ギラヴァンツ北九州●1-2○京都サンガF.C.
5'有田光希
(↑金南一)
29'伊藤優汰
(直接FK)
68'小松塁
(↑渡大生)
[警告・退場]
・北九州
28'前田和哉(C1)
82'西嶋弘之(C1)
90+1'加藤弘堅(C1)
・京都
47'宮吉拓実(C1)
【全体の印象】
序盤から積極的に仕掛けた京都が押し込み、前線が互いに連動しながら北九州エリア内に何度も侵入。押し込み続けた流れから、有田が先制。さらに有田はいい守備からそのまま突破をかけてフリーキックを獲得し、それを伊藤が直接突き刺して追加点。前半は京都が圧倒した。後半になると徐々に北九州がペースを掴み、自陣内でクリアしきれないうちに星原に拾われ、そのクロスから失点。京都はなかなか主導権を取り返せなかったが、最終盤に駒井が驚異的な走力をみせてチームを鼓舞。流れを失いつつも待望の勝利を手にした。
【雑感】
■前半の連動
前半の京都はまさに“ハマった”状態。キーマンになったのは、金南一。互いの布陣を対比させてみると、京都の前3枚・宮吉有田伊藤に対して北九州のDF4枚がゾーンを作って対応、駒井山瀬には風間加藤が対峙、一方北九州の前4枚には京都のDF4枚がゾーンで対応。金南一だけが浮いたような状態になり、フリーマンとしてセカンドボールを回収し、プレスの発動点となり、攻撃の起点となって押し込み続けることができた。
さらに前半の京都は、奪う→ボールを前に送る→人が追い越す→陣地を前に進めるという作業が有機的に連動。特に駒井・宮吉・有田のコンビネーションが良く、彼らが連携して追い越す攻撃に、ゾーンを作って待ち構える守備の北九州は対応しきれなかった。注目したいのは中盤から配球するとすぐに動き直して前線に飛び出してきた駒井の動き。守勢に回った時にはきちんとアンカーの脇を固める。4-1-4-1のインサイドハーフとしては理想的なプレースタイルをすっかり体得している駒井の「本職」を再考してもいいくらい。五輪代表を目指す原川に求められるのは、こういうプレーである。
■後半の問題点
後半、相手にペースを渡してしまったひとつの要因は、前半浮いていた金南一の両脇のスペースに北九州のサイドMF(特に小手川)が入ってきて数的優位が崩れはじめたこと。察知した石丸監督は田森を入れて2ボランチにするのだが、守備的+守備的の中盤構成は明らかに前への活力を削ぎ落とすことになってしまった。さらに攻撃の翼をもいだのが、この日前線の基点役&ハイプレスの先鋒としてあまりにも効いていた有田から大黒への交代。宮吉・有田という前である程度攻めの時間を稼げる選手がいなくなると、前向きに人が人を追い越すという「強み」が出せなくなった。追い上げられて、どうにか突き放したいというのはわかるが、交代カードを切るごとに勢いを失ってしまったのは気になるところ。
人を代えて戦術を〈ハイテンション→落ち着き〉へとシフトしながら勝ちきるor逃げ切る采配はまだまだ改善の余地はありそうだが、そうこうしているうちに今シーズンももう残り3試合。早く来季を見据えたゲームに向かえればいいのだが。