二条河原の楽書

京都サンガF.C.を中心にJリーグを楽な感じで綴るサッカー忘備録(予定)

2015明治安田生命J2リーグ第34節 讃岐vs京都

2015-09-27 | 蹴球

カマタマーレ讃岐△1-1△京都サンガF.C.
56'仲間隼斗
(↑永田亮太)
            65'大黒将志
            (↑有田光希)


[警告・退場]
・讃岐
なし
・京都
なし

【全体の印象】
讃岐のロングボール主体の攻撃にラインを下げて対応した京都。プレスはかからず、セカンドボールも回収できずという悪循環で術中にはまる。後半から讃岐が引いてブロックを作るようになったためボールは保持したが遅攻が多く、まんまと守られる格好に。そうしているうちに永田の突破をはっきりクリアしきれずに折り返されて失点。CKから大黒のゴールで追いついて攻勢に出たが、効果的な動きは少なく決定機は作れず。逆に鋭いカウンターを3~4度浴び、GK清水圭介の好守と讃岐のミスで命拾い。どうにか勝ち点1を拾った。


【雑感】
■戦術で敗北
 讃岐の策士・北野誠監督が採った戦術は、ロングボールを放り込んでアランと木島良輔を走らせ、京都の最終ラインを揺さぶるというもの。はね返えされても、その瞬間に押し上げてセカンドボールを回収して再度放り込む。京都はこの繰り返しにハマってしまった。前半で散々走らされて消耗させられた段階で、讃岐の作戦勝ちと言っていい。
 後半、讃岐が守備的にシフトしたため攻撃の時間は増えた。一方で、守りには隙が生まれるということ。京都が押し込んでいた時間帯に讃岐が狙った通りの単独アタックからゴール決められ、終盤にもカウンターから何でも決定機を与えてしまう。消耗していた京都側は、狙い通りの攻撃は繰り出せず。交代選手も局面を打開できず。セットプレーから得点は奪えたものの、内容的には完敗だった。

■苦境
 天皇杯1回戦立命館大戦でターンオーバーに失敗したことがここにきて響いている。立命戦の出来があまりに悪かったため、連戦でも同じメンバーで戦わざるをえなくなり、主力に疲労が蓄積。このゲームは目に見えてキレを欠く選手が複数いた。ターンオーバーするよりもメンバー固定での連闘を選択した石丸監督の判断は理解できる一方で、以前〈C大阪○→福岡●→東京V●〉と続いた連戦での成績を考えると、同じ失敗を繰り返したと言わざるをえない。
 もっと根源的な原因としては、夏のウインドーでろくに補強ができなかったこと。元々バランスの悪かったチーム編成、いびつな選手層を多少なりとも修正できるチャンスをフイにしてしまい、戦力が足りずに主力酷使という状況を招いてしまった。とはいえ今さら取り返しもつかないこと。少しずつ休ませながらコンディションを上げていきたいところだが、ここからはただでさえ満身創痍になってしまう終盤戦。戦術面でも冴えないが、チームマネジメント面ではもっと苦境は立たされている。





2015明治安田生命J2リーグ第33節 京都vs岡山

2015-09-24 | 蹴球

京都サンガF.C.△0-0△ファジアーノ岡山

[警告・退場]
・京都
5'原川力(C1)
・岡山
なし

【全体の印象】
 ゲームの主導権を握ったのは岡山。的を絞ったプレスとサイド攻撃で前半から優位に立った。京都は相手のミスからチャンスを作るも決めきれず。後半からは京都が攻勢に出るも、再び岡山にサイドを使われクロス攻撃を浴びる。がしかし岡山もフィニッシュ精度を欠いた。常に相手を先回りして局面局面で数的優位を作ろうとしていた岡山に対し、京都は清水、バヤリッツァ、菅沼、石櫃ら守備陣の奮闘が目立った。


