二条河原の楽書

京都サンガF.C.を中心にJリーグを楽な感じで綴るサッカー忘備録(予定)

このブログについて

2014-12-31 | 蹴球
 物事には始めと終わりがあるものです。このブログを始めようと思ったきっかけは、祖母井秀隆GMと大木武監督の就任、2011年のことでした。失望ばかりを繰り返してきた京都サンガというチームが、これで大きく変われるんじゃないか?という希望的な見通しを感じ取り、その変化の過程を忘備録として残して行こうかな、と。実際、クラブは大きく変わり、自分の書きためた1年分の戦評を年末に読み返すのも楽しいものでした。

「戦評」という形で一介の素人がああだこうだと書いてきた訳ですが、最初の頃はそりゃもう酷い文章です。ただ、開始当初からひとつだけ決めていたことがありました。それは「他とは違うリポートにする」こと。スタッツを追うだけならリーグやクラブの公式サイトで事足りるし、時系列に起こった出来事を並べる当たり障りのないレビューならJ'sGoalに毎試合上がる。また、自分よりもちゃんとサッカー見ている人がちゃんと書いているブログだってたくさんある。それを弁えた上で自分がこだわったのは、「戦況を視る」ということでした。

 サッカーは1つのフィールドの両端に2つのチームが布陣してボールを動かしてゴールを奪い合うスポーツです。いかに攻めるか、いかに守るか。戦況は終始動いています。そのゲームの戦況が、後々読み返すであろう未来の自分に伝わるように書こう、と。細かい局面で「誰がどうして、どうなった」という因果的な過程を書けばキリがないので、ゲームを分けたものが何だったか、という割と漠然としたものにフォーカスしたつもりです。結構たくさん突拍子もない比喩を多用しているのですが、それは戦況という形のない曖昧なものを具体的にして(未来の自分へ)伝えたかったからです。戦略面での感想は時間が経つと薄れていくので、「可能な限りすぐ書いてアップする」ことも心がけました。

 大木監督の繰り広げたサッカーは、良い時も悪い時もありましたが、書き留めておきたくなる戦況にあふれていました。3年目ともなると自分の文章も熟れてきて、去年のものを今読み返しても「楽しそうに書いてるなぁ」と我ながら思います。偉そうなダメ出しもたくさんしてますが、自分が対象と本気で向き合ってたからこそ出た言葉なんだと、今も納得しています。

 拙ブログを始めて4年目の今年、監督が代わってサッカーの質も大きく変わりました。戦略的な意図を感じ取れないバドゥ氏のサッカーは、正直なところ自分には上手く消化できない素材でした。その後監督が代わった時点で「もう戦評書く意味ないよな…」と何度も思いつつも、だらだらと続けてしまい、見苦しい言葉ばかり垂れ流してしまう始末と相成りました。「後で読み返す」ために始めたのに、苦言ばかり書き並べた文章など心地良いものではありません。実際、今年のものは読み返そうとも思いませんでした。拙ブログをお読みくださっている皆様方におきましては、気分を害することも多々あったかと思います。本当に申し訳ありませんでした。

 絵を描く時、モデルや風景を美しいと思って惚れ込んで描けば、(上手い下手は別にして)楽しく絵が描けるものです。文章も同じですよね。今の形での「戦評」を続けても、また読み返したくなくなりそうなので、ちょっと筆を置きたいと思います。来年このブログをどうしていくかについては、考え中。クラブへの距離感やスタンスは自ずと変わってくると思いますが、何かしらの戦評を書くのか、書かないのか(書きたいと思えるのか、思えないのか)。

 これまで京右衛門的戦評をお読みいただき、誠にありがとうございました。自己満足的な世界観に満ちた訳のわからない文章にお付き合いいただいたこと感謝申し上げます。もし新しい「戦評」を書くならば、今度は「楽しく」て「楽ちん」なものにしたいなぁ。




2014ふりかえり

2014-12-29 | 蹴球
もうあと数日で2014年も終わろうとしているので、駆け込みで2014シーズンの振り返りをいたしておこうかと思います。拙者の開幕前予想のいいわけとともに。
※[ ]内は優勝予想
※〈降 〉は降格予想
※予想の印は上から◎○▲△×☆


