二条河原の楽書

京都サンガF.C.を中心にJリーグを楽な感じで綴るサッカー忘備録(予定)

2011J2第2節(順延分) 京都vs熊本

2011-06-29 | 蹴球

京都サンガF.C.●0-1○ロアッソ熊本

■陣太鼓
 …といえば、熊本のユニフォームスポンサーのお菓子。ドンドンと叩いて、戦場に響き渡らせて軍の進退を指示するやつだ。相手を押し込んだときは、連打して連打して連打するのだ!勢いのあるときに、嵩に懸かって攻めきらせるのは古今東西問わず戦術の鉄則。そう、今日の前半は京都がそんな展開だった。19歳・18歳・17歳の3トップが躍動し、熊本守備陣を手玉にとる。途中相手ファウルがあってもこの若武者たちは止まらない。主審はプレーを止めず、アドバンテージのままボールを保持した久保裕也もプレーを止めない。そのままミドルシュート。そんな「前へ前へ」の状態は45分続いた。
 だが、どれだけ陣太鼓を連打しても、得点を上げられなかった…。

■ただいま修行中
 結果的には、中途半端なクリアからの熊本CKからファビオが豪快なバイシクルを決めて、またも“敗戦”ってことになった。失点シーンはたぶん防げないし、それについてああだこうだ言うのは無意味かと思う。問題は熊本が明かに後半開始時点からギアチェンジしたかのように“狙って”きてて、注文通りの展開になって押し切られたことだ。試合運びが「若い」としかいいようがない。試合の流れが読める選手がいれば、こっちのギアも落とすような流れにもっていけたかもしれない。
 けれどこればっかりは現在修行中の身と考えるしかない。悔しい経験を明日への糧にできるかどうか。攻撃的なサッカーが破綻してる訳ではないので、このまま続けていくしかない。ただ、ゲームを諦めない姿勢を託せるカードはもってくべきとは思う。居れば何が起こるかわからない「エクストラカード」のドゥトラと、…そして明日帰国するというディエゴと。○○は使い様、ですよ。


〈京右衛門的採点〉
水谷 6.0 …ほとんどミスなしだが、失点直前の連携ミスが悔やまれる。
酒井 6.0 …きっちりクローズするも、攻撃は持ち味出ず。
染谷 6.5 …見事なカバー多数。突然の熱中症(?)が残念。
森下 5.5 …ミスは失点につながったCK献上のクリアだけ。
秋本 6.0 …攻守に効いてた。ただし攻撃で目立つのはいかがなものか。
加藤 6.0 …ボランチ+サイドみたいな動きでよくケアしてたが。
内藤 5.5 …相変わらずのチャンスメイカーぶり、がボールロストも目立つ。
中山 6.0 …守備で奮闘。攻撃もボールタッチのたびに可能性を感じた。
伊藤 5.0 …心意気と前線からのチェイスは◎。けど効果的だった?
久保 5.5 …圧倒的な強靱さと巧さを見せるが、フィニッシュが。
駒井 5.5 …鋭い突破も、徐々に熊本に読まれて相手の脅威になれず。
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ドゥトラ 5.5 …引いた熊本陣内を掻き回すことはできたが…。
中村太 5.5 …ボールをよく引き出すも、そこから先に繋げられず。
チョンウヨン ――
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大木監督 5.5 …敗戦も面白いサッカーは見せつけた。不運も重なった。

2011J2第18節 京都vs横浜FC

2011-06-26 | 蹴球

京都サンガF.C.△1-1△横浜FC

■橋頭堡
「見ていて落ち着かないゲーム」ってのがたまにある。ボールは動くが、どこかヌルヌルとしてるように動くばかりて、収まり所がない。この試合の前半は、まさにそんな感じだった。横浜FCのファーストチェックがすこぶる速く、京都は速いチェックにボール奪われないようにとあまり意図を込めないで素早く蹴り出して、その流れのまま意図なくボールを動かしていたようだった。伊藤優汰の自慢のドリブルも、横浜FCに完全に対策されていたようだ。
 しかし後半、京都が中村太亮を投入してボールが落ち着くようになった。中山博貴が2列目に下がり、中山を経由することでボールが一度落ち着くようになったのだ。それはまるで橋頭堡(きょうとうほ)だった。攻めの拠点として中山がボールをさばき、自ら最前線に踊り出すようにして内藤のキラーパスを受けて先制点を沈めた。

