないといけない、と。バドゥ監督はどうやら固定概念を崩す監督とのこと。


「バドゥさんは、地球人。ブラジル人じゃないです、あの人」
この地球上に住んでいるのは日本人だけじゃない。16ヶ国で監督していたバドゥ監督はボーダレスな存在なので「地球人」だと表現。


「格差をつくってはいけない」
→朴智星戻ってきてほしいという質問についての答え。セレッソさんはすごい選手を獲りましたけどと掴みつつ、特別な存在をつくらずに同等の選手で競争させるんだという持論。「朴智星とか松井大輔とか、海外経験のある選手はいいものを伝えてくれると思います。でもそこにはお金がかかります。今の時点では難しい」



「柳沢(敦)選手のようなああいう経験のある選手は、まだサンガには必要。柳沢選手が必要という訳ではなくて、経験を持った選手は必要」
→柳沢をもう一度獲得してほしい、って質問でもあったんでしょうかね?若い選手を「ベース」であると考えつつも、その手本になるようなベテラン選手は必要であるという考え方、らしい。


「(原川・三根・國領・齋藤ら)将来ある選手は試合に絶対出なければいけない」
→練習試合と公式戦ではプレッシャーがまったく違う。(原川、三根には)チャンス(=オファー?)があったので、そこでやるのが一番いい、と。今井社長は「育成型レンタル」と言いました。


「J3にはサテライトのチームが参入してくるシステムになっていくんじゃないか」
→そのうちJ3に例えば浦和レッズサテライトが参戦したりするんじゃないか、というGMの予想。根拠があるのかどうかは知りません。


「背番号1が空いているけど、3人でやります」
→怪我などがあれば補充しなければいけないが、スタートは3人でやる、と。うーん…。


「我々も反省している。京都の選手が獲れなかったのは残念」
→京都橘高校の小屋松君について。声かけたのが一番でなかったのを反省している、と。最終的には名古屋か京都で悩んでくれたが1番最初に声をかけた名古屋を選んだ。逆に石田君と磐瀬君は1番最初に声をかけたから獲れた、と。


「(今年は)もっともっとサッカー漬けになる」
→バドゥ監督との話で「(大木監督の練習で)上がれなかったのだったら、もっともっとトレーニングは多くするしかない」。食事、睡眠など“見えないトレーニング”も大事だと。不平を言う選手は残っていけない、と厳しいひと言。


「昨日は90人くらい。バドゥさん、数えておられました」
→練習場に見にきてください、バドゥ監督数えてますよ、と。バドゥ監督は「絶対に興味を持ってくれる人が増えてくる」と毎日言ってるのだそう。


「行きたいんやろ?」
→安藤と染谷へのセレッソからのオファーに対してにGMが2人にかけたという言葉。2人とも自分からは「(オファーに応じて)行きたい」とは言えなかった、と。サンガへの感謝を無視して出て行った訳ではないので、彼らを悪く思わないでほしい、と。



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最後にこちらの発言に触れておきましょうか。

「ボクは掲示板とか2ちゃんねるとか見て、これはちょっと無茶苦茶書いとるな、と」
→意見を言われることは一向に構わないけれど、匿名からの批判については「世の中おかしい」と。批判ですらないですね、個人を貶めることが目的の暴言や罵倒は。玉石混淆のネット社会に慣れている人ならそっとスルーできると思うんですが、やっぱりそれを真に受けてしまう層がいて、言葉は時に暴力になる。GMのおっしゃることは真っ当な正論ですが、それに対していちいち反応するから、無茶苦茶書かれるのでは?…とも思った。

当ブログでいつもあれやこれやと厳しく書いてる自分の事を棚に上げて、何ですが。









2014サポーターズミーティング〈社長編〉

2014-01-26 | 蹴球
例年ならちょっとした「祖母井秀隆独演会」となる京都サンガサポーターズミーティング。ところがどっこい今年は祖母井GMかなりおとなしめ。むしろ今井社長による話の方が興味深くもあり…。ということで、まずは社長編として気になった点などざっくりと。

■財務の件
今年は20周年ということで、スライドショーのタイトルも「京都サンガF.C.20年の検証」。これを使って20年間の財務のとか黒とかとか、とか。観客動員数をグラフ化して説明(今井社長曰く「トレンド」)。細かいことには触れませんが、Jリーグ入り前後4年間(1994~1997)の字が凄いのなんの。現在まで受け継がれている【資本金30億円】はここでこしらえたのですね(知ってた)。それから2009と2010のいわゆるウルトラQ補強の時に傷口を広げた。そんな放漫経営時代を受けて今井社長「大きな補強をしてるんですが、あまり成績は出ていない」「2011年から(チーム)編成のあり方を変えた」「ここ3年間は身の丈経営」