■J1の結果と予想の答え合わせ
2014 J.LEAGUE Division 1 最終順位
_1位 63_G大阪[→△]
_2位 62_浦和 [→×]
_3位 60_鹿島 〈降○〉
_4位 60_柏  [→◎]
_5位 60_鳥栖 [→☆]
_6位 55_川崎 [→▲]
_7位 51_横浜M
_8位 50_広島 [→○]
_9位 48_F東京
10位 48_名古屋〈降×〉
11位 45_神戸 〈降▲〉
12位 44_新潟 
13位 41_甲府 〈降△〉
14位 38_仙台 
15位 36_清水 
16 35_大宮 
17 31_C大阪
18 14_徳島 〈降◎〉

〈予想のいいわけ〉
 上位の予想は割と印が届いている感じですねっ(1つを除いて)!。途中までは完全に浦和が優勝するものかと思っておりましたが、最後に崩れてしまいました。後方から一気に飛んできたのはガンバ。拙者の寸評(下記)の通り、浦和よりも勝ち点を積みましたし、浦和の失速の原因は興梠を無理して起用していろいろ壊してしまった采配力だったり…。
(当時の記述)
浦和レッズは普通に考えれば◎か○でもよかったのです。ただ、大事なところで落としてしまうのはおそらく監督が原因ではないかと。浦和よりも勝ち点積めそうのがガンバ。J2で守備を建て直しているので、崩れにくいチームになったのは間違いないし、ゲーム運びもやっぱり上手い。ただし宇佐美離脱は大幅マイナス。

 まぁ、優勝予想は柏だったんですけどね。案の定外してしまい申し訳ございません。
 降格の方の予想はもうサッパリ。サプライズ枠で鹿島に印打っちゃった(てへ///)。サプライズ枠はセレッソでした。プロの解説者の面々はだいたいセレッソを上位を予想していましたが、拙者は上位には予想しませんでした(えへん)。だって危ない予感プンプンしてましたもの。さすがに17位とは思いませんでしたけど…。

■2014年的J1の論点
 2014年のJ1をひと言で表せば何だったんでしょうかね?「波」?。年間通じて安定して力を発揮できたチームがなく、どこもかしこも波がありました。ガンバは前半出遅れたけど、後半に波の山が来て、そのまま優勝レースを押し切った…みたいな。ガンバについては、去年J2で結構苦しみながらもしっかりとした守備のベースを構築したことがJ1で戦うストロングポイントになりました。ただ、やっぱり浦和(と鳥栖)が自滅的に調子の波を下げちゃったという相対的な面も。一番安定してたのは鹿島で、よくもまぁ勝ちながら若手主体に転換できたもんだと。誰だよ!?降格予想したのは!(おわびに来年は優勝の予想しましょうかね)


■J2の結果と予想の答え合わせ
2014 J.LEAGUE Division 2 最終順位
_1101_湘南 [→○]
_2 83_松本 [→×]
_3位 68_千葉 [→△]
_4位 67_磐田 [→◎]
_5位 65_北九州
_6 64_山形 
_7位 63_大分 
_8位 61_岡山 [→▲]
_9位 60_京都 
10位 59_札幌 
11位 55_横浜F
12位 55_栃木 
13位 54_熊本 
14位 52_長崎 
15位 50_水戸 
16位 50_福岡 
17位 49_岐阜 
18位 49_群馬 
19位 48_愛媛 
20位 42_東京V
21位 33_讃岐 
22 23_富山 [→☆]

〈予想のいいわけ〉
 印の重さはともあれ、きっちり印が届いてますね(えへん)。岡山も終盤勝てなくなったけど、ずっとプレーオフ圏内に入ってた訳で。え?富山に印が付いてる?えっ、えっ?
 本命は気の惑いから磐田に打っちゃったけど、湘南もちゃんと本命視していたよ(えへん)。けれどさすがに北九州の5位は予想外でびっくらこっくら。ビックリ昇格圏内枠は富山だと思ったんだけどなぁ…。まさかあんなに勝たーれへんで、越中から自動降格チームが出ちゃうとは、エッ…!ちゅう、感じで。

