ギラヴァンツ北九州●1-2○京都サンガF.C.
30'原一樹
(↑星原健太)
37'イヨンジェ
(↑エスクデロ競飛王)
52'山瀬功治
(↑エスクデロ競飛王)
[警告・退場]
・北九州
なし
・京都
43'佐藤健太郎(C1反スポーツ的行為)
【全体の印象】
北九州があまり前に出てこないとみるや、積極プレスからボールを支配した京都。しかし北九州は、裏へ原一樹を走らせる“狙ってた形”から先制。それでも京都は慌てることなくボールを回し、イヨンジェ、エスクデロが連動して難なく北九州ゴールを陥れた。後半も攻撃に転じるプレスは冴え、追い込む守備で得たスローインから山瀬の逆転弾。終盤北九州はゴリ押しで反撃を試みるも、京都は落ち着いて跳ね返し、したたかに勝ちきった。
【雑感】
■相手を見ろ
石丸監督が折に触れて持ち出すコメントがある。―「相手をよく見ろ」。たとえば、どんなに事前に「ボールの奪いどころ」を設定していようが、相手が思う通りに来てくれなければ意味がない。相手の出方をうかがうという消極的な意味ではなく、相手を見た上で自軍がいかに動くか決めてゆく。こういうサッカーが表現できるチームはさほど多くない。特にJ2では。
さてこのゲーム、北九州がここまでボールを取りに来ないことは正直なところ意外だった。北九州が出てこないと見るや、ピッチ上の京都の選手たちは前で前でマッチアップできる状態を作り、そこで奪う陣形を整えた。とりわけ積極性が目立ったのはアンドレイ。ともすれば「行き過ぎ」になることもあるが、周囲がアンドレイの戦術眼に連動していけば問題ない。もうひとり、相手をよく見て動いていたのが堀米で、幾度となく「追い越す走り」でエリア内に侵入。堀米のフリーランは、同点弾や逆転弾を生む重要な伏線となった。
■共通の絵
我々にとってお馴染みの柱谷監督は、おそらく京都に食い付かせた上で長いボールを蹴って裏を取る釣野伏(撒き餌式逆襲)の形を狙っていたのだろう。実際、原一樹の1点目はそういう形(逆襲、ではないが)。だが京都は失点してもまったく動じず、ボールをよく動かし、果敢にシュートを打ち、相手の隙をあぶり出した。先制点は、イヨンジェが下りて受けてからエスクデロに預け、動き直したヨンジェが追い越していくという形。似たような形は堀米が実演していたので、この形の崩しの道筋は見えていた。逆転弾は前線からの積極プレスで追い込んでからマイボールとして、素早くエスクデロに預けて山瀬が追い越した。北九州が何をやれば崩れるか、ほとんどの選手が共通する絵を描けていたといっても過言ではない。このゲームでは、ボール回しで迷っていた印象がほとんどない。アバウトに蹴って偶然頼みとか、能力のあるストライカー任せとは違う、地に足の着いたサッカーになってきたと感じる。
石丸監督は一見不満げなコメントを残しているが、そもそも勝ちゲームを自賛するような指揮官ではない。勝っている時にさらなる課題を挙げるあたり、チーム作りへの手応えの裏返しか。京都は他の上位陣に比べ今ひとつキャラが立ってない(要するに地味な)のだが、ちょっと去年の大宮に近いチームになってきたかも…、と思ったり思わなかったり。(※個人の感想です)