二条河原の楽書

京都サンガF.C.を中心にJリーグを楽な感じで綴るサッカー忘備録(予定)

2011 J2第37節 横浜FCvs京都

2011-11-27 | 蹴球

横浜FC●1-2○京都サンガF.C.

■赤帽の根性
 横浜FC監督・岸野靖之、通称“赤帽”。彼の赤帽には「根性」の二文字が刺繍された(hunmelが用意した)特注品だ。今日の赤帽横浜FCはまさにそんな「根性」を体現したチームだった。
 とにかく走りまくって、追いまくって、くらいついて、泥臭くゴールを狙う。J2にはこのタイプの走力重視チームが結構ある。水戸とか、岡山とか、鳥取とか、北九州とか…。狭い局面でショートパスを繋ぐ大木サッカーが苦手としているタイプ。今日もやっぱり苦手な相手だった。後半の結構深い時間に至までシュート数は 横4-3京(得点1-0) という見てる方もしょんぼりするゲーム。今日も小技重視は走力重視に屈してしまうのか…?赤帽のドヤ顔を見なければならないのか…?

■安藤の技術
 しかし一人の男の技術によってゲームは一変。安藤淳が戻ってきた!それもサイドバックとして…。前任の右SB酒井隆介はあまりにも愚直すぎる縦の動きに終始していた。ところが安藤の「機を見るに敏」な機知、ボールを持って相手をヒョイと躱すテクニック、そしてクロスの精度が久保の同点ゴールを生み、右サイドからの崩しは、最終的にアディショナルタイムでの劇的逆転ゴールにつながった。
 安藤が入ってからの京都は、華麗で流麗だった。ガツガツと来る根性サッカーは、確実に終盤にバテる。そこを上手くいなすことができれば、根性サッカーは撃破できるのだ。
 来年に向けて、根性・走力系サッカーをいかに克服するか?今日の終盤に大きなヒントがある。


〈京右衛門的採点〉
水谷 6.0 …無難。見せ場は少なく及第点。
酒井 5.0 …守備のポジション取りが悪く、穴に。
内野 6.5 …粘り強く耐え、不用意なミスも少なかった。
秋本 6.0 …難波相手に苦労しつつ、空中戦では負けず。
福村 4.5 …失点時のマークの仕方、不安定な守備、パスミス…残念無念。
加藤 5.5 …守備に追われたが、まずまず。プレスキックはイマイチ。
中村充 5.5 …中盤をルーズにしたが、2つの得点ではいい役割を果たす。
工藤 7.0 …献身的にドゥトラをフォローし、最後に超絶ミドル。
中山 6.5 …ピッチを縦横無尽に駆け、気持ちの入ったプレー。
宮吉 5.5 …ずっと消えていたが、久保とのコンビはさすが。同点ゴールをお膳立て。
ドゥトラ 6.0 …いる間は攻撃を一手に引き受ける。いろいろ惜しい。
---------
久保 6.0 …出来は良くなかったが、きっちり1得点1アシスト。持ってる。
中村太 6.0 …仕掛ける意識が良く、終盤躍動。
安藤 7.0 …短い時間だったが、流れを激変させるほどの素晴らしい出来。

---------
大木監督 6.0 …安藤投入で1シーズン積み重ねてきたモノが全部出せた。



2011 J2第36節 岡山vs京都

2011-11-20 | 蹴球

ファジアーノ岡山○2-1●京都サンガF.C.

■お山の大将
 リーグ戦6連勝+天皇杯で都合7連勝…京都は少し天狗になっていたのかもしれない。前回、幸運を引き寄せているのは「あきらめない気持ち」があるから と書いたのだが、そんなチャレンジングスピリッツはどこへやら。パスはポンポンと繋げるけれども、敵陣を一気に突くような鋭さはなく、お山の大将のような「プチ王様サッカー」をやってしまった。唯一敵陣を切り裂く鋭さがあったのが得点シーンの中村充孝→ドゥトラの突破だけで、それで簡単に先制できてしまったせいでお山の大将はあぐらをかいてしまった。

