二条河原の楽書

京都サンガF.C.を中心にJリーグを楽な感じで綴るサッカー忘備録(予定)

2012 J2第31節 草津vs京都

2012-08-26 | 蹴球

ザスパ草津○1-0●京都サンガF.C.
87'櫻田和樹

■山鉾巡行のような
 日本各地に夏祭りは数あれど、京都の祇園祭はかなり特殊らしい。何か特殊なのかと言えば、祭りのクライマックスが、スローなこと。山や鉾がゆっくり動き、時に渋滞して止まる。それを見た観光客は「京都らしいねー」「雅だねー」と言う。岸和田のだんじり祭りのような疾走感と真逆の、しずしずと歩むことによって得る価値。だけど、それが盛り上がるかどうかは別問題だ。何度も山鉾巡行を見てきたけど、血が沸騰したことは今の今まで一度もない。
 今日の京都のサッカーは、まるで祇園祭の山鉾だった。とにかく遅く、ゆったりとしていた。おそらく意図的だったのだろうと思う。酷暑の連戦で省エネサッカーをやるのは決して悪いことではない。攻撃のボールはとりあえずどれだけ数的不利でも宮吉拓実目掛けて入れて、あとはリスクをかけずにゆったりとやる。実際、前半草津にはチャンスらしいチャンスはなく、GK水谷雄一は寝ていたも同然だった。

■ふんわり、ふわふわ
 後半に入って、京都は目に見えてギアチェンジをして、寄せと球回しを速くしようという狙いを感じた。中村充孝がフェイントからミドルを撃って、クロスバー直撃。ある意味、もうこれだけで達成感があるような素晴らしい流れだった。それがためかどうかわからないが、京都の攻撃は再びスローになった。伊藤を入れて多少アグレッシブさはあったが、やっぱりスローだった。いや、スローじゃない「ふんわり」とか「ふわふわ」なのだ。それはこの日実に16本(!)を数えたコーナーキック。工藤浩平によるその全てがふんわり山なりで、5本に1本くらいはファーに蹴るものの、そのほとんどがニアへのふんわり。意図はわかる。スクランブルを起こして、そのこぼれを押し込もうという意図は。16本のうち1本だけその意図通りにバヤリッツァのところにチャンスが巡ったが、枠を外してしまう。
 16回のチャンスがありながら敵にまったく脅威を与えられないふわふわした姿勢が伝染したのか、守備もふわふわっとしていた。失点シーンは福村が振り切られてクロスを入れられたところにドフリーで櫻田和樹がいたものだが、「誰が見ていたの?」と原因すら特定できないほどのもの。
 鋭さとか速さでなんとか勝ってきたチームがふわっとしていたらさすがにこういう結果になりますわな。正直、ふわふわしてる物は気持ちいいけど、そういう気持ち良さに一度顔を埋めてしまったら、抜け出せなりますよ。臥薪嘗胆。硬い薪の上に寝る覚悟を持つべし。


〈京右衛門的採点〉
水谷 5.5 …見せ場は相手の速攻にスライディングクリアくらい。あんまり出番はなかったのに。
安藤 5.5 …機を見て上がり、チャンスに絡んだものの、ラストパスの精度は足りなかった。
染谷 5.5 …全体的には悪くもなく、守備を崩された訳ではないんだけど。
バヤリッツァ 5.5 …圧倒的な強さを発揮していたが、失点シーンは相手に釣られた。
福村 4.5 …守備に粘りがなく突破を許す場面が連続。失点シーンも簡単に上げられすぎた。
倉貫 5.5 …バランスを取りながら大過なくパスを回し、チャンスには積極的に顔を出していた。
中山 5.5 …やや疲れ気味なのか運動量も少なめ。ミドルシュートは何度か打ったが精度悪かった。
工藤 5.5 …奪われてもすぐに奪い返すなど、攻撃のスイッチになっていた。CKは前節同様工夫不足。
中村 5.0 …個人としては上手かった。が、テクに依存しすぎてチームの攻撃を単発にさせた。
駒井 5.5 …チャレンジする姿勢は良し。でもクロスやパスは相手にぶつけるお仕事だった。
宮吉 5.5 …相手最終ラインと駆け引きを続け、孤立しながら基点になろうとしたが、援軍なし。
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久保 5.0 …ボールに絡めば期待感はあったが、その時間はごくわずか。オフザボールでも仕事を。
伊藤 5.5 …積極的な仕掛けを見せたが…。持てる力は発揮したが、個の突破だけでは苦しい。
 原 ――
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大木監督 4.5 …ギアチェンジに失敗し、低調な内容で連敗。見せたいのはこんなサッカー?


