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【北九州市生活保護問題】門司餓死事件「対応次第で防げた」厚労省検証

2006年12月26日 | 反貧困・生活保護
5月に門司区の市営団地で起きた餓死事件について、
厚生労働省が12月26日に検証結果を発表しました。

以前として申請権の侵害は無かったとしている点は問題ですが、
「福祉事務所関係各課の連携等の対応次第では、
本事例のような結果にならなかった可能性があることも否定できない」
と市の対応に問題があったと結論づけた意義は大きく、
市内外での運動が厚生労働省をここまで追い込んだといえます。

しかしながら、この「検証」は北九州市当局が提出した書類を
審査しただけで、現地調査は一切行われておらず、
その結果不十分な点がたくさんあります。

厚生労働省に対して現地調査によるさらに詳細な検証を行うよう迫るともに、
北九州市に対して改めて抗議の声を集中しましょう。

以下、厚労省の検証の問題点を見ていきます。



<厚生労働省発表の検証結果>

                                       社会・援護局

     北九州市における死亡事例にかかる調査結果について

1 門司区の市営住宅での死亡事例
   死亡者/男性(56歳)
   生活状況/独居世帯(男性の長男、次男及び元妻はしない近隣で生活   
         し、経済的支援等の実績あり)
   死亡発見/平成18年5月23日(死亡推定時期:平成18年1月頃)
   発見者/付近住民

2 調査の目的
 ライフラインが停止されるなど生活が困窮している一人暮らしの要援護者の発見及び発見後の適切な援助が行われたかについて、検証する(福祉事務所、民生委員、地域福祉施策等)。
 特に、福祉事務所は、生活保護の実施について適切な相談、面接、助言が行われたか、保護申請にかかる申請権の侵害は無かったかについて詳細に検証する。

(→厚生労働省は民生委員や地域の人たちには一切聞き取り調査をしていない。
また、末吉北九州市長は「法の執行に問題はない。地域住民の支えあいの弱さに問題があったのではないか」と男性を一生懸命支えようとした地域の人たちに責任転嫁する許しがたい見解を取り続けている。男性を心配し続けた民生委員、自治会長、近隣住民の意見を聞き取るべきである。)

3 検証結果(概要)
 ○ 要援護者発見(平成17年9月30日)から初期の緊急対応
 緊急対応マニュアル(北九州市作成)に沿って、保健師とケースワーカーが訪問し、健康状態等をチェックし、入院の必要性がないことを確認した上で、生活の相談のため福祉事務所への来所を助言するなど、行政として、必要な支援が行われている。

(→保健師は医者にかかる必要があると助言したにもかかわらず、ケースワーカーは所持金の確認等の調査は一切せずにただ「来所指導」しかしていない。
この時点ではっきりと本人は「保護をお願いしたい」と申請の意思を示したことが面接記録票にも書かれている。)

 ○ 9月30日に男性と次男が福祉事務所に来所した際の対応
 今後の生活について親族間で話し合い、その結果次第で再来所するよう助言しており、申請権の侵害につながる問題はなかったものと思科される。

 ○ 9月30日以降の対応
    保健師が週1回程度訪問(11月10日で終了)し、健康状況、生活状況を確認しているが、訪問結果が保護課へ情報提供されていないなど、関係各課との連携が不十分であったことが認められる。

 ○12月6日に男性と次男が生活保護の相談に来所した際の対応
 長男へ今後の援助の可否を確認して、援助が困難であれば来所するよう助言。
 なお、本事例については、ライフラインが止められたままであったこと等から、長男の扶養の可能性の如何に拘わらず、男性の生活歴、現在の資力の有無等、詳しい話を聴く必要があったことは、結果論であるが否定できない。

(→ このときにもはっきりと「保護をお願いしたい」と述べたことが面接記録に残っている。明らかな申請権侵害である。
また、6月12日の参議院行政監視委員会では、中村社会・援護局長が
「56歳の男性でございますので、働くことについてどうかというようなやり取りもあったようでございます」と答弁している。
ライフラインがとめられ、栄養状態が悪くふらふら状態の身体障害者に、手持ち金の額も聞かずに
無理な就労指導をして保護申請をさせないという信じられない違法行為である。)

 ○ 民生委員については、男性に対して訪問等による必要な支援は行われている。
 また、12月29日頃には、男性に歳末見舞金による必要な支援が行われている。その後、民生委員自身の病気により、訪問活動による男性の見守りが行えなくなり、男性の死後5月まで発見が遅れる一因となったことは残念なことである。
 今後、民生委員が病気等で活動できなくなった際のバックアップ体制に、係る指導の徹底を図る必要がある。

