茶語花香

人生は旅なり。
中国茶をはじめ、花のある暮らし、読書、旅などを中心に、日常の出来事を綴ります。

京の工芸 仁清・乾山

2014-11-28 11:55:14 | 展示会・イベント

晴れ間が見える日に、出光美術館の「仁清・乾山」展に行ってきた。

野々村仁清の艶やかな黒の背景に、金彩のやわらかな山並みと蒔絵は、もちろん素晴らしい。
咲き乱れる芥子の花、絢爛たる金、銀、赤と肩に金彩による切箔取の散らし文も無敵。

イメージしていなかった京焼の白釉や灰釉のモノクロームには裏切られた。

胴裾をすぼませた白釉耳付水指は、よどみなく、上昇する熱気球に見えた。
もう一つの白釉に薄青、薄紅色の色調は、なぜか優美な平安美人を連想した。

無釉の「かわらけ」や単色釉への愛着に見出された、京の貴族文化の中に根づいた清浄さと簡素さへの希求が、目に浮かぶ。

小物でありながら目に止まったのは、白釉にかすれた銹絵で三峰の富士山を描く茶碗。白縁をゆるやかな三角にゆがめ、動きがつけられたようにみえる。
それから尾形乾山の萩文角皿。お刺身系のおつまみをちょこっと載せるのにぴったり。

乾山焼の和歌・能・漢詩意匠をテーマにした章では、
展示された景徳鎮の十二ヵ月花卉文杯が素晴らしい。
江戸時代前期に造られた蒔絵八角硯箱が物語る 
唐の詩人白居易(白楽天)と和歌三神の一人である住吉明神の漢詩と和歌の対決、その内容に興味が湧いた。
和歌の上句と下句を記する二枚一組の皿は、カルタ遊び感覚の組皿で趣に溢れている。
蒔絵硯箱に施され、古くから歌に詠まれるという奈良龍田川の紅葉に思いを馳せた。

解説に度々でてくる「本歌」という言葉が気がかりになって、辞書を引くことにした。

凝縮した学びの時間だった。

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渠江薄片

2014-11-21 16:01:22 | 中国茶・世界のお茶

高さがわずか6センチのケースから、ゴロゴロと転がり出てくるのは、

渠江薄片(qu2 jiang1 bo2 pian4)

中国の地名に渠江(きょこう)がつくのは、四川省の渠江(長江の支流)と、
湖南省安化県にある渠江鎮があります。
安化と言えば、安化黒茶を思い出す人が多いのではないでしょうか。
今日のお茶は、安化県渠江鎮の黒茶です。

歴史の記録では、「渠江薄片」のことが、確かに残されているようです。
古銭の形をした「渠江薄片」は、
唐の時代から献上茶として、
宮廷に長く愛でられていたとも言われています。

明の開国皇帝 朱元璋(zhu1 yuan2 zhang1)が「団茶廃止令」を出した以降、
「渠江薄片」は生産中止になり、やがて市場から姿が消えました。
歴史の謎に包まれることが多く、作り方も残されていないそうです。

参考資料によっては、「渠江薄片」が献上茶としての歴史は、
唐から始まり、明の後の清の時代に続くとの記述もあり、
その矛盾に気が付きながらも、
自分の底力のなさに痛感します。

「復刻版」の渠江薄片を作りだしたのは、2006-2007年あたり。

写真の「復刻版」が、手元に届いたのは、三年前の2011年です。
表面では「渠江薄片」の文字、裏面では「黒茶之祖」とあります。
直径4センチ、高さがわずか0.5センチ。
薄い紙に包まれて醇和の香りをします。

手で折って半分だけ蓋碗で淹れてみました。
折った時は、ちょっと硬かったけれど、
軽く洗茶した後、
もう一度お湯で注ぎあてますと、
硬かった片茶が
ほぐれ。。。
やがて茶湯が赤栗色に滲み出す。

癖もえぐみもない、
飲みやすい醇香な味わいです。

二煎ほどストレートで淹れた後、
私流で金木犀を加えてみます。
もしお茶そのものは、単純に「男」と「女」と喩えられることができれば、
ストレートで淹れた渠江薄片は、間違いなく男でした。
金木犀を加えますと、たちまち優しいレディーに変身します。

