二条河原の楽書

京都サンガF.C.を中心にJリーグを楽な感じで綴るサッカー忘備録(予定)

さらばバドゥ

2014-06-18 | 蹴球

6月18日(水)、京都サンガはバドゥ監督の解任を発表しました。まずはお疲れ様でした。人間としてとてもチャーミングで、素晴らしい人柄の紳士だっただけにつらい部分はありますが、勝負の世界では致し方ないですね。結構調子良かった頃に描いた監督のイラストもお蔵入りですね。没にしときます。

■ここまでの総括
成績は7勝5分6敗・勝ち点26で11位。自動昇格圏2位との勝ち点差は11です。結果もイマイチなんですが、内容が「どうしてこうなったのか?」状態。フォーメーションがどうとか、戦術がどうこうとか、細かく検証していけばキリがないので、一言でバドゥサンガがどうだったのか総括してみますと、

「いつも迷ってるサッカー」

でした。

とにかくプレーに迷いが多く、ボールを持ってから次の選択肢を探す。ゆえにスピード感がない。たまにダイレクトでパスを繋げば3本目か4本目かで動きが合わなくてボールを失う。つまり、組織的な動きがまるでダメ。集団としての共通理解が薄いから、迷う。何が悪くてこうなってるのかといえば…

監督orコーチに問題がある


ということになります。


■問題点はどこにあったか?
 バドゥ監督については、正直いって最後までよくわかりませんでした。会見でメディアに本心を語っているとも思えないし、「勝ち点100、100得点」みたいなブラフをふっかける。いつも笑顔でサービス精神満点の好々爺だけど、グラサン外すとめちゃくちゃ険しい目をしてたり。確実に言えるのは、細かく戦術を立てて指示するタイプではなかったということ。たぶん大枠の考え方とか哲学みたいなものを示して指針にしていくタイプなんだろうなぁ、と。それをヘッドコーチが汲み取って具体化していく…。だけどそれが上手く行かなかった。次の2つの原因が考えられます。

①ヘッドコーチの能力への疑問
②監督の資質の問題


クラブは既に監督解任に舵を切った訳なので、①については飛ばして、②の理由をもう少し具体的にしてみましょう。(個人的には①にも大きな問題があったと思います)


■監督の資質はどうだったのか?
 バドゥ監督が示していた大きな方向性は、「サプライズ」の名の元に創造力や咄嗟の判断を大事にすることでした。ところがこれは、ハイプレスで時間とスペースを奪いにかかる今のJ2では、かなり浮世離れしたコンセプト。監督の理想自体が、2014年の日本のサッカー、J2のサッカーには合ってなかったのではないでしょうか。時間とスペースを削られる中で拠り所になる決まり事がなく、選手は自分でプレーの選択肢を探さなきゃいけない。だから「迷い」も生まれます。

 18試合みた受けた印象としては「古くさいサッカーだなぁ」と。モダンなサッカーでは守→攻、好→守の切り替えの速さを念頭に戦術を突き詰めるはずなのですが、今季のサンガはその部分がずっと放ったらかしでした。選手個々の判断で対応したとしても、周りが連動して付いてくることは少ない。イメージとしては20年くらい前の、ワールドカップでいえば94年アメリカ大会くらいの、ゆったりと鷹揚としたオールドファッションなサッカーでした。

 創造性を求めながら、創造力に長けた選手が少ないことも問題でした。おそらく咄嗟に面白い発想ができるのは工藤くらい。ある程度の決まり事がある中で瞬間的に縛りを解いてブレイクできる選手は他にもいると思いますが、まっさらな白紙にお手本もないまま絵を描けるタイプなんてほとんどいません。それでも監督は自身の理想である創造性を追い求めます。選手のインタビューを読んでも、大抵そこに戸惑いを漂わせていたんですよね。完全なミスマッチでした。

 さらに言えば、監督が選手の能力、特性、長所、短所をきちんと把握できていたのかどうかにも疑問が残ります。そこはコーチが見ている部分なのかもしれませんが、去年からチームにいるのはGKコーチのアダウトだけ。「選手が監督を理解できなかったのではなく、監督が選手を理解できていなかった」ことは大いに考えられます。


■どうする?後任監督
 暫定監督として森下コーチが指揮を執りますが、後任は未定とのこと。とりあえず暫定で指揮を執ってもらって、試合内容を見て森下体制で行くかどうかを判断するということでしょうか。内部昇格という形になるので大きな改善が見込めるとは思えないのですが…。それ以上に気になるのは、バドゥ監督を連れてきた祖母井GMの去就。祖母井氏が今後もチームに残るのか、チームを離れるのかによって監督だけでなくチームの進むべき方向性までも大きく変わるはずです。祖母井氏の評価についてはこのエントリーでは省略します(総合的に判断すると、残ってほしいです)。
もし残るのであれば、ベルデニック氏(…ジェフ市原GM時代の監督)、フィンケ氏(…カメルーン代表監督、たぶん祖母井氏が一番連れてきたい人)、イビチャ・オシム氏(…ないない (ヾノ・∀・`) )あたりが取り沙汰されるのでしょうか。あとは稲盛名誉会長が三顧の礼でお願いしてる岡田武史氏(…金がないない (ヾノ・∀・`) )?

 個人的な希望としては、どうせならフレッシュな人が見たいですね。拙者が監督候補として面白いんじゃないかなぁと思う人が浅野哲也氏(伊賀FCくノ一監督)。アビスパ福岡で半年間指揮を執りJ1残留に失敗しましたが、内容は決して悪くありませんでした。ちょうど去年の湘南みたいな感じで。もう一度Jで見てみたい監督です。きちんと戦術を説明できる表現力があるので、監督と選手の距離も近くなるのでは、と。

 それから、今回荒川コーチの配置転換も発表されトップチームのコーチの人数が足りなくなりました。ぜひともヘッドコーチに呼んでほしい思うのは、望月聡氏(びわこ成蹊スポーツ大学監督)。なでしこジャパンで佐々木則夫監督を補佐した調整能力に加え、サンガの選手の特徴を熟知している僧侶お方です。どんなタイプの指揮官にも考え方を合わせられる柔軟性と深い洞察力を持っていると見受けられ、今のサンガのコーチにはピッタリなんじゃないか、と。

 今度こそ、監督とヘッドコーチがガッチリタッグを組んで、いいチームを作ってほしいと願うのみです。(あ、浅野さんと望月さんは94年にレッズで一緒じゃないか!)

 以上素人の戯言でございます。バドゥ監督、短い間でしたが楽しませていただき、ありがとうございました。