■スカラーの件
検証4のスライドは、20年間の成績(カテゴリー・順位)と監督、当時いた主な選手、そしてユースから昇格した選手の一覧表。要はスカラーアスリートプロジェクトが始まってからトップ昇格がこんなに増えましたよーって資料。これは特にシークレットな話でもないので、どこかで公開してもいいんじゃないですかね?クラブの歩みとターニングポイント、スカラーアスリートの正当性が明快になると思うので。

後で祖母井氏も「育成はいい選手が出てきています」と言っておりましたが、育成からチームのバックボーンができつつあるということ。今井社長によれば「今年は田村君がトップ昇格してくれて4期続けてプロを輩出できた。来年は期待できる選手が複数いる」


■スタジアムの件
ここから本題。今井社長によるスタジアム(西京極の現状と新スタジアム)の話が大変興味深いものでした。
要点をかいつまむと、

京都市は政令指定都市の中でもスポーツ施設が断トツに少ない。
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(つまりある程度の規模の大会を開催できる競技場は西京極だけ)
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3月上旬の西京極は(イベントが集中するので)いつも大変。
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(関係各所に)プロを優先してくれないかといろいろお願いしたが(例年やってる大会は)どうしても動かせない。クラブとしてもそれを蔑ろにできない。
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それで第3節がホーム開催になった。
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(どこに諸悪の根源があるかといえば…)
京都府下にスポーツ施設がないのが問題

この問題点を解決しようとしているのが、京都府の山田啓二知事。京都府におけるスポーツ施設のあり方懇話会を作り、スポーツ環境の改善を実行中。府が球技専用スタジアムを建てようとしている理由がここにあります(本来は「政令指定都市」の方がやらなきゃいけないのに…)。その進捗状況について、今井社長曰く「新聞とかでいろいろ書かれておりますが、粛々と進んでおります。2016年末までには亀岡に新スタジアムを完成させるという計画で進んでいる」
この言葉について捕捉しておくと、亀岡のスタジアムについてメディアが賛否両論を取り上げ、なおかつ批判側の声が大きいため、情報を受ける側の印象として「完成が遅れるのかな?もしかして頓挫するのかな?」などとミスリードしていまいがちである現状を指しているのかな、と。けれども経営会議を重ねつつ、基本計画はちゃんと進んでますよー、という今井社長の報告でした。今年、来年、再来年の3年西京極で窮屈な思いをした後は、雨に濡れなくてすむ新スタジアム!トラックのない新スタジアム!(2層式だったら、いいな)

新スタジアムについてクラブ側も要望を出しているそうで、社長の発言から挙がったのは以下の通り。

・傾斜のある見やすいスタンド
・全面覆う屋根
・オーロラビジョン(発言ママ/つまり映像装置ですね)
・ピッチを取り巻くLED看板
・国際試合にも対応できるプレスルーム
・ロッカールームの充実
 →アーセナル(エミレーツスタジアム?)のホーム側にだけあるプール(風呂)を例に出す


今井社長はヤマハスタジアムの責任者の人と話をして、「行政が税金を使って作ったスタジアムであっても、一番使うのがサンガなのだから、サンガのファンが喜んで買ってくれる席を作らなきゃいけない、ひいてはそれがスタジアムの収益につながる」という考えに共鳴しているようで、社長は専用スタジアムのあり方について非常に理解を深めているな、という印象。山田知事もサンガのことをいつも気にかけてくれている人ですし、クラブ、経営会議、知事がよいアイデアを持ち寄って、素晴らしいスタジアムを作ってもらいたいものです。


なお、西京極についてクラブの運営担当者からの情報として「2015年の11月~か12月~に(電光掲示板の)改修の予定がある」のだとと。2016年1年間だけカラービジョンになる―――?それにして政令指定都市様は、スポーツ施設・文化施設についてのタイミングや順番いろいろ残念でございます。


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バドゥ監督の紹介がほとんどを占める祖母井GM語録については、また別エントリーで。






2014の陣容

2014-01-22 | 蹴球
2014年のJ2を戦う京都サンガF.C.の陣容が発表された。監督が代わり、ベテランを中心に多くの選手が去り、主力が移籍し、若手を武者修行に出し…大きく変化した陣容になるかと思いきや、蓋を開けてみればそれほど血の入れ換えもなかったような印象(ただしやや出血過多)。せっかくなので、ポジション別に出入りを整理して、拙者なりに思うところを書き連ねてみようとぞおもふ。

             
ゴールキーパー

GKは1減。オスンフンが絶対的守護神なのは確かだが、去年スンフンが怪我を恐れずアグレッシブに飛び出せていたのは、児玉剛が控えていたからという面もあったはず。そういう意味では、若い2人(杉本大地・山田元気)しかいないのはちと不安。また、杉本はJ3に参戦するU-22選抜にどんどん貸し出して実戦経験積む&代表にアピールすることがベストかと思っていたのだが、J2とJ3の日程の兼ね合いからそれも難しくなる。空いたままの背番号1はどうにか埋めておくべき…かと。



