森を歩く。さまざまな樹種の落ち葉が森を彩っている。
大抵の落ち葉は邪魔もの扱いされ、掃いて捨てられる存在だが、山の村に行くと、丹念に道端の落ち葉を集め、カマスにいれで持ち帰る人を見かけることがある。山の畑に入れ、腐葉土とするのである。これに台所の残飯と焚き火の灰とを混ぜ込んだものが最高の肥料であることを古人は知っており、山人の生活にはその知恵が生かされているのである。その山の畑で採れた野菜は美味しいし、「山のちから」が凝縮されている。
冬がきて、冷たい北風が吹くと、落ち葉は、草株の下や木の根元に吹き寄せられ、次第に「土」になってゆく。ここにも大地の循環の法則がみられる。
落ち葉を集めて染めてみよう。山桜、楓類、野生の柿、クヌギ、コナラ、イヌシデなどのブナの仲間等々、種類はいろいろ。
たちまち明るい茶系統の煎液が得られ、布を入れるとすぐに茶系の色に染まった。
鉄媒染で緑がかった濃い目のグレイ、「青鈍(あおにび)」。銅媒染で黄色みの強い茶「黄朽葉(きくちば)」。古人の色に対する「ことば」の感覚も奥行きが深い(写真がうまく撮れていなくて残念。実物は、左はもっと深い色だし、右は金茶と呼びたいほどの明るさと光沢がある。斑模様は木漏れ日の影です)。
写真右列の五枚が落ち葉染め。
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