■2014年的J2の論点
 今年のJ2をひと言でまとめると…もう「湘南」でいいですかね。それくらい今年の湘南は強烈でした。自分たちがやるべきサッカーをチーム全体が共通理解していて、誰が出ようが迷いなくそれを遂行できるという夢のようなチーム。J1まで含めても、拙者的には2014年のベストチーム・オブ・ニッポンでした。2位の松本も(能動的な湘南とはベクトルは違えども)チーム全体の共通理解に強みがあったし、大躍進した北九州はもちろん、POに勝って昇格した山形もやっぱりベースには組織力がありました。
 一方で磐田ほど卓越したタレントを擁するチームが葬り去られたのも今年のJ2。昨年はガンバ&神戸が(特に神戸が)個の力で圧倒して昇格したので、レベルの違う個の能力はさすがに止めきれないと思ってました。それが通用しなくなった。凄い選手がたくさんいても、その力を発揮させられるかどうかは監督次第なんですよねー。指揮官の重要さを改めて思い知らされたシーズンでした。
 来年もこの流れは変わらないと思います。どんな凄い選手がいるチームよりも、監督のプラン通りにしっかり走る、汗をかける11人(いやもっと、18人とか19人とか)がいるチームの方が、J2という魔界を勝ち抜くのではないでしょうか。


■2014年的J3の論点
2014 明治安田生命 J3 LEAGUE 最終順位
_1 75_金沢 
_2位 69_長野 
_3位 68_町田 
_4位 53_鳥取 
_5位 45_盛岡 
_6位 43_相模原
_7位 36_福島 
_8位 34_秋田 
_9位 34_琉球 
10位 33_J22
11位 30_藤枝 

 J3の予想はしてないんですけれど、シーズン前は長野が(割とダントツで)優勝するんだろう、と思っていました。ただ、シーズン始まって序盤のかなり早い段階で「金沢はいいところまで行くかも」とTwitterでつぶやいた覚えがありまぁす(えへん)。
 金沢についてはJ1を制したガンバ同様に「安定した守備」と、J2を制した湘南にも共通する「カウンター時の迷いのなさ」を合わせたような印象を受けました。タレントでは町田、長野、鳥取よりワンランク落ちるけども、組織力でこのリーグを勝ち抜けることを証明してみせました。
 逆にJリーグの全51クラブ中で最低な組織力を見せ付けたのがJ-22。毎回選手が入れ変わるため出たとこ勝負になるのは構造上致し方ないのだけれど、一番の問題はモチベーション。だって球際で身体を張ってもご褒美をもらえる訳じゃなく、怪我のリスクがあるだけ…というのは建前としては“けしからん考え方”だけど、現実的にその通りだもん…。このチームを続けていくのであれば、偉い人には何かいい人参のぶら下げ方を考えてほしいもの。一応J-22での経験をステップに所属チームで出番を得た選手が何人かいるのは、せめてもの救いですけどね。
 J3はまだまだ改善すべき点がたくさんあると思いますが、逆に言えばもっともっと良くなるリーグ、可能性のあるリーグであり、日本サッカーの裾野の広がりの象徴でもあると思います。今後J-22の発展的解消みたいな形で各エリアのJクラブが連合サテライトチームを持つとか、あるいは単独でのセカンドチームとか、提携大学との混成チームとか、(以前祖母井氏がサテライトチームの参入を示唆したように)いろんな形でチーム数を増やしていく方向性も考えられます。J2昇格を目指すクラブからすればJ-22的な異分子チームの参入は「たまったもんじゃない」でしょう。だけども、このリーグは出番のない若手の実戦経験を増やす場、ひいては日本サッカーの裾野を広げるという役目があることも、この1年で何となく理解できたことなのであります。

 来年はどんな年になるのでしょうかねぇ。ああJ1は2ステージ制か。あー…

球技専用スタジアム考(後編)

2014-12-04 | 蹴球


■環境についてのあれこれ
 ところで、京都スタジアム(仮)を語る上で避けて通れないのが、環境保全問題でしょうか。建設地近くに天然記念物のアユモドキという名のドジョウの一種が生息しているため、ああだこうだと喧しく言われております。大切なのは、まずこのドジョウの一種がどんな魚であるのかを認識しておくことです。

◆人間の営みに依存する魚
 この魚は「きれいな清流にしか棲めない」という類の種族ではありません。必要としている環境は「水田耕作地」。そう、弥生時代以来日本の農耕の民たちが自然を改変することによって営んできた、ある意味人工的な環境です。このドジョウの一種は、そういう農耕の営みに依存して生きながらえてきましたが、全国のありとあらゆる農地が宅地だの商業地だのに変わっていくなかで、どういう訳か京都府亀岡市と岡山県瀬戸内市にしか生息環境が残りませんでした。
 とういことは、この魚を守りたいなら、まずは生息できる環境、ひいては水田耕作というライフスタイルを保護する必要があるはずなのです。単純に「自然を守れ!」だけで片付けられない問題がそこにはあります。地元が発した声明(リンク先PDF)は、事情を知らぬ者にはある意味ショッキングでした。

