二条河原の楽書

京都サンガF.C.を中心にJリーグを楽な感じで綴るサッカー忘備録(予定)

2011天皇杯決勝 京都vsFC東京

2012-01-02 | 蹴球

京都サンガF.C.●2-4○FC東京

■フローティング橋頭堡
 ルーカスが鬼だった。今まで、京都と当たったJ1チームはどうやら相手の実力を低く見積もっていて、特に対策を施さなかったが、FC東京がそんなことなかった。京都サンガをリスペクトし、徹底的にスカウティングしていた。舌を巻いたのがルーカスの動きだった。
 ルーカスはまずは中央にいるが、そこから左右どちらかに流れて、基点をつくる。敵陣の中に築く砦は橋頭堡と呼ばれるものだが、それを右に左に自由自在に築いてゆく。京都の守り方はボールに人数をかけるものなので、基点が動けば必然的に釣られていまう。中央にはルーカス自身が空けた「おいしいスペース」が生まれているのだ。ルーカスはそこに落とし、スペースに2列目からバンバン走り込むという明確な対京都戦術だった。

■愛すべき馬鹿者
 大木監督は、戦術を変えなかった。消耗しまくった激戦から中2日でも、ボールに人数をかけて攻撃的に奪いに行った。多くの選手がキレを欠きファーストコンタクトの局面で、ヒュッと躱されてしまうと、大ピンチが待っている。リスクが高いやり方を貫いたために常にリスクに晒され、実際やられまくった。実感としては得点差以上のピンチを作られ、得点差以上に圧倒された。
 それでも京都は自分たちが勝ち上がってきたサッカーを表現しようと、前で奪うディフェンスを試み、速いパス回しを挑んで行った。「前進あるのみ、前に倒れて死ね!」を地で行く愚直で馬鹿なサッカーだった。思いっきりぶつけてみて、失敗した。そのことは決してネガティブにとらえる必要はない。何事も失敗があってこそ成長していくものなのだから。

 1月1日の国立競技場、最高の雰囲気でサッカーを楽しめた。そんな舞台まで連れて行ってくれたことに素直に感謝したい。


〈京右衛門的採点〉
水谷 5.5 …ビッグセーブもあったが、防げる場面はもっとあったかな。
加藤 5.5 …SBでは器用貧乏程度の持ち味しか出せず。次の場所で飛躍を願う。
安藤 5.0 …必死にくらいついてた急造CBという出来。
森下 5.0 …ルーカスのマークは酷だった。
福村 4.5 …全体的に不調。3失点目の守り方はやっては駄目な典型。
チョンウヨン 5.5 …攻守に奮闘したが…。1失点目を何とかクリアできていれば。
中村充 5.5 …攻撃のアクセントになっていたが、負傷交代。
工藤 5.0 …キレを欠き周囲とも噛み合わず。
中山 6.0 …先制ゴールに惜しいオーバーヘッド。国立を湧かせてくれた。
宮吉 5.5 …持ち前の運動量がなく、守備に追われる時間も多く、不完全燃焼。
ドゥトラ 5.0 …単騎突破→止められる。これだけだった。
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久保 6.0 …前線を掻き回し、常に狙う姿勢を示した。未来につながる1ゴール。
駒井 5.5 …走って走ってボールに絡もうとするが、FC東京が1枚上手だった。
下畠 5.5 …公式戦デビューとしては上々だが、特に何もできなかった。
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大木監督 4.5 …信念は貫いたが、安藤右SBという快進撃の武器を自ら放棄したのが残念。