2018.11更新
時折、「この野菜はF1(エフワン=交配種)ですか?固定種ですか?」
と質問されることがあります。
F1(交配種)というのは
異なる形質を持つ親をかけ合わせた、その第一代目の子(種)のことです。
種屋さんが、種をつける母株の雌しべに
異なる品種の雄しべの花粉をつけて受精させてできた種です。
両親の形質のうち、優性遺伝子だけが現れるので
できた野菜は、ほぼ同じ特徴や形にそろいます。
(病気に強いとか、早く育つとか、実が大きいとか)
その野菜から種を取ることはできますが
親とは違う様々な特徴を持った株に育つ(特徴がバラける)ので
全てが親と同じ特徴の株(実)に育てたければ
また種を買う必要があります。
固定種(単種)というのは
同じ形質を持つ親どうしが交配し
固定された形質が親から子へ代々受け継がれる種のことです。
(地方野菜や伝統野菜など)
なので、その野菜から種を取れば(=自家採取すれば)
また同じ特徴の野菜ができるので、毎年種を買う必要はありません。
そして毎年続けているうちに
徐々にその畑に適した特徴になってくるというメリットもあるようです。
ただ、種を採取できるタイミングまでしばらくかかる場合は
その場所に次の野菜を育てることができないので
小さな面積の畑をやりくりして作付している農家にとってはなかなか難しいのと
採取方法やタイミングが適切でないと、上手く発芽しなかったり
畑の気候風土と品種の相性もあり
それらを総合的に考えてやる技術が必要だと思います。
ところで、「F1(交配種)」と「遺伝子組み換え」が
頭の中でゴチャゴチャになってしまい、不安になっているお客さまがすごくたまにいますが
このふたつは、全く違う次元の話で、「交配種」は遺伝子を操作しません。
余談ですが、かぼちゃは違う品種どうしで自然に交配しやすいので
隣の畑のひとが違う品種のかぼちゃを育てていると
自然交配して、種を取って育ててみたら、隣のかぼちゃと似たような形のかぼちゃが実った
ということもあります。
くるりんふぁ~むでは、F1(交配種)と固定種の両方を使っています。
比較的簡単に種が取れるもの(天狗ナス、甘長、春菊、パクチー)は自家採取しています。
なかでも、愛知県の伝統野菜である天狗(てんぐ)ナスは、発芽率が良く、強く丈夫に育ちます。
その土地で代々受け継がれているだけあって、ここの気候風土にあっているということなんですね。
種取り用に選抜した実は、完熟して黄褐色になったころに収穫し、さらに2週間ほど室内で追熟させてから、中の種を取り出します。
今年も良い種が取れますように