二条河原の楽書

京都サンガF.C.を中心にJリーグを楽な感じで綴るサッカー忘備録(予定)

2012 J2第32節 京都vs湘南

2012-09-02 | 蹴球

京都サンガF.C.●1-2○湘南ベルマーレ
          33'キリノ
47'工藤浩平
          56'大槻 周平

■チャレンジとミス
 京都サンガ所属のブラジル人はもうGKコーチのアダウトだけになったけど、今年も恒例のサンバDAY。サンバとかサルサとかルンバってジャンルの音楽は、ベースのリズムさえあればそこに即興で伴奏やら踊りを重ねていくものらしい。楽譜アリの型に嵌った音楽とは違う自由さが最大の魅力。太鼓の乱れ打ちはさらなる連打を呼び込み、回りを巻き込んでいく陽気なリズムだ。この日の京都の前半の攻撃は、サンバにも似た連打の連続のリズムがあった。出色だったのは、キレキレのドリブルで仕掛けた駒井善成と、鋭い出足でボールを奪って反転速攻の旗手になったチョンウヨン。“若くてイキのいい”湘南相手にどんどんチャレンジを仕掛けると、黄大城が、工藤浩平が、福村貴幸が、果敢に続く。チャレンジがチャンスを生み、いつ湘南ゴールを割ってもおかしくない試合展開だった。心地良いリズムを刻んでいた「流れ」。それをフイにしてしまったのが、中村充孝の安易な横パスだった。いい流れの中で犯してしまったミス。サッカーはミスを競う競技…なんて言葉もある通り、ミスは即ちピンチに。単純に1失点したことよりも、好事に流れを失ってしまったことに、勝負の分水嶺があった。

■失った流れはなかなか取り戻せない
 後半早々に一度は同点に追いつきながらも、それからゲームの大きな流れを引き戻すことはできなかった。もちろん、酒井隆介があっさり裏取られるところを救おうとし染谷悠太の負傷というアクシデントもあった。ただ、時間を追うごとに流れがどんどん京都よりもさらに若い湘南に移ったのは、わかりやすいところでは運動量の差。たとえば京都側は前半キレまくってた駒井の運動量がガクッと落ちた。けれど大木武監督は、そこをテコ入れせずに原一樹を投入。原はセットプレーのボールを素早くセットしたり、人一倍一生懸命だったのはわかるのだけれども、残念ながら機能しなかった。思い起こせば前半はチャレンジしながら精密機械のようにボールを繋ぎ、奪われてもすぐ奪い返せていたのが、どんどんボールの扱いが雑になり、イチかバチかの“一発狙い”に。選手交代するほどに、自分たちのサッカーを見失っていく京都に対し、年齢は若いはずの湘南のサッカーは実にしたたか。「何をやれば相手が嫌がるか?」を追及したような心憎いばかりのボールの動かし方で、ほとんどミスもなかったんじゃなかろうか。特に高山薫は時間を追うごとに運動量が増していくよう。疲れた時間で踏ん張れる選手がいるチームは、強い。
 そう、一度失ってしまった「流れ」は、なかなか取り戻せないのだ。そして一度失った勝ち点も、もう取り戻せない。独特のリズムで流れを一変させてくれてたブラジル人が開幕後になってからいなくなったのが、返す返す痛かったなぁ、と思う9月でございます。西京極にも、少し秋風が吹いてきました。



〈京右衛門的採点〉
水谷 5.5 …好セーブもあったが、悔しさの残る2失点。
安藤 5.0 …前半、駒井とのコンビで右を制圧したが、後半は裏を取られまくり。
染谷 5.5 …キリノに手を焼き、味方の凡ミスのケツを拭き、損な役回りの末…負傷。
酒井 4.5 …相手の攻撃を受けてしまった時、単純なミスでピンチを招き続けてしまった。
 黄 5.5 …前半はアグレッシブで攻守に効きまくっていた。後半疲れてからは精度がガタ落ち。
チョンウヨン 5.0 …チームの出来を象徴するように、前半は◎、後半は自ら崩れてラフになった。
福村 5.5 …ボランチとしてなかなか守→攻に機能してたが、CBに回ってからは脆かった。
工藤 6.0 …球際ファイターぶりを発揮し、チャンスメイクにも活躍。後半も運動量は落ちなかった。
駒井 6.0 …天晴れなチャレンジで湘南を翻弄。決定機を何度も演出したが、後半はバテバテだった。
中村 4.5 …終始ミスが多く、逆襲の種を蒔いていたようなもの。良かったのはアシストのところだけ。
宮吉 5.5 …地味だが右に左に動きまくってチャンスのスペースを生んでいた。フィニッシュは不完全燃焼。
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中山 5.0 …スクランブルで出たが、ゲームの流れに乗れず。ウヨンとの息も合っていない。
 原 4.5 …出場時間は長かったが、ボールに触れる機会も少。周囲との連携も良くない。
サヌ 5.0 …下がってきて触る、サイドに逃げるドリブル。これでは相手は怖くない。
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大木監督 4.0 …手術失敗の典型のようなゲーム。メスを入れるごとに容態は悪化した。