【雑感】
■ピッチ上の算数
 岡山は実質0トップだった。FW登録の3枚+ボランチ2枚の計5枚に対して、京都の中央は計4枚(有田・宮吉と原川・田森)。京都が中央でボールを保持すると、5vs4の勝負となり、岡山のプレスにほとんど敗北した。岡山はさらにボールを横方向に大きく速く動かすことで、京都のプレスを無効化。両翼の田中奏一、三村真はそれぞれ積極的にサイドを突いて京都の駒井、伊藤を押し下げる。もちろん、京都には駒井・伊藤の後ろにSBがいる訳で、ここは京都が数的優位かと思いきや、岡山はボールをサイドに動かした時は、FW登録の両翼(伊藤大介・片山瑛一)が加勢して2vs2の形に。京都側の伊藤・駒井が攻めに出てしまうと、数的優位を作られ、特に三村には何度も突破を許してクロスを送り込まれてしまった。ピッチ上の算数のところで、岡山は計算通りに京都を罠にハメた。逆に京都が数的優位を作れたのは、“計算外”のバヤリッツァの攻め上がりだった。

■守備上々
 戦術的に優位に立っていた岡山だったが、バヤリッツァ+菅沼のところでは計算が合っていなかった。0トップ気味な布陣の岡山は、クロスを入れても中に誰もいないか、久保裕一1人のみ。後半は1トップに近くなったが、京都2vs1岡山の状況では算数的にも、バヤリッツァのキレキレっぷりからも、ゴールを割られてしまう予感はさほどなかった。お互いにミスから誘発される決定機はあったものの、最後の砦となる両GKのレベルは高く、GKに注目すればなかなか見応えのあるゲーム内容。64分、清水圭介がキャッチして即宮吉にスロー、そこから有田のヘッド(オフサイド)までつなげたGK起点の速攻などは、これまでの京都にはなかったもの。清水の判断力の充実は頼もしい。
 守備は上々の安定感をみせる一方で、連続スコアレスとゴールが欠乏気味。戦術的に主導権を握られていようと、自分たちの形がハマらなくとも、それなりにチャンスを作れているのは悪くはない。食い足り無さはあるが、(下位が追い上げてきているからといって、)焦ってやり方を変えてしまうのが一番の下策。選手交代がマンネリ気味なのは気になるところだが、このゲームで復帰した山瀬は、今後いい意味でバランスを崩せる変化をもたらす存在になりそうだ。





2015明治安田生命J2リーグ第32節 熊本vs京都

2015-09-21 | 蹴球

ロアッソ熊本△0-0△京都サンガF.C.


[警告・退場]
・熊本
16'中山雄登(C2)
76'柳一誠(C1)

・京都
89'有田光希(C2)


【全体の印象】
 前半、熊本のハイプレスをを凌いだ京都が次第にペースを掴みゴールに迫るが、シュート精度を欠く。両チームとも最後を自由にさせない堅い展開が続くも、後半になるとセカンドボールをよく回収しはじめた熊本が次第に押し込み気味に。一方の京都も何度かいい形でチャンスを迎えるも、熊本GKシュミットダニエルがビッグセーブ連発。熊本は終盤齊藤のポストプレーからチャンスを多く作ったが、京都守備陣も堅陣を張ったまま、どこか消化不良のままスコアレスドローに終わった。


【雑感】
■プランB
 前節千葉戦で股関節を傷めた有田が控えに回り、別メニューのバヤリッツァがベンチ外。怪我やコンディション面で使いたい駒を並べられないという状況で迎えた今節。長いリーグ戦を11人だけで戦える訳はなく、こうした事態はいつかは訪れることで…。プランAが使えない時に実行するプランB。FWには有田の代わりには大黒が入った。
 改めて書くまでもないが、大黒はエリア内で決定的な仕事のできるゴール職人。そこんとこの共通意識はあり、チャンスとみるや大黒を狙ってボールを入れていく。がしかし、そのボールは熊本守備陣にはね返されたり、正確さを欠いたり。大黒自身がミスしたり。残念ながら、今の京都には中長距離パスを正確に繰り出せる選手はいない。最もその技術を持っていそうなのが原川だが、彼は宮吉や伊藤にパスを供給するルートからのチャンスメイクを狙うことが多かった(それは決して間違いではなかった)。
 大黒狙いのパスがミスになると、そこで攻撃が途切れ連続性を失うことも気になるところ。宮吉有田のAプランではチームプランとして安易に放り込まむことなく、攻守に切れ目のないペースで相手を疲弊させていたのだのが、そのリズムは失われ、相手にボールを渡してはカウンターを浴び…。プランB、未だ試行錯誤中である。

