12月13日の衆議院厚生労働委員会で、
高橋千鶴子議員(共産党)が北九州市の餓死事件などを取り上げ、
福祉事務所の違法な「水際作戦」を追及しました。
質問の動画が衆議院のHPで見られます。
http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.cfm12月13日の厚生労働委員会で
高橋議員の質問は2回ありますが、14時03分からの15分間の方です。
会議録はこちら↓から
http://www.shugiin.go.jp/index.nsf/html/index_kaigiroku.htm厚労省の中村秀一社会・援護局長は、
門司の餓死事件について、北九州市当局の対応に問題は無かった
との従来の見解を繰り返しました。
さらに問題なのは、厚労省の行っている監査についてです。
「全国におけるそういった問題事例などについて
実態調査すべきではないかということでございますが、
まず国の方では、調査というよりももっと徹底しておりまして、
都道府県、政令指定都市に対しましては、本庁と福祉事務所に対して、
これは福祉事務所の全部ではございませんが、
選んだ福祉事務所について毎年現地での指導監査を実施しており、
そういったことについて調査をいたしております。」
などとあたかもきちんとチェックしているかのような
答弁をしました。これは全くの嘘です。
厚労省の行っている生活保護法施行事務監査では、
保護受給中のケースの検討しか行われません。
面接相談についてはヒアリングのみで済ませており、面接相談記録は見ていません。
また、受給中のケースしかみないということは、廃止されたケースの検討も
行われないので、不当な廃止処分が行われていないかどうかも
チェックされていないということです。
(都道府県の監査では、必ず面接相談記録や廃止されたケースの記録も見る
ようにしている県もあれば、厚労省監査と同じくヒアリングのみという県もあるようです。)
政令指定都市には道府県の監査が入らないので、
外部の監査は厚生労働省によるものだけです。
つまり、政令指定都市の面接相談記録や廃止記録は
全く外部の人間に見られていないというのが現状です。
(県の監査で面接記録や廃止記録を見ないところも同様です)
これは早急に改めさせなければなりません。
厚労省の監査の実態は、面接相談についてはヒアリングのみで、
実際に相談記録を見て検証することは一切行われていません。
つまり、「申請権の侵害につながるような対応はしていませんね」と
聞いているだけなのです。
「保護率を上げたくないので申請させずに追い返しています」と
正直に答える福祉事務所があるはずがありません。
まったくふざけています。
厚労省の生活保護法施行事務監査のあり方について、
より具体的に追及していく必要があります。
ちなみに、この社会・援護局長の中村秀一は、
昨年の障害者自立支援法の審議の中で、
「これからの福祉サービスは金で買うものだ」
と答弁し、批判を受けて撤回したことで知られています。
<抗議先>
厚生労働省社会・援護局長 中村秀一
〒100-8916 東京都千代田区霞が関1-2-2
電話:03-5253-1111(内線2801)
https://www-secure.mhlw.go.jp/getmail/getmail.html厚生労働省社会・援護局総務課指導監査室生活保護監査係
電話:03-5253-1111(内線2880)
または03-3595-2618(直通)
FAX:03-3595-3180
seihokansa@mhlw.go.jp厚生労働省社会・援護局保護課
電話:03-5253-1111(内線2820)
または03-3595-2613(直通)
FAX:03-3592-5934
seikatsuhogo@mhlw.go.jp<国会で追及してください>
衆議院厚生労働委員会委員一覧
http://t-t-japan.com/~muranose_rena/blog/rena.cgi/permalink/20061118160803参議院厚生労働委員会委員一覧
http://t-t-japan.com/~muranose_rena/blog/rena.cgi/permalink/20061123200848---------------------------------------------------------------------------
第9号 平成18年12月13日(水曜日)
○高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
きょうは、生活保護の問題について質問いたします。時間が限られておりますので、大臣にまず端的にお答えを願いたいと思います。
生活保護法第一条は、「憲法第二十五条に規定する理念に基き、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする。」とあります。第二条には無差別平等の権利がうたわれておりますし、第三条では、この「最低限度の生活」とは「健康で文化的な生活水準を維持することができるものでなければならない。」と書かれております。
この原則が今後も変わりはないことを大臣に確認させていただきます。
○柳澤国務大臣 行政は、これはもう憲法のもとにあるわけでございまして、憲法の精神を酌んだ、そうした行政を展開するというのは当然だと思います。
ただ、具体的な事柄につきましては、憲法の趣旨を生かして、そして国民の間の公平であるとか、その制度が持続可能であるとかというような総合的な観点から検討していかなければならない、このようなことも御理解賜りたいと思います。
