二条河原の楽書

京都サンガF.C.を中心にJリーグを楽な感じで綴るサッカー忘備録(予定)

2012 J2第30節 京都vs松本

2012-08-22 | 蹴球

京都サンガF.C.●0-1○松本山雅FC
          39'塩沢勝吾

■大木vs反町第5ラウンド
 昨年、湘南を率いた反町康治監督は対京都戦に3敗。もっとも、昨年は震災の変則日程で同じ週の2連戦と天皇杯準々決勝だった。今年、山雅の監督に就任して最初の対戦はドロー。そして5度目の正直としてようやく大木武軍団から勝利を得た。対戦するごとに大木監督に対するジェラシーを語ってきた反町監督。(ちなみにこの日の会見で語ったのは「あと9回京都さんと試合をすれば、向こうの7勝2分…、10回やったら1回勝てるかな」「ある意味開き直ってるというか、そうしたゲームでしたね」)今日の戦術はそりゃもう徹底されていた。ボールを持ったら考えるよりも速くサイドを走らせる。サイドはスピードを緩めることなく走って、速いクロスをゴール前に入れる。これだけ。前節まで「前で前で」プレスをかけていた京都の持ち味は無効化された。ただし、速さを追求する自転車がどうしてもコーナーを曲がりきれないように、山雅の攻撃の精度はそれほど慌てるようなものではなかった。だが、京都の守備陣は慌てた。バヤリッツァは冷静だったが、それ以外は慌てた。いや、観ている観客も慌てたかもしれない。なぜなら「山雅が攻めている」と錯覚させられたから。けれど、松本の最終ラインは決して上がらず、まったく守備的だったのだ。攻撃時は片方のサイドと、中に1人いるだけ。それを攻勢をかけているように幻惑したのが反町監督の意図ならば、そりゃもう策士だと思う。

■鬼門・ミッドウィーク
 それでも試合全体を通してみれば京都は攻めていたし、チャンスも作れていた。ただ、何人かあまり判断のよくなかった選手がいたのも確か。真夏の連戦でミッドウィーク開催なのだから、仕方ないこと…とは思う。実際今節は上位陣が満足に勝点を確保できていない訳だし。ただし、判断の悪かった選手のうち2人(チョンウヨンと福村貴幸)は前節出ていなかった。今年はどうもミッドウィーク開催がどうも苦手で、その原因が「連戦の疲労(なのにスタメンを代えない)」にあるのであれば説明は楽だったのだが、どうやらそうでもないようだ。
 パスが回る時間には回っていたし、中村充孝も抜群のテクニックとキープ力で攻撃を牽引したが、何が足りなかったのだろうか? 観ていて「足りないな」と感じたのは両サイドバックの攻め上がりだろうか。結局、山雅がサイドを使って攻撃を繰り出すので、そこを怖れてしまった。決定力の一言で片付けてもいいが、絶対的な手数…というか幅や多彩さは足りなかった。後半、工藤浩平・中山博貴が中央に入ってからリズムを取り戻しただけに、惜しいのだ。決して完敗ではない。大木監督自身も責任を感じているようなので、そこらへんすぐにやってくる次節に向け「采配の修正」ができるかどうか、だろうか。



〈京右衛門的採点〉
水谷 5.5 …好セープもあったが、DFの慌てぶりを声で立て直したかった。
安藤 5.5 …相手の鋭い突破に守備に追われた。いいオーバーラップもあったが。
染谷 5.0 …クリアを相手に渡すなどミス散見。相手のスピードに慌てたか。
バヤリッツァ 5.5 …終始強さを見せ守備を支えたが、失点シーンだけはクリアできなかった。
福村 4.5 …パスミス、クリアミス、ハイボールの処理ミスを連発し、自ら首を絞めた。
秋本 5.0 …相手のスピードに対応できず、前半で交代。
チョンウヨン 4.5 …意気込みは感じたが終始プレーは不正確かつ遅かった。
工藤 5.5 …攻守に適切なプレーを選択し、チャンスの種を蒔き続けた。CKの球質が残念至極。
中村 6.0 …抜群のキープ力と技術で相手を翻弄するも、ゴールだけ遠かった。
中山 5.5 …神出鬼没の飛び出しでチャンスに絡む。動きは良かったが、シュートだけ残念。
宮吉 5.0 …シュートや切り返しなどあと一歩が合わず、得点機を逸した。思い切りの良さも不足。
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駒井 5.5 …パスミスやトラップミスが多かったが、チャレンジする姿勢を見せ、絶好機も作る。
久保 5.5 …周囲を生かす意識が高く良い出来だったが、PK失敗がゲームの行方を終わらせた。
原川 5.0 …1点を追う場面で安全圏なプレーが多く、監督が期待したであろう若さや活力は感じられず。
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大木監督 5.0 …目に見えて合っていなかったウヨンや中盤の構成を調整し直すのに時間がかかった。