悠久な歴史のなか、自分はいかにもちっぽけであろうか、
改めて思い知らされています。
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手製紅茶スコーン

2014-11-16 21:08:47 | 料理・点心・菓子

街中に、クリスマスの飾りが少しずつ増えてきたこの頃、
気持ちがオリエンタルから遥か大西洋の向こうへ(笑)

紅茶スコーンを作りました。
試行錯誤して、スコーンに使う紅茶は、やはりダージリンかアールグレイがいいですね。


TWG不織布のティーバッグをハサミで切り開き、今日はバニラバーボンを生地に混ぜてみました。
手軽で香りも素晴らしいです。


今日のお茶は、BOHのCameronian Gold Blendにしました。

その国の茶には、やはりその国の茶菓子が一番かもしれません。
ということで、今日は、イングリッシュティーにイングリッシュスコーンでした。

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中秋茶会2014とその後

2014-11-10 09:04:20 | お知らせ

遡って、九月や十月に行われる茶会を記録します。
お客様や、お茶友を囲い、九月には中秋茶会を開き、
そして、十月には、初めて身内の親戚だけの茶会を、お招きしました。


九月の中秋茶会に出された月餅は、香港にいる祖母が贈ってくれた老舗「栄華月餅」の五仁餡(ナッツ五種類)とアヒルの塩卵と蓮の実餡の二種類。


同じく香港にいる従姉からは、香港の老舗「陳意斎」の杏仁クッキーを贈ってくれました。

今では、有名ホテルなどが出される月餅や、人気沸騰中のJenny Bakeryもありますけれど、あえて素朴で昔から香港人に親しまれる老舗の茶菓子で、皆さんをお迎えすることができました。
遠くにいる祖母や従姉に感謝します。

この季節に、ご用意しましたのは、のどや気管に良いとされる「麦冬」の入った鶏粥。
そして、デザートは、同じく呼吸器に良いとされる「梨」の入った白キクラゲの「銀耳雪梨羹」。

そして、茶譜(会によって異なりますので、全部は覚えていません)
ウェルカムティー 龍井桂花茶冷茶
極品毛蟹
月光白
烏東単そう杏仁香
伝統凍頂烏龍(二梅賞)
極品大菊花茶

そして、茶友に提供して頂いた
杉林渓で試作中の緑茶(とても繊細で飲みやすかった)
単そう紅茶

皆様、どうもありがとうございました。

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戸栗美術館と南青山ぶらり

2014-11-09 19:45:33 | 街散策・旅行

美術に詳しいRさんに誘われ、東洋陶磁器を主に収蔵される戸栗美術館へ出かけました。

まったくといっていいほど知識のない肥前磁器に、Rさんのおかげで少しは学習できました。12月23日まで特別展の古九谷・柿右衛門・鍋島焼を堪能できて大満足でした。


その後は、南青山へ移動。Rさんが選んでくれたチャイニーズレストランでランチ。


白キクラゲの入ったという薬膳スープは、白キクラゲが溶けるほど見あたらなかったですけれど、優しい味わいでした。最近胃腸の調子がよくなかったRさんは、雑穀米粥セットを頼みました。


レストランの近くに、二人が器大福さんの看板を発見しました。オンラインショップも取り扱っており、普段使いにちょっといい和食器屋さんでした。


骨董通りへ移動。エンドランスの立派な造花に惹かれ、店内にダイナミックとも言える、数々なフラワーアレンジメントに圧倒されます。どうやらデンマーク出身のフラワーアーティスト ニコライ バーグマンという方が手がけた花屋さんです。奇抜な西洋的センスに触れるのも刺激的で良いですね。店内に喫茶スペースもあり、ユニークなフラワーアレンジメントに囲まれてのカフェタイムは、なかなか良い発想です。


その後は、福井県アンテナショップへ行ったり、スガハラガラス直営店に足を運んだりしました(プラス店の場所がちょっと分かりにくかったけれど)。

そこでスガハラのグラスでホットジンジャーを一杯ご馳走になりました。

事前に調べなくても、ぶらりと歩くうちに、ちょっと入りたくなる店が次から次へと現われてくるのが、この街の魅力です。

盛りだくさんの一日でした。久しぶりにRさんに会えたのが嬉しかったです。

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