森の空想ブログ

ひっつき虫三連発の①<オナモミ>で「利休白茶」と「豆柄茶」が染まった [空想の森の草木染め<44>]



晩秋、藪の中を走り回った犬が、体全体にくっつけてくるあの草の実。「ひっつき虫」「バカ」「ホイト」などと呼ばれる。
なかでも、もっとも強力な奴が「オナモミ」だ。
ラグビーボールを千分の一に縮小したような楕円形の実の表面全体に鉤形の棘が付いており、あまつさえ、そのトゲの先端は、少し内向きにカールしている。動物の体毛や人間の衣服などに取り付いたが最後、その鉤型の爪は徐々に毛並みやセーターなどに喰い込み、さらにはその先で互いに縺れ合ってぐるぐると一塊に固まってしまう。どうにも厄介なしろものなのである。
けれども、子どもの頃、その実を互いに投げつけあって遊んだのは楽しい思い出だ。ちょっと気になる女の子のセーターにくっつけて困らせた男子は、数え切れないほどいるだろう。



この厄介きわまるオナモミだが、種々の薬効がある。
注目すべきは、このオナモミの実の黒焼きが「アルコール中毒」に効くという情報だが、そのことはどの薬草辞典にも載っていない。もしかしたら、私にそれを教えてくれた山の翁の、秘中の秘というべき薬草術だったのかもしれない。
私は、それを聞いて以来、酒癖の悪い友人などにこっそり飲ませてみるつもりでいるのだが、まだ実現には至っていない。聞くところによると、オナモミは次第に減少傾向にあり、絶滅が危惧される植物にリストアップされているという。こんな草が絶滅したとしても誰も困るものはいないが、アル中の一件を試さないままに終わってしまうのは、少し心残りである。

この、敵に回せばやや手ごわく、味方につければ少しは役に立つかもしれないオナモミ。染料としてはかなり上等のはたらきをする。



染めの手順はこれまで同じく、銅媒染と鉄媒染。中庭の焚き火で盛大に。




銅媒染で落ち葉染めよりもも少し明るめの「利休白茶(りきゅうしらちゃ)」に近い色、鉄媒染で銀鼠に近いけれど少し赤みが入った灰色「豆柄茶(まめがらちゃ)」が染まった。
もっと意地悪な、あるいはひねくれた色が出るかと思ったが、どちらも上品な風合いである。

*写真の映りが悪くてごめんなさい。実物はもっときれい。

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