2012 J2第30節 京都vs松本

2012-08-22 | 蹴球

京都サンガF.C.●0-1○松本山雅FC
          39'塩沢勝吾

■大木vs反町第5ラウンド
 昨年、湘南を率いた反町康治監督は対京都戦に3敗。もっとも、昨年は震災の変則日程で同じ週の2連戦と天皇杯準々決勝だった。今年、山雅の監督に就任して最初の対戦はドロー。そして5度目の正直としてようやく大木武軍団から勝利を得た。対戦するごとに大木監督に対するジェラシーを語ってきた反町監督。(ちなみにこの日の会見で語ったのは「あと9回京都さんと試合をすれば、向こうの7勝2分…、10回やったら1回勝てるかな」「ある意味開き直ってるというか、そうしたゲームでしたね」)今日の戦術はそりゃもう徹底されていた。ボールを持ったら考えるよりも速くサイドを走らせる。サイドはスピードを緩めることなく走って、速いクロスをゴール前に入れる。これだけ。前節まで「前で前で」プレスをかけていた京都の持ち味は無効化された。ただし、速さを追求する自転車がどうしてもコーナーを曲がりきれないように、山雅の攻撃の精度はそれほど慌てるようなものではなかった。だが、京都の守備陣は慌てた。バヤリッツァは冷静だったが、それ以外は慌てた。いや、観ている観客も慌てたかもしれない。なぜなら「山雅が攻めている」と錯覚させられたから。けれど、松本の最終ラインは決して上がらず、まったく守備的だったのだ。攻撃時は片方のサイドと、中に1人いるだけ。それを攻勢をかけているように幻惑したのが反町監督の意図ならば、そりゃもう策士だと思う。

■鬼門・ミッドウィーク
 それでも試合全体を通してみれば京都は攻めていたし、チャンスも作れていた。ただ、何人かあまり判断のよくなかった選手がいたのも確か。真夏の連戦でミッドウィーク開催なのだから、仕方ないこと…とは思う。実際今節は上位陣が満足に勝点を確保できていない訳だし。ただし、判断の悪かった選手のうち2人(チョンウヨンと福村貴幸)は前節出ていなかった。今年はどうもミッドウィーク開催がどうも苦手で、その原因が「連戦の疲労(なのにスタメンを代えない)」にあるのであれば説明は楽だったのだが、どうやらそうでもないようだ。
 パスが回る時間には回っていたし、中村充孝も抜群のテクニックとキープ力で攻撃を牽引したが、何が足りなかったのだろうか? 観ていて「足りないな」と感じたのは両サイドバックの攻め上がりだろうか。結局、山雅がサイドを使って攻撃を繰り出すので、そこを怖れてしまった。決定力の一言で片付けてもいいが、絶対的な手数…というか幅や多彩さは足りなかった。後半、工藤浩平・中山博貴が中央に入ってからリズムを取り戻しただけに、惜しいのだ。決して完敗ではない。大木監督自身も責任を感じているようなので、そこらへんすぐにやってくる次節に向け「采配の修正」ができるかどうか、だろうか。



〈京右衛門的採点〉
水谷 5.5 …好セープもあったが、DFの慌てぶりを声で立て直したかった。
安藤 5.5 …相手の鋭い突破に守備に追われた。いいオーバーラップもあったが。
染谷 5.0 …クリアを相手に渡すなどミス散見。相手のスピードに慌てたか。
バヤリッツァ 5.5 …終始強さを見せ守備を支えたが、失点シーンだけはクリアできなかった。
福村 4.5 …パスミス、クリアミス、ハイボールの処理ミスを連発し、自ら首を絞めた。
秋本 5.0 …相手のスピードに対応できず、前半で交代。
チョンウヨン 4.5 …意気込みは感じたが終始プレーは不正確かつ遅かった。
工藤 5.5 …攻守に適切なプレーを選択し、チャンスの種を蒔き続けた。CKの球質が残念至極。
中村 6.0 …抜群のキープ力と技術で相手を翻弄するも、ゴールだけ遠かった。
中山 5.5 …神出鬼没の飛び出しでチャンスに絡む。動きは良かったが、シュートだけ残念。
宮吉 5.0 …シュートや切り返しなどあと一歩が合わず、得点機を逸した。思い切りの良さも不足。
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駒井 5.5 …パスミスやトラップミスが多かったが、チャレンジする姿勢を見せ、絶好機も作る。
久保 5.5 …周囲を生かす意識が高く良い出来だったが、PK失敗がゲームの行方を終わらせた。
原川 5.0 …1点を追う場面で安全圏なプレーが多く、監督が期待したであろう若さや活力は感じられず。
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大木監督 5.0 …目に見えて合っていなかったウヨンや中盤の構成を調整し直すのに時間がかかった。