■結局一番大切なもの
 岡山は、間違いなく京都に大きな敬意を払って準備していた。連勝中の強敵であるがゆえに、その弱点を徹底的に洗い出し、攻略法を愚直に狙うミッションを遂行する。敵へのリスペクトは、例え先制されても「あきらめない気持ち」を生む。失点後、ただひたむきに走り続け、強い相手を追い込み、噛みつこうと必死なファジアーノの姿には、サッカーにとって一番大切なものがある。結局、愚直なひたむきさが技術や戦術など軽々と凌駕できることを、京都は終了間際の88分に思い知らされるのである。
 逆転されてから、ようやく火の付いたように走ったが時すでに遅し。次の試合では、チャレンジャーとして上を目指そうとしていた頃の気持ちを思い出してくれるだろうか。



〈京右衛門的採点〉
水谷 6.0 …神セーブを連発し、ゴール前で奮闘したが。
酒井 5.0 …行くのか行かないのか、プレーが中途半端で判断が遅れる。
森下 5.5 …いいカバーリングを見せるが、相手の運動量に押されっ放し。
内野 5.0 …チアゴ相手にひとり籠城戦。手を焼き、翻弄され、仕事をされた。
福村 5.0 …妹尾の圧力にベタ引き。中盤を苦しくした要因に。
チョンウヨン 5.5 …超絶テクとつまらないミスを繰り返す。判断難しい。
中村充 5.0 …コネコネして攻撃を遅くして、挙げ句に奪われ…。
工藤 5.0 …よい飛び出しもあったが、キレを欠くようなプレー散見。
中山 5.5 …奮闘するも、後手後手になって守備に回る時間が増えた。
宮吉 5.5 …得点シーンはよく狙ってた。しかし身体が重そうで、脅威になれず。
ドゥトラ 6.0 …1点目の突破&クロスは圧巻。その後シュートに絡めなかった。
---------
加藤 5.5 …悪い意味で無難。もっと流れに変化を付けたかった。
中村太 ――
金成勇 ――

---------
大木監督 5.0 …カードの切り方が遅く、反撃の糸口を逃す。



2011 J2第35節 京都vs東京V

2011-11-12 | 蹴球

京都サンガF.C.○1-0●東京ヴェルディ

■勝負の分水嶺
 それはまるで分水嶺のようだった。前半、東京Vアポジがフリーで放ったシュートを染谷悠太が顔面ブロックで防いだシーンである。あの時点でヴェルディに得点が入っていれば、もしかすると3~4点を奪われていたかもしれない。それほどヴェルディの動きは良かったし、京都は受けに回ってしまっていた。前半、アポジのちょっとダーティな圧力に福村貴幸が屈しなかったのも小さな分水嶺。そしてもしヴェルディ富澤のヘッドを宮吉拓実がゴールマウスの中でクリアできていなかったならば、水は南へと流れ出ていたかもしれない。そういった勝負所をしのぎにしのいで、なんと6連勝。6試合で簡単に勝てた試合は一つもない。幸運によって成り立っているのだが、幸運を引き寄せているのも「あきらめない気持ち」があるからに他ならない。

■目標はどこだ
 この試合の前に札幌と徳島が勝利したため、京都サンガの昇格の可能性は消滅していた。思えば序盤でのつまづきが痛かった。特に北九州と岐阜に逆転負けした試合。あの2試合がなければ…と思ってしまうのだが、それは違う。ああいう「勿体ないゲーム」を経験して、苦い思いをしたからこそ、今がある。苦い思いをした分、成長した。特にこのチームではベテランに入るのにイマイチピリっとしなかった中山博貴。勝負に対する厳しさや、試合運びのツボを掴んだ。そしてもう一人は大木監督。本当に甘い試合運びが多かったが、ようやく用兵が安定してブレなくなった。もちろん工藤という手駒が戻ってきたのも大きいのだけれども。
 目標は、天皇杯で山形を破り、鹿島と実力を比べること。これが未来への試金石となるはずだ。