■チグハグ
 とはいいつつも決定機は何度か作れていて、ことごとく熊本GKシュミットダニエルのビッグセーブに阻まれたというのもまた事実。一方で終盤に熊本の右SB養父からの鋭いアーリークロスを入れられたりFW齊藤にエリア内でいいようにポストワークをされ攻め立てられたのも事実。特に後半には、熊本が自由にボールを持てるくらいにプレスが緩くなった。さまざまな要因で前から奪えないので、後方に退いて守勢シフトしてよく守りきったと見べきか。いや、終盤に投入した佐々木の攻め急ぎっぷりをみれば、攻めたかったのかもしれない。全体として意図の統一感を欠くチグハグさは否めないゲームだったが、途中交代で宮吉、駒井、伊藤を下げているところをみれば、8日間で3試合という連戦を見据えてのトータルプランがあったような気もする。答えは次節で。




2015明治安田生命J2リーグ第31節 千葉vs京都

2015-09-15 | 蹴球

ジェフユナイテッド千葉△1-1△京都サンガF.C.
36'森本貴幸
(↑こぼれ←松田力)
               87'大黒将志
               (↑伊藤優汰)


[警告・退場]
・千葉
なし
・京都
68'石櫃洋祐(C1)


【全体の印象】
 序盤から京都が圧倒的に戦局を支配。千葉は守備ブロックを築き防備に専念しつつ、ロングボールから糸口をつくると、高い位置でペチュニクが圧力をかけ下畠から奪取。千葉が先制すると流れは一転し、京都はGK清水の好守などギリギリのところで耐える展開に。後半京都は大黒を投入しサイドからのクロスで千葉を攻め立てるが、なかなかブロックは崩せず。その後伊藤や駒井のポジションチェンジやリスク覚悟の3バックなど積極的に動いた京都が、ようやく千葉の右サイドを攻略して大黒の同点ゴール。その後両者最後の一撃を決めきれず、激闘はドローで幕を閉じた。


【雑感】
■押し切れず
何回も良い形を作れていました。でも、ひとつのミスで相手に先制点を許してしまったので、前半はもったいなかったな」この駒井のコメントがこのゲームを端的を物語る。京都は序盤からハイプレスで主導権を握り、印象としては9:1くらいでマイボールを保持。千葉は初めてボランチで起用した富澤とパウリーニョの連携が悪く、ここに宮吉が下りてきてはボールを受け、伊藤の機動力で攪乱し優位に立つ。すると田森・原川のところで自由にボールを動かせるようになり、面白いように中盤を制圧した。
 千葉は、両サイドバックが駆け上がってクロスを上げるシーンがほとんどなかったように、最終ラインが深く引いてブロックをセット。京都は18分にブロックを崩して有田がシュートに持ち込むも、その後はパスは繋げどブロックは崩しきれず。いい時間帯に押し切ってしまえない、畳み掛けて崩せないうちに、自分たちのミスから失点を喫して、流れを失ってしまった。

■1ランク上へ
 圧倒的にペースを握っていた京都が流れを失った要因は、「幼いゲームをしてしまったという印象」と石丸監督がコメントしている通り。ただ、内容は良かった。アバウトにボールを蹴ってしまうような安易さはなく、短いパスとサイドチェンジでボールを動かしながら人も動いて敵陣に迫る攻撃の質は、間違いなく高い。連携も中断前よりも1ランク上がった感じ。ただし最後のところでトラップが流れたり、パスが少しだけ合わなかったり。細かいミスで好機を潰していたのは、論述問題で素晴らしい回答を導き出せているのに誤字や文法ミスで満点を取れないようなもどかしさ。うーん、あと一歩だ。
 ちなみに後半は有田→大黒に交代したことで、今度は「ボールを早めに上げてしまう」サッカーにシフトチェンジ。こちらのオプションの方は、まだまだ1ランク上に精度を上げられる余地はありそう。あの手この手を尽くして1点をもぎ取れたことは、前向きに捉えたい(同時にヒリヒリするような失点のリスクも背負ったけど)。