2012 J2第29節 京都vs横浜FC

2012-08-19 | 蹴球

京都サンガF.C.○2-1●横浜FC
10'宮吉拓実
61'中村充孝
          74'武岡優斗

■最大の防御は攻撃
 74分まで、完璧な試合運びだった。前回苦杯を舐めさせられた横浜FCだが、この日は満足にボールを持つことすらできなかったのではなかろうか?横浜FCがボールを持てば、とにかく京都がプレッシャーをかける。いや、かけるなんて生易しいものではない。プレスを間断なくかけ続ける。ボールホルダーに最短距離にいる人間がボールにアプローチし、横浜FCが自由にボールを扱える時間なんて、一切なかったのである。五輪で関塚JAPANが見せ、J1でも仙台が見せ、J2では好調チームの代名詞ともいえる「ハイプレス」。ハイプレスにも様々なやり方があるが、京都の場合はプレスをかけて、そこで奪えなくても次の展開を読んで2次的に奪う守り方がハマった。守備は攻撃の第一段階であることを証明したのが2得点目。染谷悠太が前に出ながら奪ったボールを即宮吉拓実に繋ぎ、宮吉は「全速力で曲がりながら走る」という妙技を披露した上で、パス一本でベテランDF堀之内聖を転ばせてしまう絶妙なスルー。絶好調・中村充孝はシュナイダー潤之介との競走に勝ち、試合を決めた。
 ただし、問題は京都出身の“赤帽チルドレン”武岡優斗に74分に反撃のビューティフルゴールを許してから。その時間帯まで前から前からかけていたプレスがズルズルと下がってしまうと防戦一方に。結局、ハーフウェーラインあたりでチェックに行けなければ、受け身の展開のならざるを得ないのだ。もしくは、攻撃的な守備がハマっている時間に試合を決定づける3点目を取れるならば、こんなにハラハラすることもなかったのかもしれない。完璧な試合運びが90分は続かないことも、サッカーの面白さだけれど。

■家貧しくして孝子出ず
 夏の移籍ウインドゥが閉じてしまったが、京都はついに誰一人補強をしなかった。今後カードが累積していくことを勘案すると、終盤に層の薄さが仇になってしまうかもしれない…なんて危惧しないでもない。そんななか、ある意味絶対的なレギュラーだった福村貴幸が出場停止。代役のチョイスは黄大城でなく、前節いいパフォーマンスを披露した酒井隆介だった。
 酒井隆介。シーズン前に東城陽の練習場でTMを見た時、彼がボールを持つと失笑すら起きていた選手。フィジカルは優れているのに、戦術理解度が低く、一生懸命なプレーが思わず笑いを誘ってしまうという愛すべき選手。そんな彼だからこそ、本職の右とは逆の左サイドに入って、なぜか面目を躍如したというのも面白い。この試合の酒井に、スタジアムに観戦に訪れた1万400人のうち、8000人くらいは心を鷲づかみにされたのではなかろうか?長髪をなびかせて爆発的なスピードで駆け上がり、不器用に切り返して壮絶(!)なボールを放り込む様は、まるで野人…いや、アルゼンチンのSBのようだった。もちろん、福村ほどスマートでなく、雑な部分も多かったが、その荒削りさに人々は心を奪われるのだ。特に練習場で「失笑」されていた彼だからこそ、そのギャップが応援したくなる何かを漂わせている。レギュラー離脱→大ピンチ…ではなく、レギュラー離脱→大チャンスになるのは、チームとしていい流れができている証拠。確かに各ポジション層は薄いんだけれども、家貧しくして孝子出ず、災い転じて福となす。日々の練習の積み重ねとして、誰が出てもチャンスをモノにできるって状態ならば、それは素晴らしいことなんだと思う。