○高橋委員 私は、今おっしゃったその具体的な事柄、今日起こっていることが、既に憲法二十五条が棚上げされたのではないか、そういう気がしてならないわけです。
日弁連が、ことし六月から八月に行った全国四十二都道府県の電話調査に六百三十四件の相談が寄せられ、保護が断られたケースを検証していくと、六六%が違法な対応をしている可能性がある、こういう指摘をされていることは大変重要ではないかと思います。
今日、北九州での五月に起こった五十六歳の男性の餓死の事件、秋田での七月の抗議自殺、三十七歳、生活保護をめぐって人命を失うという非常に残念な事件が起こっております。
まず、北九州の事件については福祉事務所の対応が適切だったと言えるのか、端的にお答えください。
○中村政府参考人 お答え申し上げます。
北九州市の事例は、昨年九月に水道がとめられているということから福祉事務所の方に緊急連絡があって始まったケースであり、九月三十日に福祉事務所の方にその方が御次男と一緒に来られて、いろいろ保護の御相談があり、十二月にも改めて相談があった、こういうようなケースでございます。結果として、ことしの一月に御相談に見えた方がお亡くなりになり、また、お亡くなりになっていることが発見されたのが五月というケースでございまして、こういう、お亡くなりになり、また、その発見がおくれるというような事態になったことは本当に残念であります。
御指摘の事例については、一回目の、九月三十日の相談において、親族間の話し合いの結果次第でまた御相談に来るようにと助言し、十二月六日の御相談でも、長男の方の援助の可能性があるということで、まず御家族で御相談の上、援助が困難な場合にはいつでもまた御相談に見えるよう助言したということで、このことから生活保護における福祉事務所の対応に違法や不当な扱いがなされたとは認められないというふうに考えております。
また、北九州市の方では、九月三十日にその男性の方の事例が発見されたときに、保健師さんが週に一回の訪問をするということで、健康状態の確認も十一月までされているなど、行政としての一定の支援が行われていることが認められておりますので、そういった点では行政の側も対応していたのではないかと思います。
しかし、一方で、十二月六日、二度目に男性と次男の方が生活保護の相談に訪れた際、九月三十日に一度御相談されておりますし、その後も水道が引き続きとめられているままであったことなどを考えますと、この時点で男性の資力の有無等についてもう一歩踏み込んでより詳しいお話を聞く必要があったのではないか、結果論ではありますが反省点もございます。
こういう反省を踏まえまして、北九州市の方でも緊急対応ガイドラインというのを十月十六日に見直しをして、担当者間の連携なり、御相談のあったケースのフォローアップについてきちんとしていこう、こういうことが部内でも改められたと伺っておりますし、また、本件のケースは、実は年末に民生委員さんがお見舞金を届けるなどの活動もしておりまして、ずっと民生委員さんがかかわってきたわけですが、民生委員さん自身が御病気になって、死亡の発見が五月までおくれたというようなこともありますので、民生委員さんを初めとする地域の社会資源との連携についても工夫をしていく必要があるのではないかというふうに考えております。
○高橋委員 反省点があったと一言だけありましたけれども、非常に今の見方は不十分ではないかなと思います。
きのういただいた調査結果についてというペーパーでも、まだこれは総合的なものではないと思いますけれども、それでも、関係各課の連携等の対応次第では本事例のような結果にならなかった可能性があることも否定できないと書いてあるのでありますから、せっかく昨年の九月に水道がとめられているという事態を発見して対応したにもかかわらず、しかも本人が申請をしたにもかかわらず、ことしの五月にそういう結果になったということを率直に認めるべきではないかと思っております。
肝心なことは、北九州では今回のような事件は初めてではないということであります。昭和五十六年の一二三号通知によって、適正化という名の保護抑制が強まっています。また、北九州は独自の基準がございまして、ケースワーカー一人当たり五件、生活保護の廃止がノルマになっていた。おれは月に二枚しか申請書を渡さなかったと豪語する面接官もいるなど、やみの北九州方式という言葉が新聞紙上でも取りざたされるくらいであります。
また、これは八月四日付京都新聞で、京都市が、自立助長推進世帯と称して、やはり一人当たり五件をノルマにしていたことが明らかにされていたように、北九州方式が全国に波及していることを示しているのではないかと思います。ことし三月に出された適正化の手引はこれをモデルにしたという指摘もございます。非常に重大ではないかと思います。
十月に北九州で大規模な調査が行われました。集団で同行申請を行ったことにより二十七件申請が受理されました。何度も何度も窓口に行って帰されていたけれども、ようやく受理されたという実態が明らかになっております。
これは、申請の全体の数を表にして資料の一枚目に出しましたけれども、申請率が全国大体三〇%、開始率が二八%、北九州は二五%なんですけれども、この国がとっている資料を見ても、どれほど窓口で帰されたのかという実態がないんです、そういう統計がないんです。これをきちんとつかむべきではないか、また、少なくとも申請権を守るという立場から窓口で拒否することはきっぱりやめるべきと思いますが、いかがですか。
