二条河原の楽書

京都サンガF.C.を中心にJリーグを楽な感じで綴るサッカー忘備録(予定)

2016明治安田生命J2リーグ第26節 京都vsC大阪

2016-08-01 | 蹴球

京都サンガF.C.3-3△セレッソ大阪
63'菅沼駿哉
 (↑CK堀米勇輝)
63'エスクデロ競飛王
 (↑菅沼駿哉)
67'山瀬功治
 (↑堀米勇輝)
           75'山下達也
            (↑CKこぼれ)
           76'杉本健勇
            (↑酒本憲幸)
           90+4'杉本健勇
            (↑酒本憲幸)


[警告・退場]
・京都
15'菅沼駿哉(C1反スポーツ的行為)
90+6'エスクデロ競飛王(C1反スポーツ的行為)
・C大阪
82'酒本憲幸(C2ラフプレー)


【全体の印象】
 今季初の3バックを布いてきたセレッソに対し、京都はマークが曖昧に。トップ下の清原、杉本を掴まえきれず、そこに駆け上がってくる中盤両翼(松田、関口)を起点に押し込まれた。京都の攻撃は前半の終盤から徐々に能動的になり、後半、ロングボールをイヨンジェに入れた場面で清原と山口蛍が交錯するアクシデント。セレッソがバタついた時間帯にCKを奪い、先制。さらに菅沼のクリア気味のフィードをエスクデロが個の強さでモノにして追加点。さらにイヨンジェの縦突破から相手を翻弄する崩しで3点目。その後は京都ペースでセレッソの反撃を封じていたが、CKから失点すると立て続けに杉本の得点を許し、セレッソがゲームの主導権を握った。どうにか耐えてはいたが、7分のアディショナルタイム内で本多が痛んで外に出た直後のプレーで痛恨の失点。潮流が入れ替わるように連続失点を喫する、派手ながらも両者甘さを露呈するゲームとなった。


【雑感】
■手負いの狼、牙を剥く
 星勘定的に、痛すぎる同点劇を演じてしまったこのゲーム。全6得点が後半に動いたが、当然ながら前半の戦いぶりを切り離す訳にはいかない。前半、攻守ともに優位に運んだのはセレッソ。守備時に5バックで固める桜の守備陣を、京都は容易に崩すことはできず、ボールを持っても遅攻ばかり。たまにエスクデロやイヨンジェにボールが入ってもソウザと山口が寸断。いいように守られた上、両翼を押し出してくる攻撃に対して京都はサイドを破られ、幾度となくピンチに晒された。相手がリーグ屈指の強敵であることを思い知らされた45分だった。
 そういう相手だったが、清原負傷のアクシデント→再開直後にCKから先制。ここでゲームの流れが大きく傾き、あれよあれよと3得点を奪うことができた。京都が良かったというより、この時間帯はセレッソがバタついたことで訪れた好機を逃さなかった。実は3得点奪った後も、京都は落ち着いた試合運びができていた。75分にセットプレーから失点したが、ここまではよくある形。問題が起こったとすれば、この後の時間帯だっただろう。
 セレッソは既に前線に杉本=ソウザ=ベサルトアブドゥラヒミを並べるという「力業」モードに入っていた。当初は上手く行っていなかったようにも見えたが、杉本がミドルを突き刺す一撃によって覚醒。持てるポテンシャルを発揮できていなかった手負いの狼が牙を剥いた。いや、牙を剥かせてしまった。


■変えられなかった流れ
 大熊監督は「捨て身の攻撃」の達人である。最後は山村を上げてパワープレーを敢行。京都も93分まではどうにか凌げていた。94分の同点弾は山村と競った本多がアクシデントで外に出て復帰するタイミングだった。ドロップボールの場面から「すぐには蹴らないだろう」という気の緩みもあった。
 京都としては2番目に悪いシナリオを辿ったのだが、最も悔やまれるのは、そこに至るまでに相手に傾いた流れを変える(または弱める)ことができなかったこと。石丸監督は2枚目の交代で山瀬→内田というカードを切った。この内田投入のメッセージは、「もう1点奪え」だったのか、「守備をしっかり」だったのか。おそらく後者ではない。本職SBの内田はすっかり攻撃的な選手になってしまい、実際このゲームでも攻撃にはよく絡んだ。一方で3失点目の場面では本多の代役として付いた山村に簡単に競り負けている。
 強敵セレッソが3失点したことで開き直って死に物狂いで襲いかかっているという状況に対して、京都は自分たちのゲームに持ち込む余裕がなかった。前節の山口戦もそうだった。終盤山口のストロングスタイルに付き合ってしまった。いい意味でゲームを殺しにかかるようなしたたかさを忘れてしまっている。ただ、石丸監督は、堀米が足を攣っていたこともあり、90分ごろ染谷を入れようとしていた。試合を終わらせるカードとしていい判断だったと思う。その直後に本多が痛んだ。それで判断が遅れた。打つ手が少しずつ遅れるうちに悪魔に魅入られたのだろう。ゲームの流れをじっくり読んでいれば、内田より先に染谷を入れられたかもしれない。染谷ほど大熊サッカーを熟知する手駒はいない。相手の流れを弱められる可能性の一番高い駒だった。