〈京右衛門的採点〉
水谷 6.0 …終始気迫溢れるプレー。失点は相手を褒めるしかない。
安藤 6.5 …攻守に活躍。苦しい時間帯でも安定して上下動できるのは、大きい。
染谷 6.5 …大久保には手を焼いたが、臨機応変に対応。2点目に繋がったカットは見事。
バヤリッツァ 6.5 …シジクレイを思い出すような積極的な守備で跳ね返し続ける。
酒井 6.5 …繊細さはなかったが、アグレッシブな上がり、クロスが1得点目を生む。
秋本 6.5 …フォアリベロのように中盤で跳ね返し、パスカット。フィードミスだけ残念。
工藤 7.0 …出色の出来の守備だけでなく、反転攻撃の基点に。連勝の立役者。
中山 7.0 …ハイプレスの申し子のように相手との間合いを詰め続け、相手の自由を奪った。
中村 7.0 …軽いプレーもあったが、機を見てボールを追い、技術の高さを見せ続けた。
駒井 6.5 …高い機動力で相手を悩ませた。クロスやシュートがやや不正確なのは勿体ない。
宮吉 7.5 …相手DFラインとの駆け引き+献身的な守備+得点+アシストの大活躍。文句なし。
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内藤 6.0 …ボールを上手く引き出し、悪くない出来。ただ、3点目のチャンスはあった。
倉貫 6.0 …終盤バタバタしていたゲームを落ち着かせる役目は果たした。
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大木監督 6.5 …酒井の抜擢が当たり、チームの共通意識も一貫していた。ただ、交代は遅い?






2012 J2第28節 東京Vvs京都

2012-08-12 | 蹴球

東京ヴェルディ●0-1○京都サンガF.C.
          66'中村充孝

■緑の個人技なチーム
 ロンドン五輪を制したのは、緑のユニをまとった個人技に卓越したメキシコだった。個々にテクニックのある選手が多く、それでいてハードワークするサッカーでカナリア色の反則戦力チームを撃沈した。ハードワークは、もう今年のサッカーのキーワードじゃないか?と思うくらいにJでも世界でも席巻している気がする。しかしこの日、ピッチ荒れ放題・芋掘りピッチだった味スタに登場した緑のチームは、個人技には卓越していたが、ハードワークは若干足りなかったのだろうか?対する紫のチームはハードワークが身上。どっちに軍配が上がったのかといえば、個人技の方で、紫のチームは阿部拓馬などはどうしても止められず、特に福村貴幸に至ってはまるで勝負にもなっていなかった。ただ、サッカーの神様は不思議だ。思えばこれがこのゲーム全体の伏線だったのだろうか…。
 バヤリッツァが前からチェックに行ったところ、奪いきれずに転がったボール。それが猛然と福村を追い越した小池純輝に渡り、福村はペナルティエリア寸前で背後からチャージして止めた。福村が阿部の対応含め、終始後手に回ってしまっていたのがここで「退場宣告」になった形。ただ、緑の個人技なチームはそのFKから策を弄してフイにしてしまう。流れを失った。

■耐えて一撃
 得てしてあることだが、10人になった紫のチームは、もう為すべきことは明確だった。専守防衛。今まで散々攻めに出ることにより穴を作っていた京都だが、覚悟を決めれば意外にも堅かった。途中から個人技やパスワークが身上の緑が「縦ポン・放り込み」に終始してくれたのも助かった。バヤリッツァと秋本倫孝はハイボールにやたらと強く、染谷悠太も酒井隆介も緑色を凌駕する高さがあった。
 一方攻撃は、リスクを負わずに攻めるとなると有効なカードは中村充孝ただ一人。その中村が注文通りにワンチャンスを得点に繋げてしまうんだから恐れ入った。数的不利の中ゴールを決めてみせた中村のテクニックは素晴らしいが、もちろん中村一人で奪った点ではない。右斜め前で駒井善成が逃げて走ってパスコースを作り、背後から中山博貴がオーバーラップして左のパスコースを作った。そういう献身的な動きがあってこそ、中村の首の動きだけで「パス出そうかな?」と相手DFを翻弄して中から打ち抜いたプレーに繋がった。
 結果的にシュート数は 3-7 。数字だけ見れば一人退場したと思えない出来。不利になった状況でプランが全て崩れ去った中では、最高の選択を積み重ねて勝ち点3奪取を完遂できたのではなかろうか?


