二条河原の楽書

京都サンガF.C.を中心にJリーグを楽な感じで綴るサッカー忘備録(予定)

2016年総括(取り急ぎ)

2016-12-06 | 蹴球
石丸清隆監督 解任のお知らせ というニュースが出てしまったので、取り急ぎ今季の総括を。(取り急いだため完成度低め。いつも低いって?(・ω<))

■足りなかったもの
 今さら言うのも何だけど、今年のチームは昇格チームのセレッソと5回やれば2~3回は勝てるチームだったと思うのです。持てる力を100%出し切ればセレッソにも岡山にも勝てたはず(松本だったら、わからない)。ただし、持てる力を100%出し切ること自体もまた実力。一番足りなかったのはそこじゃないかと。岡山の岩政大樹の言葉を借りれば「勝負を分けるのはディテール。そのディテールを生むのは日常」。一発勝負で力を出し切るのも、普段から積み重ねてきた総合力なんだろうなー、と。
 それでもシーズンの終盤には、100%を出し切れるゲームも増えてきていておりました。だからこそ、惜しい。『真田丸』のクライマックスは真田信繁が総大将家康を追い詰めるはずだけど、『石丸』では、ここで一槍突けば大将首を仕留められるところまで来て、最後の一槍が繰り出せなかった。惜しい、実に惜しい!

■発揮できなかった“100%”
 ではなぜ100%を出し切れなかったのか。ビッチコンディションが悪いとか、日程が過密だとか、怪我人が出たとか、出場停止で主力を欠いたとか、相手がドン引きしたとか、敵将が反町だとか、まぁいろいろな要因はある。良い条件ならば素晴らしいサッカーができたのは間違いないのだけど、あまりにもコンディション面(外的要因も内的要因もひっくるめて)に左右されすぎた。チーム作りそのものは正しい方向に進んでいたものの、悪条件をはね飛ばすほどの強靱さを備えるまでは至っていませんでした。チームとしての土台と骨格までは堅牢に組み上げられていたものの、嵐も砲弾も弾き返すほどの厚い装甲を鎧うまでチーム作りは進まなかった、と。もう少し時間をかければ進化していけた部分と思います。惜しい、実に惜しい!

■成績も内容も及第点以上
 さまざまなエクスキューズ(言い訳)が付きまとうものの、最終的に昇格プレーオフを勝ち抜けそうなチームにまで仕上がったことは、大きく評価したいところ。昨年は17位に沈み、駒井宮吉ら主力の流失があり、戦力の大幅に入れ替えからのスタート。同様に戦力総とっかえだった千葉がチーム作りに失敗して二桁順位に落ちたことを思えば、成績面でもサッカーの内容面でも及第点以上。個人的にはシーズン前には6位予想でした。後半戦でチームが仕上がって、その勢いでプレーオフに臨めば…と、思い描いていたシナリオには近い形にはなったのですか…J2そんなに甘くはないね。惜しい、実に惜しい!

■まだまだ良くなる守備面
 振り返ってみれば、序盤は拙ブログでもたびたび「連携の悪さ」を指摘しているのです。このチームは決して順風満帆ではなかった。つまづくたびに改善を重ね、それが最終的には他の上位陣に比べても「連携の良さ」を武器にできるほどになった。いや、そうではなくて、強烈な点取り屋とか屈強なDFがない分、組織力で勝負せざるをえなかったとも言えます。
 特に4枚-4枚の守備ラインが整って陣形を縦横コンパクトに保てたときは、付け入る隙を与えないほどに安定感ある試合運びを見せられた。失点の少なさはリーグ3位タイだけれども、集中力を切らして喫したつまらない失点も多く、さらなる改善の余地もある。つまり来季も継続すればまだまだ良くなる可能性があったということ。惜しい、実に惜しい!

■攻撃面&編成面
 得点数リーグ10位タイという攻撃面。これを単に「得点力不足」というワードに帰結してしまうと、事の本質は見えにくくなるのです。攻撃については最初に書いた「100%を出し切れなかった」ことと非常に関連性が高い。35節千葉戦39節清水戦40節熊本戦など前線から積極的に、全力でぶつかれたゲームでは例外なく相手を圧倒する時間を作れているのです。チャンスの数を増やす、そういうゲームの数を増やすことで得点力の面は間違いなく伸びていく、そう感じさせる内容を伴ったものでした。
 ただし、FWについてはイヨンジェもエスクデロ競飛王もどちらかといえばチャンスメーカータイプで、ストライカー型寄りのFW(有田光希や矢島卓郎)が生きることは少なかった。今年の京都はボックス内で強い個が合わせて点を取るというより、最終的には攻撃に人数をかける必要があったため両サイドアタッカーの存在が極めて重要で、実際、堀米勇輝も山瀬功治も7ゴールという数字を残しました。しかし、この2人しかいなかった。両者とも怪我を抱え、シーズン通しては働けず。サイドアタッカーにもう1枚、シュートを積極的に狙える選手がいれば歯車はもっと勢いよく回っていたのでは…? 夏のウインドーで、まったく使い物にならなかったキロスではなく、若い日本人のサイドアタッカーを獲れなかったか…。吉野恭平の補強が当たりたっただけに、実に惜しい!

■監督への評価
 長々と述べてきたけれど、石丸監督はチームビルディング、組織構築においては非常に良い仕事をしたと思っています。声を大にして「惜しい!」と言えるレベルのチームを作ることができた。このまま継続し、足りない戦力を補っていけば、良くなることはあれ悪くなることはなかったでしょう。
 ただし、勝負師としての勘所を上手く見極められなかったのは指揮官としての大きな弱点でした。31節松本戦は当時拙ブログで「天王山」と評した一戦。エスクデロの不在などエクスキューズは付くものの、ここで消極的な戦術に打って出たことで、自動昇格の芽を潰してしまった。プレーオフ準決勝を含め、勝負所で打つ手が裏目に出てしまった感は否めない。こうした経験を経て監督自身も成長する部分かと思いますが…うーん惜しい、実に惜しい!

■見果てぬ未来
 もし石丸監督が率いるチームで昇格するのであれば、今年の札幌の四方田監督のように、序盤から1-0を重ねて着実に勝ち点を増やす戦いぶりが最もイメージしやすいでしょうか(来年そういうチームを作る素地はできていた。実に惜しい)。
 要するにまだ未完成のチームだったのです。未完成は未完成でも、将来良くなることが見込まれる伸びしろ付きの未完成。来季も継続することで「100%を出す」ゲームはもっと増やせただろうし、あわよくば今年の札幌や去年の大宮のような試合運びの盤石さを身に付けることもできたでしょう。そういう可能性を全部否定して「監督解任」という結論に至るのは腑に落ちないのでございます。力さえ出し切れば、圧倒的戦力を持つ昇格チームとも遜色なく戦えるチームだった。あとは力を発揮するために、必要な戦力をブラッシュアップして編成し直し、日常から悪条件まで意識してトレーニングを重ね、より長い時間をかけて連携を熟成するという未来もあったんじゃないかなぁー、と。そういう未来を見届けることができないことが、今はただ惜しいのです。何よりも今年のチームが「解任」と2文字でダメだった、失敗だったと烙印を押されているようで、本当に口惜しい!

 とてもいいチームを作ってくれた石丸監督。本当にありがとうございました。語るべき内容があったのでブログを書く励みにもなりました。(そして来年このブログをどうするかは、まったくもって白紙になった)