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好きなことだらけさ…

「没後50年 藤田嗣治展」行ってきました。

2018年09月23日 | 絵画・展示

3年前、東京国立近代美術館で観た「藤田嗣治作品展」は26点だったけど、
今回、東京都美術館のは大規模でした。
学生時代の作品から年代順に晩年に夫人へのプレゼントとして作った
木箱や十字架も展示されてて見応えありました。

東京美術学校卒業制作の「自画像」第1作から始まり、
第一次世界大戦さなかのパリでの「キュビスム風静物」(初めて観た)、
どんよりとした人気のないパリの風景画、
モディリアーニと友人になるとモディリアーニ風の人物画。
乳白色の女性画に至るまで模索してるなぁなんて思ってみました。
しかし、その頃からすでに人物画も静物画も乳白色下地を使ってるのが分かる。
そして1920年代に藤田たらしめる「白い美女」の絵が並ぶ。

その後1930年代になると白い女は飽き飽きしたと言わんばかりに
中南米へ行き、濃厚な色彩でこってりとした絵。
時代は世界恐慌。
藤田自身、経済的にも家庭生活にも破綻をきたしていたんだそうです。
でも中南米での水彩画は細い筆で人物の輪郭線を描いてて
やっぱり藤田の絵だなぁと。
その後は日本に帰国し、アジア圏内を回るんですね。
前にも見た藤田が撮った映画「現代日本」はここでも見れました。
このあと再びパリに向かいますが、第二次世界大戦勃発ですよ。
そして1940年代「作戦記録画」が始まります。
3年前の展示はこれがメインだったので「アッツ島玉砕」は
各兵士のポーズが古典絵画のここを引用って感じで
細かい説明付きで観ていたので、今回はサラッと流してきました。

終戦になり、いよいよ日本と永遠のオサラバ。
ポスターになってる「カフェ」はパリに戻る前、
1年いたニューヨークで制作されたものだったんですね。
恋しく懐かしいパリの景色。額縁も藤田お手製でなんともカワイイ。


1950年代、60歳になった画家は白っぽい絵に戻り
パリの景色や子供たちを描いてました。
55年にフランス国籍取得、59年に洗礼を受け、
名は敬愛するレオナルド・ダ・ヴィンチにちなみレオナール・フジタ。
それからはキリスト教絵画。
図録には"洗礼後は「フランス人・キリスト教徒」として熱心な図像研究を重ね制作。
それでも現地の観衆にとっては東洋人が描くキリスト教絵画であることにかわりはなく、
市場性を期待せず、彼の信仰の証しとして描かれた"とありました。
そうだろな。「礼拝」なんてガッツリ自分を入れ込んでるもんなぁwww

最後はメゾン=アトリエ・フジタに残る藤田手作りの小物が並んでました。

混んではいましたが、けっこうゆっくり観ることができました。