二条河原の楽書

京都サンガF.C.を中心にJリーグを楽な感じで綴るサッカー忘備録(予定)

2013 J2第22節 東京Vvs京都

2013-07-03 | 蹴球

東京ヴェルディ●0-5○京都サンガF.C.
            07'駒井善成
            46'山瀬功治
            53'酒井隆介
            89'原一樹
            90'+3原一樹


■局面での数的優位
 もしフィールドを戦場とすれば、兵数の少ない場所を衝いていくのが勝利へのセオリー。数的優位の場所が生まれれば、そこを主戦場に持ち込んでバトルを制していけば戦局を優位に進めることができる。サッカーにおいてよく主戦場に目されるのが両サイド。「サイドが手薄」―このフレーズは大木サッカーの弱点として語られ続けたことだが、この試合は真逆で「サイドが分厚」かった。右でも左でも京都がサイドで人が多い状況を作れていた立役者はアンカーの秋本倫孝の黒子な動きに他ならない。
 秋本が適宜最終ラインに入ることでボールサイド=主戦場となっている方のサイドバックは積極的に前へ出てボールにアプローチすることができた。相手が真ん中から来たならば、秋本はすみやかに中央へと戻る。11人同士なのに常に数的優位を作っていた守備の鉄人・秋本がいることで、工藤浩平のボールへの読みは冴え渡った。怪盗クドウは奪ってそのまま攻撃に直結するラストパスを連発。前半と後半開始の段階でヴェルディにビハインドを負わせたことが三浦泰年監督を周章狼狽に追い込み、早々に交代3枚投入→負傷者に対応できず…という自滅を招いた。


■中・短と長・中・短
 京都にとれば結果的に非の打ち所のなかった完勝だったが、ヴェルディとの噛み合わせが良かったというのもまた事実。ヴェルディは徹底して「繋ぐパス」にこだわったことが裏目に出た。京都の方は、局面である程度数的優位を作れているため短距離パス~中距離パスが多いヴェルディのパス回しを網にひっかけることは容易だった。もしヴェルディが長いボールを織り交ぜてくればまた違ったかもしれないが、寿司ボンバー・高原直泰投入は時すでにおそし。逆に京都は長・中・短のパスを織り交ぜた。狭い所を短く繋ぐこともあれば、横谷繁あたりは独特のセンスでワンタッチで前線に長いのを蹴り込むこともしばしば。栃木戦以来新布陣への迷いがなくなったこともあるのか、パスの長短配合のバランスはかなり良くなった。ショートパスに対する大きな展開という、かつて京都がよく陥っていた負けパターンに嵌ったのがヴェルディだった…と言えるかもしれない。

 相手が10人になり、3点差がついた段階で倉貫一毅を入れ、無理に攻めず省エネサッカーに徹したことは、夏場の連戦であることを考えれば上々の試合運びだった。いや、ペースをスローダウンしながらもキッチリ原一樹が2点奪えたことを考えれば、完璧と言ってもいいかもしれない。原の1点目はやはり怪盗クドウから。怪盗クドウ快刀乱麻の躍動が、今度は引いた相手にも出せるのかどうか。次節に期待を抱かせる素晴らしい勝利だった。


〈京右衛門的採点〉
 オ 6.5 …序盤の右足セーブが相手の流れを断ち切った。守備機会は少なかったが安定感抜群。
安藤 6.5 …シュアな守りとオーバーラップで右サイドを制圧。頼もしいキャプテンだった。
酒井 7.0 …とにかく相手への寄せが速かった。角度のないとこからの得点も見事。
バヤリッツァ 6.0 …相変わらずの屈強さで迫力満点。やや雑な部分もあったが充分な働き。
福村 6.5 …課題だった守備も粘り強く、よい出来。5点目アシストの鋭いクロスは完璧。
秋本 7.0 …引く動き、埋める動き、奪う動き、止める動き全てがハイレベル。
工藤 7.5 …相手の動きを読み切り、盗み取ってはラストパス。石川五右衛門もびっくり。
横谷 6.5 …低い位置から高い位置まで広い範囲をよく動き、自由自在かつ的確なプレーを連発。
駒井 6.5 …運動量豊富に走りまくり、先制点以外にも相手の嫌がるプレーを出せた。
山瀬 7.0 …周囲に上手く使われ、突破にもキレあり。シュートに入る動きも迷いなし。
三平 6.0 …左右に流れながら基点を作り、2列目以下が動くスペースを生んだ。得点も欲しいね。
---------
 原 6.0 …細かいミスもあったが、ボールを呼び込んでゴールに向かう動きに力強さ。2得点さすが。
倉貫 6.0 …入ってすぐゲームを落ち着かせた。大きなコーチングで逃げ切りを確定させた。
原川 ――
---------
大木監督 7.0 …序盤で優位に立ち、相手に後手を踏ませる最高のゲーム運び。交代策もバッチリ。