(保津町自治会の要望書抜粋)
 ところが、地域住民の思いを理解することなく一部の「専門家」をはじめ、治水や環境保護の負担と責任を保津町に押し付ける人達によって、無責任な議論が巻き起こり、建設計画が遅々として進んでいないように拝察いたします。
 先駆的な研究者のご指導を得て保護してきたアユモドキが、「保津町のまちづくりを進める仇となってしまうのか」と思うと、やりきれない気持ちで胸が痛みます。近畿地方で唯一の生息場所と言われますが、その責任は保津町民にあるのでしょうか。昭和52年に天然記念物に指定されて以降、かつての生息地でアユモドキが絶滅した責任は、保護すべき立場にある国や府県並びに保護に携わられた所謂「専門家」の無為無策にあるのではないでしょうか。わずか550戸の保津町にその責めを押し付けることは止めていただきたい思いで、要望書を提出させていただくことにしました。



◆絶滅危機に追い込んだのは外来魚
 保護するといえば、何となく護岸されていない素朴な小川を手つかずのまま守っていく…そんな印象を受けますが、実は当該河川では既にコンクリートの護岸が行われている上、田植えの水を確保するために人工的なダムを作り、そこに産卵のために遡上してくるという実態があるそうです(参考資料公聴会PDF最後らへん)。その他にも草刈りや野焼き、稚魚の救出など、さまざな場面で人の手を差し伸べてやらないとダメな魚なのです。そもそも「昔はどこにでもいた」という魚が激減した最大の原因は外来魚。ブラックバスが在来種を食い散らかして種が絶滅に向かうという、そういう類の話なのです。もちろん、こうした外来魚の駆除のためにも人の手のアシストが必要なことは言うまでもありません。


◆守るための計画
 結局はこれまで通り人の手を差し伸べ、人工的な生息環境を作ってあげること、そのためにも地元の農家に水田耕作を続けてもらうことがドジョウの一種を守る唯一の道です。京都府はスタジアムを建設するにあたり、この魚が生息できる環境をサンクチュアリ(聖域)として残す計画を盛り込んでいます。今まで保津町の人々に押し付けてきた責任をある意味京都府が引き取って手を差し伸べ、地元の人には安心して水田耕作を続けてもらうというプロジェクトでもあります。そもそも現状でもコンクリート護岸等がなされている点、そして人工的な孵化実験(約2000匹!)に成功していることなどからみても、数百メートル離れた先にスタジアムを建てること自体には問題はないとの見通しです(そのために京都府は入念な調査を重ねている)。大規模施設の建設=自然破壊と短絡的なイメージを植え付けて煽動している方々ばかりが目立ったりしてるのですが、その見識の低さと度量の狭さゆえ何ら気持ちの動じようもございません。ドジョウだけに。
 逆に、ここにスタジアムが建たないとなると、この農地はどうなるのでしょう? 今現在誇りを持って地元の人たちはこの魚を保護しておられますが、子の代、孫の代にも変わらず耕作を続けて保護できる保証などどこにもありません。私有地なのだから、10年先20年先50年先にマンション用地になっても誰も文句は言えません。駅前ですから、デベロッパーの魔の手はすぐにでも伸びてきます。そうではない未来を担保するために、きちんと行政の土地として管理できる今回の計画であり、人と自然の営みを守るためスタジアム建設であるということを、少なくとも京都府民は理解しておくべきかと思います。



■アクセスについてのあれこれ
 ところで、ダメなところだらけの西京極ですが、唯一アクセス面だけは優れたスタジアムでした(←過去形)。最寄り駅から徒歩5分というのも優れていますが、京都盆地のかなりのエリアを自転車アクセス圏にできる点でも優れた立地。京都スタジアム(仮)になると、今までは自転車で通えていた人は99%無理になります。昨年ロードバイクにまたがって亀岡までの自転車アクセスを試してみましたが、京都市中心部からは山越えありで20Km・1時間程度でございました。素人にはお勧めできません。ゆえにメインの交通手段は電車になるのですが、こちらはイメージよりもずっと近かったりします。