             
センターバック

染谷悠太がいなくなった(+CBでも使えたMF秋本倫孝も)。ファーストチョイスはバヤリッツァと酒井隆介で問題ないのだが、CBはただでさえカードが累積しやすい上、バキはカードコレクターだし、両方とも怪我も多い。3番手の内野貴志も怪我持ち&赤紙癖あり。あとは今年からDF登録の田森大己とCBもこなせる福村貴幸がいるのだが、うーん…正直手薄。このポジションにはぜひとももう1枚ほしい。高橋祐治と、新卒の磐瀬剛(MF登録)の成長に夢を見たいけど、夢は夢。



             
サイドバック

左の黄大城が全治6ヶ月の前十字靭帯断裂で離脱中のため、実質2枚抜けの2枚加入。左は福村がファーストチョイスだろうけど、比嘉祐介のパフォーマンスによっては福村をボランチやCBに回すことも可能か。右の石櫃洋祐については名古屋時代の稼働率が低すぎて、正直今現在の実力がわからない。元々攻撃偏重型なので守備面では不安もある。下畠翔吾がいるんだけれども、もしも石櫃が期待ハズレなら、4バックの右は安藤淳基準からのスケールダウンは否めない。酒井をこっちに回せばCB足りなくなるし…。



             
ディフェンシブハーフ

去年の主力が2枚抜け。そこに入ると目される新外国人・ジャイロはまったくの未知数で、蓋を開けてみるまでわからない。ここ数年、昇格するチームには必ず有能なボランチがいた訳で、そういう意味でも最重要ポジション。ジャイロがもし川崎(←栃木)のパウリーニョくらいやれれば万々歳だけれども、日本特有のちょこまかしたスピードに対応できないならば一気に苦しくなる。守備的MFの2番手3番手は中山博貴と田森大己だろうか。あとは本職左SBの福村。ここで使えれば展開力を生かせる。内野も適性ありそうだけど、CBも足りてない…。磐瀬はMF登録だが、ここよりも手薄なCBorSBでの出番の方が多そう?



             
オフェンシブハーフ

このポジションは充実。ジョーカー的に斬り込んだ中村祐哉の穴は、ジャックナイフドリブラー(意味不明)の伊藤優汰がだいたい同タイプ。2列目のファーストチョイスは完全移籍加入の横谷繁+工藤浩平、山瀬功治、駒井善成と枚挙にいとまがない。FW登録だが布陣次第では宮吉拓実や三平和司がここに入っても違和感なし。FW登録の新卒・石田雅俊と田村亮介は、使う場面があるとすればこの二列目かサイドアタッカーか。攻撃的MFだけは人材が多い。



             
フォワード

2減4増だけども、うち2名は新卒加入。FWの軸として獲ったのであろうアレッサンドロは、日本で活躍したのが6年前。今現在のパフオーマンスは未知。得点力が衰えてなければ大きな戦力アップだが、正直わからない。気性難っぽいのも気になるところ。逆に“北越の爆撃機”有田光希はそれなりに計算できるストライカー。そんな新加入の2人以上に奮起が求められるのが宮吉拓実。去年の宇佐美貴史(G大阪)くらいに…までとは言わないけれど、去年の小川慶治朗(神戸)くらいはやらなきゃいけない(やれるはず!)。三平和司はいろんなポジションに適応できるので、新監督がどこに最適ポジションを見いだすか。石田はシュート精度、田村はスピードをアピールして出番をつかみたい。FWの場合、17歳で定位置確保した久保裕也の例があるように、年齢は関係ない。



             
コーチングスタッフ

日本では長野エルザ(→パルセイロ)の指揮を執った陽気なバドゥ監督。とある長野サポの情報によると、その当時は予算も少なく戦力に偏りがあったため、攻撃偏重で勝負したという。ある程度戦力の整う京都でどんなチームを作るか?…さっぱりわからない。人間として魅力的な人物なのは間違いないが、勝つためのメソッドを発揮できるかどうか。とりあえず選手のモチベーションを上げていくのは上手そう。まったく予備知識のない外国人であるがゆえ、選手に対する決めつけや先入観がなく、適材の起用が計られるだろう。普段は色眼鏡(グラサン)をかけているが、色眼鏡では見ない。言語的コミュニケーションの問題があるので、大筋の戦略戦術をバドゥ監督が立て、細かい部分をコーチ陣が調整する形になるだろうか。森下仁志コーチは磐田監督時代での成績によりネガティブな印象もあるかもしれないが、それでもJ1の監督経験のあるコーチの加入は心強い。荒川友康コーチもアルゼンチンなど様々チームでの経験が豊富(よく知らないけど頭はキレる印象)。2人がバドゥのしたためたレシピを、いかにJリーグ風に味付けして選手に落とし込めるか。結構重要な役目だと思う。