〈京右衛門的採点〉
水谷 6.5 …バタバタしながらも無失点続きを支える最大の功労者。
酒井 6.0 …パワフルに右を躍動したが、危ない奪われ方も。
内野 6.5 …巻に対して高さで負けず、シャットアウト。
染谷 6.5 …カバーにブロックに抜群の動き。また脳震盪??
福村 5.5 …アポジ&河野にやられっぱなし。よく持ちこたえた。
チョンウヨン 6.0 …守備に追われるが八面六臂な活躍。
中村充 5.5 …押された時間に個人技で打開するも、破れず。
工藤 5.5 …得点アシストは見事だったが、その前のチャンスは決めないと。
中山 6.0 …今日も運動量たっぷりの黒子役。
宮吉 6.0 …守備で奮闘。動きは良かったが、ボールは余り引き出せず。
ドゥトラ 6.0 …今日のチャンスメイク担当。守備もがんばった。
---------
秋本 6.5 …スクランブルだったが、球際で奮闘。
中村太 7.0 …左サイドにボールの橋頭堡をつくり、自ら決勝ゴール。
金成勇 ――

---------
大木監督 6.5 …この試合へのモチベーションを上手く保ち、采配ズバリ。

2011 J2第34節 熊本vs京都

2011-11-06 | 蹴球

ロアッソ熊本●1-2○京都サンガF.C.

■カタルシス
 4バックにしてからの京都サンガ。失点は減ってるけど、ゲームを見れば結構バタバタして安定してる訳でもない。今日もそんな4バックの両SBの裏側を狙われ、ラインの隙間を狙われ、そういう流れから見事な得点を奪われて、「今日こそはズタボロか…」と思われた。けれども、前半のうちに追いつけたのが大きかった。守備と攻撃は表裏一体だ。一歩前に出る勇気があれば、そこを糸口にして反転攻勢を仕掛け、相手を飲み込むことができる。今の京都はそういうチームになった。劣勢→挽回→優位→逆転というカタルシスの詰まった好ゲーム。
 主審の不可解判定さえなければ…。

■秋本か染谷か
 前半早々に秋本倫孝が熊本ファビオの無理なオーバーヘッドの振り足を頭で受け、後半開始から久々に染谷に交代した。負傷者続出の最終ラインにようやく染谷が戻ってきた。染谷も負傷がちでなかなか計算しづらい選手だが、今日はブランクを感じさせない動きで勝利に貢献。機動力に裏打ちされた強さは、秋本にはない魅力がある。ただし、高さ勝負ならば秋本に分があるか?
 染谷にはもうひとつ魅力があって、ボランチや右SBでも使えるユーティリティ性。危険な位置でファウルを犯す悪癖があるので、チョンウヨンが五輪代表で離脱するタイミングでボランチを試してみてはいかがだろうか?将来的には今の仙台の角田誠のようなプレーをするようになってほしいと考える今日この頃。


〈京右衛門的採点〉
水谷 6.5 …いつもより不安定だったが、神セーブも連発。
酒井 6.0 …守備は危なっかしかったが、攻撃力は抜群。
内野 6.0 …ファビオに仕事させず、強さを発揮。
秋本 6.0 …裏を取られ気味だったが破綻なし。また不運な負傷か?
福村 5.5 …完全に狙われてた。攻守のバランスが中途半端。
チョンウヨン 5.5 …守備で致命的なミスが目立ったが、攻撃面はいい。
中村充 5.5 …守勢時に消えてしまい、イマイチ流れに乗れず。
工藤 6.5 …彼がボールを触るたびに流れが良くなった。
中山 6.5 …2得点ともに起点に。相変わらずのハードワーク。
宮吉 5.5 …チャンスも少なかったが、積極性もなかった。守備は○。
ドゥトラ 7.0 …2ゴールよりもキープ力と献身性が素晴らしかった。
---------
染谷 6.5 …判断力もよく、ピンチの場面で身体を張れた。
駒井 5.5 …動き出しやカバーリングはかなりいいのに、パスが雑。
加藤 ――

---------
大木監督 6.5 …後半から見事に修正。試合を通じてもペース配分も良かった。