【京都駅新幹線改札起点】※割と乗り継ぎがスムースなサンプルで
●新スタジアムまで…25分/運賃片道410円
京都駅…ホーム移動2分…JR嵯峨野線快速(20分)→亀岡駅…徒歩3分スタジアム

●西京極まで…23分/運賃片道400円
京都駅…地下鉄まで3分…地下鉄烏丸線(4分)→四条/乗換&待ち(5分)烏丸―阪急電車(6分)→西京極駅…徒歩5分スタジアム

 意外にも京都駅からならばほとんど同じ時間なんですね。新幹線起点ならば既存ではアクセス抜群と評されるカンコースタジアム(岡山駅改札→スタジアム徒歩20分)に準ずるレベル。もちろん、阪急沿線ならば圧倒的に西京極が近いのですが、イメージとして抱きがちな「亀岡超遠い!」ってほどでもないのです。まぁ、その気分的な問題(こだわりみたいなもの)が厄介なのでしょうけど。前のエントリーで「ハレ」と「ケ」のことを書きましたが、電車に揺られる時間も非日常モードへの切り替えの一環として楽しむべきなんでしょうね。2週間に1回のことですし。

 心配なのは帰りの混雑。最寄り駅が近すぎる上、ルートが1箇所に集中してしまうため、行列をつくって10分20分待つ覚悟が必要になります。帰りを分散させる工夫(ヴィッセル神戸のミサキガーデンのようなもの)とか、電車以外でのアクセス(シャトルバスで亀岡←→桂とか)の拡充策等も検討してもらいたいものです。
(ちなみに今まで西京極には無いも同然だった駐車場ができるため、マイカーでのアクセスは便利に…なるのかな?混雑するだけかも。マイカーについては拙者どうでもいい門外漢にございます)



■タイムスケジュールを妄想してみる
「で、いつ出来るの?」やっぱこれですよねー、知りたいのは。とりあえず判明しているのは亀岡市が公開している通り(リンク先PDF)平成29年度末(2018年3月)までに工事が終わる予定であること。現状どの段階かというと、建設専門紙の報道によると基本設計をする会社(→日建設計大阪オフィス)が決まって、その他いろいろ調査したり、亀岡市が用地買収を進めているという段階です。京都府からなかなか正式リリースが出てこないので、長野や吹田の工事進捗などから逆算して、勝手にタイムスケジュールを妄想してみます。もうそういう段階です。



 1万5000規模で元々球技場があった長野の場合が着工から1年ちょい(速い!)、4万規模で元々広場だった吹田は着工から2年弱で完成予定。既存の専スタで最も直近にできたフクダ電子アリーナは当初1年半の工期の予定が、基礎工事に手間取って約2年かかっています。京都スタジアム(仮)の場合、治水対策として保津川増水時に水を逃がすための遊水池をスタジアムの地下に作ることになるはずなので、基礎工事は長野や吹田の場合よりは時間がかかりそうです。

 いずれにしろ来季・再来季・再々来季の3シーズンを西京極のボロ屋で過ごしたのち、2018年3月にはホームスタジアムが亀岡に移ります。その時、駒井善成や宮吉拓実の世代は25歳、杉本大地や原川力の世代は24歳、山田元気は23歳、田村亮介は22歳、奥川雅也の世代は21歳という年齢構成。アカデミー育ちの選手たちがチームを牽引して、彼らが絶対的な主力となって昇格を果たし、京都スタジアム(仮)のこけら落としゲームは、J1開幕戦として迎えたいものでございます。とりとめもない妄想かもしれませんが、それがこの京都サンガF.C.というクラブの目指すべき希望であり、大願なのではないでしょうか。



球技専用スタジアム考(前編)

2014-12-03 | 蹴球


■現在進行中の専スタ計画おさらい
 2015年以降、球技専用スタジアムが相次いで完成する予定になっております(狂喜乱舞)。長野は来シーズンからの供用開始、吹田は再来年の(2016)シーズンから(上手く行けば来シーズン終盤?)、北九州は2017シーズンから供用される予定です。

【2015年春(3月?)完成予定】
南長野運動公園総合球技場
(建設主体:長野市

使用クラブ/AC長野パルセイロ
収容人数/15,575人
建設費/約80億円
進捗状況/工事中(完成間近)
【アクセス】篠ノ井駅からバス10分
【新幹線起点】長野駅から50分程度(乗換1回)
       (シャトルバスで20分?)
【特記事項】(広域的に見れば)あの“川中島古戦場”