(→ 民生委員は必要以上にがんばっていた。しかし、福祉事務所の保護課職員は事件後も含めて民生委員会議に一度も参加していない。)

 ○ 以上のことを総合的に勘案すれば、福祉事務所関係各課の連携等の対応次第では、本事例のような結果にならなかった可能性があることも否定できない。
 ついては、特にライフラインが止められている世帯からの生活保護の相談等には、きめ細やかな対応をするとともに、保護課及び関係各課の連携を一層強化する必要があると考える。
 
(→ 福祉事務所内の関係各課の連携ができないのは、
「何でこんなやつ連れてくるんだ!」と家庭相談員や保健師を怒鳴りつける面接主査の体質がある。
面接では関係市職員の同席さえ認めていない。保護課が関係機関との連携を切ってきている。)

北九州市、全国調査団の質問状に不当回答

2006年12月21日 | 反貧困・生活保護

北九州市生活保護問題全国調査団が、
11月に提出した公開質問状に対して
北九州市当局は12月21日付で不当な「回答」を出しました。

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北九州市保地保第236号
平成18年12月21日

北九州市生活保護問題全国調査団
団長 井上英夫様

北九州市保健福祉局長 南本 久精

御質問に対する回答について

時下、ますます御清栄のこととお喜び申し上げます。
さて、平成18年11月17日付けで貴調査団から提出された質問状につきまして、下記のとおり回答いたします。
なお、本市では、生活保護制度は生活に困窮する方の生活の最後のよりどころとなる制度であることを踏まえ、日頃から適正な実施に努めているところです。今後とも、本市の生活保護行政について御理解いただきますようお願い申し上げます。



1 面接相談について
生活保護の相談に来られる方は、経済的な問題だけでなく、生活上の様々な問題を抱えており、生活保護以外の相談も含めて来所されることも多いのが実状です。そのため、本市では、生活上の問題を抱えた方(相談者)が区役所(福祉事務所)保護課へ来られた際には、まず、面接相談を行い、相談者のお話をよくうかがい、当該世帯の状況を的確に把握した上で、当該世帯が抱えている諸問題を緩和・解決するための方策について助言をしています。
 その上で、生活保護の申請が必要と思われる方には申請を助言しており、また、生活保護の受給要件を欠くと思われるような場合であっても、申請の意思のある方からは申請を受け付けています、

2 面接相談を行っている理由
 生活保護は、生活に困窮する方がその利用し得る資産や他の福祉施策などを活用しても、なお最低限度の生活ができない場合に適用されるものです。保護課の窓口に来られる方の中には、このような保護の受給要件や、保護を受けることに伴って生ずる生活上の義務、届出の義務など、生活保護制度について十分に理解されていない方や、保護の適用にならない方も多くいます。また、当初の相談が生活保護に関するものであっても、むしろ他の福祉施策の活用等により問題が解決する場合も多くあります。
 そのため、本市では、生活保護の新規の相談窓口に、制度に精通した面接専任の主査(係長クラス)を配置し、来訪者の相談に応じ、生活保護制度についての仕組みについての説明や、迅速に他の福祉施策等の紹介をするなどの懇切丁寧な応対をしています。
 面接相談を行わずに機械的に相談を受け付けた結果として却下しなければならないことになれば、明らかに生活保護の適用にならない方にも、預貯金調査などのプライバシーに関わる諸調査が行われること、また、本来利用できる他の福祉施策等の活用が遅れることなど、御本人にとってかえって不利益になる場合があります。
 この点、生活保護法の所管省である厚生労働省の通知にも、「保護の相談の段階から『保護のしおり』等を用いて制度の仕組みを十分に説明するとともに、他の福祉施策や地域の社会資源の活用等についての助言を適切に実施することが必要である。」と明記されており、本市においても、保護申請の前に、相談者から生活状況等、(①相談の趣旨、②困窮の状態、③生活歴、④職歴、⑤病状、⑥扶養義務者の状況、⑦資産の状況等)を詳しくおうかがいすることは、相談者の利益に資する重要な業務であると考えています。

