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最近ちょっとお疲れ気味

松本仁一「 アフリカ・レポート―壊れる国、生きる人々」 (岩波新書)

2009-06-25 22:57:36 | 読書
 松本仁一「 アフリカ・レポート―壊れる国、生きる人々」 (岩波新書) を読みました。

内容(「BOOK」データベースより)
豊かなジンバブエの農業を一〇年で壊滅させ、アパルトへイトを克服した南ア共和国を犯罪の多発に悩む国にしたのは誰か。中国の進出、逆に国を脱出するアフリカ人の増加などの新しい動きを追い、同時に、腐敗した権力には頼らず自立の道を求めて健闘する人々の姿も伝える。三〇年近いアフリカ取材経験に基づく、人間をみつめた報告。


 著者は元・朝日新聞記者です。本書の内容の多くは朝日新聞の紙上ですでに報告されており、既視感があります。しかしその報告をまとめ加筆された本書を一気に読んで、改めてアフリカ諸国の政府の絶望的な腐敗ぶりに衝撃を受けました。独立解放を目指して白人支配と戦ってきたアフリカの指導者たちのほとんどが、権力を握るや否やあっという間に堕落して自らの利権のみを追及し国の発展を省みなくなっています。なぜそんなひどい有様になってしまったのか、筆者はつぶさに現地を取材し報告しています。このような発言は好ましくないということを承知の上で述べさせてもらうと、白人支配の植民地のままであり続けた方がアフリカの黒人たちは幸福ではなかったのか、とさえ思ってしまいます。

 日本政府はアフリカに対するODAを倍増させるらしいのですが、本書を読んでアフリカ援助のあり方について考えさせられました。