くろねこの散歩道

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アメリカに「右に倣え」の医療制度改革(2/2)

2008-01-09 23:54:36 | 医療

前半から続きます。

アメリカに「右に倣え」の医療制度改革
アメリカ発の医療制度改革 自見庄三郎参議院議員のサイトより
http://www.jimisun.com/sinsou.htm


日本のマスメディアの問題

──本来そのような問題を提起すべきマスメディアがその役割を果たしていませんね。

自見 マスメディア,特にテレビは1%視聴率が上がれば100億円儲かる世界ですから,もう完全に商業主義で,どんどん愚劣になっています。また日本の新聞も官庁や業界団体に記者クラブを作って,役人の「かわら版」みたいなものですからね。だからほとんどの日本の大新聞は70%は同じ内容です。中身を検証する能力もなければ忙しくて時間も人手も不足しており,批判精神もない。フェアでさえない。政治信念に基づいて政治生命をかけて郵政民営化に反対した我々に「守旧派」とか「造反議員」というネガティブなレッテルを貼って,小泉に一方的に肩入れしていましたから。


──郵政民営化や医療制度改革でも,マスメディアは官邸寄りの偏った報道をしましたね。規制緩和はとにかく善,規制はすべて悪だという姿勢です。

自見 規制緩和は役人に対する反感を利用していますが,本当は規制緩和したら大企業が儲かるわけで,役人が生け贄なんです。そして世界一の大企業はほとんど米国、ヨーロッパにあるのです。日本医師会も同じです。大新聞はこぞって日本医師会が悪いと。ある厚労省の役人が言っていました,「医療改革をしなくても日本医師会を悪人にしておけば,医者の奥さんがミンクを買ってダイヤモンドを買ってけしからんと,その反感さえ煽っておけばいい。本当の医療改革をしなくていいから助かります」と。


──郵政民営化がアメリカの年次改革要望書に沿ったものだと指摘した論説も黙殺されています。

自見 新聞は,アメリカに都合の悪いことを書くと,アメリカのホワイトハウスと国務省の記者クラブから追放されるからアメリカの言うとおりに書くしかないのです。だから日本の朝日新聞がワシントンの記者クラブを追放されたじゃないですか。そういう構造があるから,私が郵政大臣のときにワシントンでやった日米電気通信交渉でも,日本の新聞はアメリカが言ったとおりに書きました。向こうの言ったとおりでこちらの言ったことは何も書かない。
日本の新聞を一番真面目に読んでいるのはどこか,それはアメリカ大使館ですよ。隅から隅まで読んでいますよ。そしていちいち文句をつけるんです。テレビも同様ですよ。


──マスメディアも政治も経済も,社会の隅々までアメリカの支配構造が行き渡っている感じですね。

自見 だんだんね,洗練された帝国主義がしみ渡ってきましたよ。

 

日本医師会と自民党の変質

──そのような社会の流れのなかで,日本医師会のスタンスも,あの05年の郵政解散・総選挙後,少し変わってきましたね。

自見 まったく変わりましたね。日本医師会も今の医師会長になった途端,医療制度改革に賛成したじゃないですか。こんなことは戦後初めてですよ。患者さんの負担が増えることに賛成するなんて。日本には患者の組合というものがないので,日本医師会は戦後50年,患者の代表としても発言していたんですよ。患者の負担増については,患者が減るという本音もあるかもしれませんが,基本的には患者さんの立場に立って反対してきた。
 それが今は自民党にしっぽを振っているばかりだから,足下を見られて,患者の負担は増えるし診療報酬もますます下げられるんですよ。こんなに財務省や厚労省にとっていい医師会はないですよ,抵抗しないんだから。


──今,中医協に医師会代表と病院団体代表が加わるようになりました。病院の医師のなかには混合診療解禁を歓迎している人もいて,医療者間で意見が割れるようになってきましたね。

