二条河原の楽書

京都サンガF.C.を中心にJリーグを楽な感じで綴るサッカー忘備録(予定)

2015明治安田生命J2リーグ第18節 京都vs横浜FC

2015-06-14 | 蹴球

京都サンガF.C.●1-2○横浜FC
           34'松下年宏
           (直接FK)
           46'小池純輝
           (↑寺田紳一)
84'バヤリッツァ
(↑こぼれ←有田光希)

[警告・退場]
・京都
45'駒井善成(C1)
75'磐瀬剛(C2)
76'バヤリッツァ(C3)→次節出場停止
90+1'大黒将志(C1)

・横浜FC
なし


【全体の印象】
前半京都はプレスをかけていくが、一方で撤退戦術も併用してボールの奪い所が定まらず。攻撃は奥川や駒井の個人突破と前へのアバウトなボール頼み。チャンスはあったがダニエルロビーニョがことごとく潰す。磐瀬が不必要なファウルでFKを献上すると壁の作り方も悪く失点。後半開始直後には守備への備えが不用意なまま左サイドを突破され失点。後半みるみる運動量が落ち、守備を怠る奥川を最後まで残した花試合采配により布陣のバランスも崩れ、攻守とも機能不全に陥って勝ち点1すら届かなかった。

【特記ポイント】
■マンオブザマッチは小池純輝
・2列目からの飛び出しで京都の最終ラインをスコンスコンと出し抜く。
・それにしても小池を掴まえきれなかった京都の守備網の脆さよ。
・飛び出しをパトロールできないのは、DFだけのせいじゃない。

■勝ち点より優先したもの
・本日行われたのはたぶん「吉例 奥川雅也顔見世興行」。
・その奥川、得意な場所をでポール持てば「おっ」と思う仕掛けを見せたが…。
・時間が経つごとに守備をしなくなり、背後の内田がピンチになっても戻らず。
・疲れてボールタッチのミスが増えても奥川を使い続けた顔見世采配。
・勝ち点1でも必死に奪いにかかるライバルたちから笑われそう。

■11人なのに慢性的な数的不利
・磐瀬と原川は、持ち場を空ける味方のカバーリングが多く、バイタルで数的不利に陥りがち。
・つまるところアンカー(碇)がぶらぶらしてて安定感なし。
・布陣のバランスが悪い上に、意思疎通を欠くミスが多くて行き詰まる。
・相手のロングボールを怖れつつも、なぜだか不用意なディフェンス陣。
・もちろん奥川が守備をしないこととも無関係ではない。
・中盤前目に入れたはずの宮吉が内田をカバーしてたのが印象的。


【本日のひと言】
ルス監督最下位予想してすいませんでした。
あやまルッス!





2015明治安田生命J2リーグ第17節 大分vs京都

2015-06-07 | 蹴球

大分トリニータ△2-2△京都サンガF.C.
           2'奥川雅也
           (↑こぼれ←Dロビーニョ)
32'後藤優介
(↑キムジョンヒョン)
58'後藤優介
(直接FK)
           68'大黒将志
           (↑駒井善成)

[警告・退場]
・大分
90+1'ダニエル(C1)
・京都
56'バヤリッツァ(C1)


【全体の印象】
監督交代で布陣も変わりまだまだ足並みが揃わない大分。京都はその守備のズレを衝き「大黒を追い越すプレー」がハマって電光石火の先制劇。その後も苛烈に攻め立てたが、金南一が負傷交代すると状況は一変。大分の走力に中盤を制圧されるがままになり逆転を許す。京都はバヤリッツァのカット→駒井→大黒というシンプルなカウンターから追いつき、布陣のテコ入れして持ち直したが、それすなわち1枚目の交代の失策を証明することとなった。

【特記ポイント】
■中盤火だるま状態に陥った“失策”
・金南一がキムジョンヒョンと競って、着地で負傷。
・和田篤紀をそのまま守備的MFに入れ、和田・原川の2ボランチに。
・和田も原川も本質は攻撃的セントラルMF。守りに難があるタイプを並べてしまった。
・両者とも中盤でフィルター役になれず。相手の攻撃を遅らせることすらできず。
・それに加えて奥川とダニロビも守備面であまり役に立たない。
・大分にとってみれば中盤を素通りできるフリーウェイができた。
・しかも和田はワンタッチパスを安易に相手に渡し、カウンターを浴びる起点に。
・わかりやすく、火だるま状態。
・手当したのは同点に追いついた後。内田IN磐瀬ボランチで中盤のフィルターがようやく機能。
・1枚目の段階で内田IN磐瀬ボランチは考えられなかった?