■ラスト11
 いくら内容は良くても順位上がらないじゃないか!―「安心してください。ここから先、順位が下半分のチームとの対戦ばかりですよ」。



第95回天皇杯全日本サッカー選手権大会 2回戦[58]京都vs流経大

2015-09-07 | 蹴球

京都サンガF.C.○4-0●流通経済大学
40'駒井善成
(―――)
46'有田光希
(↑宮吉拓実)
52'宮吉拓実
(↑原川力)
67'宮吉拓実
(↑こぼれ)


[警告・退場]
・京都
なし
・流経
なし


【全体の印象】
 レギュラーメンバーに戻した京都は高い位置からプレスをかけ主導権を握るが、流経大もプロ相手に果敢なハイプレスで応酬。徐々に押し込まれた流経大は、ブロックを敷いて防備に入るが、駒井のエリア内突破をファウル気味に止めたプレーの流れからボールがコロコロとゴールに吸い込まれ京都に先制点。後半になると流経大の運動量がガクリと落ち、京都は高い位置からのプレス→奪って時間をかけずにシュートという流れから3得点。ピンチらしいピンチを与えることもなく、フェホ+大黒の攻撃ユニット、ボランチ荻野の実戦起用を試しつつ、格の違いを見せ付ける形で完勝した。


【雑感】
■フィードバック
 1回戦立命館大に大苦戦後「しっかりと戦えるメンバーで次はやりたい」と語った石丸監督。リーグ戦のレギュラーを並べ、連動した守備から相手を追い込み、セカンドボールをきっちり回収。スリッピーで水含みピッチながら長短織り交ぜてボールを動かしてゲームを支配した。ただし流経大も勇敢だった。プロ相手でも怯むことなくハイプレスを浴びせてきて、ともすれば面食らって「ジャイキリ」への綻びを生みがちな展開だったが、こちらも球際で手を抜くことなく応戦。立命大戦の時のような気の抜けたプレーはなく、1回戦でのミスをきちんとフィードバックして、兜の緒を引き締めた印象。先制点は面白ラッキーな形だったが、駒井のチャレンジあってこそ。学生であろうと全力で叩き潰しにいった闘争心は、やや緩みや慣れが見えていたリーグ戦への弾みをつける、文字通りの叩き台となった。


■電光石火
 流経大は前半に飛ばしすぎたのか、後半はプレスの厳しさが目に見えて落ちた。その部分は差し引かねばならないが、後半に挙げた3つのゴールはすべて高い位置でプレスをかけ、ボール奪って時間をかけずにシュートに持ち込んだ形。有田、宮吉が前線から追い回す現布陣では最も理想的かつ効率的だったといえる。それぞれボール奪取からシュートまでの時間をみてみると…
・2点目:6.7秒(原川のパスをカットされたボールを田森が奪ってから、→有田→宮吉→有田がシュート打つまで)
・3点目:5.2秒(有田が収めきれなかったボールを原川が奪ってから、→宮吉がシュートを打つまで)
・4点目:5.0秒(GKの逃げパスを受けた選手に伊藤・駒井がプレスをかけ、こぼれを拾った宮吉がシュートを打つまで)
 と、なかなかの電光石火ぶり。どのゴールもボールを奪った瞬間に守→攻にスイッチが切り替わり、シュートを狙う準備が出来ていた。アマチュア相手だから出来た、のかもしれないが、アマ相手に出来ないことはプロ相手にもできない。格下相手に発揮することができた可能性は、すなわちリーグ戦での希望となる。この日も非凡なプレーぶりを見せた荻野を含め。