二条河原の楽書

京都サンガF.C.を中心にJリーグを楽な感じで綴るサッカー忘備録(予定)

2011J2第16節 京都vs大分

2011-06-12 | 蹴球

京都サンガF.C.○2-0●大分トリニータ

■刀を槍に持ち替えた
 サムライ=刀。映画やドラマでは、刀を持ってチャンバラやっているが、実際の戦闘で刀剣が活躍した場面があるのか、非常に疑わしい。なぜなら、刀の攻撃範囲がものすごく狭いから。接近戦に持ち込めればアリなんだろうが、武器の優位性はやっぱり長さなのである。

 さて。大木サンガは、今まで好んで刀を使って接近戦に持ち込もうとして、ことごとく空回りしていた。しかし今日の武器は、狭い範囲のショートパスでなくて裏抜けフィードパスだった。先制点の基点は内藤洋平のフライフィード。それをこの日抜群の裏走りを見せた中山博貴が収め、折り返しを久保裕也のスライディングシュート。2点目は最終ラインの森下俊の“バックスピン”フィードを、久保が体重移動だけのフェイントで相手DFを手玉に取り、見事すぎるループシュート。槍を突きつけるような縦に速い展開は、相手最終ラインを下げる効果もあり、流れはおのずと京都に傾いた。

■ベテランの味
 守備面を支えたのは、間違いなく秋本倫孝だった。前回のように自ら前線に顔を出して士気を鼓舞する役目を買わず、この日は機を見て最終ラインの穴を埋めた。まさに“碇”のように安定感を生み、そんな精神的余裕は、不安定さを露呈し続けていた染谷悠太に自信を与え、初出場の酒井隆介にも「思い切り勝負する」という精神環境を与えた。また、途中から入った鈴木慎吾も要所を締める動き。GK水谷雄一を含めベテラン勢の動きは、若くて不安定になりがちなチームがフラフラとブレそうなところで耐えられた。

 ただし、この日の大分は決して出来は良くなかった。決定的チャンスでシュートは枠に飛ばず、ミスパスは多く、守備もルーズ…。勝てて当たり前のような相手ではあったが、低迷するチームに1勝は一番の薬。「相手を凌駕して勝つ」という攻撃サッカーの楽しさが、ようやく見えてきた。


〈京右衛門的採点〉
水谷 6.0 …チェジョンハンの超強烈シュートを防いだプレーは見事。
酒井 6.5 …積極的に広い範囲を最後まで走り切った。
染谷 6.0 …後半、デカモリシには手こずったが完封に貢献。
森下 6.5 …攻守ともに安定。2点目のアシストは凄いバックスピン。
秋本 6.5 …絶妙の判断力でチャンスの芽を摘み、高さにも競り勝つ。
加藤 5.5 …守備的に黒子役に徹する。プレスキックはやや残念。
内藤 6.0 …中盤で走り回り大分ディフェンスを混乱させた。
中村充 6.0 …抜群のキープ力と飛び出しがジャブのように効いた。
ドゥトラ 5.0 …裏狙いは相手をてこずらせた。カード2枚目がモッタイナイ。
久保 7.0 …常にアグレッシブな姿勢が報われた。スーパー17歳。
中山 7.0 …抜群の動き出しと、圧倒的な行動範囲。左サイドの王様だった。
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鈴木 6.5 …相手の嫌な場所に顔を出し、ゲームを締めた。
駒井 5.5 …アグレッシブだったが、ミスが目立った。
金 ――
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大木監督 6.0 …ショートパス一辺倒からの脱皮は意図的?