自見 それがディバイド・アンド・ルール,分割統治ですよ。医者のなかの意見を分けたらもうシメシメですよ。それは伝統的なアングロサクソンのやり方であり,官僚のやり方です。わずかの違いの部分に塩を塗って大喧嘩させて,結局は全体を統治しやすくするというのはもう常套手段ですよ。
私が自民党の医・歯・薬・看出身の医系議員連盟のカトレア会にいたときは,私が会長代理としてまとめていましたが,それだけはさせなかったですよ。診療報酬をきちんと確保するまでは絶対に配分に関して喧嘩したらいけませんよと。配分は診療報酬をきちんと確保してからやってくださいと。だから,それこそ04年の診療報酬改定は小泉政権下でも一糸乱れずにやってちゃんとプラスマイナスゼロになったじゃないですか。それから分ければいいんですよ。先に分けることを考えていると,必ずそこに手を突っ込んでくるんです。沈みゆくタイタニック号の中でね,フランス料理がいいか中国料理がいいかで大喧嘩しているようなものですよ。その前にね,タイタニック号に空いた穴を小異を捨てて大同につき,各議員,医療団体と協力して皆で埋めなければいけないのです。目先の利害のことだけで喧嘩されるというのは為政者の常套手段なんですよ。


──自民党の医系議員のスタンスも,あの05年の総選挙後,変わってきたように思いますが。

自見 文句を言う奴は公認しないでクビだから,みんな官邸にすり寄りますよ。ネオコン政治一色ですよ。社会保障を削ることが改革で正義だと思っている。かつては私と木村義雄代議士らと歩調を揃えて官僚を相手に,国民の声を代弁して社会保障を充実しろと,22年間,ドンキホーテのようにやってきたんです。その私もいなくなって,今バランスを崩しているんです。
面白いことを教えてあげましょう。前々回の改定で2.7%の診療報酬の引き下げがありましたね。あのとき,大蔵省はA案B案C案ともっていて,まずは第一原案としてA案をもってきた。そのA案では,ある一定の条件下のお年寄りの自己負担が13倍に上がるところだったんですよ。それで木村さんと私とで午前中4時間午後4時間,官僚たちと大喧嘩したんです。そうしたら,第2案をもってきました。そして引き上げ幅は3割になった。負担総額は一緒なんです。面積と同じで,どこをどう積算するかで,数字はいくらでも変えられるのです。
 そして05年10月末に成立した障害者自立支援法では,負担が一番上がったのは13倍でした。A案がそのまま通っているんです。小泉・竹中独裁政治になって国民から選ばれた議員も政党も機能していないですよ。小泉チルドレンが83人もいて,医療・福祉にかんする知識も独自の政策もなくただ「改革,改革」と叫んでいるだけですからね。(笑)
あれは財務省が一番ビックリしていますよ。障害者自立支援法は私が落選してからできた法律ですが,13倍というのを見てこれはA案が通ったなと。厚生事務次官の経験がある人が「財務省がネオコン思想(小さな政府,自己責任,弱者切り捨て,社会保障の削減は正義である)に悪乗りしている。さらに,06年改定では与党のなかから医療費を上げようという声が全然聞こえてこなかった」と言ってました。主張すべきは主張していかないと,それこそ財務省や厚労省の一方的な切り刻みになってしまいますよ。


──今後もこの流れは変わりそうにありませんか。

自見 変わらないでしょうね。だから,私がいなくなって一番喜んでいるのは財務省じゃないですか。総額医療費管理制度というのは05年の6月に1泊2日でガンガン大喧嘩して,私が経済財政諮問会議の原案を削ったんですよ。それが,05年の9月11日の総選挙で私が落選して,9月15日の谷垣財務大臣の記者会見では,あの与党との合意は政府としてご破算にしますと。要するに,総額医療費管理制度を再度俎上に上げようということです。


──医療側としては総額医療費管理制度を導入されるのが最も嫌だから,それを避けるためにそのほかのことで妥協を重ねているような印象です。切り札を相手に握られた恰好です。