3 面接相談における第三者の同席について
面接相談の方法については、生活保護法や厚生労働省作成の実施要領(生活保護手帳)には具体的に規定はありませんが、本市では生活保護制度との関係から、収入や生活状況等のプライバシーに踏み込んだ話をうかがうため、個人情報保護の観点から、また、適正かつ円滑な業務の執行を確保する観点から、面接相談は原則として「相談者と面接員」により行うことが適当であると考えています。
 しかし、同席の申し出があれば、本市の原則を説明し、相談者の意向を詳しく確認しながら、同席の必要性を判断させていただいています。
 したがって、面接相談に当たっては本市の原則が望ましいと考えており、窓口に「相談者本人からの要望があれば、どなたでも同席できます。」との旨を掲示する考えはありません。

4 10月24日の小倉北福祉事務所の対応について
 この日は突然大勢で来所され、事前の連絡もなくテレビカメラの撮影が行われ、通常では考えられない状況の中で、一方的な同席面接の要求が続き、直ちに本来の対応を行うことができませんでした。そのため、説明申し上げたいこともできない上、相談者を待たせるという事態となりました。
 落ち着いた雰囲気の中、プライバシーの配慮が最大限必要な保護課において、窓口カウンターを大勢の方が占拠し、騒然とした雰囲気になったことは、相談者への配慮を欠いたものと言わざるを得ません。貴調査団の行動は大変遺憾に思っています。つきましては、今後、相談者と同行される際は、是非、穏当に行動していただくよう要請します。
 なお、八幡西福祉事務所の対応は本市の原則に基づいたものであり、貴調査団においても保護課のこの原則についての説明に納得されたものと理解しています。

以上

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学校教育はどう変わるか -「教育改革」をたどる

2006年12月17日 | 子ども・学校教育
(↑工事中の公民館)

学校教育はどう変わるか~「教育改革」をたどる~

  日 時 10:00~12:00
      11/26(日)『日本の教育はどこへ向かおうとしているのか ~「教育改革」と学校再編~』
      12/10(日)『子どもたちの学びは大丈夫? ~授業、学力、評価~』
      12/17(日)『家庭・地域は学校教育にどうかかわるか~地域からの学校づくり~』
  場 所 くにたち公民館(国立駅南口5分/富士見通り南側)
  講 師 児美川孝一郎さん(法政大学教員/教育哲学、教育改革)

幕末から自由の権へ

2006年12月17日 | その他

幕末から自由の権へ~本田家の人々が見た時代~

  日 時 2006年10月28日(土)~12月17日(日)09:00~17:00
  場 所 くにたち郷土文化館 
  休館日  11月9日(木)、24日(金)、12月14日(木)
  講演会  『多摩豪農ネットワークと本田家・小島家~新選組の事蹟を求めて~』
      11月25日(土)14:00~15:30
      
小島 政孝さん(小島資料館館長)

 江戸時代、幕府の直轄地だった多摩地域には、いくつもの農兵組織が置かれ、生糸産業など高度の生産力を持ち、下田や横浜から新時代の風を吸収し、独自のネットワークと自治の風土がありました。その中から豪農層や名主層をスポンサーとして新撰組が生まれました。
 独自の共和政体を模索していた多摩では、明治「維新」を「瓦解」と呼び、天皇と薩長閥の明治政府に反抗して、土佐と並び自由民権運動の大拠点地域になります。多摩の自由民権運動の高まりを恐れた明治政府は、「逆賊」新撰組の「殉節両雄之碑」建立を妨害し、1880年代以降は天皇を何度も行脚(7回)させて自由民権運動を支持する豪農層・名主家を潰して歩かせます。明治天皇が来訪したとき、名主家は表向き歓迎の挨拶を述べますが、街道沿いの家々はみな雨戸を閉め、無言の抗議を行ったといいます。
 自由民権運動の高まりの中で、全国の自由民権グループがいくつもの私擬憲法がつくられ、それが戦中・戦後に憲法研究会によって発掘され、今日の日本国憲法のモデルとなりました。当時の私議憲法の中でも、多摩・五日市の五日市憲法草案は、もっとも革新的なものでしたが、1968年に発見されるまで、その存在も知られていませんでした。
 1880年代半ば、明治政府により自由民権運動が弾圧・懐柔され、瓦解していく中で、多摩では武相困民党事件・川口困民党事件、さらに秩父事件など武装蜂起が次々と起こり、弾圧されます。困民たちの借金棒引き運動に同情的だった銀行は全てつぶされていきます。1893年には、議会に進出した自由党の力を削ぐため、多摩は神奈川県から東京都に編入され、「都下」との呼び名がつけられました。それでも反政府の風土が収まらない多摩に天皇制のくさびを打つために、大正天皇陵がつくられ、近藤勇の実家である宮川家に土地を吐き出させて多摩霊園や明治天皇聖跡記念館がつくられていきます。
 凄まじい弾圧を経て、しかしそれでも多摩は大正デモクラシー期の労農運動の拠点となり、お上に簡単には従わない「三多摩壮士」の風土は脈々と受け継がれていきます。昭和期に入って多摩が軍需工場・軍事基地が集中する一大軍事拠点とされる中、多摩切り捨ての「帝都構想」に反抗し、敗戦後も、復興「グリーンベルト構想」を断念に追い込み、米軍立川基地拡張にまちぐるみの大闘争(砂川闘争)を繰り広げました。
 国立・谷保村では、下谷保の名主で村医者の本田家が自由民権運動のスポンサーとして活躍します。江戸末期の本田覚庵は、新撰組の近藤勇・土方歳三と親交があり、雑学を吸収し文人として名を知られます。その子、本田定年は自ら自由民権運動に参加し、『武蔵野叢誌』(「武蔵野壮士」にかけた)を発刊しますが、運動に挫折した後、近藤勇の首級を探す放浪の旅に出ます。
 本田家をはじめ、ひとびとがお金を出し合って、明治期の初頭には潤沢学舎(現・国立第一小学校)がつくられました。この学校には、戦前・戦中を通じて天皇の「ご真影(肖像画)」を奉る「奉安殿」が存在しなかったといいます。