■もう一度見てみたいサッカー
 結果的には、1-1の引き分けだった。終盤にいくつもチャンスがあって、いくつもピンチがあった。スリリングな劇場サッカー。細かいミスも多くて、それをああだこうだ言っても仕方ないが、ピッチにいる選手は両陣とも死力を尽くした。それはまがうことなく「でも観戦してよかった!」と思えるゲームだったのだ。序盤のあの、「それで全力出し尽くしてるの?」っていうサッカーから随分進歩したと実感した。
 そしてこの好ゲームの影の演出者は、コンタクトプレーに対してほとんど笛を吹かず、チャレンジを重視した東城主審だろう。(一度だけ報復プレーっぽいのを流したけれども)おおむねクリーンで、カードは一枚も出ず、見てる方は笛にまったくストレスを感じなかった。サッカーっていいスポーツだ、と思えた一夜だった。


〈京右衛門的採点〉
水谷 6.5 …終盤、スーパーセーブを連発しチームを救う。
酒井 6.0 …攻めるも守るも全力疾走。挑みかかる髭!
染谷 5.5 …前半◎後半△。失点シーンは地味にマークミス。
森下 6.5 …ほぼ完璧。チャンスを作らせない動き。
秋本 6.0 …バランス取りながら今日も危険区域の埋め立て作業。
加藤 6.0 …難しい動きを要求されたが、だいたい良かった。
内藤 6.5 …常に前への意識で絶妙スルー。ただし守備は…。
鈴木 5.5 …無難で堅実な動きだが切れ味は今ひとつ。
伊藤 5.5 …警戒されて思うように動けず。挑戦する姿勢は◎。
久保 5.5 …序盤はイマイチ。時間が経つにつれ、安定感は出た。
中山 7.0 …攻撃も守備も頭もキレキレ。ピッチの王様。
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中村太 5.0 …相変わらずのチャンスクラッシャーぶり。
金 5.5 …キレのある抜群の動きと、残念すぎるフィニッシュ。明暗同居。
ドゥトラ 6.0 …可能な限りチャンスは増やした。ミリ単位で噛み合えば。
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大木監督 5.5 …金→ドゥトラの順でカード切ってればどうなっただろう?

2011J2第17節 草津vs京都

2011-06-19 | 蹴球

ザスパ草津●2-4○京都サンガF.C.

■後詰めの重要さ

 攻め込んで敵を追い詰めたが、最後の一手がっ!!という場面に、勝負事ならば必ず遭遇するのである。いくさではこれを「後詰め」と言う。後詰めは本当は2種類あって、守備側が後詰めを頼む方が戦略的には重要なのだが、この場合は攻撃時の後詰め。敵を取り逃さない最後の一押し。
 さて、本日の京都サンガ、なんとびっくり4点も入れた。
・【1点目】伊藤が右サイド突破→マイナスのパス→中山スルー→内藤シュート→弾かれた所を中山が詰める
・【2点目】内藤が中央にドリブルで切れ込み外に→鈴木慎吾走り込んで決める
・【3点目】左サイドの混戦から中山が突破→ゴール前にマイナスのパス→伊藤詰めてゴール
・【4点目】内藤が猛然とスチール→伊藤が受けてフェイントでかわしDFの股を抜くシュート

 どの得点シーンも敵陣に押し込んだ後、きっちりと後詰めが現れた。2列目、3列目がどんどん前に顔を出す。ようやく大木監督が甲府時代に見せてたサッカーに近づいてきた。しかしショートパスにこだわらず、スルーや縦パスを多用する(できる)のは、当時の甲府よりもポテンシャルの高さを物語ってるようにも思える。

■もう守備は諦めた
 ただし2失点。特に2-2に追いつかれた時は、「またか」と思ってしまった。セットプレーからフリーの選手を生み出してしまうのは、もはや修正不可なのか?流れの中からは、意外なほど粘り強い守備も、ポーンと放り込まれたらボールを目で追ってしまう。萬代みたいに一度下がってから走り込む“視界から消えるプレー”をされるともうお手上げ。組織の問題か?個の問題か?
「2失点しても3得点すればいい!」って哲学なんだろうけど、見てる方をドキドキさせてしまうこのサッカー、なかなか心臓に悪いけど、面白いっちゃー面白い。ガチガチに守って攻撃の良さが消されたら意味はないもんね。

 ところでこの試合、京都は1stユニフォームでできなかったんだろうか?