自見 そのとおりです。総額医療費にするぞするぞと脅かして診療報酬を下げるというやり口です。それと同じように使われているカードが「医師免許の更新制」です。そんな制度を導入したら法医学の先生がいなくなりますよ。法医学なんて、専門化の最たるもので,学生時代に習得した一般的な医学知識・技能とはかけ離れたものです。「免許更新」になじむはずがありません。だいたい厚労省にいる240名の医者,技官はみんな落第だろうと。それに医師に導入するのなら,官僚の国家公務員上級職試験も10年に1回試験をするのか,弁護士や裁判官も10年に1度更新試験をするのかってことです。そう脅かしたら諦めたようですね(笑)。それに医師の場合,悪いことをしたら医道審議会で医師免許の剥奪まであります。そういうシステムがあるのに,「医師免許の更新制」をもち出してきたというのは,医師への脅かし以外の何ものでもないですよ。

日本の「医療」はどうあるべきか

──社会保障に関してはアメリカよりもヨーロッパから学ぶことが多いように思われますが。

自見 ヨーロッパ,特に北欧などはアメリカとはまったく違う政策をやって,社会保障をあれだけ手厚くしても,ノルウェーなどは世界で最も国民平均所得が多いんです。社会保障も経済発展もしているわけです。ですから,ヨーロッパ型の社会に近づけたほうがいいというのが私の主張です。
結局,「小さな政府」か「大きな政府」かという話に行き着くわけですが,日本ではいつの間にか小泉と竹中で「小さな政府」と決めてしまいました。私は「小さな政府」というのは日本の社会・文化・伝統には合わないと思っています。かといって,大きすぎる政府もいけない。当たり前のようですが,「適当な大きさの政府」が一番いいと思っています。


──日本の医療費はもう少し増やすべきですか。

自見 私は増えてもいいと思います。日本の医療費は大きい大きいとマスコミは書き立てていますが,実はGDP比でOECDで17番目,先進7カ国では最低の水準です。それでいてパフォーマンスは世界一なのですが,そのことはほとんど報じられていません。私は,先進国並みに医療費を引き上げて,OECDでせめて6,7番目くらいにしてもいいと思っています。長寿国家にはコストがかかりますよ。
それと国は827兆円も借金があって大変だと言いますが,これは粗債務です。実は世界で一番金融資産をもっているのは日本国政府なんですよ。それと法律によって国民から強制的に徴収する社会保険料,あれはアメリカの定義だと歳入なんですよ。日本政府には260兆円の社会保障基金,170兆円の内外投融資,100兆円の外貨準備,合計530兆円の金融資産があります。だからそれらを差し引くと,純債務は約300兆円でEUの国とほとんど変わりませんよ。マスコミが勉強しないから財務省やマネタリストたちに踊らされているのです。


──日本の医療が守るべきものとは何でしょう。

自見 日本の医療制度のいいところは,フリーアクセスや自由開業医制度という「民活」に依った部分と,医療供給体制や診療報酬という「官」が管理する部分がうまく組み合わされている点です。これは官と民が相補的関係にある理想的な制度ですよ。それをアメリカのような邪な考えで崩してはいけません。人の命は金儲けには馴染まないのですよ。
やはり,病める人や痛める人を助けることが政治家として一番大切なことなのです。健康で豊かな人には政治の力など必要ないんです。政治が金持ちについたら,その他の人は地獄になりますよ。
 確かに日本の一部の富裕階級だとか腕のいい医者が飽き飽きしているのも事実ですが,命だけは平等であるべきなんです。死んでいく人の苦しみだとか残される家族の苦しみだとか,そういうことに目を向けるのが政治なのです平安時代の最澄の言葉「一隅を照らす」は変らぬ人間社会の真理です。
 だから医療だけは絶対に譲れないのです,死んだ命は元には戻らないのですから。「人間が社会の主人公である」が政治の大前提だからです。私は今後もぶれない心,貫く信念で日本の医療のために戦っていきたいと思っています。

──同感です。本日はありがとうございました。

『月刊/保険診療』07年1月号  特集「医療制度改革の真相」 より

引用終了

 自分は、福祉ボケしている、小泉竹中式医療崩壊(改革)推進「自民党医療ソーシャルワーカー議員」に伝えたいです。名前はあえて挙げませんが・・・

 自民党を離党して、国民新党の白見さんか、社民党の阿部さんの下で伸びて欲しいと切に願います。





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