 郷土文化館の展示では、幕末から明治期の本田家に焦点をあて、本田家に伝わる資料を中心に展示しています。近藤勇や土方歳三の写真(複写)、『覚庵日記』原本、幕末から明治初期にかけての本田家の書籍(ローマ字で「honda」と書かれたものも)、『武蔵野叢誌』、「本田定年」の文字が見える「殉節両雄之碑」の拓本などが見どころです。
 
 闘う百姓の郷、多摩については佐藤文明著『未完の多摩共和国』に、本田父子については菅野則子著『江戸の村医者』が詳しいです。
 同じ展示を見ても、自由民権運動に「武士道」と「兵役を含む近代国家建設」の精神を見いだす方(→草莽・杉山奮戦日記の11/01付)もいらっしゃるようですが。

【北九州市生活保護問題】国会で嘘をつく厚生労働省

2006年12月13日 | 反貧困・生活保護
12月13日の衆議院厚生労働委員会で、
高橋千鶴子議員(共産党)が北九州市の餓死事件などを取り上げ、
福祉事務所の違法な「水際作戦」を追及しました。

質問の動画が衆議院のHPで見られます。
http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.cfm
12月13日の厚生労働委員会で
高橋議員の質問は2回ありますが、14時03分からの15分間の方です。

会議録はこちら↓から
http://www.shugiin.go.jp/index.nsf/html/index_kaigiroku.htm

厚労省の中村秀一社会・援護局長は、
門司の餓死事件について、北九州市当局の対応に問題は無かった
との従来の見解を繰り返しました。

さらに問題なのは、厚労省の行っている監査についてです。

「全国におけるそういった問題事例などについて
実態調査すべきではないかということでございますが、
まず国の方では、調査というよりももっと徹底しておりまして、
都道府県、政令指定都市に対しましては、本庁と福祉事務所に対して、
これは福祉事務所の全部ではございませんが、
選んだ福祉事務所について毎年現地での指導監査を実施しており、
そういったことについて調査をいたしております。」

などとあたかもきちんとチェックしているかのような
答弁をしました。これは全くの嘘です。

厚労省の行っている生活保護法施行事務監査では、
保護受給中のケースの検討しか行われません。
面接相談についてはヒアリングのみで済ませており、面接相談記録は見ていません。
また、受給中のケースしかみないということは、廃止されたケースの検討も
行われないので、不当な廃止処分が行われていないかどうかも
チェックされていないということです。
(都道府県の監査では、必ず面接相談記録や廃止されたケースの記録も見る
ようにしている県もあれば、厚労省監査と同じくヒアリングのみという県もあるようです。)

政令指定都市には道府県の監査が入らないので、
外部の監査は厚生労働省によるものだけです。
つまり、政令指定都市の面接相談記録や廃止記録は
全く外部の人間に見られていないというのが現状です。
(県の監査で面接記録や廃止記録を見ないところも同様です)
これは早急に改めさせなければなりません。