■大黒変身中
・大黒が下がって受け、ダニロビや奥川、駒井が追い越すプレーが目立つ。
・意図的に周囲を生かすプレーで、攻撃のバリエーションが増加。
・周囲を生かした後、自らも再度ゴール前に詰める動き直しの質は高い。
・攻めの選択肢が増え、チームとして「とりあえず大黒任せ」みたいな丸投げパスが減った。
・守備面でも前線からしっかりチェイシング。大黒さんどうした?

■てことで、マンオブザマッチは大黒将志
・迷采配で下位対決を盛り上げた和田監督が別の意味でのマンオブザマッチ


【本日のひと言】
もっと中盤から取りに行ったら?




ドット ツカレタ…

2015-06-05 | 蹴球


奥川 雅也選手 FCレッドブル・ザルツブルクへ完全移籍のお知らせ
 ユースから上がって1年目の奥川雅也の移籍が発表された。この移籍が「再燃」して報じられたのが今週月曜(6月1日)。そこから4日後のことなのでまさに電光石火!急転直下!で決まったように見えるけれども、そこはまぁ、水面下で大人の話が続いていたということで…。

■世界から値段がつくほどの才能
「再燃報道」があった時点で、この移籍について何か自分の考えを書こうとして、まず久保裕也の事例を改めて調べ直してみた。文章を書き進めるうち、どうも気が進まなくなった。結局は祖母井元GMの「真実は言えないことがある」「裕也のことは、100%のことは言えない。彼には将来がある」という含みのある発言からいろいろ察するほかない。
 ともあれ、奥川はオーストリアに移籍することになった。奥川ははとても才能のある選手だ。何が凄いって、まだプロレベルで何の実績もないのに世界市場から値段が付くほど才能に将来性があると見込まれているのだ。だから、その才能をぜひとも広い天地で羽ばたかせてほしいと思う。拙者は、若いうちに海外挑戦することは基本的には賛成の立場。短い人生、飛び立てるチャンスがあれば飛び立てばいいと思う。
 ただし、奥川はまだプロのスピードや圧力の中でその豊かな才能やセンスを発揮できていない。国内での実績もほとんどないこの段階で海外挑戦して、ストレートに成功した例もまだ知らない(若くしてアトレティコ・マドリー下部組織に属して、紆余曲折を経て現在独特な解説者として特異な境地を切り拓いている方なら知っている)。才能に「心技体」が追いつかないうちは苦しいと思う。けれど決断したからには挑み続けてほしい。退路を断ってサッカーに没頭してほしい。ただし、その「値段がつくほどの才能」を利用しようとする大人もたくさん出てくると思うので、そこだけには気をつけてほしい。


■問われるクラブの姿勢
 こうして奥川移籍が発表されたことで、ひとつ透けて見えてきたことがある。それは、移籍することがわかっていた奥川を“あえて”トップチームで使っていたことの理由…あるいは、このクラブの姿勢だ。
 前述の通り奥川はまだプロレベルで才能を出しきれる段階にない。同じポジションで使える山瀬功治や佐々木勇人は間違いなく奥川よりも戦力として計算できるし、ここ最近J-22に招集されている石田雅俊だって現時点の奥川よりはプロレベルに近いはず。奥川を「未来のエース」と考えているから経験を積ませている…ってことならば積極起用はもちろん理解できるし、喜ばしいこと。だが、将来存在しない選手、それも戦力として必要不可欠な存在でもない選手を起用していたことは、まったく論理的ではない。でも例えば、奥川のマーケットバリューを上げるために起用を望む者がいて、その意に沿ったという仮説に従えば、それは極めて論理的になる。選手を高く売ることだって、経営的観点からみればある意味「正義」なのだ。
 久保裕也の時は、(公表はされていないが)ヤングボーイズに移籍して京都へのレンタル選手となった2012年7月以降、大木武監督は久保をチーム作りの中心から外した。当然のことだ。久保を主軸にしてもチームとして将来の糧にはならない。同じように、奥川を起用していたことは半年後、1年後のチームに何のプラスにもならない。有望な若手を出場させてファンを喜ばせるため?…もしもそういう温情理由だとすれば、それが一番得るものが少ない。むしろマーケットバリューを上げるためと言う方が「経営面」からみれば、すがすがしい。
 理由はどうであれ今回の移籍によって、選手起用などチーム戦術に関わる部分に大人の事情が介在することが透けてみえてきた。思うに、人の好い和田監督も、フロント経験の少ない野口強化部長も、さぞかし扱いやすくて都合のいい存在なのだろう。今年京都サンガF.C.というクラブがかつてないほどに低迷している原因もまた、純粋にチーム強化の青写真を描けていないクラブの姿勢にあるのではなかろうか。
 未来ある有為な若者たちにとってトップチームが自らの才能を発揮したいと思える場所になってほしい。憧れのサッカーがそこにあってほしい。少なくとも、今現在このクラブの将来は明るく見通せない。残念なことだ。少し考えるだけで、どっと疲れてくる。