【2015年秋(10月?)完成予定】
吹田市立スタジアム(仮称)
(建設主体:スタジアム建設募金団体・吹田市に寄付)

使用クラブ/ガンバ大阪
収容人数/40,000人
建設費/約140億円
進捗状況/工事中(スタンド等構築中)
【アクセス】万博記念公園駅から徒歩20分?
【新幹線起点】新大阪駅から50分程度(乗換1回)
【特記事項】エキスポ'70が開催された場所だよ



【2017年春完成予定】
北九州市立スタジアム(仮称)
(建設主体:北九州市

使用クラブ/ギラヴァンツ北九州
収容人数/15,000人
建設費/約80億円
進捗状況/設計完了(2015年4月~工事着手)
【アクセス】小倉駅から徒歩7分
【新幹線起点】小倉駅から徒歩7分
【特記事項】幕末、海の対岸から奇兵隊が攻めて来た



【2018年春(?)完成予定】
京都スタジアム(仮称)
(建設主体:京都府

使用クラブ/京都サンガF.C.
収容人数/25,000人予定
建設費/約100億円
進捗状況/基本設計(設計者選定)
【アクセス】亀岡駅から徒歩3分
【新幹線起点】京都駅から25分程度(乗換なし)
【特記事項】駅の反対側は明智光秀が本能寺に出撃した城


 京都については計画は具体化しているものの、タイムスケジュールがイマイチはっきりしていません。予定通りなら2018シーズンからの供用開始かと思われます。(→今後の予定は後編で考察)



■専用スタジアムとは何か?
 それでは球技専用スタジアム(専スタ)とは一体何なのか?なぜ京都に専スタが必要なのか、そこらへんのところを整理してみましょう。

専スタの必要性
 例えば、交響楽団はコンサートホールで演奏すべきということは、多くの方が理解できることかと思います。どんなにいいオーケストラでも、体育館で演奏するのでは本来の“凄さ”は伝わりません。どんなジャンルであれ、観客が最も楽しめるための「場」が必要であり、[演者]―[観客]―[場]によって1つの世界が構成されます。能には能楽堂があり(床の工夫とかすごい!)、落語には常打ち小屋があるのです(発祥は必ずしも小屋を必要としないけど)。
 オーケストラや能が娯楽であり文化あるのと同様に、スポーツも文化としての側面があります。サッカーだってそう。ただし「場」を持っていないと本当の“凄さ”は伝わらぬのです。甲子園球場という「文化を象徴する舞台」を持つ野球とは大きな差があります。地域スポーツであるサッカーが、100年後に立派な文化たるためにも、やはり地域ごとにふさわしい「場」を持つことは重要なのです。

京都府の場合
 京都府および京都市の場合、5,000人以上の観客を収容できる球技専用の競技場は宝ヶ池球技場(2,000+芝生席)ただ1つで、しかも人工芝(Jリーグは開催不可)。陸上競技場を含めても西京極(20,000)以外では太陽ヶ丘(1,800+芝生席)、亀岡運動公園(1,200+芝生席)、丹波自然運動公園(1,100+芝生席)、園部公園(1,000+芝生席)程度という貧弱さ。当然ながら西京極にスポーツイベントや興行が殺到し、プロリーグですら3週間待っての開幕戦…という残念な状況となっております。
 戦前の1930年着工(1942年完成)という西京極陸上競技場兼球技場は、現在Jリーグで使われている競技場では最古。当然ながら設備は古く、観客が心地よく観戦できるという基準では最低ランクです。ちなみにクラブライセンスは「新規競技場計画」を条件に制裁を免れております。要するにとっとと新スタジアムを建てなければ、京都にはJクラブは存在できぬということ。そういう貧弱極まりない状況を何とかせねばならぬ、ということで煮え切らない京都市を尻目に山田啓二京都府知事が立ち上がり、新スタジアム構想となった訳であります。

[参考]西京極総合運動公園陸上競技場兼球技場



■専スタに期待すること
 それでは専用スタジアムって一体何が魅力的なの? そんなことは一度でも専スタ観戦を体験された方ならご存知なではあるとは思いますが、個人的に重要なことだと思う順に記します。

《1位》閉鎖的空間であること
 閉鎖的というとネガティブな印象ですが、空間のことです。外界から閉じた空間に一步足を踏み入れると「ケ(日常)」から一転、「ハレ(非日常)」の舞台になります。そこに劇場空間が生まれ、目の前で行われることに没頭できるのです。これはどんなジャンルでも同じですね。さらに音響効果の面でも閉じていることは重要で、応援や歓声は外に逃げることなくスタジアム全体を渦巻きます。
 西京極が最もダメのはこの点、閉鎖性の乏しさだと個人的には考えています。スタンドとスタンドの間にマラソンゲート等の大きな空間があり、全てを逃してしまいます。メインスタンドからは街が、バックスタンドからは山並みが見えて綺麗ですが、そのことは日常の延長の空間であることを意味します。
 スタンドを360°閉じてしまうと芝の育成などの問題も出てきますが、そのあたりをどうにか工夫して「きちんと閉じた」スタジアムにしてほしいものです。

[参考]閉じたスタジアムの代表例・ノエビアスタジアム。なお、芝は…


《2位》全面覆う屋根
 上記の閉鎖的空間を作る上でも重要なアイテムになるのが、屋根の存在。全面覆う屋根があると外の風景は見えにくくなり、閉鎖性も一段と向上します。もちろん屋根本来の役目は雨露をしのぐこと。西京極のように、観客が2時間(待機時間含めれば3~4時間)雨ざらしになるスタジアムは、エンターテインメント以前の問題です。それから屋根があれば夏に猛烈な日差しを防ぐエリアだって生まれます。ナイトゲームとはいえ、陽が落ちるまでは暑いのです(特にバックスタンドは)。あとは屋根があると虫も降ってこなくなりますね。
 京都スタジアム(仮)の場合、亀岡駅から徒歩3分という絶好のロケーションです。駅からのアプローチルートにも屋根を付ければ、“一切雨に濡れずに済むスタジアム”も夢でありません。それから環境との共生を強く印象づけるためにも、スタッド・ドゥ・スイス(BSCヤングボーイズのホーム)のようにスタジアムの屋根を太陽光発電パネルにするのもよいアイデア。前出スイスの屋根にも使われているソーラーパネルはメインスポンサー様のCMで優希美青ちゃんが叫んでるほどの主力商品でもある訳ですし…。(てゆうかネーミングライツと抱き合わせで設計段階から太陽光屋根を構想すべき話)

[参考]全面屋根だけとちょびっと隙間も開いてるフクダ電子アリーナ


《3位》スタンドの傾斜
 一般的には「プレーを間近で見たい」という意見が多いのですが、個人的には「ピッチ全体を俯瞰で見たい」のです。サッカーは近くでみると遠いサイドが見えにくくなる競技で、実際サンガタウンの金網越しに見ても何のことやらわからない。観戦という観点からいえば、斜度を思い切り付けて、2層式にして俯瞰で見下ろせる形が理想です。実はスタンドに高さや傾斜があるのならば、陸上トラックが付いていてもさほど見にくくはないんですよね。それくらい重要です、傾斜。
 傾斜+高さといえば豊田スタジアムでしょうか。4階席は「登頂」に例えられるほど高く、その眺めはまさに天界(あまりに大きすぎてピッチまでは割と遠い)。聞くところによると、北九州の新スタジアムは日本最高の傾斜角(40°以上)になるとか。斜度を強くすると建築面積がコンパクトで済むというメリットもあります。ぜひ京都スタジアム(仮)も大きな斜度を持つメインスタンド&バックスタンドを期待したいところです。ゴール裏はどっちでもいいです。

[参考]豊田スタジアム4階席“登頂”からの眺め


《4位》フィールドの近さ
 4番目は「球技専用」でしか出せないメリット。陸上トラック+αがなくなりフィールドとの距離が近くなるので、当然プレーは目の前で行われることになり、臨場感は格段にアップします。ゼロタッチといってピッチと同じ高さに最前列を持ってくることにこだわる方もいらっしゃいますが、個人的にはベストアメニティスタジアムのように嵩上げして高さを持たせた方が見やすさを確保できると思います。まぁでも「近くで見たい」「上から見たい」の両方をニーズに対応するため、ゼロタッチの1層目+2層目という形が良いのかな、と。
 ちなみにサッカー専用と球技専用との差は、ゴール裏をラグビーを考慮したをスペースの確保、でしょうか。レベルファイブスタジアムのように少しスタンドとゴールラインが遠くなるものですが、ヤマハスタジアムの場合はかなり近くなっております。京都スタジアム(仮)もラグビーでも使うスタジアム。サッカー、ラグビー双方の意見を出し合って、ほどよい距離感を設定してもらいたいものです。

[参考]見やすさNO.1の鳥栖スタジアム(現ベストアメニティスタジアム)。ゴールの裏はラグビー考慮型


《5位》映像・音響装置
 4位までに挙げた点を満たせばスタジアムは立派な劇場空間たりえるのですが、劇場を演出できる設備があればさらに楽しさはアップします。いわゆるカラービジョンですね。選手紹介からリプレー、前節ハイライト、場内アップ映像、スポンサーの紹介…などなど、ありとあらゆる情報を提供できます。また、コンサート等まで考慮する多目的スタジアムを目指すなら、ズンズンと響く音響も欠かせません。幸いにも京都スタジアム(仮)の立地は、騒音問題等とは無縁ですが、スタジアムの構造を閉鎖的にすることで、外に漏れる騒音は減らすことができます。
 現在J1とJ2のスタジアムでカラー映像装置がないのは西京極と北九州市立本城陸上競技場だけ。カラーではないゆえ苦肉の策として誕生した「西京極のドット絵」も後世に伝えていきたい京の伝統の技ではありますが、キラーンと光ってビュッと文字が飛んで、バーンと顔写真が登場するような、そんな選手紹介の方が……見たいです。


《6位》座席とトイレの充実
 立って応援される方はさておき、座席は観戦者がだいたい2時間~2時間半(新幹線のぞみ東京~京都間くらいの時間!)は座る場所ですから、そこは最も快適性に気を配るべき場所です。現状西京極などの古いスタジアムの場合は、日本人の体格がまだまだ小さい基準で設計されているため1つ1つの座席の幅がやたら狭く、詰めた場合に非常に不快です。ある程度の幅を取った上で、背もたれ&ドリンクホルダーは必需。グレードの高い席は、よりグレードの高いシートにして高付加価値を付けてもよいかと思います。
 トイレは、数をしっかり揃えておくことが必要不可欠であることは言うまでもないことですが、マーケティングの見地からも充実が求められる施設。トイレに不満があれば「(用事がないなら)二度と行きたくない」と思うのです。あとはトイレまでの近さ。コンコースへスムーズに出られて、すぐにトイレがある…というのが理想。ノエビアスタジアムなどは上の方に座ってしまうとトイレまでかなり時間がかかります。トイレを分散配置して、どの席からも一定の距離感でトイレにアクセスできる導線を確保してもらいたいものです。


《7位》託児所
 7位としましたが、もっと優先順位が高くなる方もいるかと思います。スタジアム内外に幼児を預けられる場所を併設することは、どんなイベントを開催する場合でもニーズがあることで、集客施設のホスピタリティそのものです。
 また遊具を備えた託児スペースは、イベント開催時以外にも「子どもが遊べる場所」として使えます。整備等の制約がなければ、子ども達にピッチを開放して、思いっきり芝の上を裸足で走ってもらって芝に親しんで“転んでも痛くない天然芝の魅力”を全身で体感してもらいたいものです。


《8位》スタジアムグルメ
 スタジアムに「来て楽しい」「行きたい」と思わせるためには、スタジアムの外側も大事です。ハード面というより運営面になりますが、周辺に飲食出店がズラリと並び、美味しい温かい料理が提供できるようなスタジアムであってほしいものです。もちろん、コンコース内部にもブースがあって、何ならノエビアスタジアムのようにレストラン等があってもいいですね。
 幸いにも建設地の亀岡および丹波地域は、京都有数の農産物生産地域。カシマスタジアムのように地元の人々が優先的に出店できる仕組みにして、外から来た人々が(特産物や名物に)喜んでお金を使って、地元が少しでも潤い、賑わうようにしてもらいたいものです。もちろんどんなグルメが提供できるか?も重要なのですが、それ以前に地元の人が出店できなければお話になりません。サッカー開催時以外でも、丹波地域の特産物などを取り扱う店舗が常設されていれば、日常的にスタジアムを足を運ぶ機会を作れると思いますが(もちろん集客のためには工夫は必要)、いかがでしょう。



おっと、書きたいことがいろいろありすぎて、ついつい長くなってしまいました。
後編につづく―
(次回は京都スタジアム(仮)の環境面と交通アクセス、タイムスケジュールの考察です)