厚労省の監査の実態は、面接相談についてはヒアリングのみで、
実際に相談記録を見て検証することは一切行われていません。
つまり、「申請権の侵害につながるような対応はしていませんね」と
聞いているだけなのです。
「保護率を上げたくないので申請させずに追い返しています」と
正直に答える福祉事務所があるはずがありません。
まったくふざけています。
厚労省の生活保護法施行事務監査のあり方について、
より具体的に追及していく必要があります。

ちなみに、この社会・援護局長の中村秀一は、
昨年の障害者自立支援法の審議の中で、
「これからの福祉サービスは金で買うものだ」
と答弁し、批判を受けて撤回したことで知られています。

<抗議先>
厚生労働省社会・援護局長 中村秀一
〒100-8916 東京都千代田区霞が関1-2-2
電話:03-5253-1111(内線2801)
https://www-secure.mhlw.go.jp/getmail/getmail.html

厚生労働省社会・援護局総務課指導監査室生活保護監査係
電話:03-5253-1111(内線2880)
または03-3595-2618(直通)
FAX:03-3595-3180
seihokansa@mhlw.go.jp

厚生労働省社会・援護局保護課
電話:03-5253-1111(内線2820)
または03-3595-2613(直通)
FAX:03-3592-5934
seikatsuhogo@mhlw.go.jp

<国会で追及してください>
衆議院厚生労働委員会委員一覧
http://t-t-japan.com/~muranose_rena/blog/rena.cgi/permalink/20061118160803

参議院厚生労働委員会委員一覧
http://t-t-japan.com/~muranose_rena/blog/rena.cgi/permalink/20061123200848

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第9号 平成18年12月13日(水曜日)

○高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 きょうは、生活保護の問題について質問いたします。時間が限られておりますので、大臣にまず端的にお答えを願いたいと思います。

 生活保護法第一条は、「憲法第二十五条に規定する理念に基き、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする。」とあります。第二条には無差別平等の権利がうたわれておりますし、第三条では、この「最低限度の生活」とは「健康で文化的な生活水準を維持することができるものでなければならない。」と書かれております。

 この原則が今後も変わりはないことを大臣に確認させていただきます。

○柳澤国務大臣 行政は、これはもう憲法のもとにあるわけでございまして、憲法の精神を酌んだ、そうした行政を展開するというのは当然だと思います。

 ただ、具体的な事柄につきましては、憲法の趣旨を生かして、そして国民の間の公平であるとか、その制度が持続可能であるとかというような総合的な観点から検討していかなければならない、このようなことも御理解賜りたいと思います。

○高橋委員 私は、今おっしゃったその具体的な事柄、今日起こっていることが、既に憲法二十五条が棚上げされたのではないか、そういう気がしてならないわけです。

 日弁連が、ことし六月から八月に行った全国四十二都道府県の電話調査に六百三十四件の相談が寄せられ、保護が断られたケースを検証していくと、六六%が違法な対応をしている可能性がある、こういう指摘をされていることは大変重要ではないかと思います。

 今日、北九州での五月に起こった五十六歳の男性の餓死の事件、秋田での七月の抗議自殺、三十七歳、生活保護をめぐって人命を失うという非常に残念な事件が起こっております。

 まず、北九州の事件については福祉事務所の対応が適切だったと言えるのか、端的にお答えください。

○中村政府参考人 お答え申し上げます。

 北九州市の事例は、昨年九月に水道がとめられているということから福祉事務所の方に緊急連絡があって始まったケースであり、九月三十日に福祉事務所の方にその方が御次男と一緒に来られて、いろいろ保護の御相談があり、十二月にも改めて相談があった、こういうようなケースでございます。結果として、ことしの一月に御相談に見えた方がお亡くなりになり、また、お亡くなりになっていることが発見されたのが五月というケースでございまして、こういう、お亡くなりになり、また、その発見がおくれるというような事態になったことは本当に残念であります。

 御指摘の事例については、一回目の、九月三十日の相談において、親族間の話し合いの結果次第でまた御相談に来るようにと助言し、十二月六日の御相談でも、長男の方の援助の可能性があるということで、まず御家族で御相談の上、援助が困難な場合にはいつでもまた御相談に見えるよう助言したということで、このことから生活保護における福祉事務所の対応に違法や不当な扱いがなされたとは認められないというふうに考えております。