〈京右衛門的採点〉
水谷 5.5 …終始パンチングが不安定。福村退場の場面は飛び出しのタイミング早くヒヤヒヤ。
安藤 6.0 …数的不利になっても前に出ることを恐れず、ピンチにはしっかり戻って対応。
染谷 6.0 …バヤリツァ黄紙のシーンは責任大。その後は落ち着いて拾い、奪い、はね返した。
バヤリッツァ 6.5 …福村退場の場面を除き、前で奪いきるプレーは見事。高さも完勝だった。
福村 5.0 …阿部に抜かれまくり、小池に置いていかれて退場。攻撃にもまったく参加できず。
秋本 6.5 …相手ボールを奪い続け、CBの空けた穴も適切にフォロー。ハイボールも無双。
中山 7.0 …ハードワークの権化のようにボールの有無に関わらず走る。
工藤 6.5 …常にインターセプトを狙い、走り、ショートカウンターの起点に。
中村 7.5 …圧倒的なキープ力と超絶技巧は数的不利で躍動。ゴール以外も素晴らしい出来。
駒井 6.5 …無駄走りが多かったが、それが生きる場面も多かった。まさに全力を尽くした。
宮吉 5.5 …滅私的1トップの役目は果たしていたが、数的不利になり交代。
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酒井 6.5 …慣れない左SBも素早いアプローチと高さで守備の駒としては十分な働き。
内藤 5.5 …いい意味で目立たなかった。中山の動きをそのまま再現とはいかず。
倉貫 6.0 …こちらも工藤よりはスケールダウンしたが、最終盤でミドル一発。
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大木監督 6.5 …数的不利に宮吉を下げるリアリストぶり。残した中村が当たった。



2012 J2第27節 京都vs鳥取

2012-08-05 | 蹴球

京都サンガF.C.○3-1●ガイナーレ鳥取
54'駒井善成
64'安藤淳
88'駒井善成
          89'美尾敦

■力の差
 ベスト4に進出したサッカー五輪代表が躍進を続ける理由は、「ボールを奪ってから攻撃に反転する速さ」にあるだろう。特に清武は存在そものがスイッチのようで、彼自身が奪ったボールをすぐに攻撃へとスイッチさせてしまう。ひるがえってこの京都-鳥取、攻守の切り替えが速かったのは、どちらかと言えば鳥取だったように思えた。ただし、寄せは速いがその先がまったく繋がらない。モタつく鳥取を尻目に、DF・ロイスミスのバックパスミスを目ざとく奪った駒井善成が落ち着いて先制点。ここからは終始京都ペースで進んだ。夏場でも後半になってもきちんと組織的に走れるチームとそうでないチームの差を実感した感じ。これを発揮することは割と難しいと思うんだけれども、力の差を見せつけた。

■最適なフォーメーションは?
 この試合、大木監督は結局、宮吉拓実の1トップに工藤浩平・中村充孝・駒井という3枚を並べるという布陣で戦った。だが、結論としてはイマイチ。宮吉の裏狙いもさほど決まらず、ボールの収めどころも無い状態。結果的には工藤と駒井の献身的なフリーランが相手を消耗させたことは評価に値するのだが、1トップを担った宮吉は長所を出せぬままに終わった。
 もちろん、鳥取の出足が速かったのもある。だけれども主体的な攻撃が不発に終わったのは今後の課題。おそらく、次節の東京ヴェルディはそんな甘さは微塵も見せてくれないだろう。中村充孝はせっかくボールに触れる機会が多いのだから、もう少し精度を上げるべきだった。駒井の「抜け目のなさ」がこのゲームを救ったが、宮吉1トップでやるならば、中村はきっちりと何点か沈める働きはしてもらいたかった。 


〈京右衛門的採点〉
水谷 6.0 …守備機会も少なかったがピンチも確実にセーブ。頼もしい。
安藤 6.5 …常に前から勝負する意識があった。2点目のヘッドも見事。
染谷 6.0 …良い意味で目立たなかったが終始いい対応。イエローカードは余分。
バヤリッツァ 6.0 …前で潰して後ろでカバーし、安心して見られる出来。
福村 5.5 …無難にプレーしたものの、前に出るのか守るのか曖昧だった。。
倉貫 6.0 …前節とは一転、安定感抜群。機を見て戻り、機をみていいスルーパス。
中山 5.5 …簡単なボールを収められずピンチになる場面も。攻撃には絡めなかった。
工藤 6.5 …得点には結びつかなくてもチャンスを作り続ける。好調さを実感。
中村 6.0 …チャンスは山のように作ったが、ややリズムが独自すぎたか。
駒井 6.5 …報われないフリーランを繰り返したが、先制点と3点目として結実。
宮吉 5.5 …ボールを引き出すことは出来なかったが、3点目アシスト。
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内藤 5.5 …長所も短所もなく、時間は経過した。
久保 ――
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大木監督 6.0 …内容的に賞賛されるものではないが、結果的には駒井を活かせた。