〔委員長退席、伊藤(信)委員長代理着席〕
○中村政府参考人 お答え申し上げます。
生活保護の相談と申請、それからそれが適用されるということについてでございますが、まず生活保護につきましては、生活に困窮する方が、その利用し得る資産、稼得能力、その他あらゆるものの活用を図って、なお最低限度の生活が維持できない場合に適用されるということでございます。
委員からも資料として配付されておりますが、そういった意味で、福祉事務所に来所される方の中には、このような生活保護の仕組みについて十分理解されていない方や、ほかの福祉施策等が活用できる、そういった場合にはまずそちらの方を使っていただくということなど、そういう最低限度の生活が維持できることになりますので、保護の適用に至らない方もございます。
このため福祉事務所においては、申請に先立ちまして、まず来所の方々の御相談を受けてその状況を把握し、これを踏まえて、例えば預貯金等がある場合には、まずその活用を図っていただくことを促す、活用できる他法他施策がある場合には、これを活用するよう助言すること等を行っているところでございます。
この結果、平成十六年で、全国五十二万五千件の相談件数のうち生活保護の申請に至った件数は十六万一千件というふうになっております。
ただ、申請の意思のある方の請求を阻害するようなことがあってはならないということで、今委員の方から御紹介がありました、これは実施機関であります都道府県、市の担当者の方々の御要望もあって、生活保護行政を適正に運営するための手引をことしの三月三十日に作成したところでございますが、この手引の冒頭におきましても、申請の意思のある方への申請手続の援助指導を行うとともに、法律上認められた保護の申請権を侵害しないことは言うまでもなく、侵害していると疑われるような行為自体も厳に慎むべきことというふうに手引で明記しておるところでございます。
あと、委員の方から、全国におけるそういった問題事例などについて実態調査すべきではないかということでございますが、まず国の方では、調査というよりももっと徹底しておりまして、都道府県、政令指定都市に対しましては、本庁と福祉事務所に対して、これは福祉事務所の全部ではございませんが、選んだ福祉事務所について毎年現地での指導監査を実施しており、そういったことについて調査をいたしております。
また、都道府県、政令指定都市も、国の実施方針に基づきまして、これは全数の福祉事務所に対して指導監査を毎年実施しているということでありまして、指導監査の際に、生活保護申請の意思のある方には申請を拒まないように指導しておるところでございます。また、相談件数等についても調査しているところでございます。
○高橋委員 局長、時間が限られているのに長々と説明をしないでください。聞かれたことには答えてないんです。いろいろ言うけれども、監査をしていると言うけれども、窓口で帰された人、申請の意思があるのに、もうだめよと最初から帰された人はつかんでいませんねと聞いているんです。つかんでいないでしょう。それをきちっとやれということを言っているんです。いろいろ監査をしても、結局、いわゆる保護を受けさせないためにいかにやっているかという視点では、だめなわけですから。
でも、今最初にあったように、意思のある方を阻害してはならないということをおっしゃっていましたので、そこを徹底されるように、そしてまた、そういう実態があるのかどうか調査をされるように、ここは要望にとどめます、時間がありませんので。
それで、限られた時間ですが、どうしても紹介したいことがございます。北九州の教訓が生かされないで、秋田でもまた抗議の自殺事件が起きた。その方は、自分の死をもって福祉がよくなればいいのにということを述べていたということ、本当にこの遺志を酌んでいただきたいと思います。
本当にいろいろなことが実は起こっているんですね。資料の三枚目をごらんになってください。毎日新聞の秋田県版、「出産に圧力」、こっちは朝日新聞、「秋田市職員が「暴言」」簡単に言いますと、生活保護を受けている夫婦が出産の意思を示したのに対してそれを抑制するような発言をした、妊娠の事実を伝えた際に、生活保護を受け、さらに出産費用を出すというのは常識的にどうかと言ったと。下の方、朝日の三段目を見てください。「産みます、はいそうですね、というわけにはいかない」「出産を望み、何でもかんでも面倒をみてもらえるならば、みんな生活保護を受けたいと思いますよ」、こんなことを職員が言ったと。生活保護世帯には当然、新聞にも書かれておりますけれども出産を無料にする制度もございます、それを一切教えませんでした。また、二十年前には、同じ秋田市で中絶強要事件というのも起こっています。
こういう人権侵害が起こっているんだということに対して、やはりきちんと、いわゆる、皆さんの言い方で言えば適正化です、こういう行き過ぎた指導は徹底して改めるべきだと思います。一言、大臣、お願いします。
○柳澤国務大臣 個々のケースについて、私はコメントをするだけの情報を持っておりません。しかし、いずれにしましても、福祉事務所に来られた方に対して必要な指導、指示をすることはできるとされておりますけれども、保護の目的の達成のため、必要最小限度で行うべきものである、このように考えております。
○高橋委員 残念ながら時間が来ましたので、終わります。引き続いてまた次の機会に譲りたいと思います。ありがとうございました。
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