 また、北九州市の方では、九月三十日にその男性の方の事例が発見されたときに、保健師さんが週に一回の訪問をするということで、健康状態の確認も十一月までされているなど、行政としての一定の支援が行われていることが認められておりますので、そういった点では行政の側も対応していたのではないかと思います。

 しかし、一方で、十二月六日、二度目に男性と次男の方が生活保護の相談に訪れた際、九月三十日に一度御相談されておりますし、その後も水道が引き続きとめられているままであったことなどを考えますと、この時点で男性の資力の有無等についてもう一歩踏み込んでより詳しいお話を聞く必要があったのではないか、結果論ではありますが反省点もございます。

 こういう反省を踏まえまして、北九州市の方でも緊急対応ガイドラインというのを十月十六日に見直しをして、担当者間の連携なり、御相談のあったケースのフォローアップについてきちんとしていこう、こういうことが部内でも改められたと伺っておりますし、また、本件のケースは、実は年末に民生委員さんがお見舞金を届けるなどの活動もしておりまして、ずっと民生委員さんがかかわってきたわけですが、民生委員さん自身が御病気になって、死亡の発見が五月までおくれたというようなこともありますので、民生委員さんを初めとする地域の社会資源との連携についても工夫をしていく必要があるのではないかというふうに考えております。

○高橋委員 反省点があったと一言だけありましたけれども、非常に今の見方は不十分ではないかなと思います。

 きのういただいた調査結果についてというペーパーでも、まだこれは総合的なものではないと思いますけれども、それでも、関係各課の連携等の対応次第では本事例のような結果にならなかった可能性があることも否定できないと書いてあるのでありますから、せっかく昨年の九月に水道がとめられているという事態を発見して対応したにもかかわらず、しかも本人が申請をしたにもかかわらず、ことしの五月にそういう結果になったということを率直に認めるべきではないかと思っております。

 肝心なことは、北九州では今回のような事件は初めてではないということであります。昭和五十六年の一二三号通知によって、適正化という名の保護抑制が強まっています。また、北九州は独自の基準がございまして、ケースワーカー一人当たり五件、生活保護の廃止がノルマになっていた。おれは月に二枚しか申請書を渡さなかったと豪語する面接官もいるなど、やみの北九州方式という言葉が新聞紙上でも取りざたされるくらいであります。

 また、これは八月四日付京都新聞で、京都市が、自立助長推進世帯と称して、やはり一人当たり五件をノルマにしていたことが明らかにされていたように、北九州方式が全国に波及していることを示しているのではないかと思います。ことし三月に出された適正化の手引はこれをモデルにしたという指摘もございます。非常に重大ではないかと思います。

 十月に北九州で大規模な調査が行われました。集団で同行申請を行ったことにより二十七件申請が受理されました。何度も何度も窓口に行って帰されていたけれども、ようやく受理されたという実態が明らかになっております。

 これは、申請の全体の数を表にして資料の一枚目に出しましたけれども、申請率が全国大体三〇%、開始率が二八%、北九州は二五%なんですけれども、この国がとっている資料を見ても、どれほど窓口で帰されたのかという実態がないんです、そういう統計がないんです。これをきちんとつかむべきではないか、また、少なくとも申請権を守るという立場から窓口で拒否することはきっぱりやめるべきと思いますが、いかがですか。

    〔委員長退席、伊藤(信)委員長代理着席〕

○中村政府参考人 お答え申し上げます。

 生活保護の相談と申請、それからそれが適用されるということについてでございますが、まず生活保護につきましては、生活に困窮する方が、その利用し得る資産、稼得能力、その他あらゆるものの活用を図って、なお最低限度の生活が維持できない場合に適用されるということでございます。

 委員からも資料として配付されておりますが、そういった意味で、福祉事務所に来所される方の中には、このような生活保護の仕組みについて十分理解されていない方や、ほかの福祉施策等が活用できる、そういった場合にはまずそちらの方を使っていただくということなど、そういう最低限度の生活が維持できることになりますので、保護の適用に至らない方もございます。

 このため福祉事務所においては、申請に先立ちまして、まず来所の方々の御相談を受けてその状況を把握し、これを踏まえて、例えば預貯金等がある場合には、まずその活用を図っていただくことを促す、活用できる他法他施策がある場合には、これを活用するよう助言すること等を行っているところでございます。