2015明治安田生命J2リーグ第16節 京都vs熊本

2015-06-01 | 蹴球

   京都サンガF.C.○2-1●ロアッソ熊本
53'駒井善成
(↑こぼれ←Dロビーニョ)
65'菅沼駿哉
(↑こぼれ←Dロビーニョ)
              90+5'クォンハンジン
              (↑CK養父雄仁)

[警告・退場]
・京都
45'石櫃洋祐(C2)
90+3'バヤリッツァ(C1)
・熊本
なし


【全体の印象】
前半は熊本の出足が速く、京都は受けに回っては後退守備、たまに可能性の低いカウンター程度で良いところなし。ところが後半激変。駒井、奥川らの仕掛けが効き始めると、奥川の突破+クロスから駒井が押し込み先制。得点後は完全に熊本を押し込んでピッチを制圧し、CKから加点するなど前半とは別人のような積極性を見せるチームに変貌した。終了間際のCKから失点は許したものの、バヤリッツァを中心に守りも大きな破綻はなし。


【特記ポイント】
■問題だらけの前半まとめ
・熊本のプレス浴びると、あっさりボールをロスト。
・守勢は受け身一辺倒。中盤で取りに行かずにすぐにあきらめて後方撤退。
・バヤリッツァだけ前で奪いにかかる癖もあり、そのギャップを突かれる。
・引いていてもCBとCBの間にあっさりパスを通される場面も。
・守→攻の切り替えの時、パスをたくさん相手に渡してしまっていた金南一。
・相棒の原川も積極性を欠き、中盤中央のスペースが熊本のものに。
・しっかりボールを追って献身的に走っていたのは、なぜか大黒。
・攻撃にスイッチを入れても、苦し紛れ、または一か八かのルート選択。
・しかし熊本の決定力不足も深刻。この順位に沈む理由か…。

■後半芽生えた前への意識
・後半から駒井と奥川が意図的に中に絞り、懸案の中盤中央を使えるようになる。
・駒井の積極的な仕掛けからチーム全体の意識も前向きに変わる。
・先制後は原川が前に出られるようになり、前線の人数不足は嘘のように解消。
・2得点ともダニエルロビーニョのシュートのこぼれ球を押し込んだというゴール。
・1度止められても誰かが詰める泥臭い得点は、スーパーゴールより価値がある。
・さらに2つとも、もし弾かれようとも大黒が詰めていた“厚み”あり。
・前線が能動的に仕掛ける→守備も前向きに圧力→奪って速い攻撃といういいスパイラルに。
・ダニエルロビーニョは大黒と上手くシンクロ出来ず。守備もサボりがち。決定力もなし。

■ピックアップしときたい場面
・73分原川のビルドアップから山瀬・奥川のパス交換。左には磐瀬が駆け上がる。
・原川も押し上がりパスを受け、奥川へ。この時パスコースは大黒・山瀬・駒井・磐瀬・原川(に戻す)の5通り。
・奥川のラストパスに呼応した山瀬がエリア内に侵入してシュート。枠上に外れる。
・その時磐瀬が斜めに走り込んで山瀬とクロスオーバー。これまであまり見ないフリーラン。
・複数人数が絡み、多重的に動き、相手の守備を腰砕けにする様々なアイデアがあった。
・SBが上がってクロス…で完結の単調攻撃ではなく、こういう場面を多く作りたい。

■マンオブザマッチは駒井善成
・果敢な突破を仕掛けてボールを前に運び、停滞していた攻撃意識を叩き起こす。
・後半は奥川や山瀬をサポートしつつ彼らの良さを引き出す黒子的な動きも。
・後半から駒井を中に絞らせた采配も◎。


【本日のひと言】
ハンバーガー、うま・かった