二条河原の楽書

京都サンガF.C.を中心にJリーグを楽な感じで綴るサッカー忘備録(予定)

2011 J2第25節 札幌vs京都

2011-08-21 | 蹴球

コンサドーレ札幌○2-1●京都サンガF.C.

■若さというメンタル
「苦しい時は私の背中を見て」――言わずもがなこれは、なでしこジャパンの頼れるキャプテン・澤穂希の一言。この言葉が当時20歳をちょっと過ぎたばかりの若き天才・宮間あやの未来を照らし、今宮間は澤以上に堂々とした風格をまとい、ピッチを駆け巡る。
 若い人間は、たとえ彼らがどんなに才気あふれていようとも、一瞬のピンチが永遠のピンチに感じられてしまうものだ。心が平静に保てているのなら100のチカラを出せるのに、焦りというメンタルの魔の手は視野と思考能力を狭くし、それが50しか出せなくなる。そんなとき、若い人を安寧へと導くような人間~例えば澤穂希のような~がいるといないとでは、戦う組織の出来は大きく変わってくるのだ。
 この日のJリーグ最年少チーム・京都サンガは、前半それはもう順風満帆だった。若武者たちは思い切りピッチという戦場を駆け回り、獲物を見つけては鋭い牙で追い詰め、そして仕留めようとする。見ていてスカッとするような出来だった。それが後半、不運な形+札幌FWジオゴの類まれなる技術から放たれたスーパーショットを決められると一変。パニック状態に陥ると、発揮できるチカラは“50”になってしまった。残念ながら、京都に“澤”はいなかった。

■出てこいリーダー
 勝てそうなゲームを取れない。あと一歩が足りない。内容はいいのに。…初期の酷いありさまを脱して今、その段階に来ている。そこから先は、やはり「いかに若い選手が100のチカラを発揮できるようにするか」というメンタルコンディションに懸かっているんじゃないかと思う。数少ないベテランがその役目を担えばいいのだが、こここの時期に至ってゲーム中にメンタル的な立て直しができないということは、秋本倫孝も安藤淳も中山博貴も、たぶんそんなリーダーシップをあまり持ち合わせていたいのだろう。だが、今日のゲームを見ていて、「もしかすると」というかすかな希望を見つけることができた。
 宮吉拓実。彼はどうみてもゲーム全体の流れが読めている。適切なフリーランニングで、守備も厭わず闘志も溢れている。まだ19歳であるが、プロ4年目。幸いにもFWとはいえピッチ全体を浮遊する「遊撃手」になっているので、彼がここ一番で大きな声を出して、ときにあちこちの味方を叱り飛ばすような「心の強さ」を持ってくれれば…。なんてね。
 

〈京右衛門的採点〉
水谷 6.0 …2失点とも防ぎようがない。個人としては良かった。
内野 5.5 …さほど破綻せずに専守。まったく前に出なかったけど。
秋本 5.0 …FW近藤にあっさり振り切られる。速さ勝負で完敗。
森下 6.0 …守備も攻撃も目立っていた。
チョンウヨン 6.0 …キック精度向上中。ミドルが1本でも際どいところに行けば…。
駒井 5.0 …よく走っていたが、飛び込み癖が綻びの遠因に。
安藤 6.0 …彼が顔を出す位置で流れの善し悪しがわかる。リトマス試験紙。
中山 6.0 …ゴールも見事だが、得意の飛び出しがよく出てた。
伊藤 5.5 …左足を自由にしてもらえず苦戦。チャンスも作るが、よく潰した。
久保 5.5 …積極性は買うが、周囲も使いたい。決定機がもったいない。
宮吉 6.5 …左サイドを縦横無尽で相手をズタズタに。交代の原因は負傷?
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内藤 5.5 …入り際でかっさらわれて2点失点目の起点に…。その後はよく動いた。
ドゥトラ 6.0 …よくキープして、周囲も使えてた。得点チャンスあったが。
中村充 ――
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大木監督 5.0 …確実に脅威だったドゥトラをもう少し上手く起用できないものか。