二条河原の楽書

京都サンガF.C.を中心にJリーグを楽な感じで綴るサッカー忘備録(予定)

2013 J2第23節 京都vs岐阜

2013-07-08 | 蹴球

京都サンガF.C.○2-0●FC岐阜
22'山瀬功治
78'三平和司


■壊す作業
 岐阜は登録上3バックだったが、実質5バックだった。最終ラインにズラッと5人並べて、さらにその前に4人が横一線。5枚+4枚の2ラインでガッチリとブロックを組む。京都としては新しい布陣にしてから初めて当たった明確な「引いてくる相手」。最後の砦に5枚もいるもんだからセンターフォワードの三平和司は右に動こうが左に動こうが掴まえられてしまい、裏を狙えばオフサイドに引っかかる。ある意味、岐阜の戦い方は「狙い通り」だった。
 5枚のラインと4枚のラインの間に入り込むことにいち早く気づいたのは山瀬功治だった。山瀬は上手く隙間でボールを受けると、巧みなフェイントで相手を躱してズドンと一撃先制点。こうしてスコアは動いたものの、岐阜は戦術を変えなかった。5枚+4枚の二重城壁をめぐらせる籠城戦を続行。よほど前節の8失点が苦かったのだろう。岐阜の狙いは明確だった。1失点ならばこのままでいい。何かの拍子で1点取れれば、勝ちに等しい勝ち点1を取れるのだから。
 京都は1点取った後も再び外堀を埋めていく作業、城壁を壊す作業を続行せざるをえなかった。ボールはキープできるのでゆっくり回しながら隙を狙って裏へ入れて緩急を付けてみたり、左右に大きく揺さぶってみたり、山瀬と駒井善成のポジションを入れ替えてみたり。いろいろ手は尽くすのだが、待ち構える相手を前にするとなかなか難しい。結構いい所までは入り込むのだが、そこでトラップミスやパスミスなど細かいミスになってしまい、なかなか牙城を崩すには至らなかった。


■命脈は2点目
 岐阜の守備陣は、どれだけボールを支配されても集中力を切らすことはなかった。攻撃にリスクを掛けることなくリトリートして守り続けていれば、耐え忍んだ末どこかでセットプレーから一発奪ってしまえば追いつくことができるのだ。だからこそ、2点目こそがこの試合の命脈を握っていると思いつつゲームの行方を見守った。ぶっちゃけてしまえば、2点目を京都が奪ってしまった時点で決まってしまうゲームだったのだ。
 後半になると横谷繁が5枚ラインと4枚ラインの間に入り込む回数が増え、駒井もサイドへボールを引き出す回数が増えたが、どちらも最後の最後でミスを出してしまう。相変わらず三平和司は封じられたまま。73~4分くらいだっただろうか、ベンチには原一樹が呼ばれ、ユニフォーム姿でスタンバイしていた。大木監督としての引いた相手を崩すためのアンサーだったのだろう。ところがその直後に横谷のワンタッチパスを三平が胸トラップからボレーシュートを放つシーンが出て、さらに三平のポストプレーからのチャンスなどが続く。これを見て判断したのか、原投入が一時的に見送られた直後に、コーナーキックから三平ヘッドによる2点目。この試合については、それで引導を渡した。ハナから守りにきている相手との難しいゲームをそつなく勝ちきった、と言えるだろうが、引いた相手に対してどうこじ開けるか?という方策についての評価は保留状態。
 ただし、惜しかった山瀬の直接FKやFKからの秋本ヘッドなど、セットプレーの質が上がってきていることは明るい材料。どうしても点が欲しい時に選択肢が原しかいないのは、ちょっと不安な面。とにかく2点目を早く奪えれば大勝も可能だが2点目が奪えないままだと「あわや」の自体を招くのが今の京都。「J2屈指の曲者(監督)」と当たる次節が、そこんとこの答えを見せてくれそうだ。


〈京右衛門的採点〉
 オ 6.5 …ほぼ危げなく、美尾の変化したミドルもよく止めた。キック精度はイマイチ。
安藤 6.5 …パワフルな寄せと奪いから運動量豊富に長駆攻撃参加。
酒井 6.5 …速い相手をフリーにさせずいいカバーを見せる。次節出停のハンドは残念。
バヤリッツァ 6.0 …刈り取るような守備で壁を築いたが、ヒヤヒヤするシーンも。
福村 6.5 …守備時の絞り方がスムーズになった。攻撃参加は山瀬を助けた。
秋本 6.5 …横谷工藤と連携しながら中央とSBが上がった穴をしっかりカバー。
工藤 6.5 …攻めも守りもここぞという時に顔を出し、バランスを保つ職人肌の動き。
横谷 6.0 …相手の穴を衝こうとする動きは良かったが、単純なミスも多かった。
駒井 6.5 …自分で仕掛けてこじ開けようとする気概は良し。だが、精度がもう一つ。
山瀬 7.0 …相手を抜き去る匠の技で違いを見せつけた。セットプレーの精度も◎。
三平 6.0 …岐阜の堅守に潰され続けた。存在感を見せればチャンスにはなる。そういう役目を果たす。
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 原 5.5 …よく動き回るのだがノーチャンス、この布陣の中で活きているのかどうか。
田森 ――
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大木監督 6.5 …覚悟を決めて守る相手に、軽挙妄動せず。三平を引っ張った判断は正しかった。