〈京右衛門的採点〉
水谷 6.0 …草津の強力外国人の壁になった。
酒井 6.0 …今日もアグレッシブな守備で走力が生きた。
染谷 6.0 …いいカバーといいフィードが目立った。
森下 6.0 …安定感。一度びっくりするようなクリアミスしたけど。
秋本 6.0 …いい意味で目立たなかった。機を見て守備を支えた。
加藤 5.5 …今日も黒子役。プレスキックはイマイチ。
内藤 7.0 …3得点に絡むキレキレぶり。攻撃の立役者か。
鈴木 6.0 …しっかり中盤でボールをつないで、チャンス逃さず1得点。
伊藤 6.5 …ドリブルは独壇場。周囲もよく見えてる。
久保 6.0 …今日は最前線で相手を引きつけ役。それも大事な役目。
中山 7.0 …ゴールに突破にボールの引き出しにゲームメイカーまで。
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駒井 5.5 …低い位置をそつなくこなし、持ち味は発揮できず。
中村太 5.5 …スピードに乗った突破は○だが、フリーで2本外す…
金 ――
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大木監督 6.0 …ドゥトラと中村充の代役がハマる。勢いを殺さない采配を




2011J2第16節 京都vs大分

2011-06-12 | 蹴球

京都サンガF.C.○2-0●大分トリニータ

■刀を槍に持ち替えた
 サムライ=刀。映画やドラマでは、刀を持ってチャンバラやっているが、実際の戦闘で刀剣が活躍した場面があるのか、非常に疑わしい。なぜなら、刀の攻撃範囲がものすごく狭いから。接近戦に持ち込めればアリなんだろうが、武器の優位性はやっぱり長さなのである。

 さて。大木サンガは、今まで好んで刀を使って接近戦に持ち込もうとして、ことごとく空回りしていた。しかし今日の武器は、狭い範囲のショートパスでなくて裏抜けフィードパスだった。先制点の基点は内藤洋平のフライフィード。それをこの日抜群の裏走りを見せた中山博貴が収め、折り返しを久保裕也のスライディングシュート。2点目は最終ラインの森下俊の“バックスピン”フィードを、久保が体重移動だけのフェイントで相手DFを手玉に取り、見事すぎるループシュート。槍を突きつけるような縦に速い展開は、相手最終ラインを下げる効果もあり、流れはおのずと京都に傾いた。

■ベテランの味
 守備面を支えたのは、間違いなく秋本倫孝だった。前回のように自ら前線に顔を出して士気を鼓舞する役目を買わず、この日は機を見て最終ラインの穴を埋めた。まさに“碇”のように安定感を生み、そんな精神的余裕は、不安定さを露呈し続けていた染谷悠太に自信を与え、初出場の酒井隆介にも「思い切り勝負する」という精神環境を与えた。また、途中から入った鈴木慎吾も要所を締める動き。GK水谷雄一を含めベテラン勢の動きは、若くて不安定になりがちなチームがフラフラとブレそうなところで耐えられた。

 ただし、この日の大分は決して出来は良くなかった。決定的チャンスでシュートは枠に飛ばず、ミスパスは多く、守備もルーズ…。勝てて当たり前のような相手ではあったが、低迷するチームに1勝は一番の薬。「相手を凌駕して勝つ」という攻撃サッカーの楽しさが、ようやく見えてきた。