 この結果、平成十六年で、全国五十二万五千件の相談件数のうち生活保護の申請に至った件数は十六万一千件というふうになっております。

 ただ、申請の意思のある方の請求を阻害するようなことがあってはならないということで、今委員の方から御紹介がありました、これは実施機関であります都道府県、市の担当者の方々の御要望もあって、生活保護行政を適正に運営するための手引をことしの三月三十日に作成したところでございますが、この手引の冒頭におきましても、申請の意思のある方への申請手続の援助指導を行うとともに、法律上認められた保護の申請権を侵害しないことは言うまでもなく、侵害していると疑われるような行為自体も厳に慎むべきことというふうに手引で明記しておるところでございます。

 あと、委員の方から、全国におけるそういった問題事例などについて実態調査すべきではないかということでございますが、まず国の方では、調査というよりももっと徹底しておりまして、都道府県、政令指定都市に対しましては、本庁と福祉事務所に対して、これは福祉事務所の全部ではございませんが、選んだ福祉事務所について毎年現地での指導監査を実施しており、そういったことについて調査をいたしております。

 また、都道府県、政令指定都市も、国の実施方針に基づきまして、これは全数の福祉事務所に対して指導監査を毎年実施しているということでありまして、指導監査の際に、生活保護申請の意思のある方には申請を拒まないように指導しておるところでございます。また、相談件数等についても調査しているところでございます。

○高橋委員 局長、時間が限られているのに長々と説明をしないでください。聞かれたことには答えてないんです。いろいろ言うけれども、監査をしていると言うけれども、窓口で帰された人、申請の意思があるのに、もうだめよと最初から帰された人はつかんでいませんねと聞いているんです。つかんでいないでしょう。それをきちっとやれということを言っているんです。いろいろ監査をしても、結局、いわゆる保護を受けさせないためにいかにやっているかという視点では、だめなわけですから。

 でも、今最初にあったように、意思のある方を阻害してはならないということをおっしゃっていましたので、そこを徹底されるように、そしてまた、そういう実態があるのかどうか調査をされるように、ここは要望にとどめます、時間がありませんので。

 それで、限られた時間ですが、どうしても紹介したいことがございます。北九州の教訓が生かされないで、秋田でもまた抗議の自殺事件が起きた。その方は、自分の死をもって福祉がよくなればいいのにということを述べていたということ、本当にこの遺志を酌んでいただきたいと思います。

 本当にいろいろなことが実は起こっているんですね。資料の三枚目をごらんになってください。毎日新聞の秋田県版、「出産に圧力」、こっちは朝日新聞、「秋田市職員が「暴言」」簡単に言いますと、生活保護を受けている夫婦が出産の意思を示したのに対してそれを抑制するような発言をした、妊娠の事実を伝えた際に、生活保護を受け、さらに出産費用を出すというのは常識的にどうかと言ったと。下の方、朝日の三段目を見てください。「産みます、はいそうですね、というわけにはいかない」「出産を望み、何でもかんでも面倒をみてもらえるならば、みんな生活保護を受けたいと思いますよ」、こんなことを職員が言ったと。生活保護世帯には当然、新聞にも書かれておりますけれども出産を無料にする制度もございます、それを一切教えませんでした。また、二十年前には、同じ秋田市で中絶強要事件というのも起こっています。

 こういう人権侵害が起こっているんだということに対して、やはりきちんと、いわゆる、皆さんの言い方で言えば適正化です、こういう行き過ぎた指導は徹底して改めるべきだと思います。一言、大臣、お願いします。

○柳澤国務大臣 個々のケースについて、私はコメントをするだけの情報を持っておりません。しかし、いずれにしましても、福祉事務所に来られた方に対して必要な指導、指示をすることはできるとされておりますけれども、保護の目的の達成のため、必要最小限度で行うべきものである、このように考えております。

○高橋委員 残念ながら時間が来ましたので、終わります。引き続いてまた次の機会に譲りたいと思います。ありがとうございました。
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安倍政権を倒す毎週駅頭行動

2006年12月12日 | 政治(市政・都政・国政・国際)

安倍政権を倒す国立市民会議・毎週駅頭アピール

  日 時 2006年11月28日・12月5日・12日(火)19:00~20:00
  場 所 国立駅南口
  主 催 安倍政権を倒す国立市民会議

 教育基本法改悪案(国家を縛る法律から市民を縛る法律へと変える)が衆議院で自民党・公明党に強行採決された11月16日(金)を前にした2週間、さまざまな市民グループが毎日、国立駅前でマイク・アピールやチラシ配布を続けました。教育基本法改悪に対する抵抗闘争は、参議院に場面が移りました。
 他にも、話題に出しただけで犯罪者にされてしまう共謀罪新設や、自衛隊の海外派兵をやり放題にする防衛省への昇格法、イメージだけで少年を「危険視」し、厳罰化するだけの少年法改悪、外国資本にも政治献金(≒企業収賄)を開放する政治資金規制法改悪など、悪法が次々用意されています。黙ってはいられませんので、火曜日夜の毎週宣伝を臨時国会が終わる(12/15予定)まで続けます。飛び入り参加大歓迎!

