京都サンガF.C.△1-1△ロアッソ熊本
63'内田恭兵
(↑こぼれ←CK)
68'清武功暉
(↑巻誠一郎)
[警告・退場]
・京都
45+1'石櫃洋祐(C1反スポーツ的行為)
74'アンドレイ(C5遅延行為)
・熊本
78'上原拓郎(C1反スポーツ的行為)
【全体の印象】
京都は全体的に動きが重く、左サイドで堀米が気を吐いていたくらい。熊本は前節から5人を入れ替え、走力で凌駕。巻とアンデルソンの高さも効いた。前半通じては熊本ペースだったが、40分前後に堀米と山瀬がサイドを入れ替えると、京都も徐々にスピードアップ。修正を施した後半は京都ペースに。CKの流れから内田の豪快なミドル弾で先制するも、熊本は投入直後の清武が京都守備陣を切り裂く痛烈弾。終盤、運動量が急落した熊本を京都が猛然と攻め立てたが、フィニッシュが雑でゴールは奪えず。消化試合数が他チームと並び、5位に浮上した。
【雑感】
■2ヶ月半
本来第8節が開催されるはずだった4月17日は、熊本地震(本震)の翌日。それから約2ヶ月半、ロアッソ熊本は非常に厳しい状況に置かれ、活動休止→活動再開→リーグ復帰→連敗→復調という道を歩み、「あの翌日にいるべきだった西京極」に帰って来た。
そんな熊本の方が断然走れていて、恵まれた環境(連戦とはいえホーム連戦)にある京都がまったく走れなかった前半は、さすがに失望を禁じ得なかった。戦術面でのエクスキューズは石丸監督のコメントが詳しい。どこでつまずいたのか的確に分析している。興味深いのは、40分ごろから堀米と山瀬がポジションを入れ替えたのが、ベンチの指示ではなく選手たちの判断だったということ。前半、京都は選手間の距離が遠くなりがちで、そのポジションのギャップを熊本にいいように使われていた。堀米が右に移ってからは、そこで逆に先手を奪えるようになって激変。掴み取れない流れをどうにか掴もうとした部分は、評価したい。
■兆し
相手の出方を整理した後半からは、好守に能動的になり、守→攻の切り替え時の推進力も出て主導権を握った。ただ、意識が前のめりになり過ぎたのか、攻め急いだり、大事なところで落ち着きを欠いた部分は反省点。もちろん京都の攻勢を阻んだ熊本の「サッカーに対するひたむきさ」は相当なもので、運動力は落ちても集中力は切れなかった。困難と向き合い続けても強く戦う彼らのメンタルには、心からの拍手を送りたい。
話を京都に戻すと、後半の攻撃面は(雑さもあったとはいえ)見どころも多かった。長・短・左・右・陸・空、攻めのパターンも豊富だったが、このゲームで注目したいのがスルーパス。アンドレイや本多、内田、エスクデロらから縦一本のパスに抜け出すシーンが何度もあった。内田のゴールにつながるCKを取ったのも本多→エスクデロのスルーだったし、72分のエスクデロの抜け出しから堀米へのラストパス、87分の矢島の抜け出しなどは絶好の形。“詰め”が甘いものの、出し手と受け手の意思疎通はリーグ序盤に比べると格段に向上している。リーグは次節で折り返し点。後半戦に向けたよい兆しは、十分に感じ取れる。
〈熊本への追伸〉
まだまだ延期試合のハンデを抱え、困難な状況が続くロアッソ熊本。この試合で見せた“ひたむき戦う姿”で、きっと乗り越えていってほしい。サッカーで前に進んでいく力を見せよう!そして傷ついた街に、勇気を!