二条河原の楽書

京都サンガF.C.を中心にJリーグを楽な感じで綴るサッカー忘備録(予定)

2016明治安田生命J2リーグ第13節 愛媛vs京都

2016-05-16 | 蹴球

   愛媛FC●0-1京都サンガF.C.
          88'沼大希
          (↑エスクデロ競飛王)


[警告・退場]
・愛媛
90+3'河原和寿(C2ラフプレー)
・京都
なし


【全体の印象】
 お互いに守備意識が高く硬めの展開ながら、ボールを回せていたのは京都。愛媛はフィニッシュまで至っていたが、遠目からのクロスを点で合わせる形が多く、菅野の好守もありゴールを割れず。愛媛最大の決定機は59分、菅沼のクリア失敗から内田にシュートを打たれ、下畠が防いだシーン。京都はその他にも1~2度危ないミスもあったが、守備は総じて安定していた。後半次第にアンドレイと佐藤のところでボールが回収できるようになった京都は、終盤にプロデビュー戦となる沼を投入。エスクデロのタメ&ラストパスからプロ初ゴールでデビューを飾った。その後も前節の反省を生かし集中力は最後まで途切れず、勝ち点3をものにした。


【雑感】
■みかんvs未完成
 去年、高い組織力をもってプレーオフに進出した木山愛媛。今季は序盤故障者もあったことから勝ちきれない部分もあったが、12節までの負け数はたったの1。木山イズムが浸透し、なかなか崩れない組織力が自慢のみかん軍団である。一方の元みかん軍団長・石丸監督率いる京都は、血の入れ替えによる連携不足から出発した未完成軍団。
 このゲームでもパスの意図が合わない場面が結構目に付いた。ただし、意図なくズレているのではなく、意図があって、1秒、1mズレているという部分も。後半早々48分のエスクデロが2度シュートをミスした場面などは、イヨンジェ-エスクデロ-山瀬と3人が噛み合いながらエリア内に侵入した(ただし結果はシュートミス)。攻撃がミスで途切れることは一見残念であるが、「ボールをどうやって前に進めるのか?」「いかにして相手の陣地に基点を立てるのか?」という意図の共有は研ぎ澄まされてきている。実際、エスクデロと堀米にボールが渡るとそこに可能性が生まれ、彼らを追い越す動き(山瀬や本多や石櫃)もかなりスムーズだった。みすみすミスでいい攻撃にまで至らなかった部分だけ抽出すればネガティブだが、後ろ向きのミスは少なく、未完成だった連携面の進歩を感じさせた。

■対プレス
 石丸未完成軍団がプレスが強いチームに苦戦していることは、これまでも何度か書いた。愛媛は奪いどころのラインを定めてプレスを浴びせてくるタイプで、敵陣に10メートルほど入ったところから通行の自由を奪いにかかる。そこで京都は堀米やエスクデロが個で打開しようとしたり、一旦最終ラインに戻して裏に蹴ってイヨンジェを走らせてクサビを打ち込もうとする訳だが、もうひとつ注目したいのはサイドハーフの堀米と山瀬が中に絞る動き。結局のところプレスは人海戦術なので、味方の距離感を縮めてしまえば(パスコースも守備網も狭まるので)好守ともに局面は改善する。と同時に絞ったサイドのスペースを使って石櫃や本多が駆け上がりやすい。まぁ、上がりすぎてピンチも招いたけど。そこらへんの「(SHが)絞る」「(SBが)出て行く」「(DHが)カバーする」という呼吸は今までになくスムーズで、対プレスがさほど苦でもなかった印象。もちろん、アンドレイや佐藤が“デュエル(byハリルホさん)”のところで勝てていたという面も大きい。そして両ボランチが奪ってから前に動かす切り替えも速かった。
 愛媛の強プレスに遭い、散々パスミス、シュートミスを重ねていたエスクデロを残した石丸監督が采配は大当たり。お互い守備を優先したゲームで、攻撃面のキーとなっていたのは、愛媛はアーリークロス、京都はエスクデロだった。そのエスクデロから初陣の若武者・沼のデビューゴール。準備段階からも、采配でも、古巣相手の石丸監督は冴えていた。