二条河原の楽書

京都サンガF.C.を中心にJリーグを楽な感じで綴るサッカー忘備録(予定)

2013 J2第1節 G大阪vs京都

2013-03-03 | 蹴球

 ガンバ大阪△3-3△京都サンガF.C.
         24'安藤淳
60'阿部浩之
62'レアンドロ(P)
         81'山瀬功治
         90'+1久保裕也
90'+3遠藤保仁(P)

■ガンバよ!これがJ2だ!
 J1のサッカーとJ2のサッカーの違い。思うに一番大きな差は、時間とスペースの差と考える。J2は技術面で劣るかもしれないが、そこんとこを走力で埋めようとする。激しくボールに寄せてゆき、相手から時間とスペースを奪ってゆく。その際に、技術が足りないもんだからラフなプレーになってしまう場合もある。タイトで厳しい混戦や消耗戦が多いのが「J2魔境」なのだ。
 どうやらガンバは自分たちが魔境に足を踏み入れたことにまだ気がついていないようだった。今日の京都はとにかくボールへの寄せが速く、前半からいとも簡単にガンバの自由を奪っていった。さらにボールを奪ってから攻撃に転じるスピードも速く、終始ガンバを慌てさせた。京都は去年までなら中村充孝のところで一旦落ち着いたりもしたが、今年はそこであまり止まらない。人間、余裕がなくなってしまうとミスが増えるもの。プレスの速さがガンバを追い込んでミスを誘発し、そういうミスの一つからFKを獲得。福村のFKを秋本が折り返し、安藤淳の美しいボレーが2013年のオープニングゴールとなった。
 ガンバよ、確かに京都のプレスは速いけど、さらに激しい当たりを挑んでくるチームもあるぞ。逆に言えば他の20チームに「対ガンバ」をどうすればいいのか、このゲームが示していたかもしれない。ようこそ、J2魔境へ!

■反撃の旗手
 さて、前半のピンチといえば、何度かあったCKだけ。ある意味完全にゲームを支配できていた京都は後半も攻勢をかけ、山瀬功治のキレ味が輝きを増す。そんな山瀬のポスト直撃を押し込んだ宮吉拓実のゴールは取り消し。さらに三平和司が右に展開して安藤のクロスを宮吉がダイビングヘッドで合わせるもGK藤ヶ谷陽介正面。突き放すチャンスはあった。それをモノにできなかったがゆえに奪われた失点は、一瞬の隙を衝かれた格好。立て続けのレアンドロのPKはどうも不可解な判定に見えたが、好事魔多し。相手を魔境に引きずり込んだ側がサッカーの魔物に飲み込まれてしまうというのは、皮肉なものである。
 だが、今年の京都は相手を攻撃し倒す姿勢を崩さなかった。反撃の旗手は山瀬。彼のドリブルがあることで、パス回しに注視していた相手を混乱に陥れる。途中出場した中村祐哉、久保裕也のWユーヤも意図が明確で、とにかくボールを前に運んで流れを引き戻す。山瀬、久保のゴールはどちらも相手をしっかり崩した形。崩して奪える攻撃力は、見てるだけで戦慄が走るのだ。
 二転三転のドラマチックなゲームは、アディショナルタイムでのPK献上があり、バヤリッツァが退場した上に土壇場で追いつかれるという悲鳴にも似た状況に。しかし直後、諦めることなく1点奪う姿勢で敵陣突破を計り続ける男がいた。山瀬だ。アウェイでも勝利を奪いに行くその姿勢に、高い志を感じるのだ。冷静に見ればガチャガチャとして青臭い試合運びだったかもしれないが、そこに人の心を痺れさせてしまう中毒性がある。


〈京右衛門的採点〉
 オ 6.0 …遠藤の直接CKを防ぐなどいい出来。ハイボールにも強い。PK2つは仕方ない。
安藤 7.0 …主将となり闘将化。豊富な運動量で右サイドを制圧し、1ゴール1アシスト。
染谷 5.5 …前で奪う守備でよくレアンドロを抑えたが、不運にもPKを献上してしまった。
バヤリッツァ 5.5 …強さを見せ相手に仕事をさせなかったが…。PKは仕方ない面も。
福村 5.5 …奪うのもフィードも素晴らしかった。最後パウリーニョへのチェックを除けば。
秋本 5.5 …防波堤のように中盤で相手の侵入を防ぐ。後半は運動量の落ち込みも目立つ。
工藤 6.5 …守備→攻撃への切り替えを操り、京都ペースのゲームを組み立てた。
山瀬 6.5 …パス、ドリブル、シュートどれも一級品。もっと枠内に打てれば文句なし。
駒井 6.0 …散発的だが強烈なインパクトを残す突破。シャドー的な動きを磨きたい。
三平 6.0 …チャンスによく顔を出し、泥臭く攻撃につなげた。あとはシュート精度。
宮吉 6.0 …前線からの献身的な守備は◎。攻撃ではややミスが目立った。
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中村 6.0 …入ってすぐは気負いすぎ。徐々にキレが増し、サプライズを生んだ。
久保 6.5 …ボールの引き出し方、周囲の使い方、フィニッシュ…いい時の久保が戻ってきた。
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大木監督 6.0 …奪う守備→奪う攻撃という哲学をいかんなく発揮。逃げない姿勢に好感。