茶語花香

人生は旅なり。
中国茶をはじめ、花のある暮らし、読書、旅などを中心に、日常の出来事を綴ります。

姫桧扇

2020-05-31 23:33:00 | 花を愉しむ


姫桧扇(ヒメヒオウギ)

この日、古錫の器に挿した小さな一輪は元気なピンク。

別の日、近所のおうちの隅っこに、純白な一輪も見つけっ!清楚な白、もっとグググっときました。



花の芯、いずれ赤である事が特徴。

中国語名 紅花蕊木(hong hua rui mu)
意味そのままだ。これは、覚えやすくてありがたい🌸


紫露草

2020-05-28 21:59:00 | 花を愉しむ


午前中 静かに紫色の花を咲き、
夕方 また静かに閉じる。
茎の先に沢山の蕾がつき、
花の咲く順番もあるみたい。

けれど、今日、私が起きてもまだ咲かない。
今日は寝坊助けか。

一日ずっとそばにいると、
気付かせてくれるその花の習性。
野花を連れて帰る喜び、
日に増える。

ムラサキツユクサって、
すごく和風の花名に聞こえるよね。
実はアメリカ原産のお花らしい。

そんな紫露草一輪を生けた花器は、
近所で定食屋を営む女性から頂いてきた器。

帰り道に必ず通過する小さな定食屋。女性一人で切り盛りしている。三階建ての一階部分にある店の名は、seagull。店正面の装飾看板に、薄灰色がかった一羽のかもめが薄汚い水色の水面を羽ばたく。通りかかる都度、軒下にある小さな黒板がなんとなく視線に入る。そこにその日のメニューがチョークで書かれている。黒板に、チョークで花らしき挿絵もよく描かれていた。メニューはいつも三つだけ。
お肉定食、
お魚定食、
日替わりメニュー一種

手直しされる様子のないせいか、家から近いのに、店に入ろうと思った事はそれまで一度もなかった。
二年前、一度だけ、ぐたぐたになった体を引きずりして帰宅した日のこと。気づけばほかに選択肢もなく、家の近くまでたどり着いていた。勇気を絞ってseagullの古びた扉を推し開けた。

年数が相当経過した店内、掃除だけは行き届いていた。カウンターバーの内側に私より年上の女性一人が料理をしている。
カウンターのほか、二人掛けのテーブル、三四が配置されている。
お客さんがまばらだった。仕事帰りのお一人様の男性が多い。

空いている席に腰を掛け、その日の日替りを注文した。

しばらくして、四角の漆盆に注文したマグロの漬け丼に、小鉢とミョウガのお味噌汁が目の前に運ばれてきた。家庭的な配膳、ほっとするような味と記憶している。体の疲れが一気に解消した。

そして、ニカ月前のある日、店の前に器やグラスがずらりと並んでいた。

*ご自由にお持ち帰り下さい*

その文字を書かれた看板は、取り下げられ消えてしまった店前の黒板よりも、ずっと大きくて目立っていた。

ここは、賑やかな駅前の商店街と違って、
もともと客足が少ないはず。

コロナ禍から真っ先に打撃を受けるのは、まさにこのような弱小な店。
そう思ったら、なんだか急に胸がかきむしられて辛い。

店先に沢山並ぶうつわから、
錐形の杯一つが、くっきりと力を誇示し、周囲を圧した。

この杯に何が入ってお客さんの席に届けたのだろう。
ヘタウマ言わず、温かみのあるブルーの花びらを描いたその筆遣い、じわじわと優しさが伝わってきて愛らしい。
店でビールジョッキとして使っていたなどとても考え難い。
定食屋で使うような杯というより、
女性店主の私物かしら。

一旦、思考を断ち切り、薄暗い店内を覗き込むように様子を確認してみた。女性店主一人、なんとなく寂しそうに、カウンターバーのお客様側に寄りかかっていた。

せめて挨拶しようか、となんとなく店先で足を休めてみたけれど、女性は終始店内から出てくる気配などなかった。ソーシャルディスタンスという言葉が、世に騒がせるこのご時世、店内に一礼して、粛々と錐形の子を連れて帰ることにした。

あれから数日経ち、店のシャッターが二度と上がることはなかった。


ご縁で我が家に嫁入りしたこの子を、
この頃なんとなく贔屓している。
この絵を描いた人、
この絵柄を選んだ人、
きっと愛想のいい人、
と思ってやまない。

器の形からして、ほとんど投げ入れしかまだできない私のような下手者には、花器としてはやや使い勝手が難しい。
今日も精一杯生けてみた。








矢車菊

2020-05-07 18:25:00 | 花を愉しむ


お花のメモをしようと思ったのに、
三日坊主になってしまった。

ふと花の図鑑もあるのに、なんでこんなことをしているのかな、と進退両難。

立夏が過ぎれば、一気に百花繚乱の季節へ。

なかでも、この矢車菊(やぐるまぎく)がなんとなく目に止まる存在。

ドイツ🇩🇪の国花らしい。
薄ピンク、えんじ色もあるけれど、この青紫色が、一番気品よく高貴な佇まいに思える。

中国語名も矢車菊(shi che ju)と書く。






香港蘭

2020-05-06 18:51:00 | 花を愉しむ
生まれたときから実家にあった
異国風の花器。
母から譲り受けた。

やつれの美、
枯れかかったバウヒニアの花を一輪。

バウヒニアは香港原産、
香港の市花🇭🇰としても知られ、
香港蘭の俗名も。
中国語名 紅花羊蹄甲(hong hua yang ti jia)

虫喰いに悪戯された
羊のひづめのような葉っぱも
なんと美しい。

写真 2020.1撮影

碧潭飄雪 碗泡

2020-05-04 10:26:00 | 中国茶・世界のお茶



昇りあがる湯気とともに、お碗に茶葉とジャスミンの花が、ゆったりと回転する。優しい香りが鼻腔に突き抜けていく。

四川省のジャスミン碧潭飄雪(bi tan piao xue)。こんなに詩的な名前に勝るお茶、ほかにあったでしょうか。

癒された時間。

夏には碧潭飘雪という、冬にはもう一つの名前がある、と広州の茶先生が教えてくれた事がある。

なのに、今日どうしても思い出せない。

広州に残した私のお茶、茶器、ノートや書籍
そして、今年の新茶も恋しい🍃

5.5追伸
もう一つの名は、暖玉生香または暖玉生煙でした。寒くなった日に、ジャスミンの蕾を暖玉と喩え、立ち昇る香りを生香、湯気を生煙ともじるわけです。