教育基本法改悪反対!緊急デモ

2006年12月09日 | 子ども・学校教育
 1週間前の飲み会で、誰からともなく「国立でもデモを!」との声があがり、急きょ「教育基本法改悪反対!デモ実行委員会」が立ち上がった。
 ほとんど宣伝なしの内輪の呼びかけだけで、集会開始予定時間の1時に谷保第三公園にやってきたのは7人…。国会前行動に参加し、国立に宿泊していた地方の教員も姿を見せず。冷たい雨の中、「寒いね…」とささやきあってると、向かいのロイヤルホストから教員たちが出てきた。やがて、三々五々、人が集まってきて、20人くらいで1時半にデモ出発。そのうち1人、2人と沿道から飛び入りが入り、解散地点(富士見通りの公民館裏)では30人くらいになっていた。
 久しぶりの市内デモ。やがてハーモニカやジャンベ(太鼓)、いろんな音が出てきた。手製のプラカードは雨でふにゃふにゃになったが、元気よく大学通りにシュプレヒコールが響き渡った。

 集会参加者の一人が言っていたが、そう、「政治は国会の中にあるのではない。国会の外にあるのだ」。

読書会『治安はほんとうに悪化しているのか』

2006年12月05日 | 治安・監視社会・住基ネット

 昨今まことしやかに語られる「治安悪化説」に疑問を投じた、元・東京都治安対策担当部長の久保大さんの著書『治安はほんとうに悪化しているのか』(公人社)
の読書会を行います。どなたでも参加大歓迎です。(事前に本を読んでこなくても結構です)

  日 時 2006年12月5日(火)19:00~
  場 所 スペースF(東京都国立市中3-11-6)
  主 催 「安心・安全」くにたちの会
  連絡先 042-573-4027(TEL/FAX)


「ピースリボン」裁判支援★チャリティ・ライブ

2006年12月03日 | 子ども・学校教育

「ピースリボン」裁判支援★チャリティ・ライブ

ミナトオオヒロフユノヒキガタリ。

  日 時 2006年12月3日(日)開場18:00 18:30~20:30
  場 所 国立商恊ビル2階ホール(JR国立駅南口3分)
  出 演 港大尋ソシエテ・コントル・レタ/ギターとピアノとうた)
      澤和幸ソシエテ・コントル・レタ/ギター)
  曲 目 おらはおっだ/スティルライフ/なぞなぞサルサ/ダダ 他
  入場料 2000円(別にドリンク有り!)
  主 催 「ピースリボン」裁判を支える会
      Tel&Fax:042-573-4010 spacef@m21.alpha-net.ne.jp

教科書を読む会

2006年12月03日 | 子ども・学校教育

教科書を読む会【第6回】
 (偶数月の第一日曜日の午前中に、公民館で行っています)

  日 時 2006年12月3日(日)10:00~12:00
  場 所 国立市公民館・講座室
  内 容 中学校「歴史」教科書(東京書籍版)の近現代史の部分を読みます
  主 催 教科書を読む会

◆国立市の公立小学校で使われる教科書をいっしょに読みませんか。
◆昨年4月から、小学校では新しい教科書が使われ、今年の4月から中学校でも新しい教科書が使われています。子ども達に大きな影響を与える教科書を、私たちが読み、よりよい教科書を子ども達に届けられればと考えています。

◆ニュース◆ 教育基本法の改悪を阻止しましょう
 教員のいじめを発端とした子どもの自殺、学校による隠蔽、校長によるいじめで教員が自殺。履修不足での卒業、タウンミーティングでの文部科学省主導のや らせ発言など、強権的、新自由主義的な教育行政の異常性が表面化してきています。数に頼んで教育基本法を改悪しようとしている安倍首相ですが、狙いは、国 家に「ノー」と言えない人間づくりです。<主権在民>は死にます。