二条河原の楽書

京都サンガF.C.を中心にJリーグを楽な感じで綴るサッカー忘備録(予定)

2016明治安田生命J2リーグ第18節 京都vs山口

2016-06-13 | 蹴球

京都サンガF.C.3-0●レノファ山口FC
3'アンドレイ
 (↑FK堀米勇輝)
24'岩沼俊介
 (↑アンドレイ←CK)
89'ダニエルロビーニョ
 (↑エスクデロ競飛王)

[警告・退場]
・京都
87'下畠翔吾(C5遅延行為)
・山口
20'宮城雅史(C1反スポーツ的行為)


【全体の印象】
 序盤サイドで堀米と鳥養がバトル。そこから得たFKから先制すると、前半24分にもCKから加点。山口はボールを支配するも京都の守備網は崩れず。後半、山口はさらに攻めを加速させ、ショートパスを繋いで京都陣内に攻め入るも、単純ミスも多かった。高い集中力で山口の攻めをがっちり受け止めた京都はカウンターからエスクデロが躍動し、3点目を御膳立て。落ち着いた試合運びと球際での闘志、機動力の面で山口を凌駕した。


【雑感】
■長州サッカー
 吉田松陰から高杉晋作へと続く長州の志士たちは、とにかく行動に移すまでが速い。薩摩藩のように一度立ち止まって熟考することなく、彼らは突っ走る。そんな長州カラーをそっくりそのままサッカーに置き換えれば、レノファ山口ができあがる(のではないか)。能動的にボールを奪う→突っ走ってゴールに向かうという戦いぶりは、功山寺に挙兵して馬関新地会所を襲撃した高杉と同じ(ような気がする)。
 序盤のJ2で旋風を巻き起こした山口の強みは、その「判断の速さ」「迷いのなさ」かと思うが、それは同時に「正確性を欠く」という一面も孕む。相手ゴールに迫れるなら、敵陣を崩せるなら、たとえ確率が低い道筋であっても平気でそちらを判断する。この日もワンタッチでポンポンと繋いで京都エリア内に侵入する場面もあったが、最後までプレーが繋がる確率は低かった。そのあたりは京都側もしっかりスカウティングしていたようで、「やらせるところはやらせて、一番危ない所を締める意識は常に持っていた」(佐藤健太郎)。おそらく山口のアクロバチックなハイテンポな繋ぎに慌ててしまえば、そこに隙が生まれる。だけども、京都の守備は終始落ち着いていた。
 相手のせわしないペースに応じない「大人のチーム」ぶりを見せた京都に対し、山口は「青いチーム」だった。それはやはり何度となく暴発して自滅していった長州志士のようではないか。上野監督は、素晴らしく魅力的なチームを作っている。

■一体感
 それにしても京都の前半の守備は安定感があった。最終ライン4-中盤4の2ラインが均等に網を張り、アンドレイも前に出るよりバランス重視。能動的にボールを動かしてくる山口に対して怯むことなく球際では厳しく勝負し、チャレンジ&フォローで網をかけ、相手を自由にさせなかった。後半は山口が優勢だったものの、決して京都も受けに回った訳ではなく、ボールを奪えば強烈なカウンターパンチを繰り出した。山口は球際と機動力において素晴らしいチームだが、この2点に関しては京都はそれ以上だった。3連戦の3戦目でも運動量は落ちなかったのは、チーム全体で戦えていることの証明ではなかろうか。
 当たり前のことだけども、個々にボールを追いかける守備よりも、2~3人で囲んだりマークを受け渡す方が効率的だし、攻撃面でも何人かが呼応して繋ぐ方が消耗は少ない。(もちろんエスクデロの超人的なキープ力による部分は大きいのだが)。そして欠場した主力に代わって出場した選手たちも、戦術を理解した上でぴったりピースがハマるように活躍できる。サブまで含めてひとつのチームとして一体感が出てきたことをハッキリと示せた一戦だった。