100回目の「辻つじ反戦ながし」をする阿部ひろみさん(右端)
=国立市東2丁目の大学通りで
路上で反戦訴え100回 国立で元教員ら
国立市在住の元教員阿部ひろみさん(51)が、仲間たちと一緒に続けている路上パフォーマンス「辻つじ反戦ながし」が25日、100回を重ねた。周辺事態法や国旗・国歌法などが成立した99年に始めて以来、毎月1回、欠かさず国立の大学通りに立ち、語りや歌、ピンポン球投票などを通じて平和への思いを伝えている。(石川幸夫)
「『戦争しません、させません』が私たちのメッセージです」。25日午後、大学生や親子連れが行き交う大学通り。阿部さんが、いつものようにマイクで語り始めた。傍らには、パネル展示やピンポン球を使った「まちかど投票」の箱が置かれている。この日の投票内容は「インド洋上での自衛隊の補給活動はアフガニスタンのために、なった○ ならない×」。
阿部さんが「反戦ながし」を始めたのは99年9月。その年、周辺事態法や国旗・国歌法が次々に成立し、住民基本台帳法が改正された。
かつて戦争を体験した世代から、「いつの間にか戦争に突き進んでしまった」と当時を振り返る言葉を聞いていた。「空気がだんだんと変わっていくというのは、今のような雰囲気なのではないだろうか」と感じた。「当時の人たちは戦争を止められなかった。私たちは、今動かなければ同じ過ちをしてしまう」と思い立った。
やるならば、みんなが楽しく感じるようにと路上パフォーマンスにした。語りだけではなく歌や踊りで訴える。○か×かで意思を示すことのできるピンポン球投票は、通りを行き交う高校生たちの関心も高いという。
100回を重ねたこの日、阿部さんが言葉に力を込めたのが、沖縄戦での「集団自決」をめぐる教科書検定問題だった。
今年夏、市民ら約40人とともに、検定意見の撤回を求める意見書提出を市議会に陳情。9月末にあった沖縄県での県民集会にも参加した。12月には、文科省前で検定意見の撤回を求める要請活動に参加する予定だ。 阿部さんは「きょうはだれが来るか、だれに会えるかを楽しみに思いながら続けてきた。いつの間にか100回。これからも思いを伝えていきたい」と語った。