〈京右衛門的採点〉
水谷 6.0 …チェジョンハンの超強烈シュートを防いだプレーは見事。
酒井 6.5 …積極的に広い範囲を最後まで走り切った。
染谷 6.0 …後半、デカモリシには手こずったが完封に貢献。
森下 6.5 …攻守ともに安定。2点目のアシストは凄いバックスピン。
秋本 6.5 …絶妙の判断力でチャンスの芽を摘み、高さにも競り勝つ。
加藤 5.5 …守備的に黒子役に徹する。プレスキックはやや残念。
内藤 6.0 …中盤で走り回り大分ディフェンスを混乱させた。
中村充 6.0 …抜群のキープ力と飛び出しがジャブのように効いた。
ドゥトラ 5.0 …裏狙いは相手をてこずらせた。カード2枚目がモッタイナイ。
久保 7.0 …常にアグレッシブな姿勢が報われた。スーパー17歳。
中山 7.0 …抜群の動き出しと、圧倒的な行動範囲。左サイドの王様だった。
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鈴木 6.5 …相手の嫌な場所に顔を出し、ゲームを締めた。
駒井 5.5 …アグレッシブだったが、ミスが目立った。
金 ――
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大木監督 6.0 …ショートパス一辺倒からの脱皮は意図的?






2011J2第15節 鳥取vs京都

2011-06-05 | 蹴球

ガイナーレ鳥取○2-1●京都サンガF.C.

■強小
 ガイナーレ鳥取は“強小”というスローガンを掲げる。強くて小さい、小が大を倒す…そんなふうな意味。ここまで数字としての結果は出てないが、まさにそんなチームスタイルを実践していて、見る者を驚かせてくれるチームだ。小が大を倒すためには何をすべきか?その答えは鳥取の試合を見ればわかる。とにかく、走るのだ。そして相手より1cm早く1mm遠く足を伸ばすのだ。そういう地道なチャレンジの積み重ねが「士気」を生む。サッカーが闘いである限り、目には見えない「士気」によって、小は大を倒すことができる。


■士気と呪縛
 片や京都は、もうずっと「士気」が低い。この日も序盤こそドゥトラ・中山の両サイドを中心に攻撃的に姿勢を見せるが、相手が慣れてくるとパスを回すことに終始。刃物を持って振り回してるだけで、敵の眼前に刃を突きつけることもない。士気が下がると、ついつい受けてしまうのは人でも組織でも同じだ。鳥取ペースで回され、押し込まれた末の失点。ちなみに、美尾敦のCKを一端クリアして実信憲明のダイレクトミドルだが、クリアした加藤弘堅は「ボールを繋がないといけない」という頭があったのだろう。誰もいないのに、前に向けてパスを出した。もはやこの失点は大木サッカーの呪縛が作った失点としか思えない。人間は困った時には何かに頼りたいものだ。彼は「チームの決まり事」に頼った。臨機応変に周囲を見ることができたら、起こらなかった失点である。


■若武者たち
 呪縛から自由になって、のびのび、しかも“強小”を凌駕する勢いで相手陣内を掻き回したのが伊藤優汰だった。伊藤が入ってから、チームの雰囲気は変わった。とにかく突破する姿勢、常にチャレンジする姿勢、ルーズボールに相手より1cm早く辿り着こうとする姿勢。士気はこんなことで上がるのだ。パスを回すことに縛られて、チャレンジングスピリットを失ったチームは息を吹き返す。伊藤の突破で押し込んだ流れから、こぼれ球を拾った内藤洋平の速いクロスから久保裕也で遅すぎる1点。だが、この遅すぎる1点が新たなる方向性を示唆していると思うのだが、いかがだろうか。



〈京右衛門的採点〉
水谷 5.5 …ナイスセーブも連発したが、最終ラインとの連携は?
内野 5.5 …高さは完封。フィードもよかった。
森下 5.5 …ポコポコと開く両サイドのカバーリングに右往左往。
染谷 4.5 …羽毛のように軽い。2試合連続プレゼントパス。
安藤 5.5 …潰し屋として走り回ったが負傷交代。
内藤 5.5 …攻撃面は◎。守備面は×
チョンウヨン 5.0 …パスミス多。キック精度が相変わらず残念。
ディエゴ 5.0 …中盤で停滞した原因か。代わってから水が流れ出した。
ドゥトラ 5.5 …積極的にドリブル突破狙うが、ミスも多い。
久保 5.5 …孤立無援で踏ん張る。最後の得点はさすが。
中山 5.5 …よく動くんだが、フォローされない。もっとシュート打ってもよかった。
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加藤 4.5 …1失点目のミスやら、押し上げのない後半やら。
中村充 5.5 …ディエゴよりは良かったが、もっと味方を追い越してほしかった。
伊藤 6.5 …ファンタスティック!
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大木監督 5.0 …